アリアの一日は早い。
朝4時に起きて、最初にやることは日課の散歩。敷地内を適当に回るだけなのだが、それでもアリアには大事なことである。その中で、必ず行く場所がある。裏手の砂浜だ。
潮流の関係なのか、そこには色んな物が漂着することが多々ある。
「ぷーいにゅ」
大事な物が落ちてないか確認するために、ゆっくりと歩いて確認するアリア。時々、予想外な物が漂着していることがあるので、この散歩は馬鹿に出来ない。
それが終わると、今度は食堂に向かう。
そこは第一初音島鎮守府と併設されているので、多くの艦娘やスタッフが使用する。
既に朝日は登り、総員起床が鳴った後なのでごった返している。
その中で、よくアリアの秘書艦をする秋月がアリアに気付いて
「アリア司令、おはようございます」
と挨拶しながら、アリアを抱き上げた。
「ぷぷいにゅぷい」
アリアは背がかなり低いので、下手すれば踏まれてしまうこともある。
もしアリアを見つけたら、誰かしら抱き上げるように、実は艦娘達の間ではそう決められていることを、アリアは知らない。
その後、秋月は日替わり定食とアリア用の定食の食券を購入。
席に着いて、朝食を食べ始めた。そこに
「あ、アリア提督! おはようございます!」
「司令、おはよー」
「おはようございます!」
とアリア艦隊所属となった艦娘達が、次々と挨拶してくる。最初は秋月から始まったアリア艦隊だが、今は軽く50人を越える人数となっている。
大分増えた、とアリアは思っている。その中には、出撃した先で仲間にした艦娘も居れば、俗にブラック鎮守府と呼ばれる所から受け入れた娘達も居る。
その娘達は、未だに戦えない娘も居る。アリアはその娘達も大事にしようと決めている。
そして朝食後、アリアは執務室に向かった。
今日の秘書艦は、秋月の姉妹艦の初月である。
この艦娘は、あのナインテイル攻防戦の戦果報酬として大本営から転属となった艦娘である。
アリアとしては、どこか犬を彷彿させる艦娘である。
「じゃあ、今日一日頑張るよ」
「ぷーいにゅ」
初月の言葉に頷くと、アリアは専用のパソコンで仕事を始めた。今日一日の遠征計画から、開発と建造に使用する資材の量の決定。
それらを次々と決めていく。そこに、初月が
「提督、哨戒艦隊から通信! 方位204に戦艦ル級F改が率いる水上打撃艦隊を捕捉! 本土に向かってるって!」
と告げてきた。
それを聞いたアリアは、すぐにパソコンの出撃に関するページを開く。
そこに記載されている敵戦力の詳細な情報を確認すると、今のアリア艦隊の戦力での対処は難しいと判断した。戦艦ル級F改を旗艦として、空母ヲ級F、戦艦ル級E、重巡洋艦リ級E、重巡洋艦ネ級E、駆逐イ級後期型E。
最初に比べれば、アリア艦隊も強くなっている、
しかし、敵の精強な艦隊には敵わない。そう判断したアリアは、祐輔艦隊に援護を要請した。
祐輔艦隊は既に数年に渡り、初音島を日本本土の最前線として前線を支えてきた。その戦力は、アリア艦隊とは比較にならない。
アリアが要請した数秒後、画面には受諾の文字が表示された。
それを受けて、アリアは哨戒艦隊に後退戦闘を指示。
祐輔艦隊が来るまで、時間稼ぎに注力することを徹底させた。この数十分後、出撃した祐輔艦隊が敵艦隊を殲滅させた。
「ぷいにゅー……」
その報告に、アリアは安堵しながら戦力の拡充と強化を決めて、新たな演習のスケジュールを決めた。
そのことを初月に告げて、伝達事項を寮と通路の掲示板に貼る為の張り紙用の文章を起こしていく。
「ぷぷいにゅぷい……」
やることは山積しているが、それに対する時間が圧倒的に足りない。しかし、そこを上手くやりくりしないと、艦隊の運営は成り立たない。
儘ならないものだ、とアリアは思った。
そうこうしている間に、日は沈んでいく。綺麗な夕焼けが執務室の窓から見える。
それを見つつ、アリアは更に執務を続けていく。
そこに、ドアが開き
「ヘーイ、提督! 艦隊帰投したヨー!」
とアリア艦隊では古参の戦艦、金剛が艦隊を率いて帰還した。金剛率いる艦隊は、名も無き無人島の敵姫級のことを威力偵察してきたのだ。
そこの攻略をしない限り、日本はその喉元に刃を突き付けられた状態なのだから。
それこそが、初音島鎮守府に課せられた重大任務。
その為には、更なる戦力が必要だ。
「出撃した先で、戦艦悽姫を一体と空母を含む艦隊を撃破したネー! そこで、ニューフェイスが来たヨー!」
「航空母艦の加賀です。貴方が私の提督? それなりに期待させてもらうわ」
「航空母艦の蒼龍です。空母機動部隊を編成するなら、私も是非入れてね!」
どうやら、今回の出撃では新しく二人の正規空母艦娘が加わったらしい。
強力な空母艦娘二人の加入は、アリアには嬉しいことだった。
「しかし、猫が提督ですか……」
「わあ、可愛い!」
加賀は表情は変わらないものの、少し驚いているらしく、蒼龍はアリアが気に入ったらしく頭を撫でている。
そこに、初月が
「ボクは、今日の秘書艦の秋月型三番艦の初月。そちらに居るのが、ボク達の提督のアリア・ポコテン大佐です」
とアリアを二人に紹介した。
「ぷーいにゅ!」
「よろしくお願いします」
「よろしくー!」
アリアが手を差し出すと、加賀と蒼龍は交互に握手した。その後にアリアは、二人の育成計画を作成。
そうして夕食の時間になれば、初月と一緒に食堂に行って夕食を済ませて、最後の執務を済ませた後は、夜間哨戒班が出港するのを見届けてから、就寝するのだった。
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