翌日
明日奈と祐輔の二人は、何時ものようにランニングをしてシャワーを浴びて、着替えてから執務室に向かった
そこに
「祐輔さん! 明日奈さん! あの子が目覚めたのです!」
と電が駆け込んできた
それを聞いた祐輔は、明日奈が居る方向に顔を向けながら
「明日奈さん、行きますよ……って、居ないし」
既に、明日奈が居ないことに気付いた
どうやら、既に走り出していたようだ
「明日奈さーん、待ってくださいよー」
祐輔はそう言いながら、件の少女が寝ている医務室に向かった
到着すると、既に明日奈が少女に接していた
「起きたんだね、良かった……お名前、言える?」
「ゆ……い……」
「ゆいちゃんって言うんだね……」
祐輔は少女
ゆいが言った名前を、手帳に記した
後で、検索するためだ
「ねえ、ゆいちゃん。お母さんかお父さんの名前、分からないかな?」
という祐輔の問い掛けに、ゆいは少し間を置いてからたどたどしく
「分かんない……」
と答えた
「そっか……えっとね、私は明日奈。こっちは、祐輔」
ゆいの言葉に、明日奈は僅かに顔を歪めてから自身と祐輔の名前を言った
するとゆいは、二人を交互に見ながら
「あ……うな……ゆう……うけ……?」
と言った
それを聞いた二人は、顔を見合わせて
「少し難しかったみたいだね……」
「ゆいちゃんの好きに呼んでいいよ」
と言った
それを聞いたからか、ゆいは
「……パパ……ママ……」
と二人を呼んだ
その呼び方が予想外だったために、二人は思わず顔を見合わせた
その後、少し会話した後に
「電ちゃん、どう思う?」
と電に問い掛けた
すると電は、カルテを見ながら
「言語に幼児化現象が見られるのです……考えられるのは、ご家族を目前で失って……」
と辛そうに俯いた
それを聞いた祐輔は
「やっぱり、その可能性が一番高いか……」
と呟いた
すると、明日奈が
「けど、名前が分かっただけまだマシだね……これで、少しは分かりやすくなるよ」
と言った
確かに、ゆいという名前が分かっただけまだマシだろう
中には、自身の名前すら忘れてしまったり、失語症になり、名前が分からないという事例すらある
「電ちゃん、暫く面倒を任せていいかな? 手伝いを呼んでもいいから」
「大丈夫なのです! 既に、雷お姉ちゃんを呼んであるのです!」
見事な人選である
母性の強い雷ならば、ゆいの面倒よく見てくれるだろう
「ナイス人選」
「はわわわわ!?」
祐輔が電の頭を撫でると、電は顔を真っ赤にした
そして祐輔と明日奈は、ゆいに顔を向けて
「ごめんね、ゆいちゃん。僕達はこれから、お仕事があるんだ」
「良い子で待っててね」
と言いながら、ゆいの頭を撫でると退室した
そして、廊下を歩きながら
「やはり、精神的ダメージが有りましたか……」
「もしかして、祐輔君も?」
祐輔の言葉から、明日奈は気付いたらしく問い掛けた
その問い掛けに、祐輔は
「そうですね……目の前で家族が吹き飛んで……その現実を受け入れたくなくて……僕の場合は、感情が簡単に表に出なくなりました」
と語った
そんな祐輔の感情を表に出させたのが、さくらと義之。朝倉姉妹だった
年単位の時間を掛けて、祐輔の感情を表に出させた
実の家族のように接し、時間を掛けて治した
「あ、勿論今は違いますからね?」
「うん、分かってるよ」
祐輔が微笑みながら言うと、明日奈は頷いたのだった
その後、二人は執務しながらゆいという名前で戸籍を確認していたのだが
「……どう思う、祐輔君?」
「ここまで見つからないのは、どうにも嫌な予感がしますが……」
ゆいという読みで検索した結果、それこそ膨大な数がヒットした
しかし、死亡扱いされた日時や年齢が合わない
「……なんだろう……喉に引っ掛かる感覚ですね……」
「私も……」
二人はそう言うと、目元を揉んだ
長時間モニターを見ていたので、目が疲れたのだ
「……調査依頼を出すとして、戸籍を用意しましょう……さて、名前は……」
祐輔はそう言いながら、戸籍獲得用の書類を用意した
すると明日奈が
「それなんだけど、この字はどうかな?」
と祐輔に、メモを見せた
そのメモに書かれた字を見て、祐輔は
「良いですね、それにしましょう」
と頷き、決定した
その字とは、優衣だった
そして親の欄に、義理としてだが祐輔と明日奈の名前が書かれたのだった
どういう話を書いてほしいですか
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