※この作品はR-18です。

艦隊これくしょん・絆の旋律   作:京勇樹

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後事

中田元大将が起こした違法な軍法裁判から、数日後

武仁と悠陽の二人は、ある場所に居た

そこは、現帝国の首都

帝都東京江戸城

その本丸地下の一室

そこで二人は、無言で正座していた

すると、ドアが開いて

 

「陛下のおなーりー!」

 

と侍従らしい女性が声を上げ、それを聞いた二人は黙って頭を下げた

そして、少しすると

 

「頭を上げよ」

 

と男性の声がした

二人が頭を上げれば、檀上の椅子に一人の男性が座っていた

その男性こそが、今生の天皇陛下

武功天皇だ

 

「此度の海軍の一件、報告書は一読した……主犯となった中田元大将はどうしました?」

 

「はっ……中田元大将は、国防に関する一大事の情報を意図的に隠匿したために、国家反逆罪を適用。銃殺刑に処しました」

 

天皇からの問い掛けに、武仁は頭を下げながらそう報告した

それを聞いた天皇は、軽く頷いてから

 

「そうですか……して、他の者達は?」

 

「他の者達は、その殆どを降格処分。更には最前線に配属としました。新人に関しましては、一時的に軍籍を剥奪。もう一度、訓練校へと戻しました」

 

天皇からの問い掛けに、武仁はそう答えた

なお武仁としての本音は、全員を軍から追放したいところだった

しかし、今の海軍に遊ばせられる人員は居ない

だから、殆どを降格させて憲兵を増やした最前線に配属させた

もし次に罪を犯せば、問答無用で処刑になることは通達されている

文字通り、最後通帳だ

 

「ふむ……煌武院」

 

「はい」

 

天皇に呼ばれて、悠陽は頭を下げた

 

「此度の中田元大将の手口は、判明したのですか?」

 

「はい……中田元大将は、どうやら自身の階級を使い、初音島から送られた救援要請と初音島方面のレーダー情報を遮断させていたようです」

 

天皇からの問い掛けに、悠陽はそう答えた

それは、高い階級だから出来た技だった

レーダー士官と通信士官は、真面目に職務に取り組んでいた

しかし中田は、自身の階級を使って初音島方面の通信機とレーダーを使えない状況にしたのだ

レーダー士官と通信士官に、非は無いだろう

彼らは、真面目に職務に取り組んでいたのだから

 

「二度と起きないように、それらを止める権利は私のみが有することにしました。主には修理やメンテナンス時のみとします」

 

「……対策が出来てるならば、子細は任せます」

 

天皇の言葉を聞いて、悠陽は頭を下げた

その後も、武仁と悠陽は交互に天皇に報告

そして

 

「度重なる、我が海軍の不祥事……陛下に弁明のしようがございません……」

 

「私もです……陛下から全権代行を委任されながら、未然に防げなかったこと……弁明出来ません」

 

二人はそう言って、額が床に当たる程頭を下げた

そして、二人して

 

「引いては、我々の処遇を陛下に決めていただきたく」

 

と言って、頭を下げたまま天皇の処遇を待った

それから、どれ程経ったのか

 

「二人共、頭を上げなさい」

 

と天皇に促されて、二人は頭を上げた

そして、天皇は

 

「此度のことは、中田元海軍大将を含めた一部の独断……そなたらに非はない……」

 

「陛下……」

 

「しかし……」

 

天皇の言葉を聞いて、二人は顔をしかめた

すると、天皇は

 

「そなたらの働きを、私は高く評価しています……その働きに免じて、此度のことは不問とします……もし得心出来ぬのならば、より一層国のために働いてもらいます……そして何より、最前線で命を賭けて戦ってくれている戦士達に、応えてやりなさい」

 

と言った

それを聞いた二人は

 

「はっ……承りました」

 

と深々と頭を下げた

その後、天皇は退室

その後に、二人も部屋から出た

そして、二人で一台の車に乗った

その車の中で、武仁が

 

「すまぬの、悠陽嬢ちゃん……ワシの不甲斐なさに、巻き込んでしまったわ」

 

と悠陽に頭を下げた

その呼び方は、本来ならば不敬罪で切られてもおかしくはない

しかし、近くに控えている側役たる武は聞き流している

すると、悠陽は

 

「いえ……防人さんに非は無いですよ。中田元海軍大将は、相当念入りに事を運んでいた模様……人には、限界というものがあります。仕方ありません」

 

と気にした様子もなく、そう返した

どうやら、日常的らしい

 

「さて、問題は初音島鎮守府の深刻なまでの人手不足か……」

 

武仁はそう言って、書類を取り出した

その書類には、初音島第一鎮守府の人員数が記載されている

 

「確か、全部で22名……でしたか」

 

「うむ……鎮守府の規模を考えれば、むしろよく運営していると言えるわい……」

 

その人員は、艦娘を抜いた数になる

初音島鎮守府の規模を考えれば、本来はその10倍以上居ても不思議ではないのだ

 

「特に深刻なのは、運営面の人員と整備員……正規の整備員は、二人しか居ない……」

 

「一部艦娘と妖精の手伝いがあって、なんとか回せていたようですね」

 

気付けば、悠陽も同じ内容が記載された書類を読んでいた

 

「一重に、榊原提督の差配ですね……」

 

「その分、榊原提督への負担も高いみたいだがの」

 

二人が見ていたのは、祐輔の終業時間の欄だった

早くて、午後11時過ぎ

遅いと、日を跨ぐようだ

それを見た二人は、唸るように

 

「早急に、増員をせねばな……」

 

「そちらは、防人さんに任せます。場合によっては、人員に余裕がある在日国連軍から人員を回すことも許可します」

 

「承知した」

 

悠陽の言葉を聞いて、武仁は頷いた

そして、車が止まり

 

「では、ワシはここで」

 

と武仁は降りようとした

すると、悠陽が

 

「防人さん」

 

と武仁に声を掛けた

そして、武仁が振り向くと

 

「これを、第一初音島鎮守府に」

 

と悠陽が、大判の封筒を手渡した

それを受け取った武仁は

 

「確かに、受け取りました」

 

と言って、車の外に出た

そして数日後、祐輔艦隊の士官級は軒並み階級が上がった

祐輔は少将に

明日奈は中佐に

唯依は少佐

そして、直哉は大尉になったのだった

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