「到着、っと……」
結局、ここに来るまでの間に決意は固まらなかった。
隠したい、明かしたい、ふたつの気持ちを行ったり来たりして、どっちつかずだった。
多分、今の私は情けない顔をしているんだろう。
みっともない、すぐにしっかりしないと。
こんなんじゃ、またあのときみたいに、優人を傷つけてしまって……。
「はぁぁぁぁぁぁ」
しばらく黙っていた恵美が深いため息を漏らし、ジロっとこちらを睨んできた。
今にも平手をお見舞いしそうな雰囲気だが、なんとか我慢しているように見える。
眉をピクピクと上下させ、じっと、私がなにかを言うのを待っている。
強く風が吹き、肌に冷気が伝わる。
突き刺さるような一陣の風に身震いしてしまう。
本当に風だろうか。風に身震いしたのだろうか。
いいや、違う。
「そっか……」
恵美に睨まれているこの状況に身震いしている。
隠し事をし続ける自分に嫌悪感を抱いている。
なによりも、友達を信用しきれなかった私自身に恐怖しているからだ。
「ごめん、恵美。私、言う」
「私に……私たちになにがあったのか、全部、包み隠さず」
逃げずに、恵美を見つめ直す。
真っ直ぐと、力強く、彼女へ告白する。
今までの弱かった私はもういない。
優人が傍にいてくれる、ずっと一緒にいてくれる。
だから、もう怖がる必要なんてないんだ。
「私ね……実の弟と、恋人になったの」
「今まで、黙っててごめんなさい」
「……そっか」
「隠しててごめんなさい」
「うん」
「恵美には言いたいって、伝えたいって思ってたけど、できなかった」
「怖かったの、自分の罪を告白することが」
喉の奥は痛くなっていて、声はかすれている。
多分、涙を流しているから、こんなにも苦しいんだ。
切なくて、耐えられなくて、子どもみたいにみっともなく泣いている。
「でも、ちゃんと話す。もう逃げないから」
「だから……しっかりと聞いてくれる?」
恵美はため息を漏らしながらも、ニコリと笑ってくれた。
「あったりまえだろ? ったく、おせぇよ、馬鹿」
「そうね、ほんと、遅くなっちゃって、馬鹿だわ」
「風香は勉強できるくせに、そういうところが抜けてるから」
「まったくもって、そのとおり……少し長くなるから、覚悟して聞いてね」
「おう、大丈夫」
「それじゃあ、話す。まずは、故郷に戻ってからなんだけど……」
その笑顔にちょっとだけ救われたような気がして。
私は、珠里村で起きたことを洗いざらい、告白した。
なにもかも、すべてを包み隠さず、私の罪を。