※この作品はR-18です。

艦隊これくしょん・絆の旋律   作:京勇樹

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結ばれる二人

「……ですので、この部品に関してのデータはこちらになります」

 

「ふむ……流石のデータだ……」

 

祐輔が出した書類を見て、彰三は感嘆の言葉を漏らした

しかし、次の瞬間には渋面を浮かべて

 

「だが、これを改良するとなると……」

 

と唸り始めた

すると、祐輔が

 

「それでしたら……」

 

と彰三に教えた

それを聞いた彰三は

 

「なるほど……その手があったか」

 

と頷いた

その光景に、明日奈は半ば驚いていた

すると、それに気付いた祐輔が

 

「どうしました?」

 

と明日奈に視線を向けた

すると、明日奈は

 

「えっと、改善案まで出せるなんて、凄いなあって……」

 

と言った

彰三は今は社長という立場だが、その前には研究者という面が強い立場だった

それを知っている明日奈は、その彰三が思い付かなかった改善案を言った祐輔に驚いていた

すると、祐輔は

 

「技術研究廠では、当たり前のことですよ」

 

と返した

帝国軍技術研究廠

そこは、帝国軍では初めての四軍合同の部所だ

陸軍(艦娘・衛士)、海軍(艦娘・衛士)、航空宇宙軍、近衛軍

それらから選抜された優秀な人材が集まり、構成されている

その技術研究廠の命題は、一刻も早く新兵器を前線に送ること

そのために、技術研究廠に所属している兵士や艦娘は、技術者任せにしないで、感じたことから改善案を常に考えるようにしているのだ

それにより、性能や信頼性の高い兵器を前線に送り出しているのだ

そして提督になった祐輔だが、その習慣が残っているのだ

そのために、改善案を考えておいたのだ

 

「流石は、二つ名持ちだな。本社に戻ったら、すぐに伝えよう」

 

「ありがとうございます」

 

この後もしばらくの間は、祐輔と彰三は様々な部品のことを話し合った

そして、話し始めて数時間後

 

「では、今日はこれにて」

 

「本日は、来ていただきありがとうございました」

 

と祐輔は彰三と握手し、外に見送りに出た

鎮守府と直結している港には、一隻の見事なクルーザーが停泊していた

どうやら、彰三のクルーザーのようだ

祐輔と明日奈が見守る傍ら、彰三と京子の二人は乗船

その護衛に、祐輔は金剛を旗艦とした艦隊を編成

呉まで同行させることにした

 

「金剛さん、呉までお願いしますね」

 

「任せるデース! 皆さん、フォロミー!」

 

祐輔の言葉に、金剛は親指を立てながら答えると、艦隊の先頭に立って出航した

編成は、金剛、摩耶、瑞鳳、翔鳳、名取、白露である

その六人に守られて、クルーザーは出港

本土に向けて、進んでいった

それを見送ると、祐輔と明日奈の二人は鎮守府に戻った

そして、二人きりで執務をしていた時

 

「あのね、祐輔君……」

 

と明日奈が、祐輔を呼んだ

その表情は、何処か申し訳なさそうだった

 

「なんですか、明日奈さん?」

 

祐輔が問い掛けると、明日奈は

 

「その……須郷中佐との婚約破棄に利用したみたいで、ごめんね……」

 

と謝罪した

そして続けて

 

「それに、祐輔君と結婚するって言ったけど、それだって私の独断……祐輔君の承諾を得てない……」

 

と言った

確かに、祐輔は何も聞かされていなかった

 

「あの時は、祐輔君が合わせてくれたから、須郷中佐との結婚は回避出来た……だから、無理に私と結婚しなくても……」

 

と話していた

その時、祐輔が被せるように

 

「合わせたわけじゃないですよ? あれは僕の本音です……」

 

と言った

それを聞いた明日奈は、固まっていた

そして祐輔は、微笑みながら

 

「僕と結婚すると言ってくれたのは、非常に光栄です。むしろ、僕が遠慮しちゃうところですよ。京子さんが言った通り、僕は小学校卒業が最終学歴です。志願して、僕の戦術機適正が高かったから、戦時特例として訓練に参加出来ただけです……まあ、衛士不足から訓練未了で最前線に投入されて……それから、六年も生きてた……死に損ないです……同期は、もう誰も生きてません……」 

 

と話し始めた

その話しを、明日奈は静かに聞いていた

 

「今や二つ名……蒼き風神なんて呼ばれてますが、その前には……死神なんて呼ばれてた人間です……僕が所属した部隊が、何回も全滅したから……それだけじゃなく……故郷での生き残りも、僕だけですし……そんな僕が、誰かと結婚する資格がある訳が無い……そう思ってるんですから……」

 

微笑みを崩すなさいでそこまで言い終わり、話しを聞いていた明日奈は、ある答えに至った

祐輔は普段から、微笑みを崩さない

だがそれは、仮面なのだと

しかし明日奈は、その考えよりも怒りの方が勝った

 

(結婚する資格が、無い……ですって?)

 

その言葉に、明日奈は拳を握り締めた

本気で、そんなことを思っているのかと

 

「血に濡れた僕と結婚して、明日奈さんが後悔するより……」

 

「しません」

 

祐輔が最後まで言う前に、それを遮るように明日奈は言った

そして、祐輔は視線を向けると

 

「明日奈さん……?」

 

「祐輔君……その考えは間違ってるわ……だから、祐輔君は私が幸せにします」

 

明日奈の言葉に、祐輔は固まった

すると、明日奈は

 

「結婚する資格? そんなの、誰にでも有るし、誰にも無いわ……それに、それだけの人達に見送ってもらったのなら、尚更幸せにならないといけない……」

 

と言いながら、祐輔に歩み寄った

そして、ジッと祐輔を見て

 

「多分、私と祐輔君が出会ったのは、必然だったの……私の役目は、祐輔君を幸せにすることだったのよ……」

 

と言った

はっきり言ってしまえば、明日奈は祐輔のことが放っておけなかった

今までは、何故だか分からなかった

だが、今ならば分かる

祐輔の生き方が、歪だから

もし一人にしたら、祐輔が何処か遠い所に行ってしまう

明日奈には、そういう確信があった

ならば、自分がその楔になろう

明日奈は、そう決めた

 

「だからね、祐輔君……私と、結婚……してくれますか?」

 

明日奈のその言葉に、祐輔は笑みを浮かべ

 

「僕と……結婚してください、明日奈さん」

 

と手を差し伸べた

それに答えるように、明日奈は祐輔の右手を掴んだ

この時、明日奈は

 

(それにね……平気で無理しちゃう君を、放っておけないんだ……)

 

と思ったのだった

時は経ち、帝国某所

その一室にて、一人の男が不気味に笑っていた

 

「いよいよだ……いよいよ、計画は最終段階に到達しようとしている……! 後は彼女と婚姻して、それを足掛かりに世界を支配する……この世界の王は、この僕だ!」

 

と男は言って、声高らかに笑っていた

その時、不意に部屋に備えられていた電話が鳴った

 

「っと……はい……ああ、久方ぶりです……」

 

男は電話に出ると、好成年を演じ始めた

だが、少しすると

 

「なっ!? どういうことですか!?」

 

と声を上げた

 

「なぜ、私と彼女の婚約が無くなったのですか!? 納得いく説明を……あ、もしもし!?」

 

その男は何回か呼び掛けるが、聞こえるのは虚しい電子音のみ

それを聞いた男は、震えながら受話器を戻した

その直後

 

「あああああぁぁぁぁぁぁ!!」

 

と怒鳴りながら、近くの物に手当たり次第に当たり散らし始めた

 

「何故だ!! 僕の計画は完璧な筈だ!! なのに、なぜ思惑から外れる!! 今までも時々有ったが、それらは全て些事! 誤差範囲内だった!! だが、彼女との婚約破棄は許されない逸脱だ!」

 

男はそう言いながら、唯一無事だった高級な椅子に乱暴に腰かけた

そして、ギリギリと歯を鳴らし

 

「まさか、他の男に!? 何処の凡骨か知らんが、僕の伴侶を奪うとはいい度胸だ……徹底的に追い詰めてやる!!」

 

と怒声を張り上げたのだった

一人の男の妄執が、迫ろうとしていた……

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