ガール
「試験お疲れ様でした、あとは結果ね」
「ありがとうございます」
「まぁ、椿さんのことだから、きっと大丈夫!」
業務的に返事をし、職員室をあとにする。
担任教師は笑顔であんなことを言っていたが、私が就職を希望したとき、大反対したことを覚えているんだろうか。
少しだけ苛立ちながらも、できるだけ早く下駄箱へ歩を進める。
行き交う生徒たちから視線を送られるが、気にせず、突き進んでいく。
この学園に戻ってきたときはうっとおしたかったけど、今はもう慣れてしまった。
それに、ここで浴びる視線なんて、あの村にいたときに比べれば、大したことがない。
好意的な眼差しを向けられているんだから、まだマシなものだ。
玄関口にたどり着くと、見覚えのある人影が立っていた。
私の靴をプラプラと弄びながら、ニヤついている女の子。
背丈は同じくらい、髪の毛は少し茶色が入って、肩にかかるほどのミディアムヘアだ。
「お疲れェ、どだったよ、先生への報告は」
「……別に」
「なんだよ、不機嫌なわけ? なにかあったんじゃん」
「本当になにもないわよ。作業をこなしただけ」
女の子は私のことを馬鹿にするような視線を送りつつ、こちらへ近づいてくる。
釣り目できつそうだけど、どこか優しそうな眼差し。
一般的に言えば、美人と称される外見に、私は女ながらドキドキしてしまう。
口調が男っぽいのもあわせて、なんだか男子と会話している気分になる。
女子しかいない学園だというのに。
「まぁ、とりあえずだ」
「おめでとさん、という名の、慰労会、やるベ」
「……勝手に決めないでよ、恵美」
外から差し込む夕日が視界に入り、一瞬、目がくらむ。
その光景が、彼女と、
「ゆーても、暇なんだろ? いいじゃん、付き合えよ」
「あのね……まだ受かったわけじゃないんだから」
「あんたさぁ、そんな根詰めると、どっかでパンクするぜぇ? 一日ぐらい息抜きしとけって、な?」
「……はぁ」
本当に自由気まま、自分勝手。
出会た頃と変わりない、わがままっぷりだ。
恵美に見せつけるようため息を漏らす。
そのまま、彼女が持っていた靴を掴み、私は観念した。
「いいわよ、どこに付き合えばいいの」
「やりぃ! んじゃま、適当に飲み物買って、あそこ、行こうよ」
「はぁ、またあそこ? あんたも好きよね」
思え返せば、あの日も、こんな感じであそこに向かったんだ。
椿原恵美と本当の意味で知り合い、友達になった、数年前も……。