「しかし、意外な方が蒼星の名前を継ぎましたね……」
「え、どういうこと?」
祐輔の疑問の言葉を聞いて、明日奈は祐輔に視線を向けた
すると祐輔は
「蒼星さんを、よく見てください」
と明日奈に言った
そう言われた明日奈は、蒼星の顔を見た
少し薄めの紫色の髪に、固い印象の表情
「あ……もしかして……弥生?」
明日奈が恐る恐ると問い掛けると、蒼星
元弥生は頷き
「約20年前に引退した、弥生……戸籍名は、
と告げた
すると、祐輔が
「弥生という子は、何か集中出来ることを見つければ、熱中することが多い子なんです」
と説明した
すると弥生子が
「私のことを知ってるってことは……海軍?」
と首を傾げた
すると祐輔が
「帝国海軍、第一初音島鎮守府提督の榊原祐輔と言います。こちらは、副官であり妻の」
「榊原明日奈です」
と二人で挨拶した
すると弥生子は
「元防人艦隊所属、です」
と言った
それを聞いて、祐輔は
「長官の子だったのか」
と驚いた
すると弥生子は
「長官……提督、長官になってたんだ」
と軽く驚いていた
確かに、二十年前に艦娘を引退しているのなら、知らないのも無理はない
武仁が長官になったのは、十年前なのだから
「しかし、まさかここで元艦娘に会えるとは思ってませんでしたよ」
と祐輔が言うと、弥生子も頷き
「私も……海軍の人と会うとは、思ってなかった……」
と同意した
その後二人は、軽く弥生子と会話すると工房を見て回ることにした
すると、弥生子が
「私のおすすめは……黄色い屋根の家……」
と言って、自分の作業に戻っていった
その後二人は、工房を歩き回った
様々な人達が、自分の工房で作品作りに勤しんでいる
それを明日奈は
「ああやって、作業するんだ……」
と珍しそうに呟いた
「ですね。僕も初めて見ました」
明日奈の言葉を聞いて、祐輔も同意
珍しそうに眺めた
そうして歩いているうちに、弥生子が言った黄色い屋根が近づいてきた
「さっき言ってたのって、あそこのことだよね?」
「恐らく」
明日奈の問い掛けに、祐輔は頷いた
すると、ある通りから一人の若い女性が出てきた
膝辺りまで伸ばした薄い茶髪のツインテール
それを見た祐輔は
「やはり、まだ他に居ましたか」
と言った
すると、明日奈が
「あれは……村雨ちゃん?」
と言った
「ですね。見た目から元村雨ちゃんでしょう」
二人がそう会話していると、聞こえたからか顔を向けた
すると、笑みを浮かべて
「いらっしゃい」
と手招きした
招待されて、二人は中に入った
小さいながらに二階建ての家で、一階は工房と売店を兼ねているようだ
「はい、お茶よ」
元村雨はそう言って、二人に湯呑みを差し出した
二人は受け取り、お茶を飲んだ
すると元村雨は
「どうやら気付いてるようだから、先に言っておくわね。私は元村雨。戸籍名は、
と名乗った
それを聞いて、祐輔と明日奈は
「初音島第一鎮守府の榊原祐輔提督です」
「その副官で奥さんの榊原明日奈です」
と名乗った
そして、祐輔が
「実は、蒼星さんからここをおすすめされたんです」
と言った
それを聞いて、瑠璃は
「あははは……そう言って貰えると、嬉しいわね。私は工房で作業してるから、好きに見てって」
頬を僅かに赤らめながらそう言って、奥の作業台に向かった
そう言われた二人は、机の上に置いてある様々な宝石を見た
「わあ……凄い綺麗……」
「ですね……」
ペンダント、指輪、ピンと様々なアクセサリー類に加工されて、綺麗に陳列されている
ふとその中で、祐輔はある商品に目が行った
その時
「ごめんなさい、瑠璃さん。トイレ借りてもいいかしら?」
と明日奈が、瑠璃に問い掛けた
すると瑠璃は
「はいはーい、右奥がそうよ」
と言いながら、右手を上げて教えた
そして明日奈を見送ると、祐輔は
「あの、瑠璃さん」
と瑠璃を呼んだ
すると瑠璃は、作業を一時中断し
「なになにー?」
と祐輔の方に、歩み寄ってきた
すると祐輔は
「あの……これなんですけど」
と一つを指差した
すると瑠璃は
「なになにー? 奥さんに?」
と笑みを浮かべながら、問い掛けた
その問い掛けに、少し恥ずかしそうに頷き
「大事な人……ですから」
と答えた
それを聞いて、瑠璃が
「んー、可愛い! OK、サービスしちゃう!」
と言った
それを聞いて、祐輔は
「え、悪いですよ」
と言った
しかし、瑠璃は
「いいの、いいの。同じ女として、嬉しく思っちゃったからね」
と笑顔で、祐輔の頭を撫でた
そして、祐輔の誕生日を聞くと
「それじゃあ、これね……そう言えば、奥さんの誕生日は?」
と問い掛けた
それに、祐輔は
「9月30日ですね」
と答えた
それを聞いて
「あは、知ってたんだ。誕生石」
と笑った
すると祐輔は
「艦隊の子が、たまたまそういう話をしてまして。その時に」
と言った
それを聞いて、瑠璃は
「でも、よく覚えてたね。よし、二つでこの値段にしたげる」
「え、いいんですか?」
瑠璃が提示した値段を見て、祐輔は驚いた
すると瑠璃は
「大丈夫! 私に任せなさいって」
と自信満々に言った
それを聞いて、祐輔は
「……わかりました。ありがとうございます」
と言って、お金を払った
お金を受け取った瑠璃は、その二つの宝石を箱詰めして、祐輔に手渡した
受け取った祐輔は、それをカバンに仕舞った
すると、明日奈が出てきて
「ありがとうございました」
と瑠璃にお礼を言った
その後二人は、瑠璃の工房から離れると旅館へと戻っていったのだった
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