中田元大将が起こした違法な軍法裁判から、数日後
武仁と悠陽の二人は、ある場所に居た
そこは、現帝国の首都
帝都東京江戸城
その本丸地下の一室
そこで二人は、無言で正座していた
すると、ドアが開いて
「陛下のおなーりー!」
と侍従らしい女性が声を上げ、それを聞いた二人は黙って頭を下げた
そして、少しすると
「頭を上げよ」
と男性の声がした
二人が頭を上げれば、檀上の椅子に一人の男性が座っていた
その男性こそが、今生の天皇陛下
武功天皇だ
「此度の海軍の一件、報告書は一読した……主犯となった中田元大将はどうしました?」
「はっ……中田元大将は、国防に関する一大事の情報を意図的に隠匿したために、国家反逆罪を適用。銃殺刑に処しました」
天皇からの問い掛けに、武仁は頭を下げながらそう報告した
それを聞いた天皇は、軽く頷いてから
「そうですか……して、他の者達は?」
「他の者達は、その殆どを降格処分。更には最前線に配属としました。新人に関しましては、一時的に軍籍を剥奪。もう一度、訓練校へと戻しました」
天皇からの問い掛けに、武仁はそう答えた
なお武仁としての本音は、全員を軍から追放したいところだった
しかし、今の海軍に遊ばせられる人員は居ない
だから、殆どを降格させて憲兵を増やした最前線に配属させた
もし次に罪を犯せば、問答無用で処刑になることは通達されている
文字通り、最後通帳だ
「ふむ……煌武院」
「はい」
天皇に呼ばれて、悠陽は頭を下げた
「此度の中田元大将の手口は、判明したのですか?」
「はい……中田元大将は、どうやら自身の階級を使い、初音島から送られた救援要請と初音島方面のレーダー情報を遮断させていたようです」
天皇からの問い掛けに、悠陽はそう答えた
それは、高い階級だから出来た技だった
レーダー士官と通信士官は、真面目に職務に取り組んでいた
しかし中田は、自身の階級を使って初音島方面の通信機とレーダーを使えない状況にしたのだ
レーダー士官と通信士官に、非は無いだろう
彼らは、真面目に職務に取り組んでいたのだから
「二度と起きないように、それらを止める権利は私のみが有することにしました。主には修理やメンテナンス時のみとします」
「……対策が出来てるならば、子細は任せます」
天皇の言葉を聞いて、悠陽は頭を下げた
その後も、武仁と悠陽は交互に天皇に報告
そして
「度重なる、我が海軍の不祥事……陛下に弁明のしようがございません……」
「私もです……陛下から全権代行を委任されながら、未然に防げなかったこと……弁明出来ません」
二人はそう言って、額が床に当たる程頭を下げた
そして、二人して
「引いては、我々の処遇を陛下に決めていただきたく」
と言って、頭を下げたまま天皇の処遇を待った
それから、どれ程経ったのか
「二人共、頭を上げなさい」
と天皇に促されて、二人は頭を上げた
そして、天皇は
「此度のことは、中田元海軍大将を含めた一部の独断……そなたらに非はない……」
「陛下……」
「しかし……」
天皇の言葉を聞いて、二人は顔をしかめた
すると、天皇は
「そなたらの働きを、私は高く評価しています……その働きに免じて、此度のことは不問とします……もし得心出来ぬのならば、より一層国のために働いてもらいます……そして何より、最前線で命を賭けて戦ってくれている戦士達に、応えてやりなさい」
と言った
それを聞いた二人は
「はっ……承りました」
と深々と頭を下げた
その後、天皇は退室
その後に、二人も部屋から出た
そして、二人で一台の車に乗った
その車の中で、武仁が
「すまぬの、悠陽嬢ちゃん……ワシの不甲斐なさに、巻き込んでしまったわ」
と悠陽に頭を下げた
その呼び方は、本来ならば不敬罪で切られてもおかしくはない
しかし、近くに控えている側役たる武は聞き流している
すると、悠陽は
「いえ……防人さんに非は無いですよ。中田元海軍大将は、相当念入りに事を運んでいた模様……人には、限界というものがあります。仕方ありません」
と気にした様子もなく、そう返した
どうやら、日常的らしい
「さて、問題は初音島鎮守府の深刻なまでの人手不足か……」
武仁はそう言って、書類を取り出した
その書類には、初音島第一鎮守府の人員数が記載されている
「確か、全部で22名……でしたか」
「うむ……鎮守府の規模を考えれば、むしろよく運営していると言えるわい……」
その人員は、艦娘を抜いた数になる
初音島鎮守府の規模を考えれば、本来はその10倍以上居ても不思議ではないのだ
「特に深刻なのは、運営面の人員と整備員……正規の整備員は、二人しか居ない……」
「一部艦娘と妖精の手伝いがあって、なんとか回せていたようですね」
気付けば、悠陽も同じ内容が記載された書類を読んでいた
「一重に、榊原提督の差配ですね……」
「その分、榊原提督への負担も高いみたいだがの」
二人が見ていたのは、祐輔の終業時間の欄だった
早くて、午後11時過ぎ
遅いと、日を跨ぐようだ
それを見た二人は、唸るように
「早急に、増員をせねばな……」
「そちらは、防人さんに任せます。場合によっては、人員に余裕がある在日国連軍から人員を回すことも許可します」
「承知した」
悠陽の言葉を聞いて、武仁は頷いた
そして、車が止まり
「では、ワシはここで」
と武仁は降りようとした
すると、悠陽が
「防人さん」
と武仁に声を掛けた
そして、武仁が振り向くと
「これを、第一初音島鎮守府に」
と悠陽が、大判の封筒を手渡した
それを受け取った武仁は
「確かに、受け取りました」
と言って、車の外に出た
そして数日後、祐輔艦隊の士官級は軒並み階級が上がった
祐輔は少将に
明日奈は中佐に
唯依は少佐
そして、直哉は大尉になったのだった
どういう話を書いてほしいですか
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