※この作品はR-18です。

寝取りはスマートフォンと共に   作:ナツバト

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羽化、そして蛾の淫魔。

 蠱毒の繭の中で、リンゼの肉体は溶かされていく。

 皮膚も、脂肪も、筋肉も。

 更に、臓器と、肘から先・膝から下の骨までも。

 酸によるリンゼの肉体の消化が終わった時、繭の中では3種類の液体が混じり合っていた。

 1つは、サキュバスの姫の1人、モースの芋蟲としての肉体が溶けて出来た、ピンクのドロドロとした液体。

 2つ目は、リンゼの着ていた服や下着が溶けて出来た液体。

 そして3つ目は、リンゼの肉体が溶けて出来た液体だ。

 リンゼの肉体は、脳と、頭蓋骨や胴体部分の骨だけが残っており、その他の皮膚や脂肪、筋肉や臓器は全て液体化してしまっていた。

 本来、これほどまでに肉体を喪失してしまえば、その人間は当然ながら死ぬ。

 しかし、モースが遺した魔力により、肉体のほぼ全てを失ったにも関わらず、リンゼは今尚生かされていた。

 更に、この魔力は、繭の中で混ざり合う液体を新たな種類の液体へ変化させていく。

 そうして生成された液体は、溶けずに残っていたリンゼの骨や脳を覆い、次第に凝固して形を持ち始めた。

 出来上がったシルエットは、一見すると人型のようだが、腕や足に当たる部分は昆虫の脚を思わせるほどに細い。

 また、背中には蛾のような巨大な羽らしき形の突起も作られている。

 だが、胸やお尻の部分は大きく隆起しており、ウエストに当たる部分にはしっかりとくびれがあった。

 未完成ながらその姿は、人間(リンゼ)と蛾(モース)という2つの存在が融合して1人のサキュバスとなり、新しく生を受けようとしている事を何よりも物語っている。

 物言わぬ器の中で、再構成された悪魔の心臓は鼓動を刻み出したのだ。

 リンゼが、サキュバスの姫の1人として歴史に名を刻む未来は、もうすぐそこに迫っていた。

 

 

 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 寝室の窓から差し込む陽光で、俺は目を覚ました。

 少し頭を上げて窓の外を見てみれば、雲一つない青空が視界に飛び込んでくる。

 いい朝だ。

 そんな感想を抱きながら、俺はベッドから起き上がる。

 

 昨日は思いもよらぬ事態が起こり、リンゼの調教を止めざるを得なかった。

 だが、サキュバスの姫達に昨夜尋ねたところによると、繭の中の魔力は順調に高まり、熟成されているらしい。

 繭からリンゼが羽化するまで、それほど時間はかからないであろうとの見立てだ。

 そのため、俺は今日もリンゼの繭の様子を見に行くつもりでいた。

 とはいえ、丸一日それだけで時間を潰す訳にもいかない。

 望月冬夜の裁判の日が間近に来ているので、こちらも準備を整えておかなければならないのだ。

 裁判の際には、人間に化けたユミナとエルゼ、そして可能であればリンゼも証人として参加させる。

 しかし、リンゼが間に合うかはともかく、リンゼが参加できない場合でも確実に望月冬夜を有罪に追い込むには、まだ課題が残っていた。

 

「王と王妃をどうにかしなければな。」

 

 ユミナの父母であるベルファスト王国の王と王妃は、ユミナの「望月冬夜に捨てられ妊娠した」という言葉を信じていない訳ではないようだ。

 だが、望月冬夜から過去に受けた恩義故、王や王妃は彼の事を評価しており、今回の件についても「何かの間違いでは?」と語っていて、ユミナの言い分を完全に鵜呑みにはしていない。

 今回の裁判には、当然ながらこの2人も出席する。

 権力者である彼らに口を挟まれれば、望月冬夜に裁判をひっくり返される可能性もあり得るだろう。

 となれば、事前に王や王妃をサキュバスの能力で洗脳するのが最善だ。

 ただ、ユミナは変身能力に長けていても、魅了による洗脳はあまり得意でないらしい。

 まだ成人のサキュバスじゃないから、サキュバスの十八番であるはずの魅了が禄に使えないそうだ。

 エルゼも、そして今俺の目の前のベッドで眠っているイロハも、魅了は一応使えるようなので、こいつらに洗脳を任せたいところだが……。

 

「王や王妃が1人になるタイミングが難しいな。」

 

 彼らが1人になったところを、ゲートで転移したエルゼまたはイロハが襲い、魅了する。

 これ以外に手はない。

 しかし、彼らにはほぼ常にお付の人間がいるのだ。

 王も王妃も、国のトップの人間なのだから、誰かに命を狙われる危険性は当然ある。

 その危険から彼らを守るため、ボディーガードを務める兵士や、宮廷魔術師が王宮に常駐しているらしい。

 また、単に彼らのお世話をする目的でメイドなどがお供している事も多いだろう。

 これらの他人の目を掻い潜り、1対1で彼らに近付くタイミングを図るのは決して容易ではない。

 唯一、彼らの隙を突けるタイミングがあるとすれば、それは――。

 

「ん、ん……おはようございます、ご主人様……。」

「ああ、おはよう、イロハ。」

 

 目を覚ましたイロハが、ゆっくりとベッドから上体を起こす。

 彼女の身体には、昨晩の「お仕置き」の鞭の跡が未だ残っていた。

 加えて、黒ずんだ乳首からは白いミルクが滴り続けている。

 妊娠してお腹が膨らんだ上、昨日のお仕置きで乳首の穴に棒を突っ込んで拡張したので、いつにも増して母乳が止まらなくなっているようだな。

 

「ベッドが母乳で汚れている。後できちんとシーツを洗っておけ。」

「承りましたわ、ご主人様。ところで、今日は如何されますか?」

「ふむ……。」

 

 裸のイロハの身体を一瞥すると、俺は視線を窓の外に戻す。

 

「今日は、朝食後にリンゼの様子を見に行く。そして、リンゼの羽化にまだ時間がかかるようであれば、裁判の仕込みに参加しよう。要は、リンゼの状況次第だな。」

「分かりました。では、もしご主人様が戻れなかった場合、わたくしとエルゼ殿だけで行動を開始しても宜しいですか?」

「ああ。ユミナと連絡を取り合った上で、仕込みをしておけ。」

 

 俺とイロハは簡単に今日の予定について認識の摺り合わせを行うと、朝食を取った。

 そして、朝食後、俺はすぐに行動を開始した。

 

「ゲート。」

 

 望月冬夜の家にいつも通り侵入すると、俺は早速浴室へと向かう。

 

「リンゼが当分繭のままなら、繭のリンゼを移動させなければな。」

 

 裁判の前日に、この家は証拠隠滅を兼ねて取り壊す。

 既にここを貴族に売り渡す手続きは進んでいるのだ。

 手続きが完遂する前に、リンゼの繭をどげんかせんといかん!

 

「繭の様子には変化なし、か?」

 

 浴室に入ってみると、昨日と同じく、真っ白で巨大な繭が浴槽に鎮座していた。

 繭の色や形には特に変わったところも見られない。

 だが、念のため、繭に触れて確かめてみるか。

 

「どれ……。」

 

 浴槽に足を踏み入れると、俺は手で繭に触れる。

 繭を形作る真っ白な糸の壁は、柔らかで弾力があり、手触りが心地良い。

 しかし同時に、まるで何かが脈動しているかのような、ドクンドクンと波打つ感触を俺の手は感じ取った。

 

「もしや、羽化が近いのか?」

 

 そういえば、まだリンゼには「どんなサキュバスになって欲しいか」という俺の願いを与えていなかったな。

 羽化の前に、俺の要望を聞いてもらっておかねば。

 

「リンゼ、聞くがいい!」

 

 リンゼが繭になってから、俺は今まで、サキュバス化したリンゼの妄想と股間を膨らませ続けてきた。

 そのイメージを、俺は頭の中で強く思い浮かべる。

 繭から俺の手に伝わる鼓動は、俺が願ったせいか激しさを増し、熱までも生み出し始めた。

 

「羽化が近いのは確実なようだな!」

 

 もしかしたら、俺が繭に触れて欲望を与えたからこそ、リンゼは羽化しようとしているのかもしれない。

 サキュバスは、男の性欲に対し貪欲な悪魔だ。

 だから、俺の性欲に反応して、リンゼは生まれようとしているのだと考えられないだろうか。

 

「さあ、来るがいい。リンゼ!」

 

 俺の叫びに応じるかのように、繭が僅かに振動した。

 更に、繭から伝わる熱が急速に温度を増したので、俺は慌てて手を離し、浴槽の外に出る。

 

「いよいよか。」

 

 ブチッという音と共に、繭の壁に小さな穴が空き、細長い物体が飛び出した。

 ピンクの毛に覆われたその物体は……昆虫の脚、か?

 繭を内側から破ったという事は、この物体はリンゼの身体の一部だと推測される。

 リンゼは蛾のサキュバスであるモースと一体化したから、手足が蛾の脚のように変化していたとしても不思議はない。

 だが、蛾のようになっているのは、果たして手足だけだろうか?

 俺が密かに不安を抱いている間にも、繭の穴は広がり、そこから徐々に何かが這い出してくる。

 

「リンゼなのか?」

 

 繭の中から遂に姿を見せたリンゼは、首から上と胴体の前、股間以外の部位がピンクの毛で覆われていた。

 先程繭から出てきた細長い物体は、やはり彼女の手足であったらしく、リンゼの肘から先と膝から下の部位は、細長い円筒形をしている。

 また、バストとヒップがイロハに次ぐレベルにまで肥大化しており、元々グラマーであったリンゼの身体はより淫靡な体型に仕上がっていた。

 彼女の背中には、ピンクの毛に覆われた巨大な蛾の翼も生えている。

 そして、俺が一番驚かされたのは、リンゼの顔だ。

 翡翠色の瞳が特徴的だったリンゼの目は、黄色の複眼になっていた。

 額には、蛾の物と同じ形状をした巨大な触角が2本ある。

 髪型は以前のままだが、銀色だった髪は今や鮮やかなピンクに染まっていた。

 

「リンゼの面影が残っていなくはないが、これは予想以上だな……。」

 

 顔立ちは複眼を除けば人間の時のままだし、胸もマンコも毛で覆われておらず昆虫化していないので、俺の性欲解消には一応使えそうだ。

 

「リンゼ。俺が誰だか分かるか?」

「……あの、どちら様ですか?」

 

 おや?

 リンゼめ、自分が蛾のサキュバスになったという自覚がないのか?

 リアクションが普通の人間と同じだ。

 と、いう事は。

 

「そうか。俺が誰か分からんか。くくっ……ハハハハハハ!」

「あ、あの、何がそんなに可笑しいんですか?」

 

 ふん、そんな事、言うまでもないだろう?

 リンゼの精神が人間のままなのなら、彼女が今の自分の姿を知った時、どういうリアクションを起こすのか。

 サキュバスとして、俺の性欲を処理する雌奴隷になったと実感した彼女は、どんな絶望と、性を感じるのか。

 想像するだけで、笑いが止まらない。

 

「良かろう、リンゼ。教えてやる!」

 

 お前の質問の答えを。

 そして、今のお前が何者で、俺のために存在するのだという事をな!

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