ブラックベリーフィールズ 〜やがて女の子になる君へ〜 作:孤児郎
男に対して警戒心がなさ過ぎる美鶴ちゃんを戒めようと公園のベンチで襲いかかるフリをしたけど邪魔が入って失敗。宏海の看病では美鶴ちゃんが暴走してキス魔に変貌。ナゼかと問い詰めたら彼女も宏海が好きだと言い出した。美鶴ちゃんは俺から見ても超絶美少女だ。どうする俺?
「
俺の目の前でとても可愛らしい少女がニッコリ微笑む。
東陵高校の文化祭……『東陵祭』で知り合った一年生の『
入院中の宏海に向かって告白じみたことを言い出す彼女の腕を掴み、デイルームに引っ張って行って椅子に座らせる。さっきの『告白』は宏海に聞かれただろうか? いや、もし聴こえていなかったとしても、キスしたのは取り消せない。
彼女は俺の大ファンだと言ってたのに、宏海の事が好きだなんて……。
頭の中がぐるぐる回ってなにがなんだかわからない。
「ちょっと待って、美鶴ちゃん! 確かに俺と宏海は付き合ってないけど、中学の頃から一緒に
自分でもなにを言ってるのかわからない。でも……宏海を好きになる気持ちはよくわかる。
俺だって彼が好きだ。だけど、下級生の美鶴ちゃんが彼のことをどこまで知ってるというのだろう。
「一目惚れじゃありませんよ、雪緒せんぱい。勘違いしてるみたいですけど、宏海せんぱいとは小学生の頃からの付き合いなんです」
美鶴ちゃんがドヤ顔で答える。
それを聞いた瞬間、目の前が急に暗くなった。
彼女の方が俺よりも付き合いが長いだって?
「いやいやいや、そんなことない! 俺は中学からの付き合いだけど、美鶴ちゃんのこと聞いてない。こんな可愛い彼女がいたのなら、ちゃんと俺に話してくれてたハズだよ」
「そうですね。残念ですけど、あたしは宏海せんぱいの彼女……じゃありません」
ドヤ顔が急に曇って、美鶴ちゃんはそのままうつむいてしまった。
やっぱり二人は付き合ってたワケじゃないのか。
ホッとする一方で、恋する乙女の心を傷つけてしまったかもしれない罪悪感に包まれる。
「でも、小学生の頃からよく一緒に遊んでたんです。宏海せんぱいは……あたしのお姉ちゃんが好きだったみたいですけど……」
なっ、なんだって?!
新たな『女の影』の出現に首筋の辺りがぞわぞわしてくる。
「美鶴ちゃんのお姉さんっていくつなの?」
テーブルに乗り出し、美鶴ちゃんにつかみ掛からんばかりの勢いで問いただす。俺のあまりの剣幕に椅子から転げ落ちそうになる彼女。
小さい頃のこととは言え宏海が好きだった女の人だなんて、気にならないワケがない。しかも美少女の美鶴ちゃんのお姉さんなら相当な美人かもしれない。同い年か……それとも上級生?
「え……えーと、お姉ちゃんは、23歳です」
なん……だと!
上級生どころの騒ぎじゃない。宏海の憧れの……おそらく……美人の大人の女性。それってなんだかすっごくヤバい気がする!
「……で、今は結婚してウチの実家で働いてます」
結婚……してるのか。
急に全身の筋肉が弛緩して、ぽすんと椅子に座り込むと顔からテーブルに突っ伏した。
なぁんだ。
「あれ? 雪緒せんぱい、今ホッとしました? お姉ちゃんのことを聞いて危機感を持ったのに、結婚してるって聞いて危険度レベルが下がりましたか?」
コイツめ。俺の思考を読むんじゃない!
ふと我に返ると、自分がいったい何を心配してたのかわからなくなる。
だって、俺には
宏海は俺のことを好きって言ってくれたし、俺も彼のことが大好きだけど、俺たちは親友であって……。
「でもそれってずいぶん失礼じゃありませんか? あたしだって宏海せんぱいと付き合ったっておかしくないんですよ」
桁外れに高い能力を持つテレパスの美鶴ちゃんが、頬を膨らませながら話を続ける。
うんうん。可愛いカワイイ……見た目はね。
「でもさぁ、美鶴ちゃんってなんて言うか、こう……可愛いタイプだよね。幼顔って言うか妹系って言うか……。姉妹で顔が似てるのかも知れないけど、お姉さんは大人なんだからやっぱりイメージは違うんじゃないかな?」
「せんぱいって意外とバカなんですね。宏海せんぱいがお姉ちゃんを好きだったのは小学生の頃ですよ。その時のお姉ちゃんは中学生で、今のあたしより幼かったんですよ」
そう言って、美鶴ちゃんの表情がふたたびドヤ顔に戻る。
ギャー! 何言ってんだ……俺。言われてみれば確かにそうだ。ずっと昔の事なのに、どういうワケか俺の頭の中では美人で大人の女性の姿でイメージしてた。
小学生の時に好きだったってことは、もしかして『初恋』ってヤツ?
「去年まで中学校に通ってたあたしは、当時のお姉ちゃんそっくりだって言われてますよ」
宏海にとって美鶴ちゃんは、初恋の女性の面影そのものなんだ。
そのお姉さんのこと、彼は覚えてるのかなあ?
初恋の相手は忘れないって言うし、もし忘れていたとしてもお姉さんにソックリの美鶴ちゃんが宏海の好みのタイプだという可能性は高い。
【結論】……これ以上、彼女を宏海に近づけてはならない。
「あら。あたしを宏海せんぱいに近づけたくないって顔してますよ」
!!!!!
コイツ。やっぱり俺の思考が読めるんじゃないか? それがホントだったら、シャレにならない。
でも、それがどうした! 宏海は一番の親友なんだ。いくら美鶴ちゃんが彼の初恋の人にソックリだとしても、俺は負けないぞ。
「病室に戻りましょう、雪緒せんぱい。どっちが宏海せんぱいの彼女に相応しいか、本人にジャッジしてもらいましょう」
「望むところだ!」
どっちが宏海に相応しいか証明してやる。
◇◇◇
どうしてこんな事態になったのか、自分でもよくわからない。
でも、一つだけ確実な事は、宏海との『男の友情』を守り通すために俺が『女の闘い』をしなくちゃならないってことだ。
そう。これは他でもない俺たちの闘いなんだ。
「宏海せんぱぁーい。重くないですかぁ? あたしぃ、高校生になってもあんまり背が伸びなくてぇ、小っちゃいままなのが悩みなんですぅ」
語尾を伸ばす甘えた口調の美鶴ちゃんが、ベッドに横たわる宏海にマウントポジションで抱きついている。
「胸なんてぇ、60のAAAカップなんですよぉ」
そう言いながら彼の身体に胸を押し付ける美鶴ちゃん。
逃亡防止と『万が一』を考えて、宏海には悪いけれど手足をベッドのパイプに拘束してある。
それにしても……俺は美鶴ちゃんの胸を凝視する。トリプルAなんて、もはやカップじゃなくてディッシュだろ! あんなにぺったんこな胸を押し付けられても、なんだかわからないんじゃないのか?
まぁ、65Aカップの俺が言えることじゃないかもだけど……。
そう思って宏海の下半身に目を移すと、なんとそこにはすでに低めのピラミッドが構築されつつあった。
ちょっと待てっ! グラマーで巨乳のお姉さんが相手だったら理解できるけど、貧乳の小柄な少女に抱きつかれても男って反応するものなのか?
自分が男子の制服を着ていた頃のことを思い出そうとするけれど、俺にはちゃんとした『アレ』があったワケではないのでよくわからない。
ハーフパンツから伸びる美鶴ちゃんの白くて細い脚が、宏海のパジャマの腰をガッチリとホールドしている。彼女は何度も振り返って宏海の股間を確認する。
彼のパジャマの股間は、少しづつその高さを増してるように見えた。
さっきから彼女も俺もどうして彼の股間を気にするのか……それこそが俺と美鶴ちゃんの闘いの要点だ。病室のベッドに寝かされてる宏海にセクシーアピールをして、股間により大きなテントを張らせた方が勝ちというとてもシンプルなルールなのだ。
先攻と後攻に分かれて、制限時間5分のあいだ宏海にアピールをする。先攻がクリアすればその時点で先攻の勝ち。できなければ交代して後攻のターンとなる。しかしチャンスは一度だけで、もしも後攻がクリアできなかった場合には自動的に先攻の勝利となる。
一見すると先攻が有利に思えるルールだけど、最新のゲーム理論に当てはめて考えると必ずしもそうとは言い切れない。後攻には『先攻の戦略と結果を参考にできる』という見逃せない利点があるからだ。
ここで俺は考えた。自分が先攻になった場合の戦略は二種類。
1. 過激なアプローチで一気にクリアを狙う
2. わざと何もせずにターンを終えて交代し、敵の自滅を待つ
どちらを選ぶかは、宏海のエッチに対する耐性に左右される。彼がカンタンにエッチな気分になるとしたら1を、そうでなければ2を選ぶことになる。
1の戦略では、自分がどこまで過激になれるかが重要だ。美鶴ちゃんが見てる前でセクシーな真似をするのはとても恥ずかしいけど、彼女がどんな戦法でくるかわからない以上、全力を出し切らなければ待っているのは敗北の二文字だ。
2の戦略を選んだ場合でも、彼女が全力で攻めてきたら宏海がどうなるかわからない。もちろん、唇へのキスとピラミッドへの直接行為は禁止事項だ。しかし、物怖じしない美鶴ちゃんがどれほど過激なことをしてくるか、現時点ではまるでわからない。
後攻のメリットは、美鶴ちゃんが選ぶ戦法とそれによって宏海がどう反応するかを見極めて、自分の戦法に活かすことができる。デメリットは不戦敗になる可能性があるということ。
しかし……である。幼い少女に興奮させられてる宏海の姿を想像すると頭の芯が冷えてきて何もかもどうでも良くなってくる。そんなロリコン野郎は親友としても認めるわけにはいかない。
戦略は決まった。先攻は美鶴ちゃん、後攻は俺だ。
しかし、バトルが始まり美鶴ちゃんが宏海にのし掛かったところで俺は急に不安になった。
美鶴ちゃんは宏海の脇腹に太ももを擦り付けながら、胸を彼の顔に押し当てている。その姿勢のままなにか囁いた。
「せんぱいの、その……な……で、……の小さな………に………して……………」
その瞬間、宏海が猛烈に反応した。
テントが一気に盛り上がって、パジャマの股間部分が突き上げられる。
なんだアレ? しゃべっただけであんなに反応するのか? アレがかの有名な『言葉責め』ってヤツなのか?
なんて技を使うんだ。美鶴ちゃん、恐ろしい子!
しかし美鶴ちゃんが振り返って確認した時には、宏海の股間はまた元の高さに戻りつつあった。彼女がそれを『効果的』と受け取ったのか、ふたたび宏海の耳元でなにかを囁く。なおも反応する宏海の股間。
彼女はいったいなんて言ってるんだ?
左手首に巻かれた時計を見る。
樹里亞とお揃いで買った革バンドのクロノグラフ。レディースサイズの小さな文字盤なのに、メーターが三つ付いた複雑なデザインがカッコいい。
その一番大きな秒針が、美鶴ちゃんのターンがまだ半分も過ぎていないのを示していた。
宏海の股間が完全に勃起してしまったら、俺は『男として』だけでなく『女として』も宏海を失う事になる。もしそうなってしまったら俺は……俺は……ええと……。
冷静になって考えてみれば、俺には樹里亞という婚約者がいるし、美鶴ちゃんが宏海の彼女になれば、るちあたちを含めてトリプルデートだってできる。
また海だって温泉だって宏海と一緒に行けるじゃないか。そうすれば、すべてが丸く収まるんじゃないのか?
「ちょっ! 待てまてまってーっ!」
悲痛な声に意識が引き戻される。それは『我が親友』宏海の口から発せられたものだ。
ヤバい! あまりの展開に頭が真っ白になって、勝手に自滅するところだった。宏海がああして戦ってるのに、俺が白旗を揚げるわけにはいかない。
頬をパンパンと叩いて自分に喝を入れ直す。彼の幼なじみかも知れないけど、あんな娘に大事な親友を奪われるワケにはいかない!
負けるな、宏海!
時計を見るといつの間にか制限時間が迫ってきていた。
あと30秒。彼の股間はまだ奮闘してる。
あと10秒。美鶴ちゃんが宏海の耳たぶに噛み付いた! なんだ、その技?! そんなことで宏海が……あっ、ヤバい! 反応してる!
あと5秒。宏海の股間のピラミッドは、神の領域に近づきつつある。頑張れ、宏海!
あと3秒。美鶴ちゃんが宏海の首筋にかぶりつく。まるで吸血鬼みたいな異様な光景だけれど、それだけ彼女も必死なんだろう。
あと2秒。だからと言って勝ちを譲るつもりはない。
あと1秒。俺は正々堂々と戦って勝つのだ。
タイムアップ!
いつまでもしがみついている美鶴ちゃんを引き剥がすと、彼女が俺をキッと睨みつける。
「見てみて、雪緒せんぱい! ほらぁ、こぉーんなにボッキしてますよ!」
俺の手を振りほどき、宏海の股間を指差して嬉々として叫ぶ美鶴ちゃん。
どうでも良いけど、幼い顔の美少女が大声で『ボッキ』とか言わないで欲しい。
「コレ、間違いなくあたしの勝ちですよね!」
勝ち誇った表情の彼女。
でもね、美鶴ちゃん。完全に勃起した宏海のアソコを君はまだ見てはいない。
「最終形態に進化した宏海はこんなモノじゃないよ! 見たことあるから……」
そう言った途端、彼女の表情が一転して凍りつく。
水着を着た上からだけどね。
でも、濡れて腰に貼りついた海パンを押し上げるマグマの勢いは凄まじかった。今履いてるパジャマだったら、きっと布地を突き破ったに違いない。
その時彼をそうさせたのは、男子の水着を着てトップレス状態の俺の姿だ。
「彼が完全に勃起したところを見せてやるよ」
さぁ、ここからは俺のターンだ。