10/05 サブタイトルを変更しました
---神代雪夜---
昨晩は、単なる添い寝で終わった。あまりにも僕がボロボロになったことで、反省した二人。
そしていつものメンバーとまったり登校タイム。いや、いつものメンバーに神代礼が参加した。リーナも神代里奈と名前を変えていた。
「なぁ、なんで、私の制服のポッケに『赤マムシドリンク』の空き瓶が入っていたんだ?」
エリカが訊いてきた。
「お前が飲んだんだろ?僕と添い寝する前に…」
嘘の情報ではぐらかす。
「え?飲んだかな?そうだ!なんで、起こさずに帰ったんだよ!起きたら、誰もいない生徒会室にいたんだぞ!」
スルーする。
「おい!無視するな!」
スマホを取りだし、待ち受け画面を見せた。今日のは、幸せそうな顔でロングソファで寝ているエリカだ。
「おい…消してください…」
トーンダウンするエリカ。
「こんな顔で寝ている女性を、起こす勇気は無い!」
無茶苦茶な言い訳をする僕。
「こんな顔で寝ていたんだ…ねぇ、消して下さい。なんでもしますから…」
耳まで茹だったような顔のエリカ。
「あのさぁ…昨日…初エッ…した?パン…に血痕が…」
モジモジした態度で、小声で訊いてきたエリカ。
「さぁね♪覚えていないのかぁ~」
「したのね…一生の不覚だよ。まるで覚えていない…」
「『赤マムシドリンク』で興奮しまくって、覚えていないのか…」
「一生に一度のイベントがぁぁぁぁぁ~!」
凹んだエリカ。
「どうしたんだ?」
レオが割り込んできた。
バキッ!
エリカのローリングソバットが、レオの頬を撃ち抜いた。凹んだエリカは恐い。力の加減が分からないから…地面に転がるレオ。
「痛てぇ~!」
あれは痛そうだな。
「エリカ、いつか想い出を残してやる。それまで待て」
エリカの耳元で囁いた。
「えっ?うん♪待っているよ、雪夜!」
『想い出を残す?って、雪夜…まさか…』
姉ちゃんから念話…気づかれたかな?
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いつものメンバーとまったりタイム。姉ちゃんは僕を見つめている。
『雪夜…完全体で無いの?何で…ねぇ、答えてくれないの?』
スルーしまくっている。授業中もひっきりなしに訊いてきたけど…でも、姉ちゃんが暴発するとマズいかな…
『姉ちゃんは完全体だよ。心配しないでいい』
『じゃ、雪夜は…』
涙目になっていく姉ちゃん。そんな姉ちゃんに兄ちゃん、礼、里奈が気づいた。
『後、どの位保ちそうなの?』
『わからない…でも、姉ちゃん達がのんびり暮らせるまでは大丈夫♪気にしないでもいいよ』
『そんな…』
その場で急に泣き出した姉ちゃん。里奈と達也が姉ちゃんを気遣ってくれた。
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放課後、生徒会室に向かわずに、家に帰る僕達。リビングに着くなり、
「なんで、言ってくれなかったの?ねぇ、雪夜!」
激しく僕に詰め寄る姉ちゃん。
「言っても、どうにもならないでしょ?こんなに成長してしまったら、再調整なんか出来無いし」
「雪夜…完全体では無かったのか?」
姉ちゃんの様子から、僕の真実に辿り着いた兄ちゃん。
「雪夜…」
僕に縋るリーナ。
「レイモンド、無理だろ?」
知識豊富なレイモンドに訊いた。
「無理だな。産まれ出た時点で修正は効かない」
「そんな…雪夜とのんびり余生を過ごすのが夢だったのに…」
姉ちゃんが泣き崩れていく。兄ちゃんが、姉ちゃんに寄り添う。
「夕歌にも調べてもらっているが、ダメみたいだ。だけど、保険は買ってあるから、たぶん大丈夫だよ。みんなが召されるまで一緒にいられるはずだ」
「何をしたんだ?なぁ、雪夜!」
今度はレイモンドに詰め寄られた。
「魂を売った…」
「誰に?」
「魔王ルシファーと大天使ガブリエルに…」
「はぁ?」
「僕の願いは、姉ちゃんの寿命が尽きるまで、のんびりと一緒に暮らせること。供物は僕の魂と道具としての僕。それだけだ。問題無いだろ?」
「そうか…そういうことか…」
レイモンドは真実の先まで辿り着いた。
「それが、神の代理人の正体か?」
レイモンドの問い掛けを、スルーする僕。
「僕やリーナの事も願いに入れたのか…お前…」
「レイモンド、どの道、契約はしないとダメだったんだよ。泣くなよ、僕なんかの為に…」
男泣きするレイモンド。
「じゃ、雪夜…お前は今、何なんだ?」
「あぁ、今回は供物は後払いで良いって。だから、僕は僕であり続けている。だから、みんな、そんな顔しないでよ~。僕は僕なんだから。ここにいるみんなが天に召されるまでね♪」
「すまない…」
達也が…感情を封印されている達也が泣いていた。目から涙が流れている。奇跡に近い光景である。
「俺の為に…本来のお前達二人の人生を奪って…」
「兄ちゃんが原因では無い。だから、自分を責めないでいいんだよ。悪いのは、大人達だ!僕や姉ちゃん、兄ちゃん、リーナを道具の様に使い続けている輩だよ」
「だから排除するんだな」
レイモンドの言葉に、強く頷く僕。
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いつものメンバーといつもの登校タイム♪昨晩、隠さずに情報を共有したことで、神代家、司波家の面々は晴れやかな表情である。
「深雪さんは大丈夫なのか?」
エリカが訊いてきた。
「うん、大丈夫だよ。エリカをかまいすぎたから、癇癪を起こしただけだよ♪」
嘘の情報で煙に巻く。
「私のせいなのか?」
驚くエリカ。そんなエリカのお尻を『透過』して弄る。
「おい…止めろ…こんな場所で…」
モジモジするエリカ。
「あっ♪」
しまった。谷間に指が入った。色っぽい声を上げるエリカ。その声に反応して、レオが振り向くと、
バコッ!
豪快なエリカのジャンピングヘッドバットが、レオの眉間に炸裂した。その場で蹲るレオ。あれは、痛すぎるな…エリカのおでこが赤くなっている。『癒やし』の能力で、炎症と損傷を治していく。
「なぁ、今度、私の部屋で…きゃっ♪」
エリカのらしくない態度。新鮮でいいかな。
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昼休み、生徒会室に呼ばれた僕と兄ちゃん、姉ちゃん、リーナ、レイモンド…九校戦の参加予定メンバーを集めての会議らしい。これに伴い、午後の授業は無いそうだ。
「なんで、二科生がメンバーにいるんだ?」
とか
「『狂犬』は反則だと思います」
とか
問題点があぶり出されていく。
「いいですか?一高を優勝へと導くのに、一科生とか二科生とかの垣根は邪魔です」
生徒会長の真由美が熱弁を振るっている。
「今年は完全優勝が、狙えるメンバーだと自負しております」
「しかし、二科生はダメでしょ?」
バン!
十文字先輩が、机を叩いた。静まる室内。
「二科生でも能力の有る者は登用する。反則と言われようが、ルールに抵触しない限り、メンバーに入れる。魔力量だけで、レベルを測るな!」
「文句のあるヤツは、前に出ろ!」
服部先輩も声を荒上げた。誰も出ない。
「じゃ、話を続けるわよ」
強心臓の真由美が、何事も無かった様に議事を続行していく。
「警備の責任者は十文字君、副責任者ははんぞー君。で、警備の主力部隊は、司波達也君、司波深雪さん、神代雪夜君、神代里奈さん、神代礼君です」
呼ばれた僕達は前に出た。何かを声に出そうとするが出さない、差別主義者達。
「で、種目ごとの参加者は…」
淡々と決定事項を伝える真由美、
「新人戦モノリスコードは、司波達也君、神代雪夜君、神代礼君です」
あれ?レイモンドになったのか?
「あぁ、ルールを見ていて気づいた。相手チーム3名を先に戦闘不能にすれば良いってことにね。だから、僕が軍師として参加する。コードを打ち込まない良いんだよ♪」
なるほど…兄ちゃんと僕のコンビならほぼ無敵である。そこにレイモンドの頭脳が加われば…♪
「ちょっと!待った!そのチームの実力がわからない。『狂犬』が殺しまくるだけで無いのか!」
反魔法師主義の仮面を被った、差別主義者が声を荒上げた。
「なら、彼らに勝てると思う人は手を上げて♪」
誰も手を上げない。
「では、司波達也君になら勝てると言う方はいますか?」
数名手を上げた。
「じゃ、実演を頼めるかな?達也君♪」
結果は…兄ちゃんの圧勝。『術式解体』で相手の術の発動をさせずに、相手を倒してしまった。その結果、誰も文句を言う者はいなくなった。
「あぁ、レイモンドは指令塔だから、レイモンドと対戦希望者は、僕が相手をする」
って、脅しを掛けたことも効いたようだ。
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兄ちゃんは姉ちゃんとリーナ、レイモンドのCADの担当になった。僕はCADを持っていないので蚊帳の外ではある。
プレイヤーとして参加するメンバーは、エンジニアとして登録されているメンバーから、担当を選べるらしいのだが…
「雪夜さん…私達のエンジニアになってもらえませんか?」
ほのかと雫がやって来た。話を聞くと、頼りにしていた兄ちゃんは、姉ちゃん達で手一杯だったらしい。で、他を当たったそうだが、新人故に断られたそうだった。
「僕はエンジニアでは無いけど…」
「術式は書けますよね?」
「まぁ、書けるけど…」
「お願いします…」
自信が無いが、受けてしまった。その日の夜から、兄ちゃんにエンジニアとしての講義を家で受けることになった僕。う~ん…できるかな?
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いつものメンバーといつもの登校タイム…
今日は僕の周囲にはほのかと雫がいる。エリカの入り込むスペースは無い。
「どうですか?」
「あぁ、達也に習いながら、調整方法を勉強中だよ」
遣い手に合わせてのパラメーターの調整…面倒だぁぁぁぁ~!
「なぁ、超特大のヤツを1発噛ませば良いんだよな?相手よりも早く」
「でも、威力が大きいほど、発動スピードが落ちるでしょ?」
うん?そうか…
「発動スピードが落ちなければ、超特大なヤツ1発でもいい?」
「会場は破壊しないでくださいね」
って、不安そうな雫。そうだな。それは最悪な展開ではある。
昼休みも、エリカは近寄れなかった。この二人はエリカ除けのお守りか?
そして、放課後、調整をする時間…僕は、術式を考え込む。速度重視で、破壊力抜群の1発を!不安げに僕を見守る二人。そこに真由美がやって来た。
「雪夜君…あのね…オーバースペックは反則になるから、注意してね…」
えっ?超特大な1発作戦はダメなのかぁぁぁぁぁ~!次なる手を考えないと…スペックの最大値を確認して、唸る僕。こんなに低いのか…
「やってしまったようね…ごめんね、先に言わなくて…」
って、困った顔の真由美。凹む僕。
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家に帰って部屋に籠もって考える。低スペックで、相手より優位に立つには…そうか『術式解体』で相手の術を発動出来無くして、その直後に持続性のあるヤツを噛ませばいいのか…術式を書き始めた僕。『術式解体』自体は低スペックな威力である。高度な術ではあるが。そこに『ジャミング』も組み込み、持続性のある低スペック魔術を組み入れていく。これならどうだ。雫とほのかの魔力の量を見ながら、調整をしていく。
「これ、反則級じゃないのか?」
兄ちゃんが笑って見ている。僕に心を許した時から、兄ちゃんの感情の封印が解け始めたようだ。
「まぁね。相手に術を掛けられないようにして、時間を稼ぎつつ倒すタイプだからね」
「アレを術式にするなんて…来年からは反則指定されるな♪」
そうかもしれない。