※この作品はR-18です。

艦隊これくしょん・絆の旋律   作:京勇樹

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青葉パニック

ナインテイル撃破から、数日後。祐輔は、医務室で書類を捌いていた。

本音としては体を動かしたいところだが、傷が治ってないので、大人しく書類を捌いている。

そこに、明日奈が現れて

 

「こら、祐輔君。大人しくしないとダメだよ?」

 

と注意してきた。

 

「この位なら、傷にも支障ありませんよ」

 

祐輔はそう言いながら、新しい書類を取った。その内容は、今地下の牢屋にて拘束している元ナインテイルこと、百合に関してであった。

百合はあれから、一度も目を覚ましていない。

診察した電の報告では、単純に寝ているだけであり、数日すれば目覚める筈ということだった。

 

「……心配?」

 

「色々と、確認もしたいですしね……」

 

明日奈の問い掛けに、祐輔はそう返した。そこに、羽黒が現れ

 

「祐輔さん、診察の時間です」

 

と言って、カルテを近くの机に置いた。

そして羽黒は、傷の具合を確認していき

 

「……この様子なら、直ぐに良くなりますよ。念の為に、包帯も交換しますね」

 

と確認し終わってから、頭と左足の包帯の交換を始めた。頭の傷は殆ど塞がっているが、左足の傷は未だに力を入れると痛みが走る。

 

「では、これで」

 

包帯の交換が終わると、羽黒は医務室から去っていった。最近、アリア艦隊の方に新しい医務官が着任したので、指導に向かうようだ。

そんな羽黒を二人で見送り、明日奈も祐輔の近くで執務を始めた。

 

「ん……祐輔君、出撃した艦隊が戻ったみたいだよ?」

 

「分かりました。損害は?」

 

「中破が2、他は軽微だって」

 

「損傷を直してから、旗艦の金剛さんに来るように通達してください」

 

祐輔の指示に頷いた明日奈は、言われた通りにヘッドセットで指示を飛ばした。そして、小一時間後

 

「報告に来たヨー!」

 

と金剛が医務官に現れた。

 

「結果はどうでしたか?」

 

「最低目標だった、磯風は見つけたヨ! けど、ボスは撃破出来なかったネー」

 

祐輔が促すと、金剛はそう報告してきた。廊下の方に視線を向けたのは、廊下に磯風が待っているからだろう。

 

「分かりました。編制を考えましょう。彼女を中に」

 

「OKヨ! 磯風、カモン!」

 

金剛が呼ぶと、ドアが開き

 

「失礼する」

 

と彼女が入ってきた。

腰辺りまで伸ばした長い黒髪に、キリッとした表情。そして何よりも、赤い瞳が特徴の艦娘。陽炎型駆逐艦娘の磯風だ。

 

「私が磯風だ。よろしくお願いする」

 

入ってきた磯風は、祐輔の近くまで来ると敬礼しながら名乗った。

 

「こんな格好ですいません。第一初音島鎮守府提督の榊原祐輔少将です。こちらは、僕の副官を勤めます」

 

「榊原明日奈中佐です」

 

二人が名乗りながら敬礼すると、磯風は

 

「話は、帰路で旗艦から聞いた。大規模な深海の侵攻があったと。今後は、私も力を奮いたい」

 

と告げた。

 

「期待してます。金剛さん、彼女にセットを渡してから、駆逐艦娘寮に案内してください。そこからは、雷ちゃんが引き受けてくれるかと」

 

「OKネー! 磯風、フォローミー!」

 

祐輔の指示を受けて、金剛は磯風を伴って医務室から去った。それを見送った二人は、引き続き書類を捌き始めた。その数分後だった。

 

『し、失礼します』

 

と大井の声が聞こえて、ドアが開いた。そうして、食事が乗ったカートを押しながら大井が入ってきた。

それ事態は、大したことではない。最近、医務室に居る祐輔と明日奈、大井の分の料理を彼女が運んでくるのだから。しかし、格好が問題だった。今の大井は、何時もの服装ではなく、何故かメイド服だった。

それを見た明日奈は、まるで錆びたオモチャのロボットのようにギギギと祐輔を見て

 

「祐輔君……?」

 

「僕は一切関与していません」

 

明日奈の考えを察した祐輔は、即座に否定。そして大井に

 

「大井さん、何があったんですか?」

 

と問い掛けた。

すると大井は、顔を真っ赤にしながら

 

「その……青葉に、メイド服を着て配膳したら、祐輔さんが喜ぶと唆されて……」

 

と告白した。

 

「明日奈さん」

 

「うん……副官権限で、青葉ちゃん捕縛命令を出すね」

 

祐輔の意図を察した明日奈は、そう言って懐から端末を取り出して、操作した。その数十秒後

 

『あー、あー、マイクチェック1、2……副官権限により、青葉捕縛命令が発令されました……なお、青葉を捕縛した方には、間宮の割引券が進呈されるそうです』

 

と霧島が放送で告げた。その直後から、鎮守府内が一気に騒がしくなった。

 

『青葉さーん! 今度は何やったんですかー!?』

 

『あーおーばー!!』

 

『アオバワレェ!!』

 

『捕まえて、座敷牢デース!!』

 

『青葉は、権力には、決して屈しません!!』

 

そんな喧騒を聞きながら、祐輔は

 

「大井さん、着替えてきていいですよ。待ちますから」

 

と大井に言って、それを聞いた大井は顔を真っ赤にしたまま退室していった。

その後、衣笠によって捕まった青葉の自供によれば、メイド服は秋雲から借りて、秋雲がなぜ大井が着れるサイズのメイド服を持っていたのかと言うと、発注した際にサイズを間違えたとのことだった。

秋雲に非は無かったので、秋雲は無罪。青葉は、半日間座敷牢に入れられた。その後、何故か大井のクローゼットに新しくメイド服が追加されていたのを、北上は気付いたのだった。

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