「な、ナイチンゲール・・・」
藤丸は戸惑っていた。目の前の裸体の女性。ナイチンゲール。
確かに彼女に性欲を感じなかったというのは、むろんあり得ない。
しかし、熟れた桃のような白くやわらかそうな胸、その上に乗る桜色の乳首、やらわかな肉の下に隠しきれない腹筋が見える腹部、髪の毛と同じく柔さをもつ銀色の陰毛。
すべて藤丸が想像してきたもの通り、いやそれ以上であった。
それを目にしただけで藤丸の陰茎から木の枝のごとく起立し、その先の蕾からは蜜が漏れ出てしまう。
しかし、しかしである。藤丸は本来、それをまだ望んでいなかった。一緒にすごし、笑いあい、その結果として、今目の前にある関係になりたかったはずである。
「そういう関係は、まだ早いよ」
震える声で言う藤丸に対してナイチンゲールは事も無げに言う。
「あなたと想いを遂げなさい、ミスター藤丸」
そういうと、ナイチンゲールは藤丸の腕を取り、そのまま、ベッドへと倒れた。藤丸はなすすべもなく、倒れるナイチンゲールの体へと倒れていった。
ぎしり、とベッドが二人分の重さを受けて、軋む。
藤丸の頭にはナイチンゲールの胸のはざまにゆっくりと着地した。
「・・・!」
「・・・」
静寂が医務室を支配する。二人の耳に届くのは、時計の針の音と、ベッドの軋む音だけだった。
「さあ、ミスター藤丸。わたしを触ってください」
ナイチンゲールは藤丸の右腕を取ると、自身の右胸に引き寄せた。藤丸の右手にゴムボールのような反発を感じられた。それは不思議と暖かくも冷たくもない心地の良い体温が感じられた。
「あなたの自由にしなさい。私は、あなたを助けるためならなんでもします」
そう言われて、抵抗できるほど、藤丸は子供ではなかった。
「ナイチンゲール・・・!」
藤丸は両手で、ナイチンゲールの胸を掴んだ。
藤丸の指はナイチンゲールに沈んでいき、藤丸が指を動かすたびにそのたびにナイチンゲールのその豊満な胸は形を変えた。
「っふぅ!・・・っぅ!」
ナイチンゲールは藤丸の指が大きく動くたびに、苦しそうに短く息を吐き出した。先ほどまでナイチンゲールに弄ばれていた藤丸の胸の中に嗜虐心が沸き上がった。先ほどよりも激しく、動かした。
「うぅっん!ミスター・藤丸・・・!!少し、・・・優しくしてください!
女性の、そこは痛いのですよ」
「あぁ、ごめん!」
ナイチンゲールの悲鳴で、藤丸は手を止めた。
「ミスター藤丸、女性の胸は優しく、マッサージをするように触れるのですよ」
「えっ、とこんな感じかな」
ナイチンゲールに促されて、藤丸は手の力を緩め、ゆっくりと動かしはじめた。
「そうっ・・・その調子ですっ。乳首はもっと敏感なのですから、優しくお願いします」
そう言われて、藤丸はナイチンゲールの乳首に目がいく。桜の花びらのように、ナイチンゲールの双房の乳首が乗っている。花びらを掬うように藤丸はナイチンゲールの乳首を弾いた。
「っん!」
藤丸の愛撫にナイチンゲールは短い嬌声を上げた。淡い桜色のナイチンゲールのそれを藤丸は優しく猫の顎を擽るように弄んだ。
「ぁっ・・・藤っ丸・・・!!」
先ほどの藤丸に対する攻めの姿勢と違い、受けに回ったナイチンゲールの弱さは藤丸に興奮をもたらす。先ほどのナイチンゲールの言葉を受けて、ナイチンゲールの乳首を藤丸は優しく触れていた。
「んっ・・・!」
藤丸の指は乳首の先端を捉え、摺り上げるように触れている。嬌声を上げる、ナイチンゲールの唇は瑞々しく、藤丸の目を引き付けた。藤丸は体を起こし、腰を曲げた、ナイチンゲールに顔を近づける。
「ミスター・ッ藤丸・・・」
ナイチンゲールは切なげに藤丸の顔を見る。藤丸はナイチンゲールのわずかに震えるその瞳が、藤丸を通して、別の何かを見ていることを理解した。
「そんな目で、僕を見ないで」
藤丸はナイチンゲールの唇に自分の唇を押し付けた。ナイチンゲールの唇は藤丸の唇を受け入れ、弾んだ。そこに結露したかのような湿りと、ナイチンゲールの暖かさを藤丸は感じた。
「藤ッ丸っ!」
ナイチンゲールの上唇を、藤丸は唇の両房で挟み込みながら、その両手で胸を揉み解す。
藤丸が、ナイチンゲールの唇、その隙間に舌を滑り込ませると、ナイチンゲールは容易くそれを咥内へと受け入れた。
「・・・っぅ!・・・ぅん!!」
唇で接合された二人の口から洩れる音が、医務室に響く。
藤丸がナイチンゲールの舌に己の舌を絡ませれば、ナイチンゲールの舌は口内の奥へと逃げ、ナイチンゲールの舌が藤丸の舌を絡ませようとすれば藤丸は舌を己の口内へと逃がす。
子供の戯れのようなやり取りが二人の口内で幾何と、それは続いていただろうか。ナイチンゲールが藤丸から顔を反らしたとき、二人の口回りは涎で穢れ切っていた。
「っふぅ・・・藤丸。そろそろよろしいのでは」
ナイチンゲールの右手は、己の秘所を指し示していた。藤丸にとって、それは初めて見る花弁でもあった。ナイチンゲールの唇と同じく、淡い紅色のそれの中には、耳の穴と同じほどの空洞が口を開いていた。
藤丸は初めて見るそれに目が釘付けになった。まるで、ナイチンゲールの口開いたそれは呼吸をする鼻の孔のようにゆっくりと脈動している。形の崩れていないそれは紅色の薔薇がそこに咲いているようだった。
「あの、触ってもいい」
「えぇ、どうぞ」
ナイチンゲールに促され、藤丸の右ひとさし指はナイチンゲールの秘所、穴の淵に触れた。それは蜂蜜を振りかけたようにじっとりと湿っていた。藤丸はそのまま人差し指をナイチンゲールの腹へと、口を開けた秘所の口角に当たる部分へと滑らせた。
そこに小さなしこりのようなものを指に感じた。
「ん・・・っ!」
と、それに反応するように、ナイチンゲールが呻いた。
(あぁ、これがクリトリスなんだ)
と、藤丸は直感した。やはり、女性の敏感な部分であるのだろうから、藤丸はビー玉を指の腹で弄ぶように、ナイチンゲールのそれを転がした。転がすたびにナイチンゲールがわずかに反応するのを藤丸は楽しんだ。
「もう、いい?」
藤丸が、そう聞いたのはナイチンゲールの秘所に涎のように溢れんばかりの分泌液がたまっていたからだ。その入り口も待ち遠しいように、開閉を繰り返している。
「もう十分でしょう。さあ」
ナイチンゲールは自らのそれの房を押し広げた。その行為は未成熟なバラの花を押し広げ、雌しべを覗き込むような背徳的な行為のようにみえた。ナイチンゲールのそれは、透明な蜜を流し、藤丸が来るのを待ち続けている。
ついにそのときが来た。藤丸の心臓は異様に高鳴り、腹の奥から吐き気すら覚えた。首筋の動脈のトンネルを大量の赤血球が通り抜ける。通り抜けるごうっ、ごうっと言う音が藤丸の耳元でなり響く。
「あの、ゴムとかは」
藤丸にもその程度の性知識はある。逆に清潔を第一とするナイチンゲールがそれを指摘しないほうが藤丸には違和感であった。
「何を言っているのです。私はサーヴァントですよ。妊娠の可能性などありませんし、生物的には常在菌は存在しませんし、あなたから感染をすることもありませんよ」
そうあっけらかんと言う、ナイチンゲールに藤丸は驚きながらも、納得し、ことを進める意を決めた。
「それじゃ・・・挿れるよ」
藤丸はゆっくりと己の陰茎をナイチンゲールの秘所へと当てがった。しかし、糸通しに糸を通すように、藤丸の狙いはずれ、またゴムまりのようにナイチンゲールの肉は藤丸の陰茎を弾いた。
悪戦苦闘する藤丸を見てナイチンゲールはくすりと笑い、
「私がガイドしますので、それに従って下さい」
と己の右腕を藤丸の陰茎に添え、自らの穴へと誘導した。ちょうどナイチンゲールの淫口と藤丸の亀頭が接吻する位置である。
「っん、そのままっ・・・少しだけ、前に腰を」
ナイチンゲールの穴へと藤丸の亀頭がちょうど咥え込まれるあたりで、藤丸は腰を止めた。
「少しだけ、待ってもらえませんか」
ナイチンゲールは藤丸を制止し、両手を藤丸の背へと腕を回した。それから一呼吸置き、進むことを了解したかのように軽く息を吐いた。
「それじゃ、進めるよ。ナイチンゲール」
返事はなかった。藤丸はゆっくりと、己の腰を進めた。ナイチンゲールの肉壁は藤丸の侵入を拒むかのように、固く閉じようとしていた。その感覚は、幼いころ学校のマットに挟まれ窒息しかけたときを思い出させた。
「んっっ・・・くっ・・・」
ナイチンゲールは先ほどの湿った嬌声とは違った、肺から絞るような呻きを上げた。
(確かに僕も肛門を抉られたときに内臓を圧迫される苦しさがあったし、ナイチンゲールも同じ苦しみを感じているんだろうな)
藤丸はナイチンゲールの負担とならないよう、ゆっくりと固いゼラチンのような肉感をかき分けて、腰を進めた。藤丸が腰を進めると、ナイチンゲールの腕にも力が入った。そしてついにナイチンゲールの太ももと藤丸の腰骨が接触し、もう、これ以上進めないところまできた。
「全部、入ったッ・・・よ。ナイチンゲール」
藤丸は、温かな湿り気のある肉圧に己の陰部が刺激され、射精感を我慢しながらナイチンゲールに声をかけた。
「そうっ、ですかっ。申し訳ございませんが、しばらくこのままでっ」
ナイチンゲールは苦しそうに呻きながら、藤丸を抱き寄せた。そのまま幾何かの時が過ぎた。藤丸とナイチンゲール互いに身をよじらせるように動いた。そのたびにナイチンゲールは息を漏らすように呻いた。
そして、藤丸の背から手を離すと、藤丸の上半身を起き上がらせた。
「さあ、そのままゆっくり動いてください」
「あ、あぁ・・・ッ!?」
藤丸がふとナイチンゲールと己の接合部に目を向けると、そこから一筋の血があふれ出ていた。それが意味することはつまり、
「ナイチンゲール・・・!まさか君は」
「未通でしたがっ、何か?」
ナイチンゲールは、声色が苦しそうなことを除けば事も無げに言ってのけた。
藤丸はマシュに聞いたことがある。ナイチンゲールは恋人を捨て、看護師の路を行き、独身で死した、と。しかし、まさか処女のまま英霊の座へと行ったことは藤丸の埒外である。
「ナイチンゲール、ご―――」
謝罪の言葉を口に使用とした藤丸の唇をナイチンゲールの指がふさぐ。
「どうしました。相手が処女だったと分かれば、ためらいますか?
謝りますか?いいえ、あなたがそのようなことを気にする必要はないのです。
あなたが気にする必要があるのは、あなたの病状の回復とそのため治療なのです。
さあ、腰を動かしなさい」
「あ、あぁ。でも痛かったら言ってくれ」
藤丸はナイチンゲールに促されるままにゆっくりと腰を動かす。そのたびにナイチンゲールは痛みを我慢するかのように嘆息する。患者が苦しんでいれば、自分の痛みはなど我慢する。このような濡れ場でも、そのいじらしさを見せるナイチンゲールが藤丸は何よりも愛おしかった。
口づけを一つ、ナイチンゲールへ浴びせた。舌を滑り込まされたナイチンゲールはそれを為されるがままに受け入れる。そのまま、藤丸は腰を前方にスライドさせる。
「んっ!」
ナイチンゲールは苦しさから思わず、藤丸の舌を噛んでしまう。
「っぷはぁ、み、ミスター・藤丸、大丈夫でしょうか」
マスターの思わぬ行為にナイチンゲールも慌てて声をかける。
「うん、大丈夫だよ。ナイチンゲール。
むしろ、君の痛みが少しわかってうれしいくらいだ」
そういう藤丸の唇からは一筋、血が流れていた。
「それでも舌に雑菌が・・・」
「いや、人の唾には殺菌効果があるっていうし、ナイチンゲールの唾ならどんな細菌も生き残れないから心配することはないよ」
「もう、ミスター・藤丸ったら、そのような冗談を」
ナイチンゲールはそう言って、藤丸を抱き寄せた。その唇は藤丸の口角へと、溢れる血潮をすすり上げた。そして、血の付いた唇ですっと微笑んだ。
「今のでびっくりして、破瓜の痛みが飛んでしまいました。
どうぞあなたの好きなように」
ナイチンゲールに促され、藤丸は徐々に腰の動きを速めていく。
「うっん・・・そう、その調子ですよっ」
本当に痛みが飛んでしまったのか、ナイチンゲールの声にはだんだんと嬌声を帯びていく。藤丸もそれに合わせて、腰の抽送が大きくなっていく。
「あっ・・・!!うぅっん!!」
「ナイチンゲール!!」
もはや、藤丸の動きには躊躇はなく、獣の交合のように激しく腰を動かしていた。
その下では、ナイチンゲールが踊るように身もだえし、そのたびに豊かな双丘が震えあがった。
医務室のベッドは大きく揺れ軋み、二人の交合の激しさを示す。しかし、二人の耳にはその音は聞こえておらず、互いの嬌声と肉と肉のぶつかる音、そして、漏れ出る水音のみが届いていた。
「あァ・・・ッ!!ナイチンゲール!もう、出る」
「ミスター・藤丸!構いません、中で出しなさい!!」
射精感の高まりとともに、藤丸は腰の動きをより激しく大きいものにする。ナイチンゲールはそれを受け入れるかのように、その喘ぎ声のボリュームを上げていく。
そして、弾けた。
「出すよ、ナイチンゲールッ!!」
「うぅっん!!ミスタァー・藤丸!」
二人は互いの名前を呼びあいながら果てた。藤丸の先端から噴き出した奔流はナイチンゲールの体内で受け止められ、愛液と破瓜の血と混ざり、二人の接合部から流れ出た。
「す、ごく、気持ちがよかった」
全身で息をする藤丸は、ようやくその言葉を口にする。あまりに動きすぎたせいか、視界が暗い。
「えぇ、それで、あなたの気が済めば・・・、ミスター・藤丸?」
同じく肩で息をするナイチンゲールも絶え絶えに返事をすると、藤丸の上半身が倒れ込んできた。
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