指揮管制室にて、明日奈は次々と舞い込む情報を処理しつつ、指示を下していた。その中で、信じられない情報を耳にした。侵入してきた敵は、日本人だということだった。
「日本人!? 本当なの、裕也少尉!?」
『は、間違いありません! 敵の遺体を回収し、確認しました!』
裕也率いる陸戦部隊は、上陸してきた敵の陸戦部隊の1つの殲滅し、その遺体の確認をしたのだ。その結果、武装勢力は日本人だということが分かったのだ。
「日本人が……この襲撃を、企てたって言うの……!?」
明日奈からしたら、俄には信じがたいことだった。
日本人が、日本の防衛の要衝を攻める。それも、戦術機を有するということは、何処かの基地の部隊ということになる。
その時
「明日奈大佐! 医務室からの連絡が途絶しました!」
「なんですって!?」
大淀からの報告に、明日奈は驚愕の声を上げた。今、初音島鎮守府は全体的に無線が使用し辛い状況下にあり、鎮守府内では有線による通信で何とか情報のやり取りをしている状況だった。
その中で、祐輔と百合の居る医務室との連絡が途絶した。考えられるのは、有線を切断されたか、襲撃されたかのどちらかになる。しかし、有線を切断するには地面と壁を掘って、強化金属によって守られたケーブルを切断しなければならず、簡単には切ることが出来ない。なら考えられるのは、襲撃されたということになる。
そう判断した明日奈は、近くに置いてあった拳銃を取り
「陸戦一個分隊、付いてきて! 直接確かめに行きます!!」
直接確認することを選択し、直接陸戦隊を指揮することにした。その為、指揮管制室は大淀に指揮権を移譲。明日奈は一個分隊を指揮しつつ、祐輔と百合が居る医務室へと向かった。
「祐輔くん……無事で居て!」
明日奈は祐輔の無事を祈りながら、廊下を駆けた。そして指揮管制室のあった地下から出ると、侵入してきた敵の一隊と遭遇。交戦を開始した。
「こんな場所にまで、敵の侵入を許すなんて……!」
明日奈はごちりながらも、陸戦部隊を指揮して敵の撃滅を計った。しかし、相手の動きが素早く、中々倒せないでいた。
そして明日奈が撃った一発が命中するが、それでも構わず撃ってくる。しかしそんな時、明日奈は気付いた。
相手の攻撃が、自分に向かってきておらず、更には他の部隊から報告されたRPG等が使われてこないのだ。
「どういうことか分からないけど、好都合!」
明日奈はそう言いながら、一人の頭を撃ち抜いた。
そして、明日奈は拳銃の弾倉の交換の為に、築いていたバリケードに身を隠した。そして、新しい弾倉に交換し、相手の様子を確かめるために、僅かに頭を出した時、明日奈は眼を見開いた。
敵の最前衛の僅か後ろに、知っている人影があったのだ。
「す、須郷さん……!?」
それは、明日奈の元婚約相手にして、帝国軍技術研究厰電子部門第三班班長の須郷伸之中佐だった。
「やあ、明日奈。迎えに来たよ」
「迎えにってことは……この襲撃は、須郷さんが!?」
須郷の言葉に、明日奈はこの襲撃の黒幕が須郷だと気付いた。
「ああ、そうだよ。僕の目的の邪魔をするゴミどもを掃除しながらね……やれやれ、要らないゴミなんて掃除するしかないじゃないか」
要らないゴミ、というのは初音島鎮守府に居る軍人達のことだと気付いた明日奈は
「須郷さん!!」
怒りを滲ませながら、拳銃を向けた。その直後、須郷の前に更に人影が現れた。その人物を見て、明日奈は
「ゆ、祐輔くん……!?」
驚いた。そこには、医務室に居た筈の祐輔が居たのだから。しかも、祐輔の目に意思の光が感じられない。陸戦部隊も対応に困ったらしく、銃撃を停止し、明日奈に視線を向けている。
「撃たないで、祐輔くんに当たる可能性があるから」
小声でそう指示を出してから、明日奈は
「須郷さん、祐輔くんに何をしたの……?」
と問い掛けた。すると須郷は
「ん? こいつのことか? なに、ただ僕の忠実な下僕に戻しただけさ。もっと前に気づくべきだったよ。僕の実験部隊から逃げた駒だって」
まるで、逃げた動物を捕まえたとでも言うような、大したことないという風に語った。
「実験部隊……まさか、00部隊?」
「おや、明日奈も知っていたのかい? 僕の
実験動物部隊、つまり、須郷の実験の結果を知るための私的部隊ということ。その実験のために、一体何人が死んで、何人が苦しみ、そして祐輔は苦しんできたのか。そう思った明日奈は、気付けば拳銃を握る手が震えていた。
「須郷さん!!」
怒りで拳銃を向けるが、須郷の前には祐輔が居る。明日奈には、引き金は引けなかった。
今初音島鎮守府は、今までにない危機的状況になっていた。
どういう話を書いてほしいですか
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