※この作品はR-18です。

司波姉弟の願い   作:もっち~!

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九校戦 Part0

---神代雪夜---

 

昨晩は、単なる添い寝で終わった。あまりにも僕がボロボロになったことで、反省した二人。

 

そしていつものメンバーとまったり登校タイム。いや、いつものメンバーに神代礼が参加した。リーナも神代里奈と名前を変えていた。

 

「なぁ、なんで、私の制服のポッケに『赤マムシドリンク』の空き瓶が入っていたんだ?」

 

エリカが訊いてきた。

 

「お前が飲んだんだろ?僕と添い寝する前に…」

 

嘘の情報ではぐらかす。

 

「え?飲んだかな?そうだ!なんで、起こさずに帰ったんだよ!起きたら、誰もいない生徒会室にいたんだぞ!」

 

スルーする。

 

「おい!無視するな!」

 

スマホを取りだし、待ち受け画面を見せた。今日のは、幸せそうな顔でロングソファで寝ているエリカだ。

 

「おい…消してください…」

 

トーンダウンするエリカ。

 

「こんな顔で寝ている女性を、起こす勇気は無い!」

 

無茶苦茶な言い訳をする僕。

 

「こんな顔で寝ていたんだ…ねぇ、消して下さい。なんでもしますから…」

 

耳まで茹だったような顔のエリカ。

 

「あのさぁ…昨日…初エッ…した?パン…に血痕が…」

 

モジモジした態度で、小声で訊いてきたエリカ。

 

「さぁね♪覚えていないのかぁ~」

 

「したのね…一生の不覚だよ。まるで覚えていない…」

 

「『赤マムシドリンク』で興奮しまくって、覚えていないのか…」

 

「一生に一度のイベントがぁぁぁぁぁ~!」

 

凹んだエリカ。

 

「どうしたんだ?」

 

レオが割り込んできた。

 

バキッ!

 

エリカのローリングソバットが、レオの頬を撃ち抜いた。凹んだエリカは恐い。力の加減が分からないから…地面に転がるレオ。

 

「痛てぇ~!」

 

あれは痛そうだな。

 

「エリカ、いつか想い出を残してやる。それまで待て」

 

エリカの耳元で囁いた。

 

「えっ?うん♪待っているよ、雪夜!」

 

『想い出を残す?って、雪夜…まさか…』

 

姉ちゃんから念話…気づかれたかな?

 

--------

 

いつものメンバーとまったりタイム。姉ちゃんは僕を見つめている。

 

『雪夜…完全体で無いの?何で…ねぇ、答えてくれないの?』

 

スルーしまくっている。授業中もひっきりなしに訊いてきたけど…でも、姉ちゃんが暴発するとマズいかな…

 

『姉ちゃんは完全体だよ。心配しないでいい』

 

『じゃ、雪夜は…』

 

涙目になっていく姉ちゃん。そんな姉ちゃんに兄ちゃん、礼、里奈が気づいた。

 

『後、どの位保ちそうなの?』

 

『わからない…でも、姉ちゃん達がのんびり暮らせるまでは大丈夫♪気にしないでもいいよ』

 

『そんな…』

 

その場で急に泣き出した姉ちゃん。里奈と達也が姉ちゃんを気遣ってくれた。

 

-------

 

放課後、生徒会室に向かわずに、家に帰る僕達。リビングに着くなり、

 

「なんで、言ってくれなかったの?ねぇ、雪夜!」

 

激しく僕に詰め寄る姉ちゃん。

 

「言っても、どうにもならないでしょ?こんなに成長してしまったら、再調整なんか出来無いし」

 

「雪夜…完全体では無かったのか?」

 

姉ちゃんの様子から、僕の真実に辿り着いた兄ちゃん。

 

「雪夜…」

 

僕に縋るリーナ。

 

「レイモンド、無理だろ?」

 

知識豊富なレイモンドに訊いた。

 

「無理だな。産まれ出た時点で修正は効かない」

 

「そんな…雪夜とのんびり余生を過ごすのが夢だったのに…」

 

姉ちゃんが泣き崩れていく。兄ちゃんが、姉ちゃんに寄り添う。

 

「夕歌にも調べてもらっているが、ダメみたいだ。だけど、保険は買ってあるから、たぶん大丈夫だよ。みんなが召されるまで一緒にいられるはずだ」

 

「何をしたんだ?なぁ、雪夜!」

 

今度はレイモンドに詰め寄られた。

 

「魂を売った…」

 

「誰に?」

 

「魔王ルシファーと大天使ガブリエルに…」

 

「はぁ?」

 

「僕の願いは、姉ちゃんの寿命が尽きるまで、のんびりと一緒に暮らせること。供物は僕の魂と道具としての僕。それだけだ。問題無いだろ?」

 

「そうか…そういうことか…」

 

レイモンドは真実の先まで辿り着いた。

 

「それが、神の代理人の正体か?」

 

レイモンドの問い掛けを、スルーする僕。

 

「僕やリーナの事も願いに入れたのか…お前…」

 

「レイモンド、どの道、契約はしないとダメだったんだよ。泣くなよ、僕なんかの為に…」

 

男泣きするレイモンド。

 

「じゃ、雪夜…お前は今、何なんだ?」

 

「あぁ、今回は供物は後払いで良いって。だから、僕は僕であり続けている。だから、みんな、そんな顔しないでよ~。僕は僕なんだから。ここにいるみんなが天に召されるまでね♪」

 

「すまない…」

 

達也が…感情を封印されている達也が泣いていた。目から涙が流れている。奇跡に近い光景である。

 

「俺の為に…本来のお前達二人の人生を奪って…」

 

「兄ちゃんが原因では無い。だから、自分を責めないでいいんだよ。悪いのは、大人達だ!僕や姉ちゃん、兄ちゃん、リーナを道具の様に使い続けている輩だよ」

 

「だから排除するんだな」

 

レイモンドの言葉に、強く頷く僕。

 

---------

 

いつものメンバーといつもの登校タイム♪昨晩、隠さずに情報を共有したことで、神代家、司波家の面々は晴れやかな表情である。

 

「深雪さんは大丈夫なのか?」

 

エリカが訊いてきた。

 

「うん、大丈夫だよ。エリカをかまいすぎたから、癇癪を起こしただけだよ♪」

 

嘘の情報で煙に巻く。

 

「私のせいなのか?」

 

驚くエリカ。そんなエリカのお尻を『透過』して弄る。

 

「おい…止めろ…こんな場所で…」

 

モジモジするエリカ。

 

「あっ♪」

 

しまった。谷間に指が入った。色っぽい声を上げるエリカ。その声に反応して、レオが振り向くと、

 

バコッ!

 

豪快なエリカのジャンピングヘッドバットが、レオの眉間に炸裂した。その場で蹲るレオ。あれは、痛すぎるな…エリカのおでこが赤くなっている。『癒やし』の能力で、炎症と損傷を治していく。

 

「なぁ、今度、私の部屋で…きゃっ♪」

 

エリカのらしくない態度。新鮮でいいかな。

 

---------

 

昼休み、生徒会室に呼ばれた僕と兄ちゃん、姉ちゃん、リーナ、レイモンド…九校戦の参加予定メンバーを集めての会議らしい。これに伴い、午後の授業は無いそうだ。

 

「なんで、二科生がメンバーにいるんだ?」

 

とか

 

「『狂犬』は反則だと思います」

 

とか

 

問題点があぶり出されていく。

 

「いいですか?一高を優勝へと導くのに、一科生とか二科生とかの垣根は邪魔です」

 

生徒会長の真由美が熱弁を振るっている。

 

「今年は完全優勝が、狙えるメンバーだと自負しております」

 

「しかし、二科生はダメでしょ?」

 

バン!

 

十文字先輩が、机を叩いた。静まる室内。

 

「二科生でも能力の有る者は登用する。反則と言われようが、ルールに抵触しない限り、メンバーに入れる。魔力量だけで、レベルを測るな!」

 

「文句のあるヤツは、前に出ろ!」

 

服部先輩も声を荒上げた。誰も出ない。

 

「じゃ、話を続けるわよ」

 

強心臓の真由美が、何事も無かった様に議事を続行していく。

 

「警備の責任者は十文字君、副責任者ははんぞー君。で、警備の主力部隊は、司波達也君、司波深雪さん、神代雪夜君、神代里奈さん、神代礼君です」

 

呼ばれた僕達は前に出た。何かを声に出そうとするが出さない、差別主義者達。

 

「で、種目ごとの参加者は…」

 

淡々と決定事項を伝える真由美、

 

「新人戦モノリスコードは、司波達也君、神代雪夜君、神代礼君です」

 

あれ?レイモンドになったのか?

 

「あぁ、ルールを見ていて気づいた。相手チーム3名を先に戦闘不能にすれば良いってことにね。だから、僕が軍師として参加する。コードを打ち込まない良いんだよ♪」

 

なるほど…兄ちゃんと僕のコンビならほぼ無敵である。そこにレイモンドの頭脳が加われば…♪

 

「ちょっと!待った!そのチームの実力がわからない。『狂犬』が殺しまくるだけで無いのか!」

 

反魔法師主義の仮面を被った、差別主義者が声を荒上げた。

 

「なら、彼らに勝てると思う人は手を上げて♪」

 

誰も手を上げない。

 

「では、司波達也君になら勝てると言う方はいますか?」

 

数名手を上げた。

 

「じゃ、実演を頼めるかな?達也君♪」

 

結果は…兄ちゃんの圧勝。『術式解体』で相手の術の発動をさせずに、相手を倒してしまった。その結果、誰も文句を言う者はいなくなった。

 

「あぁ、レイモンドは指令塔だから、レイモンドと対戦希望者は、僕が相手をする」

 

って、脅しを掛けたことも効いたようだ。

 

--------

 

兄ちゃんは姉ちゃんとリーナ、レイモンドのCADの担当になった。僕はCADを持っていないので蚊帳の外ではある。

 

プレイヤーとして参加するメンバーは、エンジニアとして登録されているメンバーから、担当を選べるらしいのだが…

 

「雪夜さん…私達のエンジニアになってもらえませんか?」

 

ほのかと雫がやって来た。話を聞くと、頼りにしていた兄ちゃんは、姉ちゃん達で手一杯だったらしい。で、他を当たったそうだが、新人故に断られたそうだった。

 

「僕はエンジニアでは無いけど…」

 

「術式は書けますよね?」

 

「まぁ、書けるけど…」

 

「お願いします…」

 

自信が無いが、受けてしまった。その日の夜から、兄ちゃんにエンジニアとしての講義を家で受けることになった僕。う~ん…できるかな?

 

-------

 

いつものメンバーといつもの登校タイム…

 

今日は僕の周囲にはほのかと雫がいる。エリカの入り込むスペースは無い。

 

「どうですか?」

 

「あぁ、達也に習いながら、調整方法を勉強中だよ」

 

遣い手に合わせてのパラメーターの調整…面倒だぁぁぁぁ~!

 

「なぁ、超特大のヤツを1発噛ませば良いんだよな?相手よりも早く」

 

「でも、威力が大きいほど、発動スピードが落ちるでしょ?」

 

うん?そうか…

 

「発動スピードが落ちなければ、超特大なヤツ1発でもいい?」

 

「会場は破壊しないでくださいね」

 

って、不安そうな雫。そうだな。それは最悪な展開ではある。

 

昼休みも、エリカは近寄れなかった。この二人はエリカ除けのお守りか?

 

そして、放課後、調整をする時間…僕は、術式を考え込む。速度重視で、破壊力抜群の1発を!不安げに僕を見守る二人。そこに真由美がやって来た。

 

「雪夜君…あのね…オーバースペックは反則になるから、注意してね…」

 

えっ?超特大な1発作戦はダメなのかぁぁぁぁぁ~!次なる手を考えないと…スペックの最大値を確認して、唸る僕。こんなに低いのか…

 

「やってしまったようね…ごめんね、先に言わなくて…」

 

って、困った顔の真由美。凹む僕。

 

----------

 

家に帰って部屋に籠もって考える。低スペックで、相手より優位に立つには…そうか『術式解体』で相手の術を発動出来無くして、その直後に持続性のあるヤツを噛ませばいいのか…術式を書き始めた僕。『術式解体』自体は低スペックな威力である。高度な術ではあるが。そこに『ジャミング』も組み込み、持続性のある低スペック魔術を組み入れていく。これならどうだ。雫とほのかの魔力の量を見ながら、調整をしていく。

 

「これ、反則級じゃないのか?」

 

兄ちゃんが笑って見ている。僕に心を許した時から、兄ちゃんの感情の封印が解け始めたようだ。

 

「まぁね。相手に術を掛けられないようにして、時間を稼ぎつつ倒すタイプだからね」

 

「アレを術式にするなんて…来年からは反則指定されるな♪」

 

そうかもしれない。

 

 

 

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