※この作品はR-18です。

亡霊お嬢様の受難   作:フォカヌポウ

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幽々子の受難~夏祭り~

うだる様な熱気と纏わりつくような湿気が鬱陶しい、夏の陽気。

ここ白玉楼の書斎に、手に持った扇で涼を得ながら黙々と書見に耽る少女の姿があった。

額の汗を拭い、今読んでいる書物の最後の一ページを読み終える。この本を読んだのはこれで137回目だ。

 

幽「・・・・ふう、読み終わったわ~。さて、次に見る本は何にしようかしら~?」

 

読み終わった本を片付け、次に読む本を探しにいく。だが、この書斎に彼女が読んだことの無い本は存在しない。どの本もおおよそ200回前後繰り返し読んだことがあるのだ。

数百年にも及ぶ莫大な年月を豊かな景色以外にこれといった娯楽のない冥界で過ごしてきた彼女には、同じ本を繰り返し読む事以外に時間を潰す方法が無いのだった。

尤も、彼女は昨晩食べたものを翌朝には忘れている程度の記憶力なので、内容を憶えていることはほとんどないが。

 

幽「う~ん・・・どれにしようかしら~?・・・・あっ!この本はまだ見たことないわ~。知らない間に紫が持ってきてくれたのね~。」

 

こう言いながら、既に220回は読破したことのある本を手に取る。彼女にとって書見とは、いつも新しい発見に出会えるとても有意義(?)な時間なのであった。

 

紫「何ぼけたこと言ってるの?それはもう200回以上読んだでしょうが。」

幽「あら紫~、お久しぶりね~。去年の冬以来かしら?」

紫「・・・・ええ、相変わらずのマイペースぶりで安心したわよ幽々子。」

 

次に読む本を見つけた幽々子のすぐ目の前に空間の裂け目が現れ、その中からにゅっと出てくるスキマの妖怪。

去年の冬眠から今年の夏になるまでの期間、ずっと会えずにいた親友との再開は、なんとも言えぬ微妙な空気が漂っていた。

紫のツッコミを幽雅にスルーしてみせた幽々子のマイペース振りにはさしもの紫も翻弄されているようだ。

 

幽「本当に久しぶりね~。いつもなら冬眠から覚めてすぐうちに来るのに今年はいつまで経っても来ないから、どこかで野垂れ死んだのかと思ったわ~。死んでたらこっちで色々面倒見てあげようと思ってたのに~・・・」

紫「それは残念ね。見ての通りピンピンしてるわよ。」

幽「まあそれはそれとして、今まで何をしてたの~?ついに冬眠の期間延長でもしたの?それとも藍ちゃんに睡眠薬でも仕込まれた?」

紫「私もそこまで寝坊助ではないし、藍はそんな事しないわ。多分・・・・で、今まで何をしていたかというとね・・・。」

 

幻想郷にはかつて、博麗神社主体で行われる祭りが在ったのだが、人々の信仰が薄れていくにつれて規模は小さくなり、そして霊夢の代になる一つ前の代に祭りはすっかり行われなくなってしまった。

神輿を担いで町を闊歩するだけという至って真面目なその祭りは新規の参加者を呼び込みにくく、徐々に人員が減っていき遂には祭りの維持が不可能になってしまったのだ。

紫はその現状をあまりよく思っておらず、外の世界の祭りを参考に屋台などを出し、一般人でも馴染みやすい祭りへ変えようとしていたのだ。仮に信仰してくれなくとも、せめてこれを機に神社の名を人々が覚えてくれればそれで良い、と。

 

紫「・・・とまあこんなわけで、私が祭り復活の為に色々やっててこっちに来るのが遅れたというわけ。」

 

ひとしきりの説明を終え、幽々子も紫が来なかった理由について納得したようだった。

 

幽「へえ~、頑張ってたのね~。それで、こうしてここに来てるってことはお祭り復活の目処は立ったのかしら?」

紫「ええ、生まれ変わったその名も博麗神社例大祭!開催日は今日よ!!一月前に企画をまとめて昨日までずーっと準備していた甲斐あって無事開催にこぎつけたわ!」

 

拳を握って力強く祭りの名を叫ぶ紫。声高に宣言する開催日はまさかの今日であった。

 

幽「あら、今日開催なのね~。どんな内容なの?」

 

かなり唐突な話であるが、幽々子は特に気にするでもなくやはりマイペースに話を進めていく。

内容を聞いて、良さそうなら行くがあまり良さそうでなければ行かないつもりだった。

 

紫「ええ、例えば・・・・そうね、外の世界から機械とか持ってきて作る幻想郷にはない”食べ物”とか”飲み物”の屋台とか、あとは・・・」

 

”食べ物””飲み物”この言葉を聞いた瞬間、行くか行かないかという葛藤は幽々子の頭からは消えうせた。

内容の良い悪いなどは最早些事でしかない。外の世界の食べ物が食べられるという事実以外は幽々子にはどうでも良いのだ。

 

紫「あ、あと舞台の上で私が歌を歌ったりとk」

幽「・・・紫、内容の話はもう良いわ。」

紫「最後まで聞いてよ!?ここ一番大事なとこよ!」

幽「妖夢ー!!今から出かけるわ!お出かけの用意をしなさーい!!」

 

紫が話している最中にも関わらずそれを遮り、幽々子は出かける支度をしようと妖夢を呼ぶ。

自分が一番聞いてもらいたい部分を無視されて、紫は何が何でもかまって欲しくなって必死に幽々子へ語りかける。

 

紫「ね、ねえ幽々子!私歌うのよ!みんなのいる前で!!凄くない?ねえこれ凄くない?」

 

親友の身体を張ったショーよりも食べ物を優先する態度に、軽く涙ぐみながらも自分のやろうとしていることの凄さをアピールする。

 

幽「ちょっと静かにして頂戴!!」

紫「はいぃ!」

 

だがそれも、食べ物を前にして歯止めが利かなくなった幽々子の耳には届かなかった。

普段の彼女からは想像もつかないほど鋭く一喝され、紫は黙り込むしかなかった。

 

妖「はい幽々子様!お出かけの準備を整えて来ました!!いつでも出かけられます!・・・・・・ってあれ?あの・・・紫様・・・・?」

 

出かける支度を整えて幽々子の元へやってきた妖夢が見たものは、今までにないほど元気に満ち溢れる幽々子と、それとは対照的に部屋の片隅でさめざめと泣く紫の姿だった。

 

紫「しくしく・・・・・しくしくしく・・・・・」

妖「あの幽々子様・・・?一体何が・・・・」

幽「気にしないで妖夢。そんな事より出かけるわよ、ついてきなさい!」

妖「え?はい、行きます・・・の?」

 

紫を放置して良いのか妖夢は一瞬迷ったものの、そんな間もなく幽々子が物凄いスピードで飛び立ったので妖夢もそれに付いてゆく。

部屋に一人取り残された紫は、またさめざめと泣き出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、幽々子が白玉楼を飛び出してから数分後、幽々子は祭りの会場へと到着した。

それから5分ほど遅れて妖夢も到着する。その呼吸は乱れ、ついて来るのが精一杯だった事が伺える。

 

幽「あら妖夢~、遅かったじゃない~。」

妖「いや幽々子様が・・・ぜえ・・・速すぎるんですよ・・・・なんであんなに・・・っはあ・・・・速いんですか・・・・」

幽「あら、私は普通に飛んできただけよ?」

妖「普通って・・・普段からこんな速かった記憶はないんですけど・・・」

幽「まあそんな事はいいわ。それよりも早く行きましょう!」

妖「ちょっ!引っ張らないでくださいよー!」

 

こうして、妖夢は幽々子に引きずられながら祭りの会場へと向かう。

なんでこんなに急いでいるのか妖夢は疑問に思っていたが、すぐにその疑問は解決された。

 

店主「へいらっしゃい!美味しい焼きそば屋さんだよー!」

幽「とりあえず10人前いただけるかしら?」

主「・・・・へ?」

 

見た目にはそんな食べそうに見えない少女に10人前を”とりあえず”と言われ、店主はきょとんとした顔をする。

最初は冗談かと思ったがその隣にいるもう一人の少女がさも当然のことのように振舞ったことで、店主もこれを冗談とはいえなくなった。

 

妖「ああ、なるほどこういう事ですか・・・・はいどうぞ、お代金です。」

主「は、はい・・・まいどあり・・・・」

 

呆気にとられる店主を後に、二人は次なる店に向かう。

焼き鳥、りんごあめ、わたあめ、お好み焼き、たこやき等、さまざまな店で同様に十人前ずつ買っていき、その度に店主が同じように驚いていた。

食べ物を取り扱っている店は殆ど練り歩き、次に幽々子が目指したのは飲み物を扱っている店だった。

食べ物を求め歩くことおよそ二時間、そうこうしているうちに陽も落ち始め、若干涼しくなってきてはいるもののまだまだ暑く、水分の補給は必要だった。

そして飲み物屋の屋台を探して辿り着いたのが、夏祭りの飲み物の代表格たるラムネの店であった。

 

幽「ふう~、暑くて喉が渇いたわ~。このラムネっていう飲み物、一箱もらえるかしら?」

主「ひっ、一箱ぉ!?はははお嬢さん、冗談はよしてく・・・」

 

店主が言葉を言い切るより早く、妖夢は店主に金を押し付けてその場を立ち去る。

もう何度も同じやり取りを繰り返してきて、いい加減面倒くさくなったのだ。

食べ物をほぼ制覇し、飲み物も沢山買って特にもうこれ以上買う物もなくなった二人は、落ち着いて飲食できる場所を探して、祭りから少し離れた人気のない森に行き、そこにあった切り株に腰掛けた。

 

幽「やっと・・・やっと食べ物にありつけるのね~。待ち焦がれたわ~。それじゃ、いただきま~す♪」

 

そして幽々子の食事が始まった。

冥界一、いや幻想郷全土で見ても彼女に匹敵する食道楽はそうそういないであろうと思われる彼女の食べっぷりは、ただ見ているだけで空腹が満たされていくと妖夢が言うほどであった。

掻きこむわけではなく、がっつくわけでもなく、見た目にはとても優雅なゆっくりとした所作でありながら何故か途轍もない速度で大量の料理がその数を減らしてゆく。

一説にはあのゆっくりした動作は残像で、実際は天狗の眼を以ってしても追えない速さで食べているとさえ言われるほどだ。

そして幽々子が食事を開始してから数分、およそ150人前ほどあった料理がすべて平らげられた。

 

幽「ごちそうさま~。美味しかったわ~♪じゃあ妖夢、さっきの飲み物をひとつ取ってちょうだい。」

妖「さっきの飲み物・・・これですね。あれ?幽々子様、これ飲み口が塞がっているようですが、どうやって飲むんでしょう?」

幽「どれどれ・・・あら、本当だわ~。どうやって飲むのかしらねえ?」

 

ラムネという飲み物を初めて見る二人は、その一風変わった飲み方に戸惑っていた。

飲み口を塞いでいるビー玉を道具を使って落とさなければ飲むことは出来ないのだが、その道具の存在に二人は気づいていなかったのだ。

 

幽「困ったわ~・・・さっきのお店の人に聞いてみようかしら?」

妖「あ、ちょっと待ってください、何か道具のようなものがあります。これでそのガラス玉を落とすんじゃないですか?」

幽「でかしたわ妖夢!さあその道具をこっちにちょうだい!」

 

開け方が分かるや否や、妖夢から道具を奪い取って開封しようとする。

だが、飲み口を塞ぐビー玉は意外ときつく嵌っており、腕力が全くと言っていい程無い非力な幽々子には開けるのが困難だった。

全力を込めて押し込んでもビー玉はビクともせず、数回の挑戦で幽々子は力尽きてしまう。

 

幽「だ、だめだわ・・・・全然開かない・・・妖夢おねがい~・・・・」

妖「そんなに固いですか?どれ・・・」

 

妖夢が道具を用いてビー玉を押すと、先ほどとは違ってあっさりとビー玉は落ちた。

お嬢様暮らしが長い幽々子と、日頃から剣術修行で鍛えている妖夢との圧倒的な身体能力の差が出た瞬間だった。

 

妖「・・・・全く何てことありませんでしたね。本当に力入れてましたか?」

幽「入れてたわよ~、妖夢が強すぎるの。まあ何はともあれこれで飲み物にありつけるわ~。」

妖「私が強いというか、幽々子様が非力すぎるのでは・・・」

 

幽々子の言葉に妖夢は反論するが、ラムネを飲み始めた幽々子の耳には届いていなかった。

主人に少しは運動をして欲しいという妖夢の願いはまるで届かなかった。

 

幽「妖夢~!次のやつちょうだい~!」

 

今持っていたものを飲み終えると、幽々子は次のラムネを妖夢に催促する。

妖夢は手際よくラムネを開封し、幽々子に手渡す。

二人の息の合った連携により、ラムネの数は見る見るうちに少なくなっていき、ついに残り一つとなった。

その最後の一本を妖夢から差し出されるが、なぜか幽々子は頑としてそれを受け取らない。

 

妖「どうしたんですか?飲まないんですか?」

幽「ええ、その一本は荷物持ちのご褒美よ~。妖夢だって喉渇いてたでしょう?」

 

夏の暑い中大荷物をずっと持ち続けていたために、妖夢の喉は渇ききっていた。

幽々子はそれを知っていたから、最後の一本を飲まなかったのだ。

 

妖「幽々子様・・・!ありがとうございます!」

 

幽々子の気遣いに妖夢は痛み入り、大いに感動していた。

自分が仕える主は、必ずしも食べることだけを考えているわけではないのだと、他人への気遣いもできるのだと見直したのだ。

 

幽「さて、お腹もいっぱいになったところでゆっくりお祭りを廻りましょう。紫が頑張って準備してたみたいだから少しは見てあげなきゃね。」

妖「はい!お供します幽々子様!」

 

そして二人は、祭りの人混みの中へと戻っていった。

祭りには食べ物の屋台の他にも射的や輪投げといった遊べる屋台があり、二人はそこで遊んでいた。

特に射的においては日頃の弾幕ごっこで鍛えられたのもあってか妖夢が素晴らしい戦果を叩き出したり、金魚すくいで幽々子が10回連続で網を水に入れた途端破ったりと、色々ありながらも二人は祭りを楽しんでいた。

そんな中、幽々子は自分の下腹部に違和感を感じていた。

それは最初は遊びに夢中で気付かないほど小さなものだったが、時間が経つにつれてどんどんと大きくなっていき、幽々子を苛んでゆく。

 

幽(ちょっと飲みすぎたかしら・・・?お手洗いに行きたくなってきたわ・・・・)

 

その違和感の正体は先ほど大量に飲んだラムネによって引き起こされた尿意であった。

遊びに夢中になっている間に無視できないほど大きくなっていた尿意が、幽々子から落ち着きを奪っていく。

輪投げで遊ぶ妖夢の横でもじもじと小さく腰を揺すって迫り来る尿意に抵抗するが、ラムネを一気に飲んだために尿意も急激に膨れ上がっていき、このままではそう遠くないうちに決壊してしまいそうだった。

 

幽「ね、ねえ妖夢?これが終わったら別のところに行きましょ。もっと色んなものを見て回りたいから・・・」

妖「ええー・・・あともう一回だけやらせてくれませんか?もうちょっとでいけそうなんです。」

 

堪えきれなくなって妖夢にもう輪投げをやめるよう言うも、すっかり熱が入ってしまった妖夢はなかなか聞き届けようとはしなかった。

結局余計に一回やらせる破目になり、そうこうしているうちに幽々子の尿意はかなり限界に近づいていた。

 

妖「うう・・・あとちょっとだったのに・・・あともう一回やらせてくれたら景品取れたのに・・・」

幽「だめよ・・・あれが最後って・・・言ったでしょ・・・?」

 

輪投げ屋から離れ、不満げに愚痴をこぼす妖夢に対して息も絶え絶えになりながら答える。

もう、ただ会話をするだけでも幽々子にとっては辛いのだ。

顔色も少し悪くなり、重くなった下腹部を庇うように前かがみになって歩く。

無意識のうちに両手が股間に向かい、出口を押さえようと勝手に動こうとするが幽々子はそんな身体の反射を必死に抑え込む。

はしたない姿を見られたくないという一心で、幽々子は両手の支えなしで尿意に立ち向かう。

 

妖「幽々子様、少し様子がおかしいですけど・・・大丈夫ですか?」

 

幽々子の様子がおかしいのに気づいた妖夢は、幽々子を心配して声をかける。

 

幽「だ、だい・・・じょうぶ・・・心配・・・しないで・・・」

 

蚊の鳴くようなか細い声で幽々子はこう答えたが、どう見ても大丈夫ではないその様子に妖夢の心配は募る。

幽々子の身に何が起きているのか知らない妖夢は、何がここまで幽々子を苦しめているのか疑問だった。

 

妖「あの幽々子様、私たちはどこに向かってるんでしょうか?今まで行った事ない屋台もありましたけど通り過ぎましたし・・・」

 

そして妖夢は幽々子にどこに向かっているのかを聞いた。

幽々子の目的地は言うまでもなく祭りの会場のどこかにあるトイレだが、幽々子が尿意を我慢していることをしらない妖夢にはわかるはずのないことだった。

幽「あ・・・えっと・・・そのね・・・」

 

妖夢の質問に対して幽々子は答えることが出来ずに、口ごもってしまう。

たとえ相手が自分の従者であろうと、「トイレに行きたい」などとは言いたくなかったのだ。

だが、そうして悩んでいる間にも尿意は容赦なく幽々子に襲い掛り、そして・・・

 

ぷしゅ...しょろろ...

 

幽「・・・・っ!!?」

 

大きな尿意の波が押し寄せ、堪えきれなくなった分が少しだけ漏れ出てしまったのだ。

自分の内腿を伝う温くて不快な感触に、幽々子はもう時間が無い事を悟った。

そして幽々子は、覚悟を決めた。

 

幽「あのね・・・その・・・お、お手洗い・・・探してるの・・・・」

妖「あ、そういう事でしたか・・・もう、あんなにたくさん飲むからですよ!でも困りましたね・・・私も場所は知りませんし・・・」

 

妖夢へ勇気を振り絞ってトイレを探していることを伝えたものの、妖夢もその場所を知らず、幽々子の頭を絶望がよぎる。

だがちょうどその時、妖夢があるものを見つけた。祭り会場の地図だった。

 

妖「あ!地図を見つけましたよ幽々子様!これによるともうすぐそこにあるみたいです。良かったですね!」

 

すぐ近くにトイレがある事を知り、少しだけ安堵する。

だが、いざトイレに行ってみるとそこには・・・

 

幽「そんな・・・・二時間待ち・・・・!?」

 

たくさんの女性が行列をつくって順番待ちをしていた。

最後尾には看板を持った人がおり、その看板には二時間待ちと書かれていた。

幽々子の脳裏を再び絶望がよぎる。今の時点でもういつ決壊してもおかしくないのに二時間など、我慢できるわけがなかった。

それでも幽々子は列に並んだ。そうする以外になかったのだ。

 

幽「はあ・・・はっ・・・・!はあっ・・・!んうぅ・・・っ!」

 

はあはあと苦しげな吐息を吐きながら、必死に尿意を抑え込む。だがその我慢の終わりは果てしなく遠い。

額を玉のような汗が伝い、膝はガクガクと震えて幽々子の限界が近づいていることを物語る。

周りの人からは見えないが、幽々子の太ももにはもう何本も液体の伝った筋ができていた。

幽々子の着ている服は和服であり下着を身につけていないため、少しずつ漏れ出た尿は何にも阻まれることなく足首まで伝っていく。

 

幽(だめ・・・出ちゃだめ・・・!まだ出ちゃだめえ・・・!!)

 

断続的に押し寄せる大波に、幽々子の堤防はもうヒビだらけでいつ崩壊してもおかしくない状態だった。

そんな状態になっても尚、トイレへの列はまだほとんど減ってはいない。どう見ても幽々子が漏らす前にトイレに辿り着くのは不可能だった。

 

妖「幽々子様、もうここでするのは諦めた方が良いと思います・・・列も全然減っていませんし、どこかの茂みで済ませてくるしかないと思います。」

幽「で、でも・・・茂みでなんて・・・」

 

最早このトイレでするのは無理だと察した妖夢は、幽々子に茂みで用を足すことを提案した。

だが幽々子は、恥じらいから茂みで用を足すことをためらっていた。

だが、その時に尿意の波が襲い掛かり、幽々子に悩んでいる時間など無い事を告げる。

最早一刻の猶予も無いと知った幽々子は、恥じらいながらも覚悟を決めた。

 

幽「わ、わかったわ・・・で、でも・・・その・・・ちゃんと見張っててね・・・?」

妖「はい、それはもう任せてください。」

 

そして幽々子は覚束ない足取りで近くの茂みへと向かい、そこで腰を下ろす。無駄な毛の少しもない幽々子の綺麗なスリットが夜の空気に晒される。

妖夢を辺りの見張りにつけたが、恥じらいからかなかなか出てくれない。

さっきまであれほど出そうだったにも関わらずなかなか出てこないので、幽々子はやきもきしていた。

出来るなら早く済ませたいのに、それができないのだ。

しばらくいきむと、幽々子の縦すじが尿に圧迫されて少し膨らみ、じんじんとした痛みが尿道に走る。

そしてついに、それが尿道から迸り出ようとした瞬間、幽々子の目の前に見覚えのある空間の裂け目が現れた。

 

幽「な・・・!?あ・・・ゆ、紫・・・・!」

 

スキマが見えた瞬間、幽々子は慌てて立ち上がり、何でもなかったかのように振舞う。

だが一度出かけた尿を再び止めるのは難しく、紫と対面している最中にもじわじわと漏れ出ていた。

無理矢理せき止めた尿が膀胱内で暴れ回り、既にぼろぼろの幽々子の水門を開こうと押し寄せる。

 

幽「ど、どうしたの・・・?な、何か・・・用・・・?」

紫「いえね・・・さっきは無視されたからもう一回言おうと思ってね。私歌うから、たとえあんたに無視されても歌うから!」

幽「あ・・・そ、そうなの・・・・よくわかったわ・・・わかったから・・・はやく・・・早く・・・行って・・・・・!」

 

ぶじゅじゅじゅっ....ちゅる....しょろろろ...

 

余りにもタイミングの悪い紫の決意表明。力強く決意を語るも幽々子の頭にはもう今にも決壊しそうな尿意のことしかなかった。

友達のいる前で漏らすのだけは嫌だと幽々子は必死の想いで迫り来る尿意に抗う。

そんな幽々子の必死の想いが通じたのか、それだけ言うと紫はすぐに帰っていった。

 

紫がいなくなり、誰も幽々子の恥態を見る者はいない。ぐいぐいと両手を股間に押し込み、出口を塞いで尿意を抑え込む。

今の紫の出現により、茂みでする気力をすっかりなくしてしまった幽々子は、勝てるわけの無い絶望的な戦いへ身を投じようとしていた。

 

幽「お、お手洗いで・・・する・・・の・・・!お手洗い・・・お手洗いで・・・・・するの・・・!」

 

よちよちとした足取りで幽々子は祭りの会場へと、行列の未だ減らぬトイレへと戻ってゆく。

耐えきれるわけがないと知っていながらも、幽々子はもうこうすることしかできなかった。

幽々子が立ち去ったことに気づいた妖夢が急いで後を追い、幽々子に合流する。

妖夢は茂みで済ませたはずの幽々子が今もまだ辛そうにしているのを見て首を傾げたが、幽々子の余りに辛そうな姿を見て聞くのをやめた。

 

幽「はあ・・・・はっ・・・!お、お手洗い・・・お手洗いぃ・・・!」

 

近くに妖夢が来たことにすら気づかないほど追い詰められているのか、妖夢が隣にいるにも関わらずうわごとのようにトイレの名を呼び続けている。

その両手は人前だというのに股間を押さえており、幽々子がもうそんなことを気にすることすらできない状態になっていることを伺わせる。

すでに限界などとっくに超えていて、今歩いている間にも少しずつ小便が溢れ出ており、幽々子が歩いてきたあとには水滴の痕が点々と残っている。

だがそれでも完全な決壊を迎えていないのは、幽々子の絶対に漏らさないという強い意志の賜物だった。

 

幽「おてあらい・・・・お小水・・・おしっこ・・・・お手洗い・・・・おしっこぉ・・・!」

 

頭の中が用を足すことで埋め尽くされているのか、ぶつぶつと独り言を呟き続けている。

今まで長い間我慢してきて、心も身体もぼろぼろだった。

ぐいぐいと両手を押し付けている股間の部分の布は湿って変色し始めており、襦袢越しにも着物に染みができてしまうほど、もう幽々子に余裕がないことを告げていた

幽々子の決壊する時は、もう間近に迫ってきていた。

 

 

そんな時、辺りが急に騒がしくなった。

 

紫「あたしの歌を聴けええっ!!」

 

いつの間にか幽々子は紫のライヴ会場の近くに来ていたようで、周囲を熱気に溢れる男たちに囲まれてしまっていた。

大音量で紫の歌を響かせるスピーカーの音波振動。その振動がお腹に響き、幽々子の決壊を加速させる。

 

幽「だめ・・・はなれなきゃ・・・・出ちゃう・・・」

 

耐えかねた幽々子がその場を離れようとした、ちょうどその時

 

(罪)「うおおおおおおおお!!ゆかりいいいいいいぃいいいん!!!!」

 

興奮が頂点に達した熱狂的ファンの一人が腕を大きく振り上げ、紫に声援を送ろうとした。

その振り上げた腕が、限界間近でぱんぱんに張り詰めた幽々子の下腹部を直撃したのだ。

 

幽「あ・・・・・・!?かはっ・・・・・・!!」

 

振り上げた腕の勢いは強く、限界寸前の幽々子の膀胱に耐え難い衝撃を与える。そして・・・

 

 

 

 

ぶしゅううううううぅー!!!!!ぷしっ!!ぷっしゃああああああー!!!

 

 

 

ついに決壊は始まり、押さえた手の隙間から凄まじい勢いで飛び散っていく。

ずっと我慢し続けていただけにその勢いは凄まじく、紫の歌にも負けないほどの大きな放尿音を響かせる。

その音に気づいた周りの人々が一斉に幽々子から離れていく。妖夢を除いて。

凄まじい勢いで飛び散る幽々子のおしっこは近くにいた妖夢の膝下あたりにまで飛び散り、びちゃびちゃに濡らしていく。

 

幽「やだ・・・!止まって・・・とまってえ・・・!!!」

 

必死に止めようとするが、度重なる我慢で疲弊しきった幽々子にはこの勢いを押し留めることなど到底できず、どんどんと大きくなる足元の水溜りを見ながら泣きじゃくることしか幽々子にはできなかった。

 

幽「えぐ・・・・ぐすっ・・・・みないで・・・・見ないでえ・・・・!!」

 

泣きべそをかきながら自分の恥態を見ないよう周囲の人に懇願するが、周りの人たちの好奇の視線は幽々子に釘付けだ。

妖夢ですら、目の前で主の犯した粗相から目を離すことができずにいた。

 

びしゅううー!!!しゅるるっ!しょろろろ....

 

幽々子が我慢の限界を迎えてからおよそ一分、長く長く続いた失禁もようやく勢いが弱まり始めていた。

膀胱の中身をすべて出し切り、放尿が完全に止まると同時に幽々子の緊張の糸が切れ、その場にへたり込む。

 

幽「うう・・・・・うえええええええぇええええん・・・・!!」

 

そして幽々子が、声をあげて泣きはじめた。

長い我慢による疲労と、それも空しく漏らしてしまったこと、そしてそれを人に見られてしまったこと、それらが合わさって幽々子の心をぼろぼろにしたのだ。

 

妖「幽々子様・・・帰りましょう。ここにいたら駄目です。」

 

そして妖夢は泣きじゃくる幽々子を抱え、白玉楼へと帰っていった。

あとに残ったのは、呆気に取られる周囲の人々と、幽々子の作った特大の水溜りだった。

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