※この作品はR-18です。

ブラックベリーフィールズ 〜やがて女の子になる君へ〜   作:孤児郎

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前話のあらすじ

精密検査から逃げるため俺と樹里亞はタクシーで一足先に帰宅。俺たちのイベントってどうしてこう、いつもウヤムヤで終わるんだろう? そんなことは置いといて、婚約者だと言った露澪のことを聞く俺に、忘れていた記憶を話す樹里亞。俺が代わりに女の子になるっていったいどういう意味?


第四十話 男子高校生は無くした記憶に振り回される

「大丈夫? 雪緒(ゆきお)」

 

 樹里亞(じゅりあ)が俺の顔を覗き込むようにして言った。

 しかし、そういう彼女の方こそ今にも死んでしまいそうな顔色だ。細くしなやかな指先が落ち着きなく俺の襟元を行き来する。

 美しくて聡明な彼女が感情を露わにして取り乱すことなんか滅多にない。それこそ十年に一度あるかないかのレアケースだ。

 こんな時こそ彼女の愛情を強く感じる。もちろん普段だって愛されてると思うけど、実感できるかどうかの違いは大きい。なんなら週一でお願いしたいくらいだ。

 

「あなた、警察署の廊下で倒れたのよ」

 

 警察? 家に帰ったハズなのになんで警察にいるんだ?

 まさか、事情聴取を無視して逃げて捕まったのか!

 

 なーんてことは全然なく、俺は今日の出来事を思い出していた。

 

 ◇◇◇

 

 伊豆の温泉地から水着姿でタクシーに乗り、樹里亞の家に着いた頃にはすでに日が翳っていた。マイクロビキニ姿だった俺はそのまま自宅に帰るわけにもいかず、彼女の家でシャワーと服を借りたついでに一晩泊めてもらった。

 

 翌日、伊豆の温泉街の警察署から樹里亞の家に連絡があった。事情聴取を受けるために俺に署まできて欲しいという内容だ。ここの連絡先はおそらく露澪(ろみお)氏経由でバレたのだろう。

 警察から呼ばれるのは想定済みだ。先に大学病院の多岐川(たきがわ)医師に連絡して精密検査の診断書を書いてもらった。無理を言ったのに多岐川医師は嫌な顔ひとつせずに快諾してくれた。精密検査そのものも午前中だけですんなり終わってしまった。俺はまだ『法的には男性』ということらしい。

 一人では心配だと言う樹里亞に付き添われて俺たちはふたたび伊豆に向かった。彼女の前では『どんだけ子供扱いなんだよ』と怒って見せたが、ホントはきてくれて心強かったし嬉しかった。

 

 警察署内を制服姿の警官に案内されて殺風景な部屋に通された。細長い机が二つ繋がったものが二列置かれていて手狭な室内をさらに圧迫している。

 

 薄暗い部屋に慣れた目に卓上ライトの光が眩しい。刑事になりたてだろうと思われる年若い男が対面に座ってまだ白紙のままの供述調書を指先で叩いて威圧する。その後ろでは髪に白いものが混じった老練な刑事が少しの表情の変化も見逃すまいと、狐狼のごとき狡猾な瞳で俺をじっと見据えていた。

 安タバコの紫煙がこもる取調室にはエアコンもない。俺の頬を伝う汗が暑さのせいだけではないことをこの年老いた刑事は見抜くだろうか。

 かすかに腹の虫が泣く。そういえば、今日は朝から何も口にしていない。それを耳聡く聞いた老練な刑事はそれまでの厳しかった表情を崩して、優しい声音で俺に言う『カツ丼……食うか?』

 

「お昼まだみたいだね。でもゴメンね。もう少ししたら担当刑事がくるから、それまでガマンしててね」

 

 え? またもや妄想が口から漏れてた?

 

「そんなにカツ丼が食べたいならこんなキタナイ所で出前とるより、近所に美味しい店がたくさんあるよ。終わってからユックリ食べたらいい」

 

 そう言って制服姿の警官はニッコリと微笑んだ。

 俺、そんなにハッキリ喋ってたのか? スゲー恥ずかしい……うがー!

 

 窓側の壁に畳んだままのパイプ椅子がいくつも立て掛けてあり、警官がそれを開いて俺に勧めた。ちなみに俺が案内されたのは殺風景だけどキチンと掃除された会議室で、天井に埋め込まれた立派なエアコンが涼しい風を送っていた。

 樹里亞も涼しい一階の長椅子で待っているハズだ。

 

 聴取の内容は形式的なことばかりだった。『どうしてあんな水着を着ていたのか』とか『そもそもなぜ女性用の水着なんだ』なんて質問は全然ない。恐々としながら不自然に聞こえない理由を必死で考えたのに、なんとも拍子抜けである。

 救急車からいなくなった件に関しては露澪がどうやら上手く言ってくれたらしく、それについても何も聞かれることはなかった。被害者が逃亡するなんてアホな状況の言い訳をどうやって警察に説明したのか俺には想像もできないけれど、これからは心の中でも『露澪さん』と呼ぶことに決定。

 

 すんなりと事情聴取が終わって樹里亞の元に戻ろうと廊下に出る。警察署の廊下は狭く、どういうわけか窓が少ない。古臭い蛍光灯に照らされたアイボリーの壁は最初からそういう色だったのか、それとも長年の煤やヤニで薄汚れてしまったものなのだろうか。寿命間近の蛍光灯が一本だけゆっくりと不規則な点滅を繰り返していた。

 その廊下の先に警官二人に伴われた男がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。

 突き出した両手首に黒い手錠が掛けられている。俯いていた男の顔がゆっくりと持ち上がった。その視線は俺の爪先から足の甲に纏わりつき、すね、ひざを伝って太もも、腰、胸へと這い上がってくる。

 厳つい顔の中央に埋まった小さな獰猛そうな双眸が俺を認識してニヤっと笑った。

 

 『あの男』だ。

 

 それに気づいた瞬間、俺の周囲の時間が凍結する。呼吸は止まり脚が廊下に固定されたように動かなくなってしまう。

 どうしてコイツがここにいる?

 もちろん、現場の所轄署なんだからここに拘留されているのは当たり前だ。でも、ドラマじゃあるまいし犯人と被害者が廊下ですれ違うなんてことが実際にあるとは……ましてや自分がその当事者になるなんて思ってもみなかった。

 だって……もしも今ここでコイツが暴れ出したら、廊下にいる警官三人掛かりでも抑えられるとは思えない。警官だって厳しい訓練を受けているだろうけど、コイツの体は対人格闘のために鍛え上げられたリーサルウェポンだ。ホンキで暴れ出したら止めるのは不可能だろう。

 日本の警察は丸腰の相手を絶対に撃たない。それに署内で暴れるなんて思わないだろうから、彼らが呆気にとられてる間に俺の細い首くらい簡単に折ってしまうだろう。

 それにヤツがここで暴れるということは、この人数相手に勝てる見込みがあるということだ。

 コイツがちょっとでもおかしな動きをしたら、とるものもとりあえず脱兎のごとく逃げなければ。でも、俺の脚はちゃんと動いてくれるだろうか。

 バトルに備えてアドレナリンが身体中を駆け巡る。全身の血管が急激に収縮してめまいのように頭がクラクラする。

 

 時間がゆっくりと動き出し、一歩一歩男が近づく。その目はブレることなく俺を捉え続けている。

 五メートル、四メートル、男の足音が狭い廊下に反響して俺を威嚇する。

 三メートル。俺の靴底はどうしても床を離れない。

 二メートル。心臓が急激な動作に備えて早鐘を打つ。

 腕を伸ばせば手が届く距離まで近づく。でも、意外にも腕は伸びてはこない。思った通り腕は伸びてこない。そして残念にも……腕は伸びてこなかった。

 男が俺のすぐ横に並ぶ。俺の鼓動は最高潮に達して足元がふらつく。視界が急激に暗くなって、もうそれ以上立っていることができなくなった。

 希薄になっていく意識の中で遠ざかるヤツの足音が聞こえた気がした。

 

 ◇◇◇

 

「ホント、どうしたんだろうね。あんなトコで倒れちゃうなんて……」

 

 あのナンパ野郎になにかされたわけじゃないし、いったいどういうことなんだろう? そう言えば、ヤツに連れて行かれそうになった時も、どういう訳か抵抗できなかった。

 いったい俺はどうしちゃったんだろう?

 

「ひょっとして、あのことが影響して……」

 

「あのことって?」

 

 俺が聞くと、彼女はハッとして首を振った。無意識のうちに口から出てしまったのだろうか。俺が気を失った理由に思い当たることがあるのなら是非聞きたいんだけど。

 でも、それっきり樹里亞は黙り込んでしまった。

 

「目が覚めたかい? 急に倒れたって聞いて駆けつけてきたんだよ。せっかく戻ってきてくれたのに嫌な思いをさせてしまって済まなかったね」

 

 会議室のドアが開き、一人の男が入ってきた。

 真夏だというのにキッチリとスーツを着込み、汗ひとつかいていない。婚約者28号……もとい『門倉 露澪』。

 

 いや、『門倉 露澪さん』だった。

 

 優しさのなかに労わりの混ざったような複雑な表情で俺の顔を覗き込む。警察署内での容疑者と被害者の遭遇。一般人である彼にはなんら落ち度はないハズだけど、まるで自分の責任のように俺に謝罪する。きっと、昨日言った『もう大丈夫』の言葉が嘘になってしまったことを悔いてるんだろう。なんて真摯な態度だろうか……婚約者28号のくせに……。

 

「いえ、大丈夫です……。急にめまいがしただけで……」

 

 ホントに俺はどうなっているんだろう?

 思い当たることと言えば俺の体の変化くらいだけど、ホルモンバランスとかの影響だろうか。

 

「また具合が悪くなると困るから、今夜は僕の所に泊まっていきなさい。どうせまだ夏休みだろう? 君みたいな人は大歓迎だ。良かったら好きなだけいてくれて構わないよ」

 

 露澪さんは裏表のなさそうな爽やかな笑顔で俺にそう言った。

 いい人なんじゃないのか? 婚約者28号だけど……。

 

「お兄様はなにか勘違いをなさっています。この人は……」

 

「知っているよ。東條(とうじょう) 雪緒(ゆきお)くん……樹里亞の王子様だろう?」

 

 露澪さんがそう言うと、彼女の顔色が変わった。

 

「彼の名前が出た時にどこかで聞き覚えがあると思ってたんだ。でも、思い出せなくてね。今日、彼が男の子だと聞かされてやっと思い出したよ。樹里亞と一緒にいて誘拐されたあの時の男の子だと……」

 

 は? 誘拐?

 いやいや、俺、そんなディープな過去なんかないですから。そりゃ性別を取り違えられていたなんてかなりディープな経験だけど、それは産まれた時の話だ。それに、いくら小さい頃とはいえ物心ついた子供が『誘拐』なんて大事件を忘れるわけがないだろう。

 自分が巻き込まれた事件を忘れてしまうだなんて、そんな心的外傷後ストレス障害(PTSD)みたいなことが……。

 廊下でアイツと出くわした時の情景が頭の中でフラッシュバックする。あの時俺は、脚が動かなくなって息苦しくなって……。

 PTSDのせいでそうなったというのか? ヤツに抵抗できなかったのもそうなのか? PTSDで記憶が混乱して樹里亞との約束の一部を忘れてしまったのか? 樹里亞が言いかけた『あのこと』って誘拐事件のことなのか?

 

「そうなの? 樹里亞」

 

 恐る恐る樹里亞の顔を見る。俺の大切な幼なじみは優しい瞳で俺を見つめていた。彼女の微笑みはとても温かくて、俺の不安や恐れを吹き飛ばしてくれる。でも彼女は何も答えなかった。

 

「それは……」

 

 黙ったままの樹里亞の代わりに露澪が口を開く。

 でも、彼女はそれを手で制した。

 

「忘れているなら無理に思い出させないようにって、ご両親から言われてるのよ」

 

 彼女はそう言って俺の手を優しく握る。その言葉は俺に向けられた言い訳か、それともこの話を始めてしまった従兄弟に対する叱責か。

 そんなことを言われても、ここまで聞いてしまったら気になって仕方がないよ。

 

「聞きたい。樹里亞、話して」

 

 俺がそう頼むと、彼女は一つ大きなため息をついてから口を開いた。

 

「雪緒。こんなカタチで話すことになってしまってごめんなさい。露澪お兄様の言ったとおり、あなたは幼い頃に誘拐事件に巻き込まれたの。あたしたちが五歳の時よ。あの日も今日みたいに蒸し暑い日で、母に家の中で遊ぶように言われてたんだけど……あたしは黙って勝手口から飛び出して近所の神社で遊んでいたわ。でも、着せられた白いワンピースを汚さないように気をつけるのにウンザリしてた。だから、境内のブランコに女の子が一人で座っているのを見て声をかけたの。その子は動きやすそうなハーフパンツを履いてたから……。あたしは笑顔で近づいて話しかけたの。一緒に遊ぼうって……。そうしたらその子もニッコリと微笑んで『ゆきお』と名乗ったわ」

 

 色褪せたセピア色の情景が記憶の霧の向こうからおぼろげに浮かんでくる。

 その日、初めて樹里亞と知り合ったのか。よく覚えてるなぁ。

 しかもその時の俺の認識は『女の子』かよ!

 ……てか、重要なのはそこじゃない!

 

「それじゃ、ズボンを履いてれば誰でも良かったってことじゃないかぁ!」

 

 彼女の身もフタもない言葉にガックリと肩を落とす俺。

 あの頃、小柄で大人しかった俺は同い年の男の子たちに仲間に入れてもらえず、いつも一人で遊んでたんだ。そんな俺に声を掛けて一緒に遊んでくれたのが彼女だった。

 いや俺だって、思い出っていうものが美しいものばかりじゃないってことくらい理解はしてるよ。だけど、最愛の彼女が俺を選んだ理由が『誰でも良かった』、『ズボンを履いていたから』だなんて……。最後に『後悔はしていない』って付けたらまるで無差別連続殺人犯の供述じゃないか!

 男っていうのはなぁ、もっとずーっとロマンチックな生き物なんだぞ!

 

「誰でも良いって訳じゃないわ、雪緒。サイズが合わなきゃ交換できないでしょ?」

 

 俺の両肩がさらなる重力の枷に囚われる。今この惑星の重力は何Gくらいなのだろうか。

 うんうん、わかってたさ。樹里亞はこういう女だって。

 

「でもね、遊んでいるうちに知らない男の人が声を掛けてきたの。その人は白いワンピースを着た雪緒の前にきてこう言ったの『樹里亞ちゃんだね。お父さんが事故に遭って大変なんだ。今すぐおじさんと来てくれ』って。でもそれは子供を誘拐する時の常套句なのよ。それに、スーツも着ていない男の人があたしを呼びにくるのも変だった。この人はあたしを連れ去るつもりだと直感したわ。当時、父は酷い経営をしていて大勢の社員に恨まれていたの。連れて行かれたら父の代わりに酷い目に遭わせられるって幼いあたしにもわかっていた。もしかしたら殺されるかもしれない。だからあたし、恐かったの。あなたはそんな事情を知らないから、あたしを指差して樹里亞だと言ってしまうかもしれない。足が震えてたらあたしが本物だとバレてしまう。だから必死に堪えたの。でも恐くて恐くて、俯いたまま何も言えなかった」

 

 樹里亞の口から幼い頃の恐ろしいシチュエーションが語られる。

 

「そうしたら、あなたは男について行くって言うのよ。男があたしのことを聞いたら『あの子は今日会ったばかりの知らない子』だと言って、あたしに向かって『バイバイ』って手を……」

 

 そこまで言うと、樹里亞は横になっている俺に抱きついた。

 彼女の嗚咽が小さく聞こえる。顔を埋めた胸が彼女の息で熱い。

 

「あた……し、何も……言えなかっ。あな……が殺され……かもしれな……に。じぶ……ことしか考……なかったの。あたし……そんな女……なのよ! ごめ……さい。ごめん…さい。ごめんなさい、雪緒」

 

 いつも聡明で落ち着いている樹里亞が、急激な感情の波に飲み込まれてまともに喋れないほど取り乱している。

 どうしてだか思い出せないけど、小さかった俺は彼女の身代わりになって誘拐されたらしい。俺は幼い彼女を助けたということだ。『樹里亞の王子様』ってそういう意味だったのか。

 ああ、そうか。だから彼女はずっと俺を守ってくれたのか。俺が事件の記憶を失っていたせいで謝ることさえできないまま、十年以上も贖罪を続けて自分を責め続けてきたのか。

 俺は今こうして無事に生きてるというのに。

 その時のことなんかどうでもいい。例えそれが樹里亞にとってどれだけスゴいことだったとしても、今まで俺が彼女から受け取ってきた沢山の助けや好意に比べたらほんの些細なことだ。

 『義理』というべきか、あるいはアナクロに『仁義』とでも表現しようか。俺がいつも口にする『男のプライド』なんて言葉が薄っぺらく感じるほど彼女の想いは熱く固く……そして優しかった。

 

 でも、俺はそれを喜べない。彼女の好意は『お礼』とか『償い』という類のもので、それは決して『愛情』なんかではなかったのだから。樹里亞が異性だったから、その優しさを勘違いしていたんだ。

 

 そんなこと、知りたくなかった……。

 

 それはつまり、俺が樹里亞に相応しい男ではなかったということだ。俺はホントはもっともっと自由だった彼女を、長い間カゴの中に閉じ込めていただけ。

 なんだそれ。俺、完全に悪者じゃねぇか!

 閉じた瞼から熱い液体が溢れて、止めることができない。第三者が見たら貰い泣きしてるように見えるかもしれない。

 でも樹里亞には……。この美しくて聡明な女性になら俺のこの涙の意味がわかるだろうか。

 

「樹里亞は……自由じゃなくちゃ……ダメだよ」

 

 上手く言葉にできない。

 ホントは言いたくないからだ。言ってしまったら彼女に憧れ続けた十年の歳月が無意味なものになってしまう。彼女を守れる男になろうと努力してきた日々が無駄になってしまう。俺の中の未練がましい俺が背後からそう言って邪魔をする。

 でも、言わなくちゃいけない。俺が彼女を自由にしなければならないんだ。

 樹里亞との約束を幼い日の思い出にして、俺は彼女の前から姿を消す。そうだ、誰も知らない土地に引っ越して、女として新しい人生を生きるのも良いかもしれない。

 

「うん、だからもう決めたわ……」

 

 しばらくして樹里亞は体を起こし、洟をすすりながら息を整えて静かに喋り始めた。

 

「雪緒と結婚して、あたしのすべてを雪緒のために捧げるわ」

 

「なんだって!」

 

 この日初めて、俺と露澪さんのセリフがハモった。

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