それから幾何の時が立っただろう。二人の耳に届くのは波の音と、舌が絡み合う音、それから、二人の接合点が擦れる音だけだ。
先に舌を離したのはモードレッドのほうだった。
「っぷはぁ!」
モードレッドは苦しそうに深呼吸をした。その口からは大量の涎が流れていたが、それがモードレッド自身のものだったか、藤丸のそれなのかはもはやわからぬことだ。
「マスター、しつこすぎるぜ」
と、モードレッドは親愛の情を込めて愚痴を吐いた。
「離さなかったのは、モードレッドの方だろ」
藤丸は返しながら、キスを一つ首筋にお見舞いした。
「くぅ!」
モードレッドはわずかに身じろぎしながらも、負けじと藤丸の頬にキスを返した。そして、それには甘噛みが混じっていた、吸いつくようなそのキスに苦悶するのは藤丸のほうである。
「くっ!モードレッド、やるな」
モードレッドの反撃に負けないように、藤丸はモードレッドにキスを返しつつ、自分の体を大きく揺らした。ぐらり、ぐらりと藤丸の体の上でモードレッドの肢体が揺れる。そのたびに足元とモードレッドと藤丸の接合点から水音が響く。
「んんっ!くぅっ!!」
モードレッドは体を揺らされるたびに嬌声を耐える呻きを口から漏らす。モードレッドは藤丸から落ちないようにひしっと藤丸の体を抱きしめる。
藤丸はモードレッドの尻を掴み、腕と腰を大きく動かす。モードレッドの体は大きく動くが、モードレッドの腰は藤丸に掴まれているので落ちることはない。それに調子づいた藤丸はより大きく動かす。
「ま、マスターァ!!」
モードレッドはたまらず声を上げるが、藤丸は無視して、腰を動かす。
「ま、負けてたまるかっつーの!」
モードレッドは反撃として腹筋に力を入れる。腹筋に圧されて、膣圧が高まり、藤丸の陰茎は強く締め上げられる。
「うぉっ!」
堅く怒張した藤丸の陰茎は、モードレッドの膣圧に押されつつも、濡れそぼった膣内は侵入を容易くしていた。
「こっちもっ、負けてられるかぁっ!」
ずるり、と藤丸の陰茎は再びにモードレッドの奥に侵入する。愛液と精液と破瓜の血が潤滑油となり、モードレッドの膣内の圧力は藤丸のそれを心地よく、包み込んでいた。
それはモードレッドも同じであった。モードレッド自身の膣圧によって、藤丸の陰茎の形をモードレッドは感じていた。そして、己の体液によって、藤丸の凶暴なそれが膣内で動き回るため、激しく快感を与えているのだ。
「ひゃぁっ、あふっ」
破瓜の痛みの波ももはや去り、モードレッドは快感の海へと溺れつつあった。藤丸もそれは同じであり、己の快楽を堰き止めることは叶いそうにない。だが、モードレッドに大口をたたいた手前である。負けることなど藤丸には許されない。
「ふぁぁ!?な、なにをするんだよ!!」
モードレッドが抗議の声を上げたのは、藤丸がモードレッドの体を支える、その手でモードレッドの尻を揉み解したからだ。先ほどまでの体を支えるためにがっしりと掴んでいた感覚と違い、パンを捏ねるようにモードレッドの尻肉を藤丸の指が掻き回す。その快感を、まだ、モードレッドは知らなかった。
むろん、これは藤丸にとってももろ刃の剣である。モードレッドの体を支えるのはモードレッド自身が藤丸の体にしっかりと絡みついているからだ。もし、モードレッドが絶頂を迎えて、体の力を抜いたら彼女は容易く浅瀬へと落ちてしまうだろう。そして、モードレッドの胎内に挿入している藤丸の陰茎もモードレッドの体に引っ張られ、藤丸は悲惨な痛みを味わう。
「叛逆の騎士へのちょっとした罰だよ」
モードレッドの抗議に対して藤丸は笑いながら言う。藤丸は自身の懸念にももはや恐れを抱いていない。いや、モードレッドとの逢瀬をもっと愉しみたい。そのためなら多少の危険もおかそう。
「ふぁっ・・・!?」
モードレッドが息を呑む。急に自分の下半身を支える藤丸の手の感触がなくなったからだ。奇妙な浮遊感がモードレッドを支配した。性的な快感によって手足の力はかなり抜けている。
―――落ちる。
モードレッドが直感した瞬間、軽やかな破裂音がモードレッドの耳に届く。
一瞬。間の後に、頭まで突き抜ける軽い衝撃がモードレッドの尻の皮膚の上を走る。
「っ痛ぅ!」
そう、藤丸のスパンキングである。しかも、手首のスナップだけでなく、モードレッドにかかる重力を利用したものだ。己の意思で実行した破瓜と違い、これには溜まらずモードレッドも声を上げる。
「ひでぇぞ!なにすんだ!―――っあ!!」
モードレッドのさらなる抗議に対して、藤丸はスパンキングで応戦する。ただ、藤丸のスパンキングは軽い拍手のスナップほどの強さであり、モードレッドの皮膚が赤らむほどではない。だが、モードレッドの皮膚は潮風と愛撫により、触覚が敏感となっていた。
「痛い!っ痛いって!!」
「モードレッド、痛いっていたのは気のせいかな?」
モードレッドの文句に藤丸は言葉攻めにて応える。
「俺はそんなに強く叩いていない。円卓の騎士が尻を叩かれた程度で根をあげるのかい」
「っうぅ・・・!!」
モードレッドは藤丸の言葉に口を噛むしかない。モードレッドは他の円卓の騎士と違い寝室の攻防戦など体験していない。故に孤立無援で攻められれば根も上げよう。だが、モードレッドは円卓の騎士にして、騎士王の息子を自負する身。肉体を痛みで責められ、声を上げるなどあってはいけないのだ。
「い、痛いなんていってねーし!」
強がるモードレッドに藤丸は微笑み、
「じゃあ、どんどん行くぞ」
と、スパンキングの速度を高めていく。
「んっっんくふぅっ、ふあぁ!!!」
唇を噛むモードレッドの、鼻腔から、口腔から、呻きが漏れる。モードレッドは藤丸の手が自身の尻を叩くたびに、脳髄の奥に光が閃き、衝撃が全身に走るのを感じた。そう、衝撃である。
もはや、痛みなど感じず、繰り返されるスパンキングに肌は白み、ただ心地よい衝撃だけをモードレッドは感じていたのだ。
藤丸の陰茎を受け入れ、破瓜のひりひりとした感触と身悶えを誘うがごときの快感のモードレッドの胎内。スパンキングの快感と併せて、もはやモードレッドは限界であった。
「あぁぁぁ!!!もう駄目だ、もう、耐えられない。マスター!!」
モードレッドのスパンキングをするたびに蠕動する膣内に藤丸も限界が近かった。だが、まだいける。
「よし、いくぞ!!」
まるで拍手のような破裂音が海に響く。藤丸のラストスパートは体全身を揺らし、揺さぶれるモードレッドの尻にはげしく手を打ち付ける。
「うわぁ!!ぅぅっぅつっぅ!!!イくぅ!」
先に果てたのはモードレッドである。藤丸の体を強く抱きしめると、体をぶるぶる震わせた。そのたびに、藤丸の陰茎をモードレッドの膣が締め付ける。それにも関わらず藤丸は己のピストン運動を続ける。
「ま、ますたぁ!いま、イってるところだから!!ッ敏感になってんだから動かさないでッ!!」
モードレッドの懇願も無視し、藤丸は自分の絶頂へと足をかけた。
「俺もっ!行くぞ!!」
そして、藤丸のソレは爆発した。
「ぅあつぅ」
絶頂したばかりの膣内に激しい情動をぶつけられたモードレッドは、吐き出せれる精液の感覚にそうつぶやくように言うしかできなかった。
「・・・え?」
モードレッドは突然、重力を感じ、そして顔が水に着水した。
「ごめん、モードレッド」
「うっせー、バカマスター!!」
顔を砂と涙だらけにしたモードレッドが怒声を上げる。
藤丸は2回目の射精で、足の力が抜け、その場で背中から倒れてしまったのだ。むろん、藤丸に抱っこされる形であったモードレッドは、思い切り顔を海に沈めてしまった。
塩水に涙を流し、浅瀬の砂を顔につけたモードレッドの怒りは激しく、藤丸はこうしてモードレッドに謝っているのだ。
「たった2回で足腰立たなくなるような奴がマスターなんてはずかしいぜ!」
モードレッドはタオルで顔を拭きながら愚痴っていた。
「本当にすまなかった。何かで埋め合わせが出来ればいいんだが」
藤丸はモードレッドの目を見ながら謝罪の言葉を口にした。
モードレッドは若干の怒気のある目で藤丸を見ていた。だが、その目含まれているのは怒気だけではない。愛おしさと、少しの悪戯心があった。
「ふーん、じゃあ、マスターはオレの言うことを聞いてもらおうか。それで許してやるよ」
モードレッドの思わぬ許しの条件に藤丸は、首肯しようとした。だが、本当に安全なのか。相手はブリテンを乗っ取った叛逆の騎士である。何かとんでもない代価を―――悪魔の心臓10個とか―――を要求されるかもしれない。
だが、女の子に恥をかかせたのだ。それくらい飲まなければ。
「ああ、俺のできることなら」
藤丸の肯定の言葉にモードレッドは目を輝かせ、
「そうか、それじゃあ、遠慮なく」
と藤丸を押し倒した。
「うぉ!」
藤丸が顔を上げる暇もなく、モードレッドにマウントを取られる。
「今夜はオレの貴重な初体験だ。まだまだ思い出に終わらせるにははやいぜ」
「まさか、条件って」
「そうさ、オレが満足するまで付き合ってもらうぜ、マスター。
足腰が駄目でも、こっちはまだ勃つだろう?」
モードレッドの言う通り、2回の射精にも関わらず、モードレッドの肌に触れるだけで藤丸のそれは熱く硬くなっていた。
「そうか。そうだな、お前が根を上げるまで付き合ってやるさ」
藤丸は嘆息しながらも、挑戦を受けて立つがごとく笑った。
「へっ!英霊の体力をなめんなって、マスター!」
そうして二人は夜の帳の中で一つになった。
夜の星はさんざんと輝き、まだまだ太陽は姿を見せそうにない。
二人の夏の思い出は、まだ終わらない。(完)