世界にも自分にも絶望している短気な中年「
初回限定無償キャンペーンがあるという天使に、虫太郎は半信半疑で「記憶だけ過去に飛ぶ」アビリティをお願いしてみる。すると、予想に反して本当に過去に飛べたため、驚愕する虫太郎なのであった。
「んっ……ぁ……ぴ、ピーニャのおしっこ……おいしー……?」
メイド服のロングスカートの裾を恥ずかしそうにまくり上げているしぐさがいじらしい。頬も赤らんでいて実によい。できればドロワーズとパンティは片脚のひざあたりに引っ掛けた状態にしておいてほしかったが、及第点としよう。
「おいしいよ。リンゴジュースみたいに甘くておいしい。だからもっと漏らしてごらん」
おれは人形のように無垢なピーニャのおま×こをなめながら、小さな尿道口から弱々しく漏れ出てくる聖水を一滴残らず飲み干していく。
「ふにゃぁ……ン……で、でも……はぁ、はぁ……虫太郎くんの口のなかが、汚れちゃうよ~……」
「ピーニャのおしっこは綺麗で神聖なものだから、大丈夫だよ。もちろんおま×こも。むしろ浄化されてくよ、おれのなかのいろんなものが」
「虫太郎くんっ……そんなぁ……んっ……ン、ぁ……ぁ、ぁ、ぁ…………ピーニャ、恥ずかしい……」
「おま×こ見せながら恥ずかしがるピーニャもかわいいね」
「む、虫太郎くんの……っ……ばかぁ~……んっ……」
「っていうか、また名前変わったね」
「また自主規制が入ったの」
「大変だね、天使界も。ちなみにその名前の由来はもちろんおしっ――」
「恥ずかしいから言っちゃだめ~っ!」
ピーニャが自分の身体の3倍はありそうな巨大ピコピコハンマーをどこからか取り出してきて思いっきりおれの――。
「虫太郎くん」
カーテンの隙間から太陽の光が漏れてる。またクソな1日が始まるのか。
「虫太郎くん、起きたまえ」
「やっぱり夢かー」
「ピーニャに改名したとこはホント」
「都合よすぎ! 夢なら夢で、挿入までしたかったー」
「キミは恥ずかしがり屋で根性なしのくせにピーニャに対しては恥じらいゼロで突撃してくるよね」
「なんかね、おれにしか見えてないというところがグッと来るんですよ。秘密のふたり? イマジナリーフレンド? そーゆー感覚がおれを大胆にさせる!」
「狭いワンルームで20年一人暮らししてると人はこんな感じになるのかね……。まーよかったよ、意外とすんなりピーニャの話を信じてくれたから」
「恩恵があるのがわかったからな」
「よし、そしたら次はなにする?」
それですがな。
枕元でぺたんこ座りをしてこちらを見つめているピーニャにどきどきしながら考えてみる。
とりあえず過去に記憶だけ飛ばせるようになったのはいーけど、これはなんか失敗したときに挽回できるよーにと思ってもらったやつだから、これだけではあまり好き勝手できない。
いや、正直ね、過去に戻れるなら、ガハガハ笑いながらレ×プして中出ししたあとに飛んじゃえばいーよなーってちょっとは考えましたよおれも。でもなんかいざそれができる状況になると気持ちがついてかないんだよなー。
「想像力がなかったってことだねー。っていうか臆病の虫太郎くんがレ×プなんてできるわけがないって小学生でもわかるよ」
「やっぱりおれの脳をハックしてるなこいつは」
「それに、大好きだった幼馴染のために、童貞大事に守ってるんでしょ? だから風俗でも絶対本番しないもんねー」
「なにゆえそれをっ!」
「天使だからね」
やれやれ……この天使に直接中出しできれば一番楽なのにな……。
「サイズ的に厳しいです、ご主人しゃま。っていうか幼馴染への愛はどうした」
「じゃー出した精液を瓶詰にして渡すとか」
「そーゆーエロゲあったねー。まーそれも無理」
「天使なのに妙にこっちの世界に詳しいな」
「天使だからね」
「答えになってねー」
楽しい……楽しいぞこんちくしょう。昨日までのクソまみれなクソ世界のクソレベルがすこしだけマシになった気がしないでもない。
「あと、ラブドールは無理だけど獣姦ならOKだお。ちゃんと中出ししてくれれば」
「それはいろいろと怖いから遠慮しとく……」
「そーいえば虫太郎くん。一度ピーニャからアビリティをもらった以上、3日おきにセーエキ届けてくれないと、虫太郎くんは死にます」
「唐突に悪魔になったな!」
「いや~最初にこれ言っちゃうと虫太郎くん怖がって話にノってくれないと思ったからさー」
「インフォームド・コンセントって知ってるか!?」
「そんなん医者はおろかセールスマンだって守ってないやつばっかでしょ」
「えっ、まだそのネタ引っ張る? っていうか喪×福×のほうがまだ良心的だよ!」
「てへっ☆」
「はにゃ~ん!」
はっ! いかんいかん……またピーニャのナチュラルあざとい言動ですべてのルサンチマンが吹き飛んでしまうところだった。おれからそれなくなったらもう働かなくなるよマジで。あ、そうだ、次は働かなくて済むようなミラクルアビリティがほしーなー。
「まー仕事の合間にでも考えてみてよ。終わるころになったら会社に迎えに行くからさ。ピーニャね、虫太郎くんにはがんばってほしいんだよっ」
ズキュゥゥゥン!!
鼻のさきに、キスしてもらっちゃった……。
異性に、キスされたの、おれ、はじめて……。
「おれがんばるっ!」
胸のときめきがウルトラデラックス級だったから思わずピーニャを抱きしめようとしたが、おれの腕はピーニャの身体をすり抜けた。
「ふだんおれからはさわれないのに、ピーニャからはさわったりおま×こなめさせたりできるそのマジックミラーみたいな身体、ほんとすごいよね」
「天使だからね」
†
昼休み、スマホでニュース記事を眺めつつ鞄からおにぎりを取り出そうとしたときだった。
「五味さ~ん、お昼どうしますか?」
「じ、自分はこれ持ってきてるので……」
「了解で~す」
持ってきてなかったとしてもお前らと行くわけねーだろうが! っていうかおまえいまおれの手元見てから声かけなかったか? 「本当は来てほしくないし来ないのもわかってるけど『気が遣える自分』を演出するため」にクソ声をかけるなクソ迷惑だから! おいこのスマホの画面見てみろ、今朝、隣駅の近くにあるマンションから飛び降りて死んだ女性がいるらしい。なんで飛び降りたのがおまえらじゃなかったんだろうな?
「虫だからおにぎりだけでおなかいっぱいになるのかな?」
「おまえ虫ネタ好きだな~」
「きゃははっ、だってウケるでしょ? 名前、虫太郎だよ?」
どうやらゴ××リジュニアにしゃぶしゃぶされたクソ脳みそはまだ修復してねーよーだなおい。尿道口に仕込まれた卵が孵化して膀胱のなかまでしゃぶられてんじゃねーの。腹いっぱいになるかどーかじゃねーんだよ。サービス残業が横行してるししょーもないクソ給料しか出さないこのクソ会社で働いてるうえ、グルメでもないくせに毎日数百円以上使ってクソ外食してるクソ計画性のないクソなおまえらとはちげーんだよ! 毎日おにぎり作ってるからおれは80万もするラブドールが買えたんだろうが! アニサキス症にかかって運ばれた病院で点滴薬を間違えて投与されて死ね! そして死してなおアニサキスに犯され続けてくれ。
「お……?」
そうか。その手があったか。
これならおれがどんなやつか、相手は気にしない。
相手も傷つかない。
ヤったあとに過去に戻ればおれがしたことを咎められることもない。
相手はただの肉の塊、ラブドールと変わらないと思えばおれの童貞も守られると考えていいだろう。
「おーい虫太郎くん」
「なんだ急に。仕事終わってから来るんじゃなかったのか」
「いやーちょっと心配でさー。いま、倫理的にものすごく問題のあること考えてなかった?」
「おれに残された道はこれしかない。ちなみに、これでも条件はクリアできるよね?」
「できるけど……ほら、風俗とか、あるよ? 本番できるとこ紹介するよ?」
「童貞を捧げる人は決めてるから」
「う~ん……ま、虫太郎くんがそれで後悔しないなら」
「ところで、過去に飛んだ先でさらに過去に飛ぶことはできるよね?」
「できるよー。昨日自分でやってたじゃん」
「あんときはよく考えてなかったからなー。繰り返してもリスクはないんだよね? 『インセプション』みたいに虚無に落ちたりしない?」
「しないしない。代償がないってことは昨日の虫太郎くんのオーダーに含まれてたからね」
オーケーオーケー。いいじゃないか。昨日のおれ、ナイス。
おれはスマホの画面で飛び降り自殺があった時間帯とマンションの最寄り駅をもう一度確認する。隣とはいえ行ったことがない駅だから余裕をもって飛び降りの30分前くらいには着いてたほうがいいかもな。っていうかこのニュース記事だけではそもそもどこのマンションかわからん。とりあえず昼休み中に情報集めて場所特定するか。それから飛ぼう。