IS×ライダー・鈴の音は歯車と共に 作:エタ
***
あれから暫くして、スズがうがいなどを済ませていれば、窓の外は既に暗い。
そんな中、俺は意外と大きいベッドの上で、窓の夜空をみながらため息を吐いた。
「…………」
「りょ、亮?大丈夫?」
「大丈夫じゃないんだよなぁ……」
ふふ、出来るだけプラトニックに行こうと思った矢先にこれだよ。流石にこれは織斑に申し訳無くて草も生えない。
そも恋人になってまだ数時間でこれはねぇよ、と自分で突っ込んでみる。
ただでさえ知り合ってまだ多く見積もっても一ヶ月程度なのだから、まだまだ知らない部分もある。勿論、悪い部分も。
ティアの時はなし崩しにだったからこそ、ちゃんと好きになって、少し特殊でもちゃんと恋人になれたスズとは、出来るだけゆっくり育んでいきたいんだ。
「――というのに、このエロっ娘め!」
「ひょっ、いひゃいいひゃい!」
呑気に隣で一緒のベッドに寄り添い、苦笑するスズの頬を摘まんでびょーんと伸ばす。おー、柔らかい。
「いくら恋人だからって遠慮とかせんぞ?お前が俺に怒って叱ってくれるように、俺も悪いと思ったことは悪いと〝これからも〟容赦なく言わせてもらうから、な!」
「うひゃいっ!?」
指を離すと、伸びきった頬がゴムのように戻って、赤くなっている。
頬を擦りながら「わ、分かってるわよぉ」と文句垂らしつつ涙目に睨んでくるが、可愛いだけなので効果などない。
ちなみにこれからも、という言葉の意味は、すぐ手が出る癖を間近にした時の事だ。
そんな真似をしては落とせるものも落とせないと、まぁ甘めにだが真面目に説教しつつ、矯正を図った事があったのだ。
今ではあれば、代表候補生というクッションを無くす前に直しておくべき重要案件になっていたことだろう。
簡単な方法だと因果応報、しっぺ返しが来ることを学ばせるために、暴力で解決しようとしたらその手にしっぺを食らわせたり。
完全にではないがそれで効果が現れ、今では単なる可愛い元気っ娘(本性は一人が嫌で甘えん坊な泣き虫)となっている。
(あぁ、だから織斑もスズの事をちゃんとみれたのかもしれんな)
まぁ、渡す気はもうないんだが。
……さて、と。
「え、ええっと……そうだ!スズ」
「ん?」
唐突に挙動不審になる俺に、スズはキョトンとした表情をする。
「こ、今度の休みの時さ、どこか二人でいかないか?」
「……そ、それって、デート?」
「お、おう」
だがすぐにそれは真っ赤になり、互いに目を明後日の方向に。
あんな事やっといて、我ながら初々しい反応だこと。だがそれが良い。
「え、えと……はい。よろしくお願いします……」
「何故敬語なんですかねぇ」
「う、うっさい!」
うがー!と、吠えるスズに、俺は思わず笑い、すぐにお互い静かに見つめ合う。
そしてゆっくりとその感触を味わうようにキスをして、「おやすみ」と身体の力を抜き、目を閉じた。
***
――ドクン。
「……はぁ」
数時間後、突如呼応するように、後天的に染まった銀色の左目から高鳴る錯覚。
意識を自力で覚醒させると、魔力を身体に循環させ、固まった身体を解す。
耳元で聞こえる可愛らしい寝息が擽ったくも聞いていたいと思いながら、ゆっくりとベッドから起き上がる。
【おはようございます、マスター。早速ですが、通信コールが来ています】
その時、FIONAの呼び掛けと共に脳内にアラームが鳴り、視界の小さく右上にコールマークが出現。誰から来たのか確認して、回線を開く。
『――おう、起きてたか、隊長』
すると、目の前にウインドウが出現し、長い茶髪の美女が現れる。
BALDR世界のこういう機能マジ便利。シュミクラムだからってそういう機能全部再現した束博士とドクターと俺マジで馬鹿。
「今起きたところだ。それより、また男勝りな口調になってるぞ。美人が台無しだから直せっていつも言ってるだろ?」
『び、美人は余計だろっ!それにいつも言ってるがこれが私だ。おいそれと自分を変えれっかよ』
「分かってる。挨拶代わりに言ってみただけだ。それで、何の用だ?」
そう思いながらいつものやり取りをしつつ問う。『ったく、いつもながら調子狂うぜ……』とため息を吐いてから、彼女はその問いに答える。
『あー、隊長ならすぐに気付いてるだろうが、怪人の出現パターンを検知した。一番近くにいるのは隊長だが……また腹に穴開けたんだろ?私もそれなりに近いとこに居っから代わりに行っても良いんだぜ?』
「あぁ……別に問題ないよ。少し前ならこんなもん日常茶飯事だったし、それに少し痛みはするが殆ど治りかけだ。怪人数体相手にするくらい造作もない。それに、そっちだって仕事の途中だろ?」
『まぁ、そうなんだけどよ……。はぁ、相変わらず結構な意地っ張りだよな』
「お前には負ける。心配してくれてサンキューな」
そう礼を言うと、彼女は顔を真っ赤にして『べ、別に大したことじゃねぇ』と言ってそっぽ向く。
『ま、まぁとにかく!仕方ねぇから折れてやる。ただし、何度も言うが無茶はすんな。私以外にも言われてるだろうが、危なくなったらすぐに呼べ。飛んでいくからよ』
「
『ふん……
敬礼し合いそれを最後にウインドウが閉じる。
「さて」と立ち上がり、魔法衣を展開。黒い白いシャツ、ダークカラーのジーンズに襟に『中尉』を表す階級章を付けた黒のロングコートを着る。
そして振り返り、少し乱れた掛け布団を直す。
――その時、スズの震えている手が、目に写った。
「……それじゃあ、行ってきます」
「っ……」
俺はその手を優しく握り、震えている唇に軽くキスを落とす。そしてそっと離れた俺は、魔方陣を展開。仄かな光を放ち、瞬く間に何処かへと転移した。
***
電灯で照らされる、一通りの少ない街道。時刻は
IS学園に直通しているモノレールの駅前に転移した俺は、懐から歯車をモチーフにされた薄く青でコーティングされた銀と青のバックル《リライトドライバー》を腰に当てる。するバックルの端から黒の帯が伸び、もう片方に到達。ベルトとなって装着される。
「――と、そこでストップだ」
そうして準備を終えた俺は目の前に影で見えない、数体の異形のモノに声をかける。
魔力を目に。心なしか明るくなり、それらの正体をみる。
一つは、灰色に染まった怪人・オルフェノク。
一つは、ミイラのような怪人・クズヤミーを引き連れるカマキリを人型にしたような怪人・カマキリヤミー。
そしてもう一つは悪魔のような怪人。数体目視できるその姿は、どこか太った蠅のよう。
「……ラルヴァ。タイプはグラの
俺達の世界に存在する怪人・ラルヴァには七つのタイプに分かれ、それぞれ幾つかの姿が存在する。
即ち、七つの大罪をモチーフとした怪人で、その中でもグラのタイプに属する
謂わばオーズの世界で雑魚怪人にあたるクズヤミーに価する存在なのだ。
「なんだ、貴様は?」
「はっ?怪人の癖に俺を知らない?お前野良かなんかか?」
いや、捨て駒と見るべきか。ったく、敵ながら胸糞悪い。
「まぁ良い。敵ならなんであろうと関係ない。で、俺がなんだ、ね。まぁ、ちょっと小難しく言うなら……」
懐から青色のハンドルを取り出し、目の前に突き出すように構え、ギアセレクターと呼ばれる回す側の頂点にあるスイッチを押す。
【リライト!】
「創造と破壊、両方を兼ね備える者。守護者とも破壊者とも違う、《変革者》さ」
その瞬間頭上からサークル型の歯車が俺を囲うように現れる。
ハンドルを持ちやすいように半回転させ、左肩に添えるように。そして勢い良くカーブを作るように両側に欠けのあるバックルの右側に嵌める。
【ギア・セレクト】
電子音声と共に重厚な待機音。ギアセレクターを軽く回し、ギアセレクターが点滅する。
【レディー?】
すると重厚だった待機音が軽快に変わり、それに伴い俺はポーズを取る。
左腕を右斜め方向に伸ばし、引っ込めると同時に大きく伸ばしつつ右腕を左斜め方向へ伸ばす。
「変身!」
そして左肩に添えるように構え、リライトドライバーの上部にちらりと顔を見せる歯車《イグニッションギア》を、身体を広げ伸ばすくらい勢い良く右手で回した。
【ローディング!】
するとバックルの真ん中が開き、青く発光コアが露出される。コアからリライトのマークが象られた大きな歯車のホログラムが跳び出し、戻ってくるように接近。俺の身体を包み込む。
すると瞬く間に俺の身体が変化し、サークル型の歯車も伴って割れる。
歯車の破片は俺の周囲を回り、肩や腕、足に背中。頭、胸に装着され、灰色のブランク体だった俺の身体に色が灯り、銀色のラインがアーマーに張り巡らされる。
【変革せよ・リライト!】
黒のライダースーツの上に所々歯車の装飾がある青いアーマーの、銀色の複眼をした戦士。
仮面ライダーリライトへと変身した。
「――仮面ライダーッ!」
「変革者として、お前達の闇を見定める」
《イグニッションギア》のある両刃剣・ギアーズブレードを取り出し、軽く振るって走り出す。
次はできる限り長くライダーとしての戦闘を書いていくゾ。本当はここで書くつもりはなかったからどうしようか迷ってるゾ。
ライダーの描写とか久々だから伝わってるか心配だったり。
ラルヴァの元ネタ分かる人いると良いなぁ
モンハン・ワールドのせいで執筆どころかFGOをやる気にもなれなくてバレンタイン共通シナリオ全部見れなかったんじゃが。期間伸ばして(叶わぬ願い)
そういや、バルド・マスターピース・クロニクル買っただけで満足して全BALDRやってねぇ。最低でもゼロ2、フォース、バルドヘッド、バルフィスくらいはやらねぇと。エクステンドコードも予約しないとだし。
ところでバルドエースの新情報は何時になったら来るんですかね?