※この作品はR-18です。

カルデアは今日も十八禁の特異点   作:朔月 杯

2 / 9
-2- 鋼の看護(前戯回)

 気が付くと藤丸は医務室のベッドに裸で寝かせられていた。筋力A+のナイチンゲールにかかれば、藤丸の体を抑えつつ、服を脱がせることなど朝飯前であった。

「な、ナイチンゲール!?違うんだ、別に僕はこういうことがしたくて君を好きになったんじゃないんだ!」

「いいえ、マスター。端的に言って、恋愛という関係など男と女の粘膜が生む幻想にすぎません。マスターの私に対する感情も人理焼却という危機的状況に晒されたマスターの精神方向性が子孫獲得に向かいました。そして、そのような対象としてあなたの看護を行った私を選んだのです。

 一言でいうならば、あなたの病名はナイチンゲール症候群に近似した病です」

―――ナイチンゲール症候群

 藤丸の頭はかつてマシュより教わったナイチンゲールに関する知識を引っ張り出していた。それは、患者の世話を行う看護師が患者に対して恋愛感情を抱いてしまう精神状態である。クリミア戦争において、夜な夜な患者のために巡回を行ったナイチンゲールがあたかも患者を愛しているかのように見えたために言葉であり、そしてナイチンゲールがいかに献身的であったかを示す言葉でもある。

この用語は患者が看護師に対して恋愛感情を抱くという誤った用法でしばしば使われがちである。が、ナイチンゲールはこの用語を使ったほうがわかりやすいと判断したのだろう。

 確かにこの言葉を聞いて、藤丸にもいくつか思い当たることはあった。特異点の戦闘で負傷したとき、ナイチンゲールは寝ずに藤丸の看護をした。そして、藤丸が快復したときなど、「これで退院ですね」と冗談を言いながら、握手をしてくれたものである。そのとき、ナイチンゲールが普段は見せない微笑みを見た自分はこそばゆいような気持になっていた。

―――もしかしたら

 と藤丸は考えた。

―――もしかしたら、自分は、自分を看護しているナイチンゲールを好きになったのかもしれない

 だが、藤丸とて今日ナイチンゲールを訪ねるまで、それこそ医務室に入るまで、幾百とその問答は繰り返してきた。その結論として、ナイチンゲールを愛している、に辿り着いたゆえに

「それでも、僕はあなたを愛しています。これだけは間違いなんかじゃない!」

 強い瞳で、自分を病気というナイチンゲールへ、言葉を言い返した。

「・・・そうですか」

 と、 ナイチンゲールは目を伏せ、ため息をつくように言った。それは諦めのようでもあり、覚悟のようでもあった。そして、再度目を上げたとき、その目の色は変わっていた。

 問診を行う看護師から、対象を治療する鋼の天使へと。

「それならば、本格治療を開始します。覚悟はよろしいですか」

 すっ、とナイチンゲールはゴム製の薄い手袋をつけ、ベッドの上の藤丸を押し倒した。

「な、なにを!?」

「言いましたよね。マスターは病気、だと。そして、私はその病気の治療を行うだけです。つまるところ、マスターには射精をしていただき、性欲を解消してもらいます。そうすれば、私が好き、などといった妄執も消えるでしょう」

「なに馬鹿なことを言っているんだ。やめてくれ!」

 藤丸は叫び、暴れるが立ち上がることもできない。何故ならナイチンゲールが藤丸にマウントをとるような形でのしかかっているからだ。

 そして、どこから取り出したのか手にローションを振りかけている。

「それでは、いきますよ」

 藤丸の隆起している男性器に冷たいものが走った。

「あっ!」

 鋭い刺激に藤丸は思わず嘆息してしまう。そして、数舜後に柔らかい温かみを感じた。それは普段触れている自分の掌とは違い、心地よい軟かさがあった。

 ナイチンゲールの手のひらはやさしく、ゆるやかに藤丸の男性器の筋に沿い、上下に移動する。そのたびに藤丸の背筋に浮遊感に似た快感が走る。

「ナ、ナイチンゲール!」

 藤丸の声も無視し、ナイチンゲールは藤丸の性器を弄っている。その手が藤丸の亀頭まで届いたとき、ふっと止まった。

「マスター、これはいけません。マスター」

 ナイチンゲールの視線の先、起立した藤丸の一物の先端、その亀頭のふちには垢がたまっていた。藤丸も最低限のケアはしていたが、ゲーティア討伐後の数日間、緊張からの解放か毎日のようにオナニーをしてしまった結果である。

「このように垢を貯めていては雑菌が繁殖してしまいます。

 それでは、掃除もしてしまいましょう」

 そういうと、ナイチンゲールは藤丸の亀頭の淵をこすり始めた。先ほどのソフトタッチの愛撫とは違い、恥垢の清掃のために少し力を込めてグリップによる回転運動。それは藤丸にとっては新しくも強い刺激である。

「うあっ、ひっ!」

 特異点であまたの艱難辛苦を耐えてきた藤丸ではあるが、性的な刺激での攻めは経験したことがなく、食いしばる口の奥からは情けない嬌声が漏れ出ていた。愛しい人に恥ずかしい部分の汚れを見られたせいか、それともいきなりの情事のせいか、藤丸の鼓動はかつてないほど高鳴り、全身の筋が強張っていた。

 藤丸の全身は熱く、鼓動は高鳴っているが、心は冬の山頂(カルデアの外)に裸で置き去りにされたごとく震えていた。怖いのか、嬉しいのか藤丸の一物もまたナイチンゲールの愛撫のたびに大きく震えていた。

「さて、マスターの汚れもとれました。

 治療を続行しましょう」

 ナイチンゲールはティッシュでゴム手袋に付着した藤丸の恥垢をふき取りながらそういった。いつも自分を看護する、その指先で、自分の亀頭に触れ、自分の恥垢を取り除く、その行為を見ただけ藤丸は背徳感から一層胸の高鳴りを覚えてしまう。

 ナイチンゲールの前戯を受けて、たった数分であるが藤丸の亀頭、その口からは犬の涎のごとく情けなくカウパー線が流れ出ていた。

「尿道口よりカウパー線を確認。

 それではこれよりマスターには病巣を吐き出していただきます。

 マスター、全身の力を抜いて、息を吐いてください」

「え、あぁ。・・・すぅーぅぅ・・・・・・っ!?

 あぁっッ!?ナイチンゲール!!!?」

 藤丸がナイチンゲールの言う通り、息を吐いた瞬間である。藤丸の肛門に何か冷たいものが触れたと思った瞬間、それは藤丸の中に侵入したのだ。藤丸からは何が入ったのかは見えないが、ナイチンゲールの左腕は確かに藤丸の下半身へと消えている。つまり、

「な、ナイチンゲール!そ、そこは指を入れるところじゃないよ!」

「いいえ、マスター。これがマスターの病巣を吐き出すためには最良なのです。

 そして、私はサーヴァント。あなたの粘膜を傷つけ感染症にする可能性は限りなく小さいので安心してください」

「あ、安心って。うぁ」

 藤丸にとって、直腸の中をまさぐられるのは初めての体験である。ナイチンゲールの手にはローションがつけられているとはいえ、本来肛門にはものを入れる機能はない。藤丸の肛門は鈍い痛みと熱をもち、肛門の中は強い異物感を藤丸に訴える。

「うぁああぁ」

 ナイチンゲールの左指が与える内臓の圧迫感からか、それともナイチンゲールの右指の愛撫による快感からか、藤丸はもはや言葉にならないうめき声しか上げることが出来ない。

「さあ、その病巣を吐き出しなさい!」

 そういうが早いか、ナイチンゲールの右指の愛撫は速度を増し、左指は藤丸の直腸の壁を摺り上げた。その瞬間、藤丸の頭の中に強いしびれと恍惚が訪れた。

「うあぁぁあああ、だ、だめだナイチンゲール、もう」

 藤丸の視界は白い光が点滅し、全身に快感の痺れが疾走する。もはや、顎の筋肉も弛緩し、うまく歯を噛み締めることもできない。そして、下半身のそれに急速に快感が熟れていき、今にも弾けそうであった。

「ナイチンゲール・・・!出る!!!あっ」

 その瞬間、藤丸の性器が弾いたかのように震えた。藤丸の頭の中で花火が爆発したかのような衝撃が走り、思考もなにもかもが吹き飛んだ。ナイチンゲールの右指につかまれている亀頭からは、水鉄砲のごとく精液が飛び出て、弧を描く。それは藤丸の体の上に着地し、藤丸の体に熱を与えた。2回、3回と精液は飛び続け、射精の脈動は10回目でようやく収まった。

「はぁっ、はぁっ」

 射精の疲れに呼吸を荒げる藤丸の体の上で、首筋から臍まで白い直線を描いた精液は急速に熱を失い始めていた。藤丸の亀頭は名残惜し気にその口から白い残滓を吐き出している。

「精液は雑菌の住家となります。早急に処理しましょう」

 ナイチンゲールはいつの間にか、ゴム手袋を脱ぎ、手にアルコールスプレーを吹きかけていた。そして、ティッシュ箱より5,6枚ティッシュを取ると、藤丸の体の上の精液をやさしくふき取った。

「私は、男性の平均的な射精量を知りませんが、マスターのそれはかなり多いように思えます」

 女性に精液の量について言及され、藤丸は気恥ずかしくなった。首筋からやわらかく吹かれていくことで火照り敏感になった体にまたもや快感が走る。

「っ・・・ナイチンゲールは、さ。どうして僕のお尻に指を入れたの?」

 射精によって、冷静になった頭で藤丸はナイチンゲールへと質問を投げかける。

「前立腺は男性の性感帯でもあります。私はマスターにできるだけ、多く射精をしていただき性欲を空にしてほしかった」

「よくそんなことを知っていたね。看護にはあまり必要なさそうな知識なのに」

「直腸による検診の経験は私にもあります。それに私の生前の患者のほとんどは男性でしたから」

「いや、それでも初めての人はなかなかイけないってきくけど」

 藤丸も性に旺盛な思春期の少年である。自身の肛門をつかった自慰行為についてはさわりの知識くらいは獲得しているゆえの質問である。

「私の人体理解をもってすれば、初めての方でも絶頂に導くことは難しいことではありません」

「人体理解」

 人体理解の応用の広さに感心している藤丸を横目に、ナイチンゲールは藤丸の陰毛に絡まった精液を丁寧に取り除いている。

「マスターの射精から数分立ちますが、マスターの男性器の勃起は継続している。これは追加治療を検討も必要なのでは」

 ナイチンゲールの清掃は藤丸の男性器まで至ったが、藤丸の男性器は未だに隆起していた。いや、硬さでいえば射精前よりも硬くなってしまっている。ナイチンゲールは新しくティッシュペーパーを取り出し、藤丸の男性器に触れる。射精直後の男性器に触れられた藤丸はその快感にまたもや身悶えするしかなかった。

 

「マスター、一度射精をして冷静になられたかと思いますが、私への妄執は消えましたか」

 ナイチンゲールによって全身についた精液とローションをふき取られたあと、藤丸はナイチンゲールと一緒にベッドに腰かけていた。

「マスターの私への好意は、マスターの性欲の高まりによる誤認であるため、これで」

「性欲とか、本能とか、そんな言葉でごまかそうとしないでよ、ナイチンゲール!!」

 藤丸はナイチンゲールの言葉を遮るように立ち上がり、叫んだ。

「僕は、ナイチンゲールのことを好きなんだ!抱きたいとかそういう感情じゃない。

 君の胸が好きだし、白い肌に触れていたと思っている。けどそれだけじゃない。君が患者のために尽くす姿は綺麗だし、治った人に微笑んで握手する姿が愛しいんだよ。

 僕は、僕のこの感情は間違いや誤りじゃないんだ・・・!」

 それは愛する人に愛を理解してもらえない悲しみからだかだろうか、藤丸の声はわずかに震えていた。

「嫌いなら、嫌いって言ってよ。興味がないなら、興味がないって言ってよ!そうしてくれれば僕は君を諦められるから」

 その藤丸の言葉を聞いた瞬間、ナイチンゲールは驚いたかのように目を見開いた。

 

―――君は、まるで僕に興味がないみたいだ。

 

―――君が一言、言ってくれれば僕は君を諦められる。

 

―――僕は、僕自身から君を遠ざけることはできない。

 

―――フローラ

 

「リチャード・・・?」

 ナイチンゲールがつぶやいた言葉は誰にも聞こえず、虚空へと消えていった。そして、ナイチンゲールは、先ほどとは違う強い光を持った瞳で、もう一度しっかりと藤丸の目を見据えて、強い言葉で言った。

「わかりました。ミスター藤丸。

 あなたが私を愛していると言い張るなら、倒れるまで、その思いをありったけ私にぶつけなさない。

 そうすればあなたの気も晴れ正気に戻るでしょう」

 そういうとナイチンゲールは自身の軍服を脱ぎはじめた。

「何をしているんだ。ナイチンゲール!」

「何を?おかしなことを。ミスター藤丸が私を愛している、というならそれをぶつけてもらうまでです」

 そういう間にもナイチンゲールは裸になっていた。

「さあ、ミスター・藤丸、私のそばへ」

 ナイチンゲールの目には迷いはなく、藤丸の目を見据えていた。藤丸の喉がごくり、となった。

 カルデアの医務室には、ただ、二人だけしかいない。

 




次回は10月9日に更新
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。