良ければ、御協力くださいませ
「ふむ……」
「どう? 祐輔君」
端末を見て声を漏らした祐輔に、車の後部座席で少女の頭を撫でていた明日奈が問い掛けた
すると、祐輔は振り向いて
「ダメですね……特徴的に、該当する子の捜索願いや行方不明届けは出されていません……」
と答えた
車に戻った祐輔は、端末を使って軍のデータベースにアクセス
保護した少女の特徴で、何らかの届けが出されていないか確認していたのだ
しかし、ものの見事に空振り
「見た目からして、9歳位ですよね……?」
「うん……」
祐輔の問い掛けに、明日奈は未だに意識が戻らない少女を見た
長い黒髪に、小柄な身体だ
まだ幼い子供で、一部の駆逐艦娘と歳が近いだろう
「……取り敢えず、鎮守府に戻りましょう」
「そうだね」
二人はそう会話すると、シートベルトを装着
一路、鎮守府に向かった
そして、十数分後
「……大丈夫なのです。少し衰弱してますが、命に別状は無いのです」
と医務室にて、電の診察が終わった
「ありがとうね、電ちゃん」
「いえ、大丈夫なのです」
祐輔が感謝の言葉を述べると、電はそう返答しながらカルテに記入していく
しかし、名前の部分は空白になっている
少女の身分を示すものが、一切無かったからだ
「暫くの間、面倒を見て貰える?」
「お任せなのです!」
祐輔のお願いに、電は微笑みを浮かべながらそう返答した
その後、二人は自室に帰宅
すると、明日奈が
「祐輔君……あの子のこと、どう思う?」
と祐輔に問い掛けた
その問い掛けに、祐輔は
「考えられるのは、船が沈没し、全員死亡扱いされてる……というところでしょうか……」
と呟いた
捜索願いや行方不明届けが出されてないのならば、それしか祐輔には思い当たらなかった
実際、祐輔はそれで一度、軍籍を抹消されている
「ってことは、ご家族は……」
「恐らく、亡くなってるでしょうね……可哀想ですが……」
祐輔のその言葉を聞いて、明日奈は俯いた
あんな小さな子供が、一人取り残された
そうなると、戸籍は戻されるが、孤児院に預けられることになる
今の御時世では珍しくないが、やはり馴染めるまで時間が掛かることが予想出来た
祐輔がそうだったのだから
すると、明日奈が
「ねえ、祐輔君……」
と祐輔を見た
この時点で、祐輔は明日奈が何と云うか予想出来た
「何でしょうか、明日奈さん?」
「あの子……私達で、引き取らない?」
それは、祐輔の予想通りの言葉だった
優しい明日奈ならば、そうするだろうと
そして祐輔も、それを拒否する程薄情では無かった
「……取り敢えず、明日。その子に該当する戸籍が無いか確認しましょう……時間は掛かるでしょうが」
「それじゃあ……!」
明日奈が嬉しそうにすると、祐輔は頷いた
それは言外に、あの少女を引き取ると言っていることを指し示している
しかし後に、その少女
場所は変わり、ある場所では
「なに!? 被験体を運んでいた船が……護衛隊を含めて全滅だと!?」
と一人の男が、部下からの報告を聞いて、腰を上げて驚愕していた
「は、はい……深海悽艦艦隊と遭遇したという通信を最後に途絶……人工衛星で該当海域を調べたら……」
「何ということだ……! あの被験体は、彼女を取り戻すために、国際法すら無視したというのに……!」
部下からの報告を聞き、男は頭を乱暴に掻いた
よほど悔しいらしい
すると、部下が
「運が良ければ、初音島に流れている可能性が有りますが……」
と言った
それを聞いた男は、ピタリと固まり
「初音島……だと?」
と部下に顔を向けた
「は、はい。海流を調べた結果、初音島の方に流れていることが分かりました……」
「くくく……アハハハハハハハ!!」
部下の報告に、男は狂ったように笑い声を上げた
部下が心配そうに見ていると、男は
「やはり! 私は神に愛されている! 王になるべきなんだ!」
と天井を見上げた
「私から彼女を奪った男が居る場所に、あの被験体が流れている! 素晴らしいじゃないか! くははははは!! あの金食い被験体、存外使える! あっははははははは!!」
その後男は、狂ったように笑い続けたのだった
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