機動戦士ガンダム MSV エリオット・レムの記憶 作:翔田美琴
顔のない月の第二夜です。
その夜。屋敷の屋外ではアレシアと庭師のアズラエルが、夜空の下で、あの真紅の椿を眺めながら夜の澄んだ空気を吸っている。
大きな庭園に咲く大輪の椿が一つ、こぼれるように落ちた。
ダイニングルームからはアネットの悲鳴が聴こえる。それに対して彼女は艶やかに微笑みを浮かべる。
「あらあら・・」
「花は咲いたら散るのが運命ですからな。わたくしもアネットさんと戯れたいものですな・・」
「アズラエル・・」
「これは・・すみません。奥様」
「フフッ・・今夜も綺麗な椿ね・・」
その頃。エリオット・レムは人が変わったように乱暴なセックスを愛妻としていた。
「お願い・・!エリオット・・!これ以上、乱暴なセックスは・・!!」
彼は今は何かに憑りつかれたように、愛妻の豊かなふくらみを窓に押し付けて、後ろから荒々しく、巧みに腰を使い、彼女の大輪の花びらに分身をいれ、快楽を貪っていた・・。
アネットは窓に押し付けられて、抵抗しようにも、彼に身体を押し付けられてただ、後ろから襲う”快楽”の嵐に感じるしかない。
彼女が後ろから突き上げる嵐に、絶頂を感じて、叫びにも似た声で・・彼に無理矢理・・絶頂へ昇らさせる。
そうして・・最後はお互いに脱力をして、彼は息を乱して荒い息遣いで愛妻の左手に自分の左手を重ねていた・・。
彼はそこで、いつもの彼に戻った。あの普段の理性的な男性へ。この時の行為の記憶は彼にはなかった・・。
自分に起こった不思議な現象。あの大きな庭園の真紅の椿を見てしまうと・・自分の記憶が無くなってしまうような感覚だ。
昨夜は何を彼女にしてしまったのだろうか・・?
おぼろげに憶えているのは・・自分がまるで妻を犯すような・・荒々しい愛の交換をしたようなそんな記憶くらいしか残っていない。
そして、いつの間にか自分も彼女と同じベッドで睡眠をとって眠っていた。
アネットも、昨夜の夫はまるで別の人格になってしまったようなくらい乱暴なセックスして驚いている。
彼はいつも優しいセックスをしてくれるのに、昨夜はまるで強姦みたいなものだった。
なぜかしら?そう思う。何故、あんな乱暴なセックスをしたのだろうか?
そして更に疑問に思うのは、あんな理性的なのに自分と愛を交換する時の彼は・・どことなく淫らな性格になっている・・ことだった。
疑問に思うことが色々あるので、アネットはこの屋敷の長を務める主人・アレシアに質問してみた。
「アネットさん。それだけ・・あなたはエリオットを夢中にさせたということですよ。レム家の妻になるということはそういうことなの」
「夢中にさせた・・」
「そう。あなたがするべきことは、彼をとことん夢中にさせること。それで我々、レムの血族が続くのですよ?」
いつものように、彼女は滝に打たれ、禊をする。薄いバスローブが水に濡れ、伸びやかな肢体が露わになる。
彼女はその滝が流れる聖なる泉で少し、考え事に耽った。
どことなく、このレムレースに来てから夫のエリオットは、何と言うか・・紳士的というより淫らな男性になっているような気がする。
そう。あの大きな庭園に咲く真紅の椿を見てからというもの、何か様子がおかしいと思う。
昼間はまっとうな理性的ないつもの技術士官なのに、夜になると人が変わったように、淫らな性格になって、まるで貪るように自分を求めている。
一体どうしたのかしら?
夫からはこのレムレースの街の話は聞いたことがある。ここは”悪霊が棲む街”だと。
それがどういう意味なのかわからないけど、彼女は夫がその悪霊に憑りつかれたのでは?と思う。
淫らな悪魔・・淫魔に憑りつかれたのでは?と。
今は丁度、夏が盛り。そして今宵も淫魔が奏でる真夏の夜の饗宴が始まろうとしている・・。
ジェニファーがレムレースの音楽大学に通って・・帰り道を歩いている頃、彼女と一緒に歩いているメイドの女の子がいた。
名前は、アリシア・クロフォード。金髪に茶色の大きな瞳が綺麗な純真そのものみたいな少女である。まさに今時の可愛い女子。
彼女はつい最近にメイドになったばかりの新人だが、結構、気が利く。
女の子らしく香水についての知識は相当なもので、様々なジャンルの香水を知っている。
その彼女から父・エリオット・レムの世話をアリエルがするという話を聴いて、少し父に対する見方が変わる。
「アリエルさんに世話を受けるほど、お父様は子供ではないわよ。それにお母様だって怒るわ。そんなことしたら」
「あら~やきもち妬いているんですか~?ジェニファー様。そりゃあそうですよね~。あれだけのダンディーな方、そうそういないですもの」
エリオット・レムの方は、連邦軍技術本部の仕事はもう終わらせて、今は屋敷でゆっくりと過ごしている。
側にはメイドのアリエルが控え、彼が何気なく耳をかゆくしているのを気付いて、耳掃除をするために彼に膝枕をしていた。
彼はその好意に少し照れる。あまりこういう膝枕はされたことがないのと、そしてこのアリエルがどうしても彼は気になる。
そこで彼はその”気になる”ことを質問してみる。
「ここからだと、あの庭の椿がすごく綺麗に見えますよね?どうしたのですか?旦那様?」
「いや・・?こういうのあんまり経験なくてね・・。若葉マークなんだよ」
「じゃあ・・私と同じですね」
彼女は屈託のない微笑みを浮かべる。
「アリエル・・」
「はい?何でしょうか?エリオット様」
「君、もしかして、連邦総合大学に通ってなかったかい?昔?」
「ええ。そうですけど。エリオット様とは一緒の学科ではなかったですけど」
やはり・・。彼はそう思った。自分の勘違いではない。やはり、この子はアネットの同級生だ。
あのメガネも、ブラウンの髪も、翡翠みたいな大きな瞳も、見間違いではない。
なら・・何故ここにいるのだろうか?彼女は、自分の記憶が正しければ、自分が結婚する一年前、病気で亡くなってしまったはずだ。
だが、実際にここにいる。自分に膝枕をプレゼントしている。不思議でしょうがない。
なら、確かめるしかないか。本当に彼女がここに肉体を持って存在していることを。自分の肌を使って。
彼は確かめるように、彼女の頬に手を触れる。
そこに、ジョフィエルが現れた。
「エリオット兄さん!アリエルさんと何、いちゃいちゃしているんですか?!」
「はあ?」
「兄さんにはアネットさんがいるでしょう?!」
「違う。別にいちゃいちゃしているわけではない。さっきから耳の奥がかゆいんだ」
「そんな場面、アネットさんが見たら、彼女、怒りますよ!」
「だろうな」
そこに不意に女性の声が聴こえた。壁に寄りかかり腕を組み、自分のことを不敵な瞳で見つめる女性が。その姿はまるで男装の麗人だ。凛々しい雰囲気を纏う女性だった。
その彼女の姿を見た彼は思わず名前を呼ぶ。
「スカーレット」
「久しぶりだな。エリオット・レム。サイド3にいたかと思えば、地球に降りて、今や地球連邦軍の士官とはな。驚いたよ」
「何をしに来た?スカーレット?」
「お前が私を呼んでいる気がしてな。その姿でジオニック社にいた時は散々女を泣かせてきた罰が来たんだな」
「・・・。フン・・・。女を泣かせてきた罰か。ああ。確かにそうかも知れないな」
「エリオット。私をがっかりさせてくれるなよ?」
「どういう意味だ」
「ここは・・椿の香りが強い。特にここの穢れが咲かせた椿は・・お前には”毒”だ。せいぜい気を付けるんだな・・?」
「”毒”だと?」
「薄々、お前も気付いているはずだ」
「・・・・」
彼はそこで黙り込んでしまった。そう。あの大きな庭園に咲くあの花を見ると・・自分の記憶が無くなってしまう・・。
そして・・気付いた頃には、誰かを抱いていることに。
彼女は自分がいる屋敷のリビングから、去って行った。後には彼女から香る不思議な香りの香水の残り香が残っていた。
丁度その時、スカーレットとアネットがすれ違うようにして現れる。
「誰?あの女性?」
「昔の古い友人だ」
エリオットは瞳を閉じて、腕を組む。
彼女は女の第六感で、彼女が昔、この目の前の夫とただならぬ関係であることがわかったような気がした。
そうして、この男性の妻として釘を刺しておいた。
「昔の女とまた寄りを戻すなんてしないでね」
「まさか・・」
「どうだか?」
「この街に来て・・あなたの様子も明らかにおかしいもの・・」
「・・・そうかもな」
そこにはアリシアも同席していた。彼女は思い立ったように手帳を広げると先ほどの女性、スカーレットの経歴を報告する。
「ケーラ・スカーレット。経歴は地球連邦総合大学の心理学科を専攻。元ジオニック社の専属の医師で、今は地球で心療内科のクリニックの院長を務めているらしいです。心理学の権威ですか・・。確かにそんな感じがしますね。しかも、纏っている香水が白梅香なんです。意表をつくアプローチですよね~。こちらも何か手を打たないと!」
「白梅香?」
「梅の香りですね。一言で表すと」
「あれが・・梅の香りか・・」
その夜。三日目。アネットが儀式の前準備をしている時、昼間、嗅いだ憶えがある香りを嗅いだ。儀式を執り行う巫女の女性がこう説明してくれた。
「白梅香には”魔”を祓う力がありますので、焚きつけておきました」
「”魔”を祓う力・・」
今夜のアネットの付き添いはアリシア・クロフォードだった。彼女は今はメイド服を着て、神殿の外で彼女を待っている。
だが、彼女は何かを感じたのか、その場を去る。その茶色の大きな瞳は今は何かに憑りつかれて虚ろな目をしていた・・。
儀式を終わらせたアネットが戻ると、そのアリシアがいないことに気付く。彼女がいつも身に付けている帽子だけがそこに残っていた。
そのアリシアは服を脱ぎ、下着姿のまま、泉へ・・水の中へ入って行く。
「アリシア!」
「!!」
すると、アリシアは突然、奇妙な言葉を話し出す。
「違うんです!私、朝の山の綺麗な空気を吸いたくて、近くの街から来ただけ何です!映画の撮影に来て、綺麗な山だったからここまで来て・・ううっ!!あうっ・・!!嫌っ!やめて!!」
何故か、そこで一人苦しみ出すアリシア。まるで・・首を絞められているような仕草を見せて・・そして気絶してしまった・・。
すかさずアネットは彼女を助け出す。
下着姿の華奢な身体を抱いて・・アネットはアリシアが目覚めるのを待っていた・・。
「お、奥様・・」
「良かった・・気が付いた・・?」
「は、はい」
「屋敷に帰ったら、一度、医者のガブリエルさんに診てもらった方がいいわ」
「そうします」
そうして夜道を歩く二人。月は徐々に満ちている。だが、まだ細い月だった。
「奥様~。どうしたんですか~?」
帰り道の途中でアネットはこのメイドの子・アリシア・クロフォードに疑問を抱く。
先ほどのあの彼女の台詞は何だったのだろうか?
何かが彼女の身に起きていたのだろうか?
そんな疑問が次々湧いてくる。
そこに、泉の中からスカーレットが出てくるのを見た。彼女は何かを探ろうと必死な様子だ。
「ふう・・。なかなか、監視が厳しいな」
「あなたは・・」
「アネット・レム・・?・・隠れて!」
スカーレットはアネットの口を塞ぐと近くの木に隠れる。
泉の向こう側では、メイドのアリエルとエリオット・レムが外に出てきた。
アリエルがうっとりするように、大きな庭園に咲く真紅の椿を見ている。
「どうしたの?」
「いえ。物凄く綺麗な椿だと思って」
彼もまたその庭園に咲く真紅の椿を見てみる。すると・・またあの現象が起きた。まるで・・あの穢れが咲かせた真紅の椿に魅了されたように・・その紫色の瞳を虚ろにしてしまう。
そして・・思わず倒れ込む。アリエルがそんな彼を支えた。
「旦那様・・身体の具合でも悪いの・・ですか・・?家に戻りましょうか・・?」
「そうだな・・。君が傍にいてくれるなら・・それも悪くない・・」
彼はそこで一気に妖艶な男性になる。そして・・アリエルに甘く囁くようにして・・その身体を抱き締める・・。
思わずアネットは飛びだしそうになるが、スカーレットがそこで止めた。
「落ち着け。こんなことで怒っていたら、エリオット・レムの妻は務まらないのは知っているだろう?よく・・見ておけ。あれが・・彼の正体だ。以前の彼がああいう感じだった・・。このレムレースで彼のこれからを決めるのは、お前だ。アネット・レム」
その彼は今はアリエルに魅惑的な表情を浮かべている。そして、その唇を重ねだす。アリエルは身体を彼に預けるようにして・・椿の花が落ちる庭園に身体を横たわせる。
「自分の口で言ってごらん・・?」
「いや・・。旦那様・・」
「言えないのかな・・?」
「んっ・・。んふぅ・・!旦那様・・っ。・・優しく・・してください・・」
彼はアリエルが纏うメイド服を少しずつ脱がせる・・。それを恥ずかしそうに彼女は頬を染める。
「こ・・こんなこと・・」
「これは、アリエルが自分で望んだことなんだよ・・?」
彼女の大きなふくらみが露わになった・・。思わずアリエルは自分で腕で隠すように挟む。
「ほう・・」
「何でしょうか?」
「何でもない。こんな大きな胸・・普通の男なら一瞬で虜になるだろうな・・。それは・・私にも言えることだが・・」
彼が薄紅色の乳首をおもむろに口に含み、舌でころころ弄び始める。片方の手で揉み解し、そして豊かなふくらみに顔をうずめる。
銀色の短髪を乱すようにして・・ふくらみを責め始めた。
その様子を見る、アネットとスカーレット。
「なるほど・・。私の時も・・胸にはこだわっていたな・・。あの舌捌きもあんな感じだ・・」
アリエルが艶やかに喘ぎ始める。彼はスカートの下の下着の内側の聖域に・・指を侵入させると座ったまま、彼女と交わり始めた。
彼女の身体を揺らすように・・聖域に分身を入れ、上下に振り出した。アリエルは豊かな胸を露出したまま、淫らに自分も腰を揺らし始める・・。
体をのけぞらす。その両方の腕を掴んで、彼はアリエルを貪るように抱き始めた。
「こんな・・ところ・・奥様に見られたら・・!!」
「見せつけてやればいいさ・・」
「はあっ・・はあっ・・旦那様・・!気持ちいい・・!気持ちいい・・!!」
「もっと・・溺れてみせて・・?」
目の前で自分以外の女性を抱く目の前の夫を見て・・妻はいたたまれない気持ちが湧いてくる。隣で冷静に二人の情事を目にするスカーレットはそこでアネットから出る、”嫉妬”の気を敏感に察知した。
(この凄まじい”陰”の気は・・)
そのまま・・彼女はその場を走って去っていった。
(あれが、レムレースの街の巫女・・。アネット・レム・・か)
「何よ。”私には君だけだ”と言っておいて・・他の女性を抱くなんて・・!!よりにもよって・・相手がアリエルなんて・・!!」
自然と涙が溢れる妻。そこに・・このレム家専属の医師・ガブリエルが現れた。
「奥様・・」
「ガブリエルさん」
「アリシア・クロフォードさんのことで」
そのアリシア・クロフォードは今は苦し気に呻いている。ベッドに横になり、額には汗。何かをうわごとのように呟いていた。
「わ・・私は・・ラピス・ラズリ役の・・アリシア・クロフォード・・・!」
「彼女は一体・・?」
「恐らく精神的なショックから来ているのでしょう・・。何か途方もないことが彼女の身に起きたとしか・・」
そうして、アネットはしばらく、アリシアの様子を見ていた。
彼女はうわごとのように・・先ほどの台詞をずっと呻くようにして・・呟いている。
二時間程して症状が落ち着いてきたのか、アリシアは目を覚ました。
「奥様」
「良かった・・。大丈夫・・?アリシア?」
そこでアリシア・クロフォードは人が変わったようにアネットに抱き着いてきた。背後から・・豊かなふくらみを服の上からゆっくりと触り出す。
「私より・・奥様の方が・・心配です」
「ちょっと・・アリシア」
「知っていますか?メイドのアリエルさん。彼女の身体は凄いんですよ・・?」
アネットの洋服を徐々に脱がしながら・・アリエルのことを話し出す。
「ウエストが凄い細くて・・無駄なお肉も全然ついてなくて・・」
アリシアがアネットのふくらみを優しく揉み解す・・。
「胸もボーンと大きくて・・プニプニでマシュマロみたいに柔らかくて・・でも・・奥様の方が私にはもっと・・魅力的に思えるんです」
「この辺とか・・」
彼女がアネットの蕾の花の芯をパンティー越しに触り出す・・。そこからは・・彼女の愛が溢れてくる・・。だんだんと濡らしていく・
「気持ちいいですか・・?」
「はあっ・・はあっ・・気持ちいい・・!」
そうして・・女性同士の愛の交換が始まる・・。
アネットは洋服を全部脱ぎ棄て・・アリシアの愛撫をうっとりするように受けていた。彼女がパンティーを履かせたまま、彼女の蕾を愛撫する。
淫らな音が聴こえ・・容赦なく”快楽”の拷問にかけられる。
「気持ちいいですか・・?やめて欲しい・・ですか?」
まるで焦らすように、彼女の愛液で濡れた左手をそのまま、アネットの身体に這わすようにして滑らかに上半身に動く。
そして・・薄紅色の乳首を指先で繊細に刺激する。
余りの快楽にアネットは止めて欲しくないと思う。首を横に振った。
そこに・・
「感心しませんな。そんなはしたない格好」
冷徹な声が聴こえた。部屋にはいつの間にか、庭師のアズラエルが入っていた。瞳を怒らせている。
「私、これでも躾には厳しくしていましてね。そんなはしたない格好、旦那様が知ったらどんなに嘆くことか。ここで、女のありようを教えてあげましょうか・・!!」
「やめて・・!!」
彼女が逃げようとすると、アズラエルは腕を強引に掴み、そのまま履いているパンティーを強引に降ろすと、彼の折檻が始まった。
悲痛な叫び声をあげるアネット・・。
その悲鳴が・・残酷な月夜に響いた。
レム家に襲い掛かる淫魔が奏でる・・性の饗宴が・・次第に彼らを覆い尽くす・・。