※この作品はR-18です。

艦隊これくしょん・絆の旋律   作:京勇樹

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対戦術機2

残りの六機は、二機連携を維持して祐輔機に突撃してきた

その動きに、祐輔は

 

「この六機……ベテランか」

 

と声を漏らした

六機は二機連携をこまめに変えながらも、その動きに無駄が無い

つまりは、お互いの技量を把握しているということになる

そしてそれは、先ほどまで戦っていた六機とは異なっていた

恐らくは、負傷して被害が出たから、宛がわれた新兵だろう

祐輔はそう結論着けた

 

「……厳しいかな」

 

祐輔はそう呟きながらも、動きを止めなかった

止めることは、死に繋がるから

そして祐輔は、相手の動きから相手の意図を察した

 

「三角測量による、こちらの捕捉か!」

 

それは、包囲を兼ねたレーダー捕捉の強化だった

相手衞士達は、月虹がレーダーに映りにくいことから、ステルス能力に気付いただろう

だから、確実にレーダーで捕捉するために、二機連携を維持しつつ、月虹に同時にレーダーを照射

そのデータを戦術データリンクで共有し、月虹を確実に捕捉する戦法を取ってきたのだ

半壊しているとはいえ、短時間でその戦法に切り替えた

それは、ベテラン衞士にしか出来ない判断だった

 

「早く倒さないと……!」

 

祐輔は内心で焦りながらも、頭の中では冷静に思考していた

迎撃後衛(インパクト・ガード)の狙撃を回避し、強襲掃討(ガン・スイーパー)の制圧射撃を回避

その先に回り込んでいた突撃前衛(ストーム・バンガード)斬撃を避けて、反撃にと突撃砲を斉射した

だが、その斉射を突撃前衛は回避

入れ替わるように、強襲前衛(ストライク・バンガード)が両手の突撃砲で弾幕を形成

その連携は、卓越していた

祐輔に、反撃の暇を簡単に与えない程に

 

「侮ってたつもりはないが……! 予想以上の精鋭を、投入してきた!」

 

祐輔がそう言った直後、数発の自律誘導弾が迫ってきた

二機の火力後衛(ブラスト・ガード)が、自律誘導弾

つまりは、ミサイルを放っていたのだ

それを視認した祐輔は、回避機動を開始した

しかし、97式自律誘導弾は弾頭のカメラ認証による追尾機能を有している

簡単に避けられる攻撃ではない

だから祐輔は、回避機動をしながら突撃砲による迎撃を開始した

右手は36mmによる弾頭を形成し、左手は120mm散弾を連射

立て続けに、数発を爆発させた

その爆発で、空気が震えて機体を僅かに揺らす

しかし、止まる訳にはいかない

戦場で足を止めれば、それは死に直結する

だがミサイルの爆発で、一部センサーは一時的に機能を停止した

しかし祐輔は、それを天性とも言うべき勘の良さでカバー

相手の攻撃の悉くを、回避

そして、一瞬の隙を狙って36mmを単発で撃った

狙ったのは、一機の火力後衛の肩に装備されている多目的発射機だ

多目的発射機は使い捨てを念頭に開発されていて、ギリギリまで強度を削っている

勿論だが、36mmで破壊出来る程は脆くない

しかし、祐輔が狙ったのは発射する直前だった

その不知火は、発射するために前傾姿勢となっていた

発射する際の衝撃に耐えるためだ

そして前傾姿勢になっていたことで、中の弾頭が見えていた(・・・・・・・・・・)

祐輔が撃った36mm弾は、その弾頭の一発に命中

その不知火が発射機をパージする暇もなく、大爆発を引き起こした

 

「残り、五機!」

 

祐輔はそう言うと、その場から即座に離脱

反転して、横凪ぎに突撃砲の弾幕を形成した

背後から接近しようとしていた前衛の二機は、それを高く跳ぶことで回避した

それを見た祐輔は、散弾を二機に撃った

だが二機は、噴射降下(ブーストダイブ)で回避

着地と同時に、長刀を装備

その二機は散開し、祐輔機を挟むような機動を取った

それを見た祐輔は、二機に挟まれないように動こうとした

だがそこに、二発の36mmが襲ってきた

祐輔はそれを回避したが、相手の布陣に気付いた

前衛二機は、祐輔を挟みながら周囲を回るように機動を取っている

それに対して、迎撃後衛と強襲掃討は突撃砲を構えながら、祐輔に十字砲火を撃てる位置に常にいる

 

「しまった……活殺自在陣!」

 

それは、戦術機のフォーメーションの一つ

主には、演習時に用いられる陣形だ

前衛が対象の動きを制限しつつ、機動戦法を取る

それに対して、後衛が相手に対して十字砲火を加える

非常に高度な連携技術を要求する、連携戦術だ

 

「つぅ!!」

 

祐輔は小刻みに機体を左右に振り、前衛二機の動きをこまめに変更させて、後衛二機の射線をある程度制限させた

しかし、相手はベテランの衛士が乗る不知火

徐々にだが、祐輔機は焦燥感を募らせていた

その時、一発の対戦術機ロケット弾が、強襲掃討機の胸部に命中

その強襲掃討機は、倒れた

 

「今のは……!?」

 

それを見た祐輔は、反射的に発射地点を特定

視界に表示させた

そこに見えたのは、使い終わった発射機を投げ棄てる一人の人物が居た

ほっそりとした体躯と胸の膨らみから、女性と分かる

しかし顔は、特殊なヘルメットで覆っていた

 

「銃……!? まだ此処に!?」

 

と祐輔が驚いていると、通信で

 

『援護するから、早く決めなさい!』

 

と聞こえた

銃の声だった

 

「了解!」

 

その言葉を聞いた祐輔は、動揺からか動きが鈍くなった強襲前衛に肉薄

保持していた短刀を胸部に深々と突き刺し、もう一機に120mm榴弾を撃って撃破した

その間に、銃は残っていた火力後衛にもう一発の対戦術機ロケット弾を発射

撃破

残った一機は、逃げようとしたが、祐輔が撃った36mmの弾幕に蜂の巣にされて、爆散した

残敵が居ないことを確認し、祐輔は

 

「助かりました、銃さん」

 

と感謝の言葉を述べた

すると、銃は

 

『構わないわ。私は閣下から、基地要員に殲滅と貴方の支援をするように言われてたから』

 

と答えた

それを聞いた祐輔は

 

「なるほど。だから、対戦術機ロケット弾を持っていたんですか」

 

と納得した

銃と呼ばれた女性は、普段は必要最低限の銃火器しか持たない

それは、相手から奪って使えば事足りるからだ

 

『そうよ。陸軍基地の方は、剣と影が対処したみたい。ここの提督と繋がってた基地司令と要員は、始末したようよ』

 

「了解……では、帰還しましょう」

 

祐輔はそう言うと、銃の近くに戦術機に膝を折らせて、手を伸ばした

銃は、月虹の手に乗ると

 

『安全運転でよろしく』

 

と言った

それを聞いた祐輔は

 

「わかりました。では、離脱ポイントに向かいます」

 

と言って、月虹の跳躍ユニットを噴かせて離脱した

翌日、その提督と基地司令達が行っていた非道が国民に知らされ、それに関連して、一部の軍重役達が処罰されたと報道されることになる

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