IS×ライダー・鈴の音は歯車と共に 作:エタ
衝撃砲を撃ち、その後に続くように一夏が突貫する。
「うぉぉぉおおおぉぉぉおお――!」
雄叫びを上げる一夏に目線をくれるだけで何の反応もない赤と黒の機体はライフルを持たない腕を振るう。
――すると装備されていたものからレーザーブレードが飛び出し、一夏が払われると同時に視覚化された衝撃波のようなもの――光波が衝撃砲の砲撃を掻き消し、そのままアタシに向かってくる。
(くっ、なんなのよアイツは!)
一夏の悲鳴に気にする余裕もなく、ギリギリのところでクイックブースト。
僅かにかすらせ、シールドエネルギーをごっそり持っていかれるも、なんとか無事でいられてホッとする。
しかしGが絶対防御などで守られていたはずの身体に負担がかかり、軋むような鈍痛が伝わる。
「この歳でまだ腰痛で悩みたくないんだけど」
なんて呟きつつ、額に汗を滲ませながら、赤と黒の完全装甲を睨む。
あの機体の性能、まだそこまで動いているわけじゃないが、どう考えてもただのISの性能を越えている。
軍用IS……だったとしても、果たしてあそこまでの火力を持つだろうか?
「正直、あんまり亮を悲しませたくないから、さっさと逃げたいところなんだけど……」
それは未だ逃げられていない観客を見るにまだ無理そうだ。
(かと言って今の状況の打開策なんてあるわけがないのよねぇ)
火力役になるべき一夏は、あの一撃を諸に食らった。
想像した通り、一夏の白式のシールドエネルギーは全損していて、しかも機体のダメージも負っていて、恐らくエネルギーを分けたところでまともに動けないだろう。
「……でも、亮は言ってた」
アタシは笑みを無理矢理に浮かべる。青竜双刀の連結部を外し、二刀流とする。
「こういう時、怖じ気づいた方が負けだってねぇ!」
イグニッションブーストを発動し、高速で赤と黒の機体へ接近していく。
すると奴は背中の二連ミサイルとグレネードランチャーをアタシに向け、発射する。
「この程度!」
最小限の動きでそれらを回避し――目の前に高出力のエネルギーレーザーが迫ってきていた。
直撃する――――!?
「なんてね」
それも慣性を利用した動きで回避。少し失敗して掠り、またシールドエネルギーが大幅ダウンする。
「これで―――!」
そしてそのままついにアタシは奴の懐に――
「――えっ?」
飛び込んだと思った瞬間姿が消え、気づけば奴は後ろにいて……。
レーザーライフルがアタシに向けられ、高出力レーザーは甲龍に直撃し、シールドエネルギーは全損。壁際にまで吹き飛ばされてしまった。
「う、ぁ……」
「鈴!」
一夏の呼ぶ声が聞こえる。だがそれも意味もなく身体中が痛くて動けない。
片方のリボンがほどけ、どこかにいく。変わりにやってきたのは赤と黒の機体。
《排除》
レーザーライフルを持たない腕を振り上げ、レーザーブレードを展開する。
――こんなところで終わるの?亮に何も言えてないのに?
いや……そんなのいや!あんな寂しい目をしてる亮をそのままにしておけない!
まだアタシは――だから誰か助けてよ!
誰でも良い、誰か……
「アタシは亮に、好きだって言わなくちゃいけないのよ――――!」
その言葉も虚しく、レーザーブレードを振り下ろされる。
次の瞬間。
レーザーブレードの腕を横から狙い撃たれ、別方向に吹き飛ばされた。
「オラァッッ!」
その隙に赤と黒の機体は銃弾の方から飛び込んできた別の機体に蹴り飛ばされ、しかしすぐに体勢を立て直す。
奴を蹴り飛ばした黒いそいつは、アタシを守るように立っていた。
奴のと同じ全身装甲のそいつはアタシの方を向くと、どうしてかいきなり優しく抱き締めてくる。
「……全く、その言葉は二人きりの時に聞きたかったな」
――この、声。
「りょ、う?」
「あぁ遅れてごめん、鈴」
「ううん、良いの。こうして、助けにきてくれたから」
――あぁ、やっぱりアタシは亮が好きだ。
口に出して噛み締めるような実感を得るアタシを、黒の全身装甲機体――それを乗る亮は微笑んでるような気がした。
……って!
「あ、アタシ……!?」
「ふふ。まぁ、あれは返事とは言えないし、後でちゃんと聞かせてもらうよ」
「い、意地悪!」
「意地悪で結構。――それより今はあのくそったれナインボールをぶっ壊さなきゃな。十中八九無人機だろうし」
と、あれについて何か知っているような口振りでアタシを楽に壁に寄り掛けられるように座らせ、亮はあの機体、ナインボールへと目を向ける。
「さーて、よくもまぁうちの鈴をここまでボコボコにしてくれたな。これは高くつくぜ?」
《殺害対象(ターゲット)。リョウ・イガラシと確認。排除開始》
「機械とはいえ、もうちょっと人らしく反応してくれよ、ハスラー・ワン。……まぁ、良いけど」
亮はため息を吐きながら、両手を開き、粒子に包まれながらストレージから取り出されたダブルサブマシンガンをナインボールに向けた。
「それじゃあ、戦闘開始(オープンコンバット)と洒落混もうか。なぁ、レイヴン!」
【OPEN COMBAT】
***
少し前のこと。
「――どこに行くつもりだ?」
身を翻した俺に、目線もくれず千冬さんが問い掛けてくる。
「加勢にいきます。アレは……ナインボールは鈴と織斑……いや、それどころか現ISの性能では太刀打ちできません。教師陣も全滅、死者が出るのがオチだ」
「なら奴の事を知っているらしい貴様が出るべき、と?」
「はい」
頷けば、千冬さんは厳しい眼差しをこちらに向けるのが分かる。
「……お前の言い分は理解できた。だが先程私が口にしたはずだ。お前のISは特殊過ぎる。それ以上にお前が特殊だ。それを表に出せば、どうなるか、分かっているだろう」
……分かっている。そんな事は今自分がしようとしているのは、考えなしの行為だということを。
――それでも。
「俺だって全部を晒すつもりはありませんよ。俺が暴露するのはコイツの特異性。その一部だけ。一番出したらまずいのは出しません。
確かにここでコイツを公開するのは得策じゃない。それでも、助けられる力があるのに、それを燻らせるのはそれこそ愚策だ。――それに」
俺も、振り返り、千冬さんに睨み返す。
「好きな人が傷付くのを黙って見ていられるほど、俺は軍人として出来てねぇよ」
――無言。
ピット内が緊張に包まれて数秒。千冬さんはため息を吐き、「全く、相変わらずお前は馬鹿だな」と苦笑気味に呟く。
「あぁ馬鹿だよ。だから俺は、こうして戦ってるんだ。……安心しろ、責任は俺一人に押し付ければ良い」
「それは教師として許可できん。半分は私が背負おう。――行け」
「……恩に着る」
千冬さんの言葉を聞いて、俺はピットから飛び出す。
「……全く。本気で鳳が羨ましく思ってしまうじゃないか。どうしてくれようか、この特級フラグ建築士め」
その背中を頬を少し染めながら切なげに見つめていた事を、俺は知らない。
***
Bピットへ向かう途中、アリーナの出入口でごった返すクラスメイト他IS学園生徒達と遭遇する。
「これは……そうか」
ナインボールが、扉を全てロックしてるのか。
……仕方ない。金は有り余ってるし、後で支払おう。
「どいて」
「五十嵐くん!?」
クラスメイト達が驚き、他の生徒も驚いたり蔑んだ目で見てきたりして、俺の姿に反応をくれる。
しかし魔力を言葉に乗せたおかげで、全員言うとおりに退いてくれている。
「さて……」
これで遠慮なくやれる。そう俺は懐からハンドルを取り出し、回す側にあるスイッチを押す。
【カブト!】
ゆっくりとロックされた扉に近づくながら、スイッチを三度押す。
【ONE TWO THERE】
「――まさか!?」
この電子音が聞こえた誰かが、驚愕の声を上げる。
観たことがあるんだろうなぁ、と思いながらハンドルのギアを回す。
「カブト・ライダー、キック」
【RIDER KICK】
プラズマが走る如く、エネルギーがハンドルから頭上へ、そして右足へと移動する。
「――ハッ!」
左足を軸に回転し、エネルギー――《タキオン粒子》を秘めた右足を回し蹴りで扉にぶつける。
すればエネルギーはキックの威力に変換され、扉は紙のようにくしゃくしゃになりながら吹っ飛んでいった。
「ほら、さっさと避難する」
『………………』
「早く!」
『は、はい!』
呆然と扉のあった場所を見つめる皆に強く呼び掛けると、慌ててアリーナの外へと逃げていく。
クラスメイト達の感謝の言葉を聞きながら見届けていると、ふと水色のセミロングの髪をした、眼鏡をかける赤い目の少女がじっと此方を見ている事に気づく。
「どうした?」
聞いてみると、彼女は突如人差し指を上空に向けていて……あぁ、さっきの。
「俺は天の道を往き、総てを司る男……五十嵐、亮。こんな感じで良い?」
「うん!」
「そいつは良かった」
嬉しそうにしている彼女を見ていると、態々コイツを使った甲斐があったというもの。
「私は更識簪。助けてくれてありがとう。良かったら今度仮面ライダーについて話そ?」
「良いぜ、また今度な」
そう言えば嬉しそうに彼女――更識は俺に手を振りながらアリーナへと去っていった。
「……そろそろ急ぐか」
そう俺はもう一度あのハンドルのスイッチを押し……
「――クロックアップ」
【CLOCK UP】
数秒後、Bピットに到着し、ハンドルを懐に納める。
鈴がナインボール相手に意外と食い下がっているところをみて驚きつつ、それでも持たないと判断した俺は首に嵌めている黒いUSBポートのような穴・神経挿入子(ニューロジャック)と、白い宝石が埋め込まれているチョーカーに呼び掛ける。
「――システム起動。おはよう、《FIONA》」
【――メインシステム、通常モード起動。おはようございます、マスター・リョウ】
すると脳内に響くように、清楚な女性の声がチョーカーからし出す。
コイツはこのチョーカー――俺の機体に偶然備わった自律型AI。名前の由来は声がそれだから。多分分かる人は分かる。
「起こして早々悪いが……」
俺はFIONAに一言謝りながら脳内でチョーカー――俺のISの待機状態(以降FIONA)に起動信号を送る。
【了解。起動プロセス開始】
すると俺の身体が異様な感覚に包まれる。
これは、俺が知るロボットアニメ、ゲームを参考にしたもの。
外装の大半はガンダム。
内部構造、システムにAC。それもネクストのものを少しばかり使用。
ISは外装以外にはちょこちょこっと使用。主にハイパーセンサーとシールドエネルギー、コア関連。
そしてシステム、内部、外装その他諸々。それらに大半をこのロボット系統のものを注ぎ込んだ。
【MS武装パッケージ確認。AC武装パッケージ確認。IS武装パッケージ確認。インポート】
【システム・オールグリーン。進化ロジック、正常に起動】
その事から、こういう機体の機種名を考えるように言われた際、面倒で大半こっちのモノを元にしたからこの名前で良いやと、決めたこの機体の総称。
それは――
【シュミクラム型IS・アルペジオ。全チェック完了。メインシステム・戦闘モード起動します。Ready?】
一先ずこれで完成した俺の機体。久しぶりの起動だが、行けるか?――当然。
自問しつつ、ニヤリと笑う。
ストライカーパックはまだないが、ただの木偶人形ごときなら十分。
「往くぞ、FIONA――《アルペジオ》」
【――移行――】
呼び掛けると、俺の身体が一瞬閃光に包まれる。
すると気がつけば、身体が黒い鋼に包まれていた。心音の変わりに高鳴るように、電磁パルスが鼓動する。
背の垂らしているコードを揺らし、全身装甲シュミクラム型IS・アルペジオに移行(シフト)した俺は、馴染ませるように鋼鉄に包まれた身体を動かす。
【起動確認。兵装システム・パッケージインポート完了。
シュミクラム兵装・モビルスーツ兵装・アーマードコア兵装・インフィニット・ストラトス兵装。ファイリング】
すると、元々入っていたシュミクラムが持っている兵装や、他作品の兵装がファイル分けされてダイアログに表示される。
確認した俺はシュミクラム兵装からスナイパーライフルを取り出し、アルペジオを起動している間に何があったのか、ボロボロの鈴に月光を振りかざしているナインボールの月光を装備する腕に発射。
腕を軽くぶっ飛び、危機が回避されたのを確認する間もなく、Bピットからブースターを点火。
空気抵抗すら意味を成さない加速を勢いに乗せてナインボールを蹴り飛ばすが、大したダメージはなさそう。
(やはり〝まだ第三世代の性能ということか〟)
進化ロジックに仕事させるために、これからもっと戦闘を積まないとな、と鈴を守るようにナインボールと対峙した。
***
じゃけん、BALDRシリーズとガンダムとオリジナルISと仮面ライダーのタグいれましょーねー
あっ(唐突)、BALDRシリーズ知らない人は皆やろうね(真剣)。エ○ゲだけどくっそ面白いゾ^~これ。
10月27日最終章が、12月22日にコンプリートボックスが出るよ!(