「……大淀さん、
「まさか、本当に全ての船や飛行機に攻撃を!?」
明日奈の言葉を聞いた大淀は、驚いた表情で問い掛けた。すると明日奈は
「一度だけ、呼び掛けるんです。目的と名前を……呼び掛けに応じぬ場合のみ、攻撃するんです」
と苦い表情を浮かべながら、答えた。しかし、それは同時にリスクも背負うことに繋がることも理解していた。相手が少し賢ければ、それを利用して懐に入り込んでくるからだ。
「分かりました……第一防衛基準を発令します」
「御願いします」
大淀がそう言って、第一防衛基準を発令しようとした時、レーダーを確認していた仕官の一人が
「こちらに接近する航空機を確認! 数、多数! IFF……これは、831航空飛行隊と出てます!」
と報告してきた。
「831と言えば、確か……本土木更津の陸軍基地の飛行隊……それが、なぜ……」
「報告! 木更津基地から、現在壊滅的状況! 敵に基地の6割を制圧されたと!」
「……いけない! 対空砲撃! あれは、敵の飛行隊よ!!」
仕官からの報告を受けて明日奈が指示を飛ばしたが、遅かった。向かってきていたアントノフ225の機上に固定されていた
「黒い装甲の不知火と撃震……!」
「対空VLS開け! 海神隊緊急展開! 近づけさせないで!!」
矢継ぎ早に明日奈が指示を飛ばし、それに従って収納されていたVLSが展開し、次々とミサイルを発射。更には地下格納庫から上げられた海神隊も砲撃を開始した。そこに
「明日奈大佐! 何事だ!?」
「本土で何が!?」
と唯依と直哉が駆け込んできた。どうやら、突然は第一防衛基準に驚いて来たようだ。それに、今はヘッドセットが使えないので、直接確認に来たらしい。
「今現在、帝国本土では正体不明の敵により、大部分の基地と原子力発電所、国会議事堂、各メディアが襲撃されてます! それだけでなく、こちらにも侵攻してきています! 全力出撃! 相手は人間だけど、躊躇っている余裕はありません!」
「殿下は!?」
「どうやら、海鳴鎮守府に居るようです。詳細は不明!」
唯依の問い掛けに仕官が答え、それを聞いた唯依は歯噛みした。すぐに馳せ参じたいが、今は目の前の敵に対処しなければどうしようもない。
「神埼大尉、出るぞ!」
「確かに、そのほうが良さそうだ!」
唯依の言葉を聞いて、直哉は指令部から走り去った。恐らくは、強化装備に着替えて戦術機にて出撃するのだろう。
「敵航空機、全機撃墜! つっ!? 敵航空機から、チャフの散布確認! 高濃度……レーダーアウト!」
「つっ! 海神隊の光学センサーですデータリンク接続! データリンク照準! 一斉射!」
明日奈は仕官からの報告を基に、新たに指示を下した。その指示を受けて、仕官が海神隊の光学センサーの照準機能とデータリンクを使って接近してくる敵戦術機に照準し砲撃を敢行した。
その間に、どうやら先行して準備していたらしい戦術機部隊。新しく着任したウォードッグ小隊が出撃した。
『まさか、着任して最初の出撃が人間相手になるなんてな!』
『龍浪中尉、いいっこ無しです。それに、ここは帝国本土の防衛の要衝。ここが陥落してしまったら、本土は丸裸同然です』
『つまり、ここが墜ちたら、帝国が危ないってことですよね?』
『そういうことよ、シズク……待って、海上を進む小型艇を確認! かなり多い!!』
最後の一人、エレン・エイスの言葉を聞いた明日奈は、急いで衛星の画像を拡大表示させた。すると確かに、海上を進む大多数の小さいボート。所謂ゾディアックが確認できた。
「いけない! 上陸してくるつもりよ! 陸戦隊に戦闘を用意させて!」
「了解!」
明日奈の指示を受けて、大淀は放送で陸戦隊に戦闘準備するように通達した。
「絶対に、守りきる……!」
明日奈はそう決意し、戦況マップを睨んだ。
しかしこの戦いが、明日奈にとっても、そして帝国軍にとっても、大きな転機になる。
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