今回は、元μ,sのメンバー出ますね。ここから、少しずつ変化がね……
夕方、いつもより早い時間に、絵里は仕事を終え、いつもの居酒屋に向かう。希は、今日は休日だったらしく、すでに店内で待っていた。
「絵里ち、仕事お疲れ」
「待たせたわね。希」
言いながら、席に着く絵里。希の頬はほんのり色付き、手には枝豆を摘まんでいる。
「もう、出来上がっているの?」
「いいやん、珍しく連休なんや」
「へぇ、珍しいわね。いつも、半休か一日休みなのに」
そう言って、絵里は店内を忙しく動き回る花陽に手を上げた。絵里に気付く花陽。すぐさま駆け寄る。
「絵里ちゃん、いらっしゃい。メニュー決まった?」
「ええ、ビールとこれとこれ、頼めるかしら?」
「エビチリとチーズ巻きだね。すぐ持ってくるね」
すかさず、花陽は厨房へ姿を消す。希と絵里は、微笑みながらその後ろ姿を見つめる。
「ところで、絵里ち。慎君とは進展はあったん?」
希の質問に、一瞬動きを止める絵里。希はそれを見逃さない。にやけ顔の希。
「その反応、さては何かあったんやね」
「……何て言えば良いのかしらね?無い訳じゃないけど」
言葉を濁す絵里。希はその様子に真顔に変わる。
「どういう意味で言ったのかは分からないけど、一緒に暮らさないか?とか。俺の子供産んで。とか言われたのよ。」
「……それって、プロポーズやん」
「……やっぱり、希もそう思う?」
テーブルに頬杖をつき、絵里は溜め息をついた。希も珍しく眉間にシワを寄せる。
「時田君と知り合って、まだ三週間足らずでしょ?ちょっと、急と言うか。いきなり過ぎて、混乱してるのよ」
「絵里ちの言いたい事分かるよ。聖君もうちに告白してきたし」
「……その話、詳しく聞きたいですね」
絵里と希の会話に、誰かが割って入る。二人は振り向いた。そこにいたのは、元μ,sのメンバー達だ。海未、ことり、穂乃香、真姫。そして、厨房から出てきた花陽。
「……ど、どうして、みんながここに?」
あまりの出来事に、絵里は狼狽えながらも質問する。
「私がみんなに言ったの。絵里ちゃんと希ちゃんの事」
そう答えたのはことりだった。海未は手に持っていたスマホを二人に見せる。
『海未、慎と聖が、絵里と希の事を好きになったみたい。詳しい話を聞きたいんだけど、慎と聖が教えてくれないの。絵里と希から聞き出してもらえる?』
にこからのメールだった。海未はスマホをカバンに戻す。呆然の二人。
「私も一応、ラブウルフの作詞を提供しているので、出来れば教えて頂きたいですね」
「……私も、作曲してるし」
海未と真姫が言う。絵里と希は互いの顔を見合わせた。
『花陽の食卓』店内の片隅
花陽は絵里達が座っていたテーブルにもう一つのテーブルを引っ付け、みんなが座れるようにする。そこに、メンバーは思い思いに座った。
「花陽、仕事は大丈夫なの?」
「うん、心配しないで、絵里ちゃん。バイトの子達が協力してくれるって言ってくれたから」
「そう。なら安心ね」
絵里と花陽が微笑み合う。座る配置は、絵里、花陽、海未。反対側に、希、ことり、真姫が向かい合う。通路側に穂乃香が座る。
「それにしても、びっくりしたよ。海未ちゃんと真姫ちゃん。一緒に仕事してたんだね」
穂乃香が言う。
「にこちゃんの押しに負けたのよ。」
真姫が不貞腐れたように言う。海未も溜め息をついた。
「押しに負けたって、何かあったの?」
「……ちょっとね。μ,sをやめてから、みんなそれぞれの道に進んだでしょ?私も病院を継がなきゃいけなかったし」
「私も、家元を継ぐ為に、毎日忙しかったんですけど」
二人は何故か遠い目をする。にことの間に何が起こったのか。絵里は目を伏せる。
「何年か経ってから、にこちゃんから連絡来たの」
『にこの最初で最後のお願い!』
「私のところにも同じメールが来ました。」
海未がそのメールを見せる。メンバーがそれを食い入るように見つめた。
「それで、私と海未がにこちゃんの事務所に行ったのよ。そしたら」
『真姫、海未。このグループの作詞、作曲を手伝って!二人が協力してくれたら、絶対売れるから!』
絵里の脳裏に、その時の光景が浮かぶ。希と絵里は吹き出すように笑う。
「笑い事じゃないわよ。いきなりメールを送って来て、心配して行ったら、作曲をして。なんて、ありえないんだけど」
同じ意見なのか、海未が溜め息を一つ。
「じゃあ、二人はずっと手伝っているの?」
「ええ、私と真姫だけではないですよ?凛もにこの手伝いをしています」
「ええ!凛ちゃんも!?」
海未の言葉に花陽が驚く。さすがの二人も驚いていた。
「はい、凛はそのグループの振り付けを担当しています。今日は、そのグループのPV撮影に、にこと沖縄へ行っています。」
「……にこっち、さすがと言うべきか」
希が呆れた表情を見せる。絵里も苦笑した。すると、真姫と海未の視線が二人に向けられる。
「つい先日、慎と聖に好きな人が出来たと言われました。私達は、それは誰なのかと問うと、二人は話してくれませんでした。でも、にこのメールが来て」
「納得したの」
海未の言葉を引き継ぐ真姫。絵里と希は海未、真姫をそれぞれ見る。
「慎と聖が好きになった人が、絵里と希なら安心して任せられるって」
真姫の言葉に怪訝の表情の二人。重苦しい空気が辺りを包む。
「それって、どういう事よ」
「……絵里、詳しい話は私達から聞くより、本人に聞いた方が良いと思う。希は何となく分かっていそうだけど」
横目で希を見る真姫。
「そやね。うちは大体検討ついてるよ。別に聖君がうちでええなら、うちもそれなりの覚悟は決めてるよ。問題は、絵里ちの方やね。」
「……わ、私?」
「絵里ち、慎君の事。好きなんやろ?正直になった方が楽になるよ。」
みんなの視線が、絵里に集まる。狼狽える絵里。
「もういっそうの事、子供作ったらええやん」
「もう、そこまでの関係なのですか?」
「絵里ちゃんの子供かぁ。可愛いだろうなぁ」
「だよね。絶対、可愛いよね」
「……何なのよ。この空気」
「絵里ちゃん、結婚式はちゃんと呼んでね」
みんなが被さる様に言う。絵里は心の中で思った。
(結婚式より先に、妊娠するかも。何て言えないわ)
現に、慎は絵里の処女を奪った日から、避妊をしていなかった。絵里がどんなにお願いしても。それがどうしてなのか。絵里は少しずつ分かり始めている。
さて、少しずつシリアスになります。勿論、ベッドシーンもありますよ!ムフムフは得意であります!