---十文字克人---
老師の意図を汲み取り、緊急の生徒会幹部会を開いた。参加者は俺、服部、渡辺、七草、中条だ。
「今回の議題は、神代雪夜についてだ。九島老師からの情報だが、アイツは人間では無い」
俺の発言に皆、戸惑っているようだ。
「何を言っているんですか?確かに、アイツは人間離れの能力者だと思いますが」
と、服部。俺は七草を見つめている。アイツの仲間の七草はどう出るのだ?
「雪夜君を誹謗中傷するのであれば、十文字君と言え、許さない」
と、渡辺。中条はおろおろしている。
「何を聞いたんですか?」
涼しい顔の七草に訊かれた。
「昨日、魔法師協会で、九島老師に事実を聞いた。今度の師族会議で、議題に上るそうだ」
「師族会議の内容を、数字付きで無い者に聞かせるって、どういうことかしら?」
うっ…それは…痛い処を付く七草。
「しかし、これは緊急事態だ。老師に情報を流して欲しいと言われた。いつ開かれるか分からない師族会議を、待っていられないようだったぞ!」
「どういう話か、聞かせてください。それから、判断します」
服部も冷静だ。コイツらまさか…まさかな…老師に聞いた話を皆に聞かせた。
「雪夜は調整体だって…」
言葉を失う服部…
「酷い…使えない道具だから…破棄って…」
渡辺の顔から血の気が引いていく。
「だから、何?彼は彼で有る為に、生きているのよ!それを、使えない道具って言う、十文字君、あなたの神経を疑うわ!」
七草は俺を糾弾してきた。
「お前は、アイツの仲間だろ?インプラントされたんだろ?」
「何の話?インプラント?何それ?でっち上げの話は止めてくれる?何?その疑うような目付きは…いいわよ、じゃ今から、医療機関で調べて貰いましょ!」
皆で魔法大学の医療機関へと向かい、七草の身体を精密検査して貰ったが…何も入っていなかった。えっ?どういうことだ?
「無駄な時間と労力と費用よね。十文字君の妄想話のせいで…」
怒り心頭の七草。服部達も俺を睨んでいる。嵌められた…『これからは疑心暗鬼とも戦ってみてください』という、アイツの言葉が、脳内で響き渡った。
---渡辺摩利---
十文字君の話…気になった。真実なのか?彼を呼び出して、訊いてみることにした。風紀委員室で彼と二人…
「どうしたんですか?そんな恐い顔をして…」
いつもと変わらない表情の彼。
「十文字君が戯言を披露してくれてね。真偽を知りたいのよ」
「戯言?」
十文字君が話してくれた内容を、彼に話して聞かせた。
「どうなの?」
えっ?突然、空気の質が変わった。いつの間にか、大の字状態で手足を拘束されている。身動きが出来ない。
「そうですか。十文字先輩は九島老師と組みましたか」
いつもと変わらない雪夜君…私の乳房を手の平で転がしている。あれ?いつの間に全裸にされたんだ?彼の舌先が乳首の先っぽと側面を這っている。ダメっ…ここは学校よ…
「って、言うか。師族会議って、各家の当主しか、内容を知ってはいけないルールでしたよね?」
知らない…私は数字付きの家では無いのよ。あぅ…彼の鼻先が胸の谷間を這っている。鼻息が気持ちいい…股間を這う生暖かい液体…太股の内側をゆっくりの流れている。
「まぁ、そう出るなら、こっちも手を打たないとダメかな?」
下唇を口に含み、口の中で転がされている。身体中が欲している…欲しい…雪夜…あなたを…
「九島烈か…自分達の悪行は棚上げで、僕を吊し上げるつもりか?」
今度は、上唇…唇と歯茎の境目を執拗に舐めてくる。こんなにも淫らになるポイントなのか…身体がピク付いている。限界だ…口元から生暖かい液体が零れていく。口の中に溜まったソレを飲み込むことすら出来無い。もう、自分では何も出来無い気がする。
「しかし、十文字先輩にも困ったなぁ…」
全身が一瞬、上に持ち上げられる感覚…その直後、一瞬の痛み…体内で、何かが蠢いている。悶悶としたドンよりとした気持ちが晴れていき、軽くなって浮遊しているようだ。
「あっ!いい…」
意識が途絶えた。
気が付くと一人、風紀委員室のソファで寝ていた。服の乱れは無い。あれは、夢?幻?テーブルに目をやると、メモが置かれていた。
『摩利さん、溜まり過ぎです…適度に抜いてくださいね…僕、体力無し自慢なんですから 雪夜』
と書かれていた。溜まり過ぎ…彼は抜いてくれたのか…あれは、精神の癒やし治療だったのか?幻術系なんだ。安心して立ち上がろうとしたのだが、腰が抜けたようで立ち上がれない。アイツ…ヤッたのか?
---神代雪夜---
高校3年生以上は危険だ。そんなに性欲無い方なんだけど…摩利さん、溜めすぎだよ~。
なんて、考えて校門へと向かうと、エリカ達が待っていた。
「風紀委員の呼び出しは何だったんだ?」
エリカに訊かれた。
「エリカといちゃつきすぎだって!だから、僕に関わらないで~♪」
「そんなに…していない…だろ…」
真っ赤な顔で俯くエリカ。
「実際はどうだったんだ?」
達也に訊かれた。
「師族会議で取り上げる議題を、どっかの誰かが、数字付きで無い家の子女に漏らしたようだよ。摩利さんに、どういうことって訊かれた」
「摩利さんに…数字付きで無い家柄なのに?」
姉ちゃんが驚いている。達也は感情を顔に出さないので、わからん。
「そんなことしたらルール違反だろ?」
エリカが正しいことを言っているので、頭を撫でて上げる。
「おこちゃまじゃ無いんだぞ!」
額に口づけ…耳まで真っ赤にして俯き、黙り込むエリカ。
「僕も数字付きの家柄で無いので関係無いけど、僕と深雪が似すぎているって、師族会議にのせるネタか?」
嘘を流す。
「権力者達は暇なのか?」
レオがいいことを言う。だけど、男なのでスルーだな。
「暇なんだろう。まぁ、平和な証拠だな」
達也が結論を言う。平和な証拠…僕以外仮想の敵がいないのは、平和なんだろうな。
---神代綾香---
目の前の熟女は固まっている。
「どういう事かな?なんで、師族会議の次回の議題内容が、一般人が知っているのかな?」
「わ、わ、わかりません…」
「お仕置きが必要なのかな?雪夜の実母の妹って事で、手加減しているのに…おい!お前!ふざけるなよ!」
怒りのプレッシャーを目の前の熟女にぶつける。吹き飛び壁に激突する女。
「うっ…」
乳房を鷲掴みにして、持ち上げる。
「千切れる…やめて…」
「要らないだろ?男も子供も興味無いお前には」
「痛いぃぃぃぃ~!」
うるさいので後方へ投げ捨てる。
ガッシャ~ン!
何かぶち当たったようだ。
「で、どう落とし前は付けるんだ?四葉真夜よ!」
「あ…あの…達也を…当主代理にして…私は隠居…」
バキッ!
「うごっ!」
腹部をケリ上げると、宙に浮き床に落下した女。
「隠居?地獄から退場か?許さん!そうだな…七草、九島辺りも道連れにしろ!それなら、考えてやるぞ」
まぁ、このくらいにしてやるか。コイツは、もうタダの一般人だ。この女の能力は取り上げてあるし♪
「まぁ、次は無いからな!雪夜を追い込んだ奴に、お礼参りしてくれたら、許してやる!」
その場から転移した。
---神代雪夜---
姉さんがやりすぎて、司波真夜が入院したらしい。
「いや~、あの程度で入院って。大げさだよな?」
って…どんだけ、暴力を振るったやら…はぁ~
「あの後、亘が回復させに行ったから、退院は近いよ」
師族会議の開催が、先延ばしになるような…
「そんな難しい顔は雪夜に似合わないわよ」
って、ぎこちない笑いの姉さん。責任は感じているようだ。
「問題は4の分家達が仕掛けてくるか、どうかだな」
って、達也。
「仕掛けるとしたら、誰?」
「筆頭は黒羽家、新発田家かな」
「先手を打つとしたら、どこがいい?」
「新発田家の息子、新発田 勝成だな。こいつを無力出来れば、力尽くで抑え込むヤツはいなくなるだろう。勝成は物質の密度を操作してくる。こいつには調整体のガーディアンが2名いるらしい。一人は恋人である堤 琴鳴で名前の通り、音波に干渉する魔法を得意としている。もう1名は、良く知らない」
「そう…姉さん、10と9の監視を頼む」
「あぁ…穴埋めはするよ。そんな目付きで見ないで…ねぇ、雪夜君」
僕に頬ずりをしてから転移していった姉さん。
---津久葉 夕歌---
何の前触れ無しに、深雪さんが訪ねて来た。どういう風の吹き回しかな?達也さんは一緒では無いのも不思議だ。二人一緒が常の兄妹だったのに。
「今日は、どういうご用かな?」
えっ?身体が動かない…深雪さんに、そのような能力は無いはず…コイツは何者だ?
「夕歌さん…」
服に手を掛ける深雪さん。あっと言う間に全裸にされてしまった。
「わぁ~、きれい~♪」
秘部を隠している扉を開けて、眺めている。誰だ?こいつは…
「雪夜!そういうことは、私にしなさいよ~!」
背後から深雪さんの声が聞こえた。でも、口調がまるで違う。
「えっ?だって、きれいなんだよ~。見てごらんよ、姉ちゃん」
姉ちゃん?深雪さんに弟?まさか…
「きれい…って、私はきれいじゃないの?」
「う~ん…」
「雪夜が遊んだからだよ!」
「帰ったら、クリーニングします…」
目の前で二人の深雪さんがヤリトリをしている。
「すみません。夕歌さん」
達也さんの声…背後から私を抱き締めてきた。そして、私の唇を奪った…
「兄ちゃん、ぎこちないよ~!」
「すまん。慣れていないからな」
兄ちゃん?達也さん、深雪さんの弟?妹?
「兄ちゃん、優しく胸を…う~ん、よし姉ちゃんと僕とでサンプルになる。それを見てプレイしてみて」
「すまないな、雪夜」
目の前で二人の深雪さんが全裸になっていく。いや、一人はカツラを被っていた。男性なのか?深雪さんって双子だったの…衝撃の事実が目の前で、展開している。双子の男女が濃厚なプレイをしている。ソレを見ながら、達也さんが私の身体を…
体液塗れで床に置かれている私。その隣には体力キレで寝かされている深雪さんの弟。何をしたいんだ?
「雪夜…体力を付けようよ!」
深雪さんに抱き起こされている雪夜と呼ばれた彼。
「姉ちゃん…プレイだけなら問題ない。それにこれは体力キレでなくて、魔力キレだよ」
魔力?彼は何をしていたんだ?
「夕歌さんの能力を無害化していた」
私の能力を無害化?
「雪夜の為にしか発動できないように」
彼の為だけに?なんで?
「夕歌さんを護る為です」
笑顔で深雪さんがそう答えた。私を護る?
「この先、問題が表面化すれば、わかる。それまでは、俺が夕歌さんを護る」
達也さん…嬉しい言葉ではある。興味がある男性の一人だったし。
「まぁ、今日の開通式は、兄ちゃんと夕歌さんをリンクさせる儀式だよ」
開通…う~ん、言い方が気に入らない…それよりもリンクって?
「兄ちゃんと行動する際に必要な、テレパシーラインという通信手段を得る為だよ」
テレパシーラインって、双子同士が意志の疎通に使うと言われている?
「そうそう、さすがは研究者だ。それだよ。それを術式にして、兄ちゃんと夕歌さんに埋め込んだんだ♪」
「って、言うか?読心術が使えるの?言葉に出していないのに、返答って…君は誰?」
「あぁ、名乗っていませんでしたね。僕は神代雪夜。神代家次期当主って立場です」
「神代?あの陰陽師として名高い?」
「そうそう、現当主の弟って立場です。実際は深雪と双子で弟に当たります♪」
私に指で作ったピースサインだけ向けてきた彼。身体はまだあまり動けないようだ。
「なんで、私なの?」
「津久葉家を兄ちゃんに探ってもらった結果、兄ちゃんを見下さないで、四葉家次期当主候補の一人で有るのに、姉ちゃんにも嫌なことをしないからだよ」
「あなた達は何をしようとしているの?」
「悪行をしているヤツらの粛清かな♪まぁ、僕と姉ちゃんが静かに暮らせる環境作りとも言うね」
「うん♪」
彼と見つめ合う深雪さんは、女性の私が見てもかわいらしいと思える笑顔であった。
「その為に、協力をして欲しい」
達也さんにお願いをされて頷く私。
「何をすれば良いの?」
「各家の研究、製造施設の場所を知りたい。総て、破壊しないとダメだからな」