機動戦士ガンダム MSV エリオット・レムの記憶 作:翔田美琴
時系列的には宇宙世紀0082年辺りですが、レムレースという町は作者オリジナルの地名です。
顔のない月 第一夜 椿
「はあっ・・はあっ・・あうっ・・」
何かの呪文を唱えるような・・粛々とした言葉の羅列が聴こえる・・。
そして・・今は、私の妻は”儀式”のさなかだった・・。拷問みたいな”快楽”の儀式。
狂った性の饗宴。私の愛妻はある部屋で両方の手を縄で縛られて・・この儀式に身を捧げている。
彼女が気が狂う程の拷問の快楽に飲みこまれる。艶やかに喘いで・・悲鳴みたいな声をあげた・・。
床には彼女の愛が花弁から滴るように流れている・・。
「ああっ・・ああっ!!ああーーっ!!」
儀式・・。嫌になる言葉だ。宇宙世紀になってまで、そんな儀式が残っていることに、私は呆れている。
だが、それも仕方のないこと。自分がこの名字を継いだ時に既に決まっていたことだ。
私達・・レム家。ゼロの血族の血を継ぐ・・私には。私達の家族は。
代々、レム家は元はといえばある小説家が起源となっている一族。ヨーロッパのポーランドが起源と言われている。
そして・・そのレム家は、ヨーロッパのとある街の盟主もしているのだという。
レムレース。ローマ語で”悪霊の棲む街”という意味をもつ。
そして、代々、レム家の当主はある儀式を執り行って、その血族を守ってきた。
特に私の代は、それがより顕著に出るらしい・・。200年に一度、行われる「月待ちの儀」。よりにもよって、私の代でそれが回ってきた。
宇宙世紀になってまで、そんな前時代的なことをする羽目になるとは、思ってなかった。
だから・・か。だから、祖父は宇宙へ移民したのだろうか?
この嫌になる”儀式”を嫌って、宇宙へ・・サイド1へ移民したのだろうか?
だが、今更、私達は宇宙へは逃げられない。地球連邦軍技術本部付きの士官になった時点で、その運命も決まっていた。
儀式が終わると、アネットはバケツから冷たい水を頭から思い切りかぶった。そして、忌々しそうにため息をつく。
今、彼女はあの儀式で纏っていた衣装を脱いで、白いバスローブ姿で、うっすらとその身体を透き通らせて、全身を水で濡らしている。
彼女もこの毎回行われるこの儀式には疑問を抱いている様子だ。無理もない。私ですらその「月待ちの儀」という物がどういう儀式なのかよくわかっていない。
夜空には細い金色の上弦の月が浮かぶ。静かな森の一角に、その儀式をする神殿のようなものがあった。
私は外で彼女を待っていた。彼女が浮かべる今の表情は、私に対する怒りの感情だ。そう。彼女は何も知らないで私と結婚したのだから・・。
だから、私に怒りを向けるのは当然だ。あの儀式は、女性からすれば屈辱以外、何物でもない・・。
「月待ちの儀」は満月に満ちる頃に行われる。それまで後・・半月。
この、呪われた街・レムレースでそれは行われる。
「終わったのか・・?アネット・・?」
「・・・。ええ」
それ以上の会話は出来なかった。彼女は私に怒りの視線を送ると・・あの屋敷に帰る。
それをただ黙って、私は彼女を見つめることしか出来ない。そうやって、私も屋敷に帰り、そして・・この夜から狂った性の饗宴が始まることに、私はまだ知らない。
彼女が屋敷に帰るなり、出迎えたのは、私の従弟のジョフィエル・レム。この子は遠い従弟で、私とは驚く程かけ離れた姿をしている。
彼はまだ十代後半の青年だ。あどけない少年だった。
「おかえりなさい。アネットさん」
「・・・」
「どうしたんですか?」
「彼女には構わないでいい。ジョセフ」
「エリオット兄さん?」
「さっきまであの”儀式”の前準備をしていたんだ。だから・・構わないでいい」
彼にそう言って、私は妻を見送る。アネットはそのまま・・バスルームへと向かった。
その彼女にはバスルームで泣くしかなかったんだ。
「こんな・・こんなのって・・。意味がわからない・・!何のために・・あんな快楽の饗宴を私に・・!」
「でもなぜかしら?あの儀式の後・・いつももやもやした気持ちが溢れてくる・・」
彼女が入っているバスルームの脱衣場のドアを三回叩く。彼女はバスローブ姿のままシャワーを浴びていた・・。
「誰?」
「私だよ。アネット」
「エリオットなの?」
「入るよ」
脱衣場に私が入るなり彼女は、私に色々質問してきた。
何でこんなことをしなければならないのか?
月待ちの儀とは何なのか?
あなたの妻だからって何でこんな目に遭わなければならないのか?
その質問にいつも、私は返答に困る。
彼女は全裸で、さっきまでその性の饗宴に身を捧げていたので・・彼女の花弁からは溢れるほど愛の蜜が滴るように流れている。
だから・・私に出来るのは・・その火照った身体を慰めることしか出来ない・・。
実はこのレムレースは山が一面を覆っている街でもある。
今夜はその野イチゴを振る舞おうと実は昼間採取してきた所だった。
彼女は嬉しいそうにその野イチゴを見て、ひと口、含む。
「これ、野イチゴだよね。甘いわ~。地球にいた頃、よく見つけたっけ」
彼女がそうやって野イチゴを賞味している所で・・私もその彼女の口に深いキスをした。そして私もその野イチゴの味を賞味する・・。
「確かに・・甘い。君の口が更に甘くなっている・・」
「エリオット・・!」
「このままでは・・身体が疼いて眠れないだろう・・?今は・・私に火照った身体を預けて・・この快楽に身を委ねるといい」
「ああっ!!あうっ・・」
「今はお互いにわからないことだらけだ・・。私に出来るのは・・その君を抱くことだけしかできない・・」
彼女の花弁を右手でかき混ぜる。そこからは淫らな音が聴こえる。彼女が壁に背中を預けて、私の愛撫を受けている。
そのまま・・バスルームの脱衣場で身体を重ねだす。
そのまま・・深いキスを交わす・・。膝を彼女のパンティーに覆われた聖域で刺激する・・。両方の手でふくらみを優しく揉み解す。ゆっくりと・・。
そして、白い首筋に唇を這わせ・・・ふくらみへと顔をうずめた。薄紅色の乳首をそっと甘噛みして、舌先で転がす。唇に優しく含んで、舌で転がす・・。
彼女はあどけない喘ぎ声をあげ、徐々にその火照った欲望を・・解放していく。その間に私達はバスルームの床に倒れ始めた。
右手を激しく動かす。そこはもう彼女の透明な甘い蜜が滴り、床を濡らしていく。
「ダメ・・!!ダメよ・・!エリオット!ああーーっ!!」
「ふふ・・。どうやら・・これが快感のようだな・・。なら、遠慮なく」
そうして・・私の手淫が熱を帯び始める。激しく右手をラビアに入れてかき混ぜる。
気が狂いそうな・・快楽の夜。アネットの正気も・・私の正気も・・この目の前の快楽に全て、絡め取られてゆく・・。
彼女はもはや狂乱寸前だ。こんなに狂った快楽をその身に刻みこむのも、人生ではそうそうないことだろう・・。
彼女がくすぶった欲望を発散させると・・最後はお互いに力が抜けるように・・息を乱している光景があった・・。
(何?儀式のあのもやもやした感じが消えてゆく・・)
明朝。彼女は自分の個室で休んでいた。ベッドに横になり白い毛布を体に掛けて寝ている。その間、メイドのアリエルがずっと彼女の傍にいた・・。
「うーん・・?朝・・?アリエル?」
「・・はっ!申し訳ありません。すっかり寝込んでしまいました」
「ねえ?夕べ、私達夫婦がどこにいたのか知っている?」
「夕べですか?夕べはずっとバスルームの脱衣場で眠っているのを見ました。夕食の時間が過ぎても一向に来ないから、多分バスルームだと、ご主人様が」
「やっぱりあれは、本当に起きたことなのかしら・・?」
(それにしても・・あのエリオットにしては何か、いつもより淫らに見えたけど)
「お、奥様!」
「あっ!!」
実は彼女、昨日は全裸で休んでいたらしい。慌ててベッドの毛布で隠す。
アネットの疑問に対して少し嘘を報告したアリエルは、別の部屋で待つ、屋敷の総指揮をする謎の女性に申し訳なさそうにして言った。
「これで良かったのでしょうか?」
危険な魅惑の女性はそこで囁く。
「大丈夫ですよ。アネットさんには「月待ちの儀」に相応しい器になっていただかないといけませんから・・」
「・・・はい・・」
朝が来て、娘ジェニファーはレムレースの音楽大学に通って行っている。
彼女はバイオリンを専攻し、日々、修行に明け暮れる。彼女が音楽大学に通って一日を終える頃には、既にメイドのアリエルが迎えに行っていた。
「アリエルさん?」
「ジェニファー様。お疲れ様です」
「迎えはいいって言ったでしょう?」
「でも、ご主人様、とてもジェニファー様を心配していて・・。それに・・これも私の仕事ですので」
「わかりました。あなたの好きにして頂戴」
「はい」
彼女は迎えの車には乗らず、いつもバスに乗って帰宅している。その帰り道の道すがら、彼女はこのところ気になっている、母・アネットが参加する儀式についての話題を話す。
「あの儀式・・何故、お母さんじゃなきゃいけないのかな?」
「いつも神殿で行われるあの儀式ですか?」
「大体、何でお父さんの家がそんな儀式をする家系だったのかな・・ってそう思う。お父さんも疑問に思っているらしいけど。アリエルさんは知っているの?」
「多少は・・。代々、レム家はこの山・・レムレースの山を祀っているのです。そして、200年に一度、行われるのが「月待ちの儀」と聞きました。その200年に一度がまさかエリオット様の代だとは私も驚きました」
「でも、この家って私達だけではないんでしょう?世界中にそれこそ散らばっているって」
「はい。でも、直系の血が実はエリオット様には流れているのです。この宇宙世紀になってもその血脈は途絶えてはいなかったんですね」
「だから・・直系のお父さんの妻がその儀式に参加せざるを得ないというわけね・・。何だか・・可哀相・・」
「でも、この「月待ちの儀」はレム家の血を守るためには必要な儀式ですから・・」
「ねえ?」
「何ですか?」
「アリエルさんはお母さんと一緒の大学に通っていたって聞いたけど」
「はい。エリオット様とも一緒でした。あの夫婦は大学生の頃からの付き合いですから」
「でも、アリエルさんの姿、どう見ても、お母さんと同年代とは思えないわね」
「は・・恥ずかしいです」
「羨ましいなあ。私は」
そう。確かにアリエルの姿は、どう見ても行って、三十代、いやもっと言うと二十代にも見えなくもない姿をしている。
独特の緑色の大きな瞳に、メガネをかけた美女だ。髪の毛はブラウン。
しかしながら、そこで妙な感覚を私は憶える。確か、アリエルは病気にかかって死亡してしまったはずだ。そう、二十代の頃に。まあ、でも正直、彼女についてはむしろアネットの方が知っている。
だが、今の彼女にそれを答える余裕はないだろう。
私達レム家が住む屋敷は、実は山のふもとにある。大きな緑溢れる木々の聖域に守られし山。その山を祀るのが、レム家の役割。
確かに宇宙世紀になっても、この規模の山が残っているのは大きい。地球は様々な土地開発で砂漠化現象も進んでいるし、ならこういう自然を守るという点では同意は出来る。
「やっぱり地球っていいなあ」
「コロニー暮らしもいいけど、やっぱりこういう自然に包まれる方が安心できるなあ」
その家に帰る道中で、ジェニファーは表情を曇らせる。あの儀式が行われている神殿がこの先の道にあるからだ。
「今夜も・・お母さんはあの儀式に身を捧げるのね・・」
「はい・・」
「慣れる慣れないの問題ではないよね。あんな・・性の饗宴」
それでも母親が彼女なりに気になるのか、その神殿へ向かう。その途中で見慣れない女性に出逢った。いや、少女と言った方が適切か。
どこからどう見てもよそ者の女性にジェニファーは、彼女にしては厳しい声で注意をした。
「誰ですか?ここは私有地よ?部外者の出入りは禁止になっているはずですよ?」
「違うんです!私は、朝の山の空気を感じたくてここに来ただけなんです!私、ラピス役のアリシアって言うんです。あの・・よかったたらパンフレットを・・」
「とにかく、この辺りには近寄らない方がいいわ。ここから早く立ち去ることね」
怯えた目をしてその金髪の少女はその場から立ち去った。
ジェニファーは半ば無理矢理手渡されたパンフレットを見て、それを持ち屋敷に帰るとジョフィエルが表に出て待っていた。
「ジェニファーちゃん!お疲れ~。何を持っているの?」
「何かパンフレットを渡されたけど?」
「こ、これって?最近、映画撮影されている話題の映画じゃない?あのラピス・ラズリ役の有名子役のアリシア・クロフォードが演じる」
「何それ?」
「知らないの~?ほら、あの有名なバターのコマーシャルとか、数年前のドラマ「家なき子」では”同情するなら金をくれ”って台詞で流行語大賞をとったり・・」
「生憎だけど、ジオンにいた時、そういう関係のコマーシャルは流れていなかったのよね~」
「それにしても随分と詳しいんですね。ジョセフ君」
「いや・・これは常識ですよ。世間一般の常識」
「常識かあ。私達レム家には一番縁の遠い言葉ね~」
ジェニファーはそう言って庭の方へ向かう。大きな庭園には今は、真紅の椿が綺麗に花を咲かせている・・。
「いつ見ても・・この椿は綺麗ね~」
「そりゃあ、女性と同じで手入れは大事なので・・精根積ませてやらせていただいております」
背後から、男性の声が聴こえる。ジェニファーもアネットもこの男性のことは苦手だ。彼はこのレム家の専属の庭師。アズラエル・クロフォードである」
「アズラエルさん。女性の背後から声をかけるのはあまりよろしくないことですよ?」
「すみません。これも癖でしてね。おやおや。全く行儀の悪い人間は困りますな。こんな所にサンダルを捨てるなんて。せっかくの池が濁ってしまう」
と。赤いサンダルを池から拾いあげる。そうして・・含み笑いをして、その場から去った。
その頃、例の儀式に参加するアネットは、今はその準備の部屋で口論している。
よりにもよって、正式な儀式服が、シースルーの半透明な薄絹で出来たものだったのだから。反対するのは目に見えている。
だが、メイドの金髪の少女は、むしろ喜んでいる様子だ。
「しょうがないじゃないですか。でも、この服を着てエリオット様の前に出たら、一発でノックアウトですよ~?」
「あの人はいつでも、十分、私にノックアウトされているわ」
私はというと今はここの大奥様であるこの女性・・アレシアと話をしている。
・・?アレシア・・だって?ちょっと待て。確か、我が家にもいたはずだ。「アレシア・レム」という女性は。それに彼女は戸籍上でも、死んでいるし、いるわけがない。この世に。
でも、亡くなったと言っても50年も昔のことだ。確か、祖父の妻だったような気がする。
だが、目の前には確かに女性の姿はある。灰色と茶髪を混ぜたような独特の長い髪を黒いリボンで結ってある。瞳は青味がかかった紫色の瞳。独特の色気が伝わってくる。
「一体どういうことなのだ?もう宇宙世紀になって、80年も経過しているというのに、今更、そんな前時代的な”儀式”なんて」
「あなたがゼロの血族を守るためよ?」
「は?」
「あなたにとってはレム家は大したことのない、ただのコロニー外壁補修員の家系だろうけど、元々はあなたは特別な血が流れているのよ?だから・・この波乱の宇宙世紀に自らの名前を残せるようになった」
「特別な血・・?」
「それを守るためにはあなたの愛妻にも、娘さんにも、頑張ってもらわないといけないわ」
「まさか・・実の娘と血族結婚でもしろ?と?冗談じゃない。そんな血族結婚は私は出来ない」
「じゃあ、アネットさんにせいぜい頑張ってもらわないといけませんね・・。あの庭の椿はもう、ご覧になった?あの穢れが咲かせたあの花があるからあの綺麗な池が存在するんですよ」
何気なく庭の椿を見るように促された瞬間・・・私の記憶は・・そこで消えた。
まるで・・あの椿に・・魅せられたように・・。私の中に眠る野獣が目覚めたのだろうか?
月が満ち始めて・・二日目の夜のことだ。
狂った性の饗宴が始まった。
「エリオット・・?・・・!!」
彼が無理矢理、彼女に激しいキスを交わし始める。舌を乱暴なくらいに弄び、首筋に唇を這わせる。その場にいたメイドが彼に従順にアネットの服を脱がせる。ブラウスを取り払い、ふくらみを無理矢理露出させる。
彼が激しく胸を責めだした。舌先でころころ転がしながら、大きく乳首を口に含み、甘噛みする。その間にメイドがスカートの下のパンティーを脱がす。
エリオットは逃げようとする妻を乱暴に腕を掴むと・・窓に押し付け、自らを挿入する。そして・・愛妻を蹂躙するかのように乱暴なセックスをする。
「やめて・・!!そんなに激しくしないで!エリオット!」
「・・ダメだな。逃がしはしない」
「くうっ・・!!ううっ!!あうっ・・!!」
彼が腰を激しく振り始める。服を纏ったまま、分身だけを出して、後ろから、容赦なく責める。
まるで・・あの数多の穢れが咲かせた真紅の椿に魅せられたかのように・・・際限なく、彼は妻を求めた・・。
そして・・愛妻の悲痛な悲鳴と共に・・こうして・・レム家の淫らな性の饗宴が始まった・・。