※この作品はR-18です。

司波姉弟の願い   作:もっち~!

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九校戦 Part2

---神代雪夜---

 

開会式を兼ねた歓迎パーティーと言う名の夕食。立食形式だ。食べたい物をテーブルまで持って来て食べる。立ち食いのビュッフェと言えば良いのか?

 

「一条将輝がこっちをチラチラ見ているな」

 

レイモンドが呟いた。

 

「姉ちゃん狙いみらいだな。姉ちゃんに惚れたなんて許せない!」

 

「雪夜、私は雪夜以外、お兄様にしか落ちないわ。ほら、食事は楽しく食べましょうよ」

 

兄ちゃんはスルーしている。

 

「後、警戒すべきやつは?」

 

レイモンドに訊いた。

 

「プリンスの相棒の吉祥寺真紅郎かな?」

 

「『カーディナル・ジョージ』か?」

 

兄ちゃんが訊いた。

 

「そう、ソイツだ。あのコンビは凶悪だぞ」

 

「お兄様と雪夜よりも?」

 

「う~ん…凶悪さのレベルが違うかな。アッチは紳士ぶったスパイパー。こっちは変人ぶった鬼畜だろ?」

 

「なんか、分かり易い表現だな」

 

って、リーナ。

 

「まぁ、アッチは戦略級では無く、あくまでマーダーレベルだ。大量殺戮は無理なタイプだよ」

 

誉められているのかな?

 

「ゆっきや~っくん♪」

 

呼ばれたので振り向くと、ウェイトレスの姿をしたエリカがいた。

 

「なんで…いるんだ?」

 

「そんなに驚くこと無いだろ?美月とウェイトレスのアルバイトだよ。衣食住付きで、仕事の無い時間は観戦も出来る、選手に選ばれなかった者に斡旋されるバイトなんだよ♪」

 

「そうなのか…」

 

「勝てそうなのか?」

 

「反則にならなければ…」

 

不安を隠せないあのCAD…ルールブックの反則項目に触れていないけど…

 

「あぁ、やらかしたんだな、お前!」

 

エリカに凹まされている僕を見て、含み笑いをしている仲間達…う~ん。

 

「じゃ、またな。サボりすぎると解雇されるから♪」

 

エリカが立ち去っていった。

 

「エリカさんの前では、冷酷にはならないんだな」

 

って、レイモンド。

 

「あぁ、アイツの前では愚か者でいたい。それだけだ」

 

一条と吉祥寺がこっちをちらちら見ている。姉ちゃん以外にリーナも狙っているのか?しばらくすると、一条将輝が近づいて来た。そして、姉ちゃんの横に立ち、

 

「三高の一条将輝と申します。あなたのお名前は?」

 

「すみません。彼氏がいるのでお答えはできません!」

 

ばしっと言い切る姉ちゃん。

 

「ふっ!俺は一条家の者ですよ。そんな彼氏は止めなさい。俺と一緒になれば、あなたを幸せにしますから」

 

堂々とナンパする将輝。

 

「彼を悪く言うような方は、近寄らないで欲しいです」

 

「ならば、その彼氏の実力を見てみたいです。その彼氏へ決闘を申し込みます」

 

紳士ぶったナンパ野郎が、姉ちゃんに食い下がる。

 

「三高の一条君ですよね?堂々とナンパですか?みっともない!」

 

真由美がキレ気味で言い放った。

 

「うん?すみません。あなたとは話しておりません」

 

「いやっ!やめてぇぇぇぇ~!」

 

将輝が姉ちゃんの手を強引に握ろうとして、姉ちゃんが叫んだ。みんな、将輝に視線を向けた。姉ちゃんは僕の背後に隠れ、僕の肩に手を置いた。

 

「ほぉ~、君が彼氏か?おい、彼女を賭けて決闘をしろよ!」

 

「悪いけど、彼女は物では無い。賭の対象にしない。失せろ!紳士ぶったナンパ野郎が!」

 

「はぁ?師族のプリンスにそのような事を言うか?貴様は!」

 

偉そうな事を並べている将輝。兄ちゃんも姉ちゃんも、万が一の場合に備えている。リーナはレイモンドを護る様に立っていた。

 

「すみません。師族では無い僕には、その価値はわかりません。そもそも師族って何者ですか?エライんですか?」

 

「あぁ、一般人かぁ。死にたくなければ、そこをどけ!」

 

「お前に殺す権利は無い。そもそも、僕を殺せるほど強いのか?」

 

将輝の目は怒りの色に染まっていく。

 

「一般人が、このような場所にいるのは場違いだ!」

 

「なぁ、一般人の定義は何だ?お前は何様なんだ?」

 

徐々に僕達から距離を置き始めた、真由美を含む一高の生徒達。

 

「深雪、里奈、防御を頼む。達也は遊軍だ。礼、真由美の傍へ行け!」

 

皆指示通りに陣形を整えていく。

 

「ほぉ~、俺と戦うのか?一般人風情が?お前はバカなのか?」

 

「うごっ!」

 

吉祥寺真紅郎の声が響いた。僕に荷重攻撃をしたようで、フルカウンターを真面に受けたようだ。真紅郎を中心に半径10メートルくらいの床がすり鉢状にめり込んだ。

 

「何?ジョージ!大丈夫か?貴様がやったのか?」

 

CADを取りだして僕に向けて構えた将輝。チャックメイトだ。CADから術式部分を抜き取った。ついでに将輝の能力と魔力を奪い去っておく。

 

僕の手の平に球体の物が現れると、一高のみんなは談笑し始めた。危機が去ったことがわかったから。

 

「おい、撃てもしないのに、CADを出して居直り強盗かよ」

 

将輝の能力を封じ込めた球体を大切にしまっておく。将輝は震える指で、引き金を引いた。しかし、奪った後故、CADは何も発動しない。

 

「何?貴様!何をした!」

 

「はぁ?一般人にわかる訳ないだろ?権力を振りかざすナンパ師さん♪」

 

将輝はジョージの元へと走り寄り、惨状を目にしただろう。

 

「おい!ジョージ!しっかりしろ!」

 

すり鉢へと降りて、ジョージ君を介抱している将輝。

 

「まさか、一条を囮にして、吉祥寺が撃ち込むとはなぁ」

 

十文字先輩が僕の後ろにいた。万が一の際に備えてくれたのだろう。周囲に被害が及ばないように。

 

「フルカウンター持ちにケンカを売るからだよ」

 

「だよね♪」

 

笑顔の姉ちゃんが抱きついて来た。

 

--------

 

部屋に戻ると、黒羽姉弟が泣いていた。

 

「助けて下さい…」

 

姉の方が助けを求めた。スルーする。僕の後ろから姉ちゃん、兄ちゃん、リーナ、レイモンドが部屋に入った。

 

「えっ!達也さん…」

 

「雪夜、彼らは?」

 

兄ちゃんに訊かれた。

 

「深雪と里奈と添い寝を、覗き見ていた輩だよ。大会期間中はここにオブジェとして置いておく」

 

「そうか…」

 

「達也さん…何で…助けてください…」

 

「雪夜を狙ったのか?」

 

「なぜ、ソイツを庇うのですか?深雪さんも…」

 

「あぁ、兄ちゃん、そいつらの能力と生殖機能は奪った」

 

「そうか…なら、解放でも良いんじゃないか?」

 

「スパイだよ!スパイに拷問は憑き物だよね?」

 

「で、一条は問題無いのか?」

 

兄ちゃんが話題を変えたので、黒羽姉弟の顔が歪んでいく。

 

「能力と魔力は奪った。生殖能力は、対戦したら奪うよ」

 

「あなた達!雪夜の下僕になりなさい。そうしたら、助けてあげますよ」

 

姉ちゃんが、黒羽姉弟に条件を提示した。

 

「深雪さん…目を覚ましてください」

 

「洗脳も催眠術も掛けられていませんよ。亜夜子さん、姉が弟を護るのは不自然ですか?」

 

はっとした黒羽姉。

 

「彼って、深雪さんの弟なんですか?だから、達也さんも…」

 

「秘密だぞ。もしリークすれば、お前達に物理的に消えてもらう」

 

兄ちゃんの脅し言葉。それだけ充分なようだ。陥落した黒羽姉弟。兄ちゃんの怖さを知っているようだった。陥落したので、拘束を解いて上げた。

 

「まぁ、能力も無いし、これからは、普通の中学生として生きろよ♪」

 

「能力を返してください」

 

泣いて縋る黒羽姉。脱がした服はいいのかな?

 

コンコン!

 

ドアがノックされた。姉ちゃんが応対すると、夕歌と澪さんだった。

 

「あれ?黒羽姉弟…全裸ってことは、敵かな、雪夜君」

 

夕歌に訊かれた。

 

「今、陥落させたところ。服従させるにはどうすればいいんかな?」

 

黒羽姉弟は、夕歌と澪さんを見て、驚いていた。

 

「夕歌さん…後、確か、五輪澪さん?」

 

「初めまして、五輪澪です」

 

澪さんが車椅子に座りながら、頭を下げて挨拶をした。

 

「どうして…師族の敵じゃ無いんですか?」

 

夕歌と澪さんが、僕の抱えている、避けられない問題以外を説明した。

 

「そうだったんですか…お願いします。能力を返して下さい。雪夜さんに協力をしたいです」

 

と、黒羽姉に懇願され、能力を返還した。

 

「じゃ、明日からの競技中の監視を頼めるか?」

 

「まかしてください…後…脱がした服も…」

 

あぁ、返すのか…彼女の服を、彼女に手渡した。後ろを振り返り、恥ずかしそうに着衣をしていく黒羽亜夜子。

 

「夕歌は澪さんに付いていてくれるかな?部屋は兄ちゃん、案内してくれるか?」

 

「あぁ、わかった」

 

「わからないことは、レイモンド経由で夕歌に送るから、調べてくれるかな?」

 

「わかった。じゃ、達也さん、案内してくれるかな?澪さんが疲れているのよ」

 

三名が部屋を出て行った。

 

「亜夜子達は、ここの部屋を使え。僕はどうするかな」

 

「雪夜…浮気はダメよ~」

 

って、姉ちゃんが僕を抱き締める。そんな姉ちゃんの姿を、目を見開いてみている黒羽姉弟。こんな大胆不敵な司波深雪の姿は初めて目にしたのかな?

 

--------

 

夜の偵察と称して、姉ちゃんの部屋から逃亡した僕。誰の部屋に行くかな?一応、明日の試合会場を点検しに行く。見た目異常は無いなぁ。罠も無さそうだな。そんなるとリアルで何かをするのか?

 

ホテルの周囲も偵察。途中、服部先輩と出会った。

 

「お前も見回りか?」

 

「まぁ、見回りしながらの逃亡ですね」

 

「あぁ、そういうことか」

 

空気の揺らめきを感じ、服部先輩をはね除けた。次の瞬間、50メートル先くらいで呻き声がした。

 

「なんだ?雪夜!」

 

「実弾です。フルカウンターして、相手に当たったはずです。警戒レベルをあげてください」

 

「わかった」

 

先輩は無線機に指示を出した。何者かが襲ってきた。近接攻撃か?応戦をする僕と先輩。致命的ダメージな攻撃は、総てフルカウンターしていく。透過すると先輩が危険だし。

 

「雪夜、もう少し頑張れ!うっ!」

 

先輩が刺された。くそっ!先輩の方へ駆け寄り、僕の能力で先輩を護る。しかし、敵の攻撃が終わらない。なので、最後の手段に出ようとすると、敵が消滅していく。兄ちゃんとリーナだ。

 

「雪夜、大丈夫か?」

 

「服部先輩が刺された!」

 

「治癒をしてくれ。俺達がガードする」

 

治癒能力を発動すると、反射能力が使えない。2つの固有能力は同時使えない僕。先輩の傷口に手を当てて、治癒能力を全開にしていく。思ったより出血量が多いし。

 

「大丈夫か!」

 

十文字先輩達の声が聞こえて来た。襲撃者達が逃げていく。

 

「服部がやられたのか?」

 

「まだ、動かせないです。治癒出来るまで、ガードをお願いします」

 

「わかった。おい!索敵出来るやつは、フルに索敵しろ。雪夜と服部を護りきるぞ!」

 

十文字先輩の心強い声が聞こえた。

 

------

 

翌日…グッタリとして、起き上がれない僕。エネ切れで有る…姉ちゃんが、朝飯を持って来てくれた。ソレを姉ちゃんに食べさせてもらう。

 

「ねぇ、口移ししてあげようか♪」

 

「手で摘まんでください。口移しはダメです」

 

以前、口移しして貰ったのだが、口紅味のサンドウィッチになったという。今日の姉ちゃんは濃い目の口紅だし。

 

「え?残念♪」

 

「口紅無しの時にお願いします」

 

「う~ん、お化粧したから…今日はダメかぁ…」

 

昼近くになって、起き上がれるようになって、姉ちゃんの肩を借りて、一高の本部テントへと向かった。テントの中は慌ただしい。何かあったようだ。

 

「真由美!何か遭ったのか?」

 

「レース中に事故。摩利が巻き込まれて、脳震とうの上、骨折よ。雪夜君、出来る?」

 

頷く僕。姉ちゃんに摩利の病室に連れて行ってもらった。ベッドの上には意識の戻らない摩利が横たわっていた。まず、頭に手を翳して、能力を全開にする。

 

頭蓋骨は問題無い、脳みその損傷は無い…脳みそが揺れている。これが原因か。脳みその振動を徐々に止めていく。次に全身を探査して、損傷部分を治癒させていく。

 

右腕骨折…肋骨も2本いっているなぁ。まず、肋骨をくっつけていく。その後、腕の治癒。骨をくっつけて、神経、血管、筋肉の損傷を治癒させていく。エネルギーがマズい…あぁ、そうだ。将輝から奪った魔力があったなぁ。魔力を補填して、治癒を続けていく。

 

総ての治癒が終わったのは、夜更けだった。ダメだ…動けない。その場に崩れるように倒れる僕。

 

-------

 

目覚めると真由美の妹達が添い寝をしていた。

 

「お兄ちゃん、目がさめたんだね」

 

お兄ちゃん?誰のこと?

 

「泉美、お姉ちゃんに知らせて来て」

 

「うん、わかった」

 

一人が部屋から出て行った。

 

「なぁ、何で、僕をお兄ちゃん呼びしたんだ?」

 

残った方の妹に訊いてみた。

 

「だって、お姉ちゃんの彼氏だよね?お兄ちゃんから見たら、お姉ちゃんは愛人かもしれないけど」

 

そんな立場なのか?

 

「それでいいのか?」

 

「お姉ちゃんが、それでいいって…一緒にいると幸せな気分になれるから、それ以上は無理に望まないって。離れて行かれるのは困るから。私達もお姉ちゃんの言っている意味が分かってきました。一緒にいると、イヤなことが消えていく。不思議な能力ですよね?」

 

笑顔で話し掛けてくる真由美の妹の一人。この前、果たし状を送って来たヤツとは思えない変貌ぶりである。不思議な能力の正体は『癒やし』だろうな。兄ちゃんの見立てでは、近くにいる者の精神ダメージを緩和、消滅させているらしい。

 

「雪夜君、大丈夫?」

 

真由美が部屋に走り込んできた。はぁ、はぁっと荒い呼吸だ。

 

「まだ、怠い…起きて話すことは出来る。動けるかは…問題あるかな?エネルギー切れなのは確かだよ。そうそう、摩利はどうなった?」

 

「お医者さんが驚いていたわ。一晩で完治する怪我では無かったはずってね♪」

 

「深雪は?」

 

「今、試合中よ。このまま行くと、深雪さん、雫さん、ほのかさんでの優勝決定戦になるかも…」

 

「あのCADは検査を通ったのか?」

 

「うん♪達也君が、検査場へ持ち込んで、コンセプトを説明してくれて、通過できたの」

 

兄ちゃん、ナイスジョブだな。

 

「試合会場に行かないと…」

 

ベッドから降りるが、床に抱きついた僕。うっ、立つ体力すら無いのか…

 

「大丈夫?じゃないか…」

 

七草3姉妹の手により、ベッドに戻された僕。う~ん、治癒術を効率的にしないとダメだなぁ…

 

うん?将輝から奪った能力の玉が無い?盗まれた…誰に?残留思念を読み取る。摩利の治癒後、ここに運ばれて…意識の無い僕から、九島の爺の手下に奪われたようだ。で、将輝に戻されたのか…

 

「真由美!達也に連絡を頼む!」

 

「もうすぐ来るわよ」

 

「試合中だろ?」

 

「司波さんが、雪夜君の警護を頼んだのよ」

 

しばらくすると、兄ちゃんがやって来た。

 

「雪夜、どうだ?」

 

「将輝の能力が戻っている。9が暗躍している。能力の玉の存在も知っているようだ」

 

「老師が神代家を調べあげているのか。モノリスコードで俺達を潰すつもりだな」

 

「たぶん…返り討ちにしよう。姉ちゃんをナンパする将輝を精神的に潰す。人殺しには成りたくないからね」

 

「そうだな」

 

そんな僕達の会話を、身震いをして恐そうに聞いている七草3姉妹。

 

 

 

 

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