「母さんが研修セミナーで
思いの丈ぶちまけてる時に
どんな顔してた?」
「真顔ですね」
「どんな感情で真顔?」
「まぁ…なんだかすみませんって
思いました」
「いやっこっちこそゴメン」
ーーー
ーー
ー
「この定期解約は…いったい
何なのかと聞いておるのだ」
「別にいいじゃん。この家のローンは
私が払ってるし」
「それはいずれ返す」
「返さなくてイイわよ〜
ローンなんて、私からしたら
はした金だもん」
「おまえは私の妾だが、家族の
一員でもあるんだぞ。家長である私が
愛人から金を踏み倒したらまずいだろ」
「どういう理屈だソレ」
「話の論点が変わってますよ社長」
「ああ…ほんとだ」
「なぜあなただけ働いたって
言えるんですか?『パートはいかん、
おまえには守る役目がある』と言って…」
「そんなこと言ったの?」
「いやっあの」
母さんの告白を聴いた
レイヴンさんに眉をひそめられながら
睨まれる父はしどろもどろになる。
母さんはそんなのお構いなしに
言葉を続けた。
そんな中で
「これ、おろしたお金です」
ペラペラペラペラ
「少しですが増やしておきましたから」
「スゴイ、どうやってこんなにも」
「知りたいですか?」
この時、母さんが浮かべた笑みを
レイヴンさんはなぜか
とても悲しそうな顔していた。
それから
「はじめまして、『ニコニコ人生センター』の
頓田林です。お迎えにあがりました」
「どうも〜LSD社長のレイヴンです」
「張り合おうとしてるの?」
カルトの”教祖”さま、直々にお出迎え。
『幸せですか?』『人生は必ず〜』など
書かれた街宣車に乗せられて
「「「「「『ニコニコ魂の故郷』へ
ようこそ!!!!」」」」」
「お出迎えありがとうございます」
拠点に連れていかれた。
父は『カルトかどうか見極める』とか言って
ノリノリだった。
廃校に無農薬野菜とか作っているらしい
表向きは。
どうやら、建前的に宗教でも生産共同体でも
互助会でも無いらしい。
共同組合だと教祖さまは言っていた。
「そのための資金として…
定期を解約させたワケか」
「さくらさん、本人の意志によるものです」
教祖さまの考え的に
『世の中をマシにするため、救いようのない
世界を良くしよう』
『自分たちの欲望で金を増やしてる
ワケじゃない』
『自分たちのところに専門家も
大量にいる』
最後の一つは脅し文句みたい。
「善意の金を増やすためなら法律なんて…」
「え〜?!」
「どうしたの」
「いやっ…母さんが泊まっていくって」
「「「心から、歓迎します」」」
「そうですよ。どうせ明日
日曜ですし」
「別にいいんじゃないの?
旅行気分で泊まって行けば」
このとき
「フッ」
意味ありげに笑うレイヴンさんの目的が
まさか、あんなんだとは思いもしなかった。
半分…実は気づいてたけどね
カルト編が中盤近くまで来ましたよ。