疫病神から悪運チートもらって、ハーレム勇者目指す 作:gazerxxx
一人で戦いを引き受けた俺と、魔物・
強靭な複数の触手が薙ぎ払い、締め付けようと襲ってくるも、それを反射的なカウンターの剣で一本ずつ切断して、確実に戦力を削る。
手足の半分以上を失って、バランスを崩した触腕魔が倒れる。家を軽々なぎ倒す巨体の分、手足を切ってやれば、身動きが取れなくなるみたいだ。
加えて、俺は触腕魔から大きなダメージを一度も受けていなかった。女神の加護のおかげで、攻撃をかわしやすくなってるからだ。
鞭のように触手で叩かれそうになっても、地面に転がりながら受け身を取って敵の足元に転がり込み、逆に敵に最接近して、逆に切り付ける。
剣の攻撃を一度身体ごと弾き飛ばされても、着地キャンセルのジャンプで追撃して、隙のできた触手を切り裂く。
背後に回ってきた触手の攻撃にも勘が働き、振り向きざまに切り捨てる。
敵の攻撃の勢いを逆用できて、不意打ちも勘で予測できる。文字通り、敵の手数も減ってきている。運任せだが、この勢いなら、押し切れる。
「よし、このまま倒してやる!」
「妙な動きをする剣士のガキ一人に、我ら数体がかりで押されるとはな」
「だが、あまり我らをなめるなよ」
すると、手足が切れて倒れていた魔物が、傷口から粘液を噴出したかと思うと、その手足が再生した。再び体を起こして臨戦態勢に入る。
「腕が生えた?」
「我らの再生能力も知らんとは、所詮ガキか。手足を切られた程度で、我らが死ぬと思ったか?」
「剣や魔法を使う人間どもでも、パーティーを組まなくては、我らの再生速度には追い付けない」
しまった!こっちがトリッキーにかく乱してるつもりが、持久戦が得意なのは、奴らのほうだったのか。
あたりを見回すと、村人はみんな避難を終えている。俺に注意を引き付けてるうちに逃がすって目的はうまくいったけど、俺のほうがジリ貧かも。俺の体力にも限界があるのは、もうわかってる。
だが、何とか今からでも攻めに回れば…。
と、そのとき、剣が俺の手から滑り落ちる。
おかしい、力を緩めてないはずなのに。
急いで拾いなおした剣は、よく見ると全体的に粘液でヌメヌメして、滑ってまともに握れない。刃の部分は粘液がベッタリ固まって、とても斬れそうにない。
そうか、全身ヌメヌメの魔物を何度も斬ってたら、粘液まみれになるよな……。これで、武器すらうまく使えなくなった。
「我らを倒し切る前に剣を使えなくなるとは、無謀なガキだ。今度ははこちらから狩らせてもらおうか!」
触手の攻撃を、剣を捨ててどうにか避ける。今はまだ、奴らの攻撃をかわし切れるけど、体力が尽きたらそれもできない。
初戦からいきなりピンチ?厄祭さんの言う通り、先に神器さえ手に入れてれば、どうにかなったのか?
そう考えていた一瞬のすきに、俺は触手の一撃で大きく跳ね飛ばされ、十数メートル先の地面に叩きつけられる。初めて受けたまともなダメージで息が詰まる。
派手に吹っ飛ばされたおかげで距離は稼げたけど、すぐに奴らは追いついてくるだろう。
「ここまでか…」
「ラックさん!ラックさん!」
一人で戦っていたはずの俺の耳に、俺の名を呼ぶ声。顔を上げると、目の前には逃がしたはずの美癒がいた。
「逃げろって、言ったのに…」
「ごめんなさい。でも、あなたが死んでしまったら、神器を試すって約束を、果たせなくなります」
純白のたおやかな手には、さっきまで欲しいと願っていた、神器が捧げ持たれていた。
「これを、会ったばかりの俺に、使わせてくれるのか?」
「ラックさんは、私たちの身代わりに、戦ってくれました。試すなら今しか、そしてあなたしかいません。私はそう信じています」
美癒は深緑の目でまっすぐ見つめながら、答えてくれた。その信頼のまなざしに、何か心をくすぐられる。
ははっ、これだけ好感度爆上げできたなら、今の戦いも無駄じゃなかったかもな。
「フン、神器をわざわざ、奪われるために持ってくるとはな。追いかける手間が省けた」
「それに貴様も、弱い人間でありながら、神器を当てにする愚か者だったか」
「もう勝った気でいるところ悪いけど、これは美癒が持ってきてくれた希望だ。必ず使いこなして見せる」
さび付いた剣を持って立ち上がった俺に、触腕魔たちは嘲笑をぶつける。
「面白い。我らの楽しみは、貴様のような英雄気取りに、無力を思い知らせて殺すことだ」
「貴様の次は、この村で待ち構えて、神器を当てにした貴様のようなカモを締め上げてやろう」
「この村で……人を殺す気ですか!?」
「大丈夫、そんなことはさせない。ここにいる俺が本物だから」
伝説をつぶすどころか、利用しようとする醜悪な触腕魔に対して、俺は剣の柄をゆっくりと引く。
ギギギギギ……。
大きくきしむ音ともに剣が封印を解かれ、少しずつその刀身をあらわにしていく。
そして、さび付いた鞘から、完全に抜き放たれた、
「すごいです、本当に抜けたんですね。あれが、伝説の神器……」
美癒は感激のあまり、翡翠みたいに目を輝かせ、両手をぎゅっと握りしめている。
「これが、厄祭さんのくれた神器…」
俺は俺で、剣から伝わってくる重みに、その力を感じ取っていた。黒ずんだような見た目に反して、これはやばいくらい強力な武器だと。
「あんなガキが、神器を抜くことに成功しただと?」
「怯むな。古びた剣を手にしたところで、奴が我らにかなうものか!」
触腕魔は再び触手で攻撃してくる。さっきまでは、一本ずつ反射的に切っていたが、今回は違う。ぎりぎりまで復讐の触手を引き付け、一気に切り払う。
グシュッ!
それは、腐った肉でも切ったかのようなあっさりした手応えだった。軽く一閃しただけで、殺到した触手は切り落とされ、そして、切り落とされた部分が紫の煙を上げながら、黒く腐食していく。
「ぎああああ!この攻撃はあ?傷が、再生しない!」
斬られた本体のほうも傷口が腐って再生する気配がない。それどころか、傷から腐っていく苦痛で、手足を絶たれた丸い巨体でのたうち回る。しかも、さっきまでと違って傷口から粘液も噴出さないから、剣は静かに黒光りした艶を保ったままだ。
「伝説の神器ってこういう武器か…エゲツない…」
斬ったものを腐敗させることで、あらゆるものを切り裂く威力を誇る。疫病神らしい武器ではあるけど、生々しくて正直ドン引きするくらいの威力だ。厄祭さん、やっぱドSだな。
俺はのたうち回る触腕魔に悠々と近づき、その頭から一刀両断にした。ドロッと腐り落ちたからだが、地面に滑り落ちて崩れた。
頭をつぶせば、さすがに再生しないみたいだ。
「さあ、これでも神器と俺を、偽物と笑うか?」
「くっ、持久戦がだめなら、一気につぶしてやるまでよ!」
残ったやつらで、全方位から触手を伸ばしてきた。だが奴らは魔霧紫雲を恐れるあまり、俺が回避も得意というのを忘れている。
姿勢を低くして、触手のわずかな隙間に潜り込む。そして奴らが伸ばし切った触手を一気に斬りさばいた。
「ぎゃああ!馬鹿な!」
俺を取り囲んでいた触手はあっという間に腐り落ち、触腕魔たちは戦闘不能になる。
そのどさくさに紛れて、逃走を図ろうとする触腕魔もいた。だが、離れた敵への追撃法も、剣を握っていると理解できた。
「逃がさない!」
剣からの煙をまとわせて剣を振ると、紫の煙が斬撃に変わって、逃走する触腕魔に命中。その場で崩れ落ちた。
「そこまでだ!動くな小僧!」
その声に振り返ると、最後に生き残った触腕魔が、その触手で美癒をとらえていた。
腰のあたりに触手を巻き付けられ、腹を締め付けられて、苦しそうなうめき声と荒い吐息をあげている。
おまけに触手からの粘液で小袖が濡れて、胸元の豊かな曲線がくっきり浮かび上がっている。
こいつ、俺の気づかないうちになんてエロい、じゃなかった、酷いことを!
「おい、美癒をどうするつもりだ!」
どうせ触手でエロいことするつもりだろ!
「盾として使わせてもらうまでよ。貴様がおとなしく殺されるまでな」
「ラックさん、ダメです……私のことはいいですから…早く…」
「貴様は黙っていろ!」
「あっ、むぐっ!うむむっ…」
健気にも逆らう美癒を、さらに触腕で絞めて呼吸を奪った上に、触手の先で口をふさぐ。ウエストのくびれを締め付けられてるから、張り出したバストが強調されるうえに、とがった乳首の出っ張りまで小袖に透けてきている。
清楚な巫女装束に隠れたスタイルを露わにした上に、唇に触手をしゃぶらせているエロシチュに、ピンチなのに興奮して目が離せなくなってしまう。……だが、こんな奴に美癒がヤられるのは、それ以上に癪に障る!
「死ねえ!」
俺が観念したと思ったのか、攻撃してきた触手を、俺はためらうことなく切り払った。
「がああっ!貴様、逆らえば、この女の命はないと、分かっているのかあ!?」
「ああ。でももし殺したりしたら、その瞬間に俺はお前を斬る!そうとわかってるから、その命綱を、自分から切り捨てることはできないんだろう?」
「おのれえ!女!こいつは貴様を見殺しにする気だ!死にたくなければ、命乞いをしろ!」
触腕魔は口元の拘束を解いて、美癒に命乞いさせようとする。
「ぷはっ…私にかまわないでください、ラックさん!ここで伝説を終わらせないでください!」
「もちろん、俺はこいつに負ける気はない。でも、美癒を見捨てる気もないから」
俺は妨害する触手を切り払いながら、触腕魔に接近する。
「我を斬って見ろ、この女も巻き添えになるぞ!」
「そうはならない。美癒、俺を信じて」
「はい、一思いにやってください」
俺は美癒をとらえている触手に、魔霧紫雲を突き刺す。そして、内部から触手を腐らせ始めた。紫の煙が立ち上り、内部から触手が崩壊していく。
「こいつっ、やめろお!…おのれっ、我らの狙いは、この時から貴様に絞られたぞ…覚えていろお…」
触腕魔は抵抗しようとしたが、内部からの腐食が本体にまで届き、あっという間に肉体が崩壊してしまった。神器を手にした俺を、倒すべき脅威だと認めて。
こうして、触腕魔はすべて倒した。
腐った触手から解放された美癒が、よろめいた身体を抱きとめる。べとついた粘液と腐臭が絡みついてるが、それ以上に女性らしい柔肉と体熱の感触に、思わず興奮がぶり返す。小柄な身体はさっきまでの恐怖と汚辱感でブルブル震え、俺の胸板との間でつぶれている柔乳房からも速い鼓動が伝わってくる。新鮮な空気を求めて息を乱している顔も、妙に色っぽい。
「はあ…私のことまで助けていただいて…ふう…なんてお礼したらいいかわかりません」
「いや、最初から美癒のことも、助けるつもりだったからさ」
乱れた顔しながらおっぱい当ててもらってる時点で、十分ご褒美です。
「あの、これから魔物を倒しに行くつもりですか?」
「ああ、これだけすさまじい神器があれば、それもできるだろうし」
「でしたら、私も連れて行ってください。代々伝えられてきた伝説を見届けたいんです」
「えっ、流石にそれはどうかな…」
可憐な女の子とのデートはいいけど、これからは戦いの旅だ。俺に神器を届けるために危ない目にあったばかりなのに、と心配してしまう。
「ラックさんは強いですけど、戦った後には癒しが必要、ですよね?」
そう言って美癒は俺が打ち付けた背中に手をまわして、抱きしめるように回復魔法をかけていく。歩き疲れを治された時とは違う、身体を密着させて痛みが溶けていくような癒しの感覚。
怪我や病気の備えがない旅を心配して、こう言ってくれてるのか。美癒は確かに戦力には欠けるけど、回復魔法や胆力という意味では、連れてったほうがいいかもしれない。
「ありがとう。でも、連れて行くからには、美癒はがっちり俺が守る」
「頼もしいです。あっ、すみません…私、何だか疲れて…」
美癒は俺の腕の中で気絶してしまった。触手攻めされた上に、回復魔法まで使って無理しすぎたのか。そんな状態で俺の回復を優先させてくれるとは…ほんとにいい娘だな。
俺にもたれてくる女体の生々しい感触に、疲れの浮かんだ寝顔。やばい、これ以上二人でいると、ムラムラが抑えられなくなって……。
(巫女ちゃんが眠ったなら、もう遠慮なく話せそうね)
そんな危ない静寂に、突然厄祭さんの声が聞こえてきた。周囲を思わず見回すが、その妖艶な姿は見えない。
「厄祭さん?いったいどこに?」
「言ったでしょう。神器を手にすればまた話せるって。真の所有者に解放された神器を通じて、私はこっちの世界を見聞きできるってことよ」
「じゃあ、さっきの戦いからずっと見てたと?」
「ええ、かっこよかったわよ、ラック君」
そのいたずらっぽい声は厄祭さんそのもので、久しぶりにテレビ電話で話してる感覚だ。厄祭さんには聞きたいことが山ほどある。
「じゃあ、厄祭さんに改めて聞きたいことがいくつかあるんだけど」
「もちろん、その子が起きるか、他の誰かにあうまでの間なら、何でもお答えできるわ」
厄祭さんの声は神器に触れている俺しか聞こえないから、他人に不審がられたくなければ、二人きりで話したほうがいいとのこと。
俺は美癒を背負って、山道を歩き始める。背中でむんにゅり広がる柔らかなふくらみが気になり過ぎるけど、厄祭さんが見てるので、話を優先する。
「この巫女さんの美癒から聞いたんだけど、魔法は選ばれた血筋の末裔しか使えないとか。俺が使ってる異常な回避・命中も魔法に入ってる?」
「ああ、魔法はそもそも私が人間にもたらした力よ。私が気に入った人間と交わって、その間に生まれた子供を贈ることでね。それが魔法の血筋の始まり」
「古い血筋なのは、女神様と血のつながりがあるからか。ちょっと待って!それってつまり、子供押し付けたってことじゃ…」
「昔は神様からの授かりものとして喜ばれたのよ?その後は、その家も魔法で繁栄したそうだし」
「……もしかして、俺の子供もできてたりしますか?」
「どうかしら。まだ分からないから、楽しみにしててね」
うわあ、何か聞くには早すぎることを聞いてしまった気がする。
「ええっと、それならあの剣の力も魔法?」
「ええ。鞘の中で千年外界から封じられた瘴気は、すべてを瞬時に朽ちさせるも容易いこと。あとは私が使い方や技を教えていけば、バッチリってところね」
「最初の戦いでも、厄祭さんが教えてくれてたのか」
しかし、すべてを朽ちさせることも可能って物騒な性能だな。疫病神の神器だけあって、使い方には気を付けないと。
「最後に、次はどこに向かえばいい?神器は各地にあるとか言ってたけど。一体どんな神器が?」
この
「そうね、少し遠くになるけど、ここから北に向かえば、
剣の次に盾なら妥当か。それに、盾なら危なくはなさそうだし。
「あら、私のお社がまだ残ってる、懐かしい。村人が集まってるから、またあとでね」
そう言い残して、厄祭さんのおしゃべりは途絶えた。
この後、俺は社まで避難していた村人たちに、伝説の再来として歓待されることになる。