妖「幽々子さま、護身術のお稽古をしますよ!」
朝起きるなり妖夢が幽々子の部屋に飛び込んできて、いきなりこう言い放った。
幽「ずいぶんいきなりねえ・・・・剣のお稽古なんて、妖夢がいるから必要ないと思うわ~」
妖「いいえ、剣術ではありません。護身術です!!」
いったい何が違うのか、それが幽々子にはわからなかった。朝からやる気に満ち溢れている妖夢に幽々子は少し引いていた。
妖「ということで幽々子さまにはこれから、閉ざされた部屋の謎を解いて脱出してもらいます!」
幽「ええと、妖夢?何がなんだかさっぱりわからないのだけど・・・」
妖「幽々子さまは資産も地位も凄くあります。それを狙ってくる賊が来ないとも限りません。寝ている間に誘拐されてしまう可能性も、まったくないというわけではないでしょう」
幽「冥界くんだりまで来る賊なんてそうそういない・・・・わけでも・・・・ないわね・・・・」
貧乏で、力もあり、冥界に容易く来ることのできる紅白が頭をよぎる。あるいはそれよりも性質の悪い白黒が幻想郷にはいるのだ。彼女ら自身が来ることは恐らくないとしても、把握していないだけで冥界に来るだけの力を持つ賊がいないと断言することはできなかった。人間でありながら強い力を持つ前例があるのだから。
妖「そんな賊に、たとえば結界つきの部屋なんかに閉じ込められたりでもしたら大変です。そんな時でも慌てず騒がず、対策を考えることができるようになるための訓練なんです」
幽「そういう賊を撃退するのも妖夢の仕事だと思うんだけど・・・・」
妖「もし私が負けたり、いない時に来られたりしたら大変でしょう。さ、いいからやりますよ!もうお部屋の準備もできてるんですから!」
幽「ええ~・・・・・・・」
妖「・・・・・・脱出した時間に応じて、今月のおやつ代を増やそうかと思ってたんですが・・・・お嫌でしたら仕方ないですね」
幽「さ、行きましょうか。お部屋はどこ?」
渋る幽々子に対して褒美をちらつかせ、見事に釣り上げる妖夢。哀しいほど食欲に忠実だった。
先ほどの様子から一転して瞳を輝かせる幽々子。その一方で妖夢は、内心でほくそ笑んでいた。
妖(・・・・・計画通り)
そう、これは幽々子のためを想っての訓練などではない。先ほど並べ立てた理屈はすべてでっち上げである。妖夢の目的は、それとは別にあった。
そんなことを知る由もなく、幽々子は嬉々として妖夢に部屋を案内させる。
妖「さ、着きましたよ幽々子さま。この部屋に今から鍵をかけますから、脱出してみてください。脱出する時間が早いほど、ご褒美も豪華になりますよ。頑張ってください!」
幽「は~い、おやつ代のために頑張るわ~!」
そうして妖夢が部屋から出て行き、出入り口の扉に外から鍵をかける。今から、幽々子の脱出訓練が始まるのだ。
幽「さて、まずは・・・・」
部屋に一人残された幽々子はまず、部屋中を見渡して状況を整理する。
幽(まずは妖夢が出て行った扉ね。詰まるところこの扉の鍵を探してあければいいのよね)
まず幽々子が確認したのは、目下最大の目標である扉である。これは日本家屋である白玉楼には似つかわしくないもので、現代風の重厚な金属の扉であった。
どちらかと言えば金庫の扉に近いような趣の扉で、幽々子の力では到底破れそうもない代物だった。
術による破壊も試みてはみたものの、そもそも術自体が使えなくされてしまっていた。部屋全体に結界が張られているのだ。
幽(まあ、当然と言えば当然よね・・・・でも妖夢だけの力で私の力を封じるほどの結界は張れないでしょうから、よっぽど念入りに準備したのね。そんなに重要なお稽古なのかしら・・・・)
高価な触媒を用いて張られた結界の中では幽々子といえど術が一切封じられてしまっており、現状の幽々子は普通の女性と何ら変わらない状態になっていた。
この状態で部屋から出る方法は一つである。この扉を開けることのできる鍵を探すこと、それ以外に方法はないと言えた。
幽(なら次は、鍵のありそうな場所探しね。ぱっと目に付くのは・・・・小さいたんす、戸棚、大きな壷、お花の活けてある花瓶、掛け軸・・・・このぐらいね。まずは戸棚から見てみましょうか)
幽(あら、これは・・・!)
戸棚を開けて中を覗くと、幽々子は思わぬ物を発見した。
中にあったのは、お茶の入った急須と湯呑み、そしてお茶請けの団子だった。
幽「妖夢も気が利くわねえ~!せっかくだからいただこうかしら」
少しも迷わず、幽々子は戸棚にあった一式で一服し始めた。お茶の道具が一式揃っているとあってはそうせずにいられない性である。
だがこれは、決して妖夢の厚意で用意されたものなどではない。これは幽々子を貶めるための罠である。
このお茶道具に隠された意図。それは一つに時間稼ぎの面がある。脱出を成し遂げた際の褒美は時間に応じて豪華になるため、ここで時間を無駄に浪費させれば褒美を少なくすることができるのだ。
そしてここで幽々子にお茶を飲ませることにはもう一つの意図がある。これこそが妖夢にとって本懐とよべるものであった。
幽「・・・・ん、ごちそうさまでした。さて、おいしいお茶もいただいたところで、もう一度念入りに戸棚を見てみましょうか」
そのお茶が罠であることを知る由もなく、幽々子は数分ほどであるが休憩を楽しんだ。
それが終わるなり、探索を再開する。
幽(まあ、こんなところにあるなんてとても思えないけれど・・・・・ん?奥の方になにか・・・・・)
幽「・・・・・え?」
戸棚を探っていた幽々子が奥のほうで見つけたもの。それを手にしたとき、冷静な幽々子も驚きを隠せなかった。
そこにあったものは、鍵だったのだ。
幽(え、いくらなんでもこれは・・・・・・あの子、肝心なところでずさん過ぎないかしら・・・・・)
専用の部屋をわざわざ作り、高価な触媒を用いた結界を張るなど念入りに準備をしていたその結果がこれほどにあっけないものだということに、幽々子はなんともいえない気持ちにさせられる。
幽(あの子もまだまだ、子どもなのねえ・・・・)
そんな事を思いながら、幽々子は手にした鍵を扉に指し込み回す。すると次の瞬間、扉から大きな音が鳴り響いた。
ダララララララララララ........
幽「え・・・・・?なに、この音・・・・・」
急に鳴り響くドラムロールの音に戸惑いを隠せない幽々子。そんな幽々子にお構いなく、今度は録音したものと思しき妖夢のアナウンスが流れる。
ダララララ.....ジャーン!!ざんねん、はずれー!!
幽「え、は、はずれ?どういうこと?」
幽「あ、そういうことね・・・・・やっぱりそうそう簡単に物事は進まないのねえ・・・・」
唐突な出来事に初めは戸惑った幽々子であったが、すぐに状況を理解して落ち着きを取り戻した。
すなわち扉の鍵は複数あり、その中の当たりを引かねば扉は開かないのだ。今幽々子が差し込んだものは、扉を開けることのできないはずれだったということである。
幽(まあそういうことなら、当たりを引くまで探せばいいだけよね。別にそう難しいことじゃあないわね)
気を取り直して、幽々子は探索を再開する。ひとまずめぼしいところを当たり、数分で数個の鍵を確保した。
ひとまずこの数個の鍵を差し込んで試してみるも、全てはずれだった。
幽(さて、いま見たのはたんすと戸棚、ついでに戸棚の後ろも見たのよね。でそれがはずれとなると、次に見るのは・・・・)
幽「んっ・・・・・・」
また別の鍵を探そうとしていた幽々子に襲い来る、焦燥を伴う悪寒。忘れもしない、何度も苦しめられたあの感覚が襲い来る。
幽(まいったわね・・・・朝起きてすぐに来るものだから、お手洗いに行ってないんだったわ・・・・・)
閉じ込められた状況で湧き上がる尿意。タイミングは最悪と言ってよかった。幽々子にとっては。
だが、もう一人にとってはそうではない。
妖(フフ、今ぶるってしましたね。朝早くお呼びして、お茶を飲ませたかいがありました)
幽々子には知らせていないが部屋には目に見えないほど小さな河童謹製マイクロカメラが無数に設置されており、幽々子の動向は別室にいる妖夢に筒抜けだった。
妖夢は初めから、このつもりで幽々子を閉じ込めたのである。尿意を抱いた幽々子に脱出ゲームを強いるこの状況に妖夢は大きな興奮を感じていた。
妖(さあ幽々子さま、無事に脱出してお小水を済ませることができますかね?)
そんな妖夢の企みに気づくことなく、幽々子は閉ざされた部屋から脱出する術を探していた。
幽(今はまだ平気だけど、時間が経つとまずいわね・・・・なるべく急がないと)
尿意を感じてしまった以上、時間との戦いになる。豪華な褒美とは別に急がなければならない理由ができてしまった。
だがそれでも、幽々子は特段焦ってはいなかった。やることは明確であるし、鍵などを隠しておける場所はそう多くないのだから。
たんすと戸棚を除くめぼしい場所は、花瓶と壷である。掛け軸の裏は既に確認したが何もありはしなかった。
まず幽々子は花瓶の中を見てみることにした。綺麗に活けられた花を台無しにしてしまうことに罪悪感はあったが、やむをえなかった。
花瓶の花を取り出して横たえさせ、ひっくり返す。するとチャリンと音をたてて二つの鍵が落ちてきた。
そして活けられていた花を念入りに確認すると、花びらの内側にもう一つの鍵がひっかかっていた。
一度に三つの鍵を発見した幽々子は、花と花瓶を元に戻す。次に幽々子が向かうのは、部屋の隅に佇む大きな壷である。
幽(めぼしいものはこれで最後・・・・ここにあるといいけれど)
ひとまず幽々子は壷を上から覗き込む。だが壷の口の部分は狭く、奥の方は暗くてよく見えない。
腕を入れて探そうとするも、大きな壷は幽々子の腕より深く底の方まで腕が届かなかった。
やむなく幽々子は壷をひっくり返そうとする。だが・・・・・
幽「う、んっ・・・・・んん~・・・・!!!」
かなりの大きさがある陶器の壷はそれなりに重く、幽々子の腕力では持ち上げることができなかった。
それでもなんとか持ち上げてひっくり返そうと頑張る幽々子であったが、その最中で突然うずくまってしまう。
幽「あっ・・・・・!!?」
幽(い、今ちょっと・・・・!?)
持ち上げようとしていた手を離し、お腹をさすりながらうずくまる。
力を入れて踏ん張った拍子に、少しだけ出てしまったのだ。
幽(だ、だめ・・・・そっとやらないと・・・・)
尿意を抱えた身体になるべく負担をかけないため、幽々子は別の方法を取る。壷を引き倒し、それから逆さまに立ち上げる。
すると小さな音とともに、ひとつの鍵が現れた。
幽(これで、よっつ・・・・・当たりがあるといいけど・・・・)
目に付くところはすべて調べた。見つけた鍵の中に当たりがないとしたら、かなりの時間がかかってしまう。
若干の緊張を覚えながら、幽々子は見つけた四つの鍵を扉に差し込む。
ダララララララララララ......
幽(さっきから思ってたけど、この演出いるのかしら?普通にすぐ当たりかはずれか教えてくれればいいのに・・・・)
尿意のせいか気分ばかりが先走り、すぐに答えを教えてくれないこの無駄な遊び心に不満を抱く。
妖夢にしては凝っているこの演出を普段なら面白いとして評価するところだが、今はわずかな時間さえ惜しい。
さらにその上、引き伸ばした結果がはずれとなれば幽々子もさすがに多少の苛立ちを覚える。
幽(はずれの時ぐらい、すぐに教えてくれたって・・・・・!)
だが、そんな事を思ってもなにも変わりはしない。幽々子は諦めて次の鍵を差し込む。
相変わらずの無駄な演出に辟易しながら、幽々子は四つの鍵を次々試していく。
幽(これが、最後・・・!おねがいっ・・・・!)
そしてとうとう、残された鍵もあとひとつとなった。心の中で祈りながら、幽々子は最後の鍵を差し込む。
ダラララララララララ....ジャーン!!ざんねん、はずれー!!
幽「そ、そんな・・・・!」
幽(目につくところは全部見た。ということは、正解は目につかないところにあるということ・・・・もうっ、急いでるのに・・・・!!)
最後の鍵を差し込んだ果ての結果に、幽々子は落胆を隠せなかった。心のどこかではこういった可能性があることも理解していたが、実際にその結果を突きつけられるとやはり辛いものがある。
それも仕方のないことである。平常時ならばともかく今の幽々子には急がなければならない理由があるのだから。
幽(いえ、だめよ落ち着かないと・・・・・まず深呼吸して、よし・・・・・)
幽(目につくところは全部見たんだから、つまり普通なら隠さないようなところにあるということ・・・・となると、壁か床がまず真っ先に思いつくわね。でも壁にはこれといって何かあるようには見えないから・・・・床をまず、見てみましょうか)
それでも幽々子は逸る気持ちを抑え、気持ちを落ち着けて再度思案する。やはり、永い年月を経た妖怪であることは伊達ではなかった。
身体は落ち着きがなくもじもじしているが、頭はひとまず冷静に物事を考えている。
そうして考えた結果、幽々子は床の畳を剥がしてその下を見てみることにした。
だが、この部屋の広さは12畳。12枚の畳を剥がさなければならない。それはかなりの手間である。
しかしそれでもやる他はなかった。ほかになんの手がかりもないのだから。
幽「ん、しょ・・・・・っ!!」
まずは一枚、部屋の隅から一枚ずつ引き剥がしていくことにした。
だが、ここで大きな問題が発生した。畳が、重すぎたのだ。
幽「んん、うんんん~~~~~~~・・・・・!!!」
畳一畳の平均的な重さは30kgほどある。辞書以上に重いものを持つことがほとんどない幽々子にとって、これほどの重量はとても持ち上げられるものではない。
さらにその上、今はあまり身体に力を入れられる状態ではない。作業は困難を極めた。
とはいえ目的はあくまでも畳を剥がしてその下にあるものを確認するだけである。完全には持ち上がらなくとも、ただずらすことができれば十分なのだ。
ただ、それさえも困難なだけである。
幽「はあ、はあっ・・・・!!」
幽(ああ、もうっ・・・・・!どうしてこんなに重いの・・・・!)
片方の腕を畳の端に指し込み、もう片方の手で股間を押さえる。そうこうしているうちに、幽々子の尿意はかなり高まってきていた。
ようやく取り戻した頭の落ち着きも吹き飛び、また焦りに支配される。持ち上がらない畳と、湧き上がる尿意とに板ばさみになる。
幽(はやくっ、はやくぅ・・・・っ!!)
幽々子の焦りが頂点に達したとき、やっと畳が僅かにだが持ち上がった。
そのまま別の畳の上に乗せ、横に引きずってずらす。
すると畳が敷かれていたところの下から、小さな袋が現れた。
その中には、幽々子の捜し求めていたものが入っていた。
幽「や、やったわ!よかった・・・・」
まさか一番最初に開けたところにあるとは思っておらず、幽々子は安心していた。このまますべての畳を剥がすことになっていたなら、最悪の事態も考えられたからだ。
ともかくこれで脱出できると、幽々子は喜び勇んで扉の前に向かう。
ダララララララララララ......
幽(だから、こんなのはいいからはやくっ・・・!)
もじもじ、とんとんと身体を揺すりながら、幽々子は冗長な演出を待つ。
ダラララララ......パンパカパーン!!!おめでとうございます!!おおあたりーー!!!
幽「や、やっと終わった・・・・お手洗い・・・・!」
ガチャンッ....ガチャガチャッ....
だが、なぜか扉は開かない。戸惑う幽々子に、アナウンスが語りかける。
では、引き続き脱出をがんばってください!!!
幽「は・・・・?え、どういうこと・・・・・!?なんで、どうして開かないの!!」
幽々子は混乱しきっていた。幽々子の刺した鍵は間違いなく正解のものであったし、アナウンスもそう言っている。なのになぜ、扉は開かないのか。
その答えは至って単純である。つまり、脱出のための出口はこの扉ではないのだ。この扉はただのダミーであり、外からしか開けることのできない扉なのだ。
すなわちこれは始めから、幽々子に時間を無駄に消費させるための罠だったのだ。
幽「どういうことなの!?妖夢っ、ようむううっ!!!」
ガチャガチャと何度も鍵をひねり、ドアノブを回すが当然なんの意味もなく時間だけがすぎてゆく。
尿意に圧されて冷静さを欠いている今の幽々子は、少し考えれば無駄とわかることにも気づけずにいた。
幽「はやくっ、はやくっあいてええっ!!でないと・・・・でないと、私っ・・・・!」
こうしていれば扉が開くということがあるはずもないが、今の幽々子はこうせずにはいられなかった。
既に尿意は限界近くまで高まっており、股間を押さえる手を離すことができなくなっている。そんな状況で冷静になるほうが無茶と言えた。
だがそれでも、冷静にならなければならない。いつまでこうしていても何の解決にもならないのだから。
幽(お、落ち着いて、落ち着くの・・・・!!なんでかわからないけど、この扉はなにをどうやっても開かないものなの、だから・・・・!!他の出口を探さな、探して、お小水・・・・!!)
幽(違う、そうじゃなくて・・・!出口の手がかりを探さなくちゃ・・・・!!出たらすぐお手洗い・・・・!!でも、でも・・・・・)
幽(何から探せばいいの・・・・・!?もうなんにも心当たりなんかっ・・・・!このままだと、このままじゃ・・・・ほんとうに・・・・!)
幽(お小水っ・・・・!したいのに、我慢、限界なのに・・・・!!どうしてなんの手がかりもないのっ・・・・!?)
判断力が完全に鈍り、普段の聡明な頭脳を発揮できなくなっている。脱出の方法を考える前に、雑念が入り込む。
こんな絶望的な状態で、何の手がかりもないまま出口を探さなければならない。それも時間はかけられない。短時間で見つけなければ、脱出する前に我慢の限界を迎えてしまう。
幽「ふーっ・・・・ふぅぅっ・・・・・!!」
あてもなく部屋を探し回るが、焦りに支配されて判断力が鈍った状態では碌な発見もなく、ただ時間と尿意だけが募っていく。
それによりさらに幽々子の焦りも大きくなり、余計に判断を鈍らせる。悪循環に陥っていた。
腰をくねらせながら、落ち着きなく部屋中をただうろつきまわる。もはや自力での脱出は不可能だった。
そしてとうとう、幽々子はおやつ代を諦めて最後の手段に出る。
幽「よ、妖夢っ!!おねがい、扉あけてええっ!!もう諦めるから、降参するから!だからこれっ・・・・あけてぇぇっ・・・・!!!」
幽「わ、私ずっと・・・・お手洗い行きたくてっ・・・・!もう限界なの!だから、だからぁ・・・・!!」
扉の外にいるかもわからない、聞こえているのかもわからない妖夢に、懇願する。もはやそうするしかなかった。一瞬でも気を抜けばすぐにでも漏らしてしまいそうな極限状態で、いまだ何の手がかりもない出口を探すなど不可能だった。それゆえの懇願である。
しかし妖夢はそれを、聞こえていない振りをして黙殺する。幽々子の必死の訴えに返事することなく、ただカメラ越しにじっと幽々子の決死の我慢を見つめる。
モニタを見つめる妖夢の股間からは、クチュクチュと湿った音が鳴っていた。
妖(ああ、もう限界なんですね幽々子さま・・・!いいですよ、たくさんおしっこ、出してください・・・・!)
股間をまさぐる手の動きも徐々に早くなり、幽々子の失禁に合わせて絶頂しようとラストスパートをかける。
その妖夢の視線の先で、幽々子もまた限界を迎えようとしていた。
幽「ようむっ・・・・ようむぅ・・・・・!!あけて・・・・おねがいだから、あけてぇ・・・・・!!もう、もう・・・・・・!!もれ、ちゃ・・・・・っ!」
床にぽたぽたと水滴を滴らせながら、幽々子は扉のノブに必死で縋りつく。もう自力で立つことすらできないほど追い詰められていた。
叶わぬ懇願を繰り返しながら、幽々子はついに最後の時を迎える。
幽「あっ、ぁ・・・・・!!」
ぷしっ、ぴゅるるっ....
ひときわ勢いよく飛び出た小水の雫。それが最後の決壊の呼び水となった。
幽「だめっ、でちゃ、でっ・・・・・・ああぁ・・・・・・・っ!!」
ぶじゅじゅじゅじゅっ、じゅじゅじゅううううううううぅぅぅ......
とうとう始まってしまった幽々子の失禁。抑えた手の隙間から勢いよく黄金色の聖水が飛び散っていく。
くぐもった放尿音を響かせながら、昨日の晩から溜まった尿を噴き出す。太ももを伝う温かな感触に幽々子は身震いする。
幽「い・・・・や・・・・!!いやぁ・・・・・!!とまってぇぇ・・・・!!」
ぎゅうぎゅうと股間を押さえ、押し留めようとするが限界を迎えた身体はもはや思い通りには動いてくれなかった。
長く辛い我慢に疲れきり、開いた尿口から無情にも流れ出ていく羞恥の滝。びちゃびちゃという音を響かせ、足元に大きな水溜りが出来上がっていく。
そんな様子を見ながら妖夢は、一心不乱に己の秘所を掻き乱す。
妖「はあっ、はあっ・・・・!!幽々子さまのおしっこ・・・・!!幽々子さまの、お漏らしぃ・・・・!!!あっ、はあぁっ・・・・・!!!」
妖「あああ、おしっこ、おしっこっ、おしっこ・・・・・!!幽々子さまのぉぉ・・・・!!!はあっ、はああうん・・・・・っ!!」
幽々子が股間から黄金水を噴き出す様を見ながら、妖夢は絶頂に向かって駆け上がっていく。
高性能カメラが映す幽々子の恥態、集音マイクが拾った放尿音。それらが妖夢の理性を蕩かして恍惚へと導く。
妖「ああっ、いく・・・・!!いきますっ、幽々子さま、ゆゆこひゃまああっ♡」
自らの作った水溜りにへたり込む幽々子の姿を見ながら、妖夢は絶頂に達した。よだれを垂らし、恍惚とした表情を浮かべて。
一方の幽々子は、対照的に呆然と俯いていた。
妖「はぁぁ・・・・・♡幽々子さまのお漏らし、何度見ても最高ですぅ・・・・♡あの幽々子さまがぷるぷる震えながら必死に我慢して、それでも我慢できなくてお漏らし・・・・なんて素晴らしいんでしょうか」
妖「いつも笑顔の幽々子さまがあんなに顔をしかめて我慢して、最後には呆然とした顔でおしっこお漏らし・・・・ああ、もう一回シたくなってきましたぁ・・・・・♡」
あの水溜りさえ愛おしい。そんな事を思いながらもう一回戦に挑もうとする妖夢。
そんな時、部屋に張った結界が突然バチバチと弾け出す。突然の異変に色に狂っていた妖夢も我に返った。
妖「な、なんですかこれは・・・!?結界が揺らいでる・・・・?」
何事かとモニターを覗き込む妖夢。その向こうで、俯いていた幽々子が静かに顔を上げる。
顔を上げた幽々子は先ほどまでとはまるで別人のように凛とした表情で、扉を睨みつけていた。
妖「ま、まさか、これは・・・・!!」
妖夢は、幽々子のこの表情に心当たりがあった。見たことは片手で数えられるほどしかないが、幽々子がこの表情をするというのは・・・・
妖「ゆ、幽々子さまが・・・・・怒ってるっ・・・・!!」
そう気づいた途端、妖夢は背筋が凍っていくのを感じた。結界が揺らいでいるのも、幽々子が本気の力を解放したのに耐えられなくなっているせいだ。
普段の幽々子の力を想定して張った結界は、怒りで普段より増した力に耐えられないのだ。
ゴゴゴゴゴゴ.......
部屋そのものがまるで地震でも起きたかのように揺れ動き、結界がバチバチと悲鳴を上げる。
次の瞬間、バシュンと弾けるようにして結界が消滅した。
妖「まずい、逃げっ・・・・!!」
ズドオオオオオオオン!!!!
結界が消滅するなり妖夢は逃亡しようとするが、間に合わなかった。
轟音と共に消し飛んだ扉。その向こうから悠々と現れる、怒れる主。
妖「あ、ああ、ああ・・・・・・っ!!」
幽「・・・・・・・・・・・・・・」
身体がガクガクと震える。嫌な汗が、次から次へと溢れ出る。
無意識の内に妖夢は、気をつけの姿勢を執っていた。
幽「・・・・・ふう、やっと出られたわ~・・・・あんなに頑張ったのは久しぶりねえ、あの鬱陶しい扉も吹き飛んだし、すっきりしたわ~!」
妖(あ、れ・・・・?怒って、ない・・・・・?)
幽「ああ、妖夢お風呂の準備をしてくれる?中でちょっと大変な目に遭ったから」
妖「はっ、はい!ただ今!!」
先ほどとは打って変わって、穏やかな笑顔で話す幽々子。怒られると思っていた妖夢は、若干拍子抜けする。
そう、先ほど幽々子が怒ったのは妖夢に対してではない。先ほど幽々子が怒ったのは・・・
妖(あれはまさか、ただの八つ当たり・・・・・?)
脱出ゲームで募った苛立ち、失禁してしまった悔しさ、そういったものをただ扉にぶつけただけであった。
そう気づいて妖夢は安心するが、それでも一応機嫌を取るために今日の食事は全体的にいつもより豪華なものとするのであった。
妖(くわばら、くわばら・・・・・・)
幽々子を怒らせてはいけない。そう痛感する妖夢であった。