※この作品はR-18です。

美女と狼の奇妙な恋愛事情   作:氷野心雫

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 さて、不穏な動きが……。いよいよ、あの人が出ます。作者的には、あまり書きたくないな。


過去からの~男性側~

 沖縄でのPV撮影から、忙しい一週間が過ぎた。朝から夜遅くまで、連日のように新しいアルバムのジャケット撮影やレコーディング。雑誌のインタビュー。地方営業も欠かさない。慎と聖は、疲労困憊でぐったりとしている。

「なぁ、慎」

「……何だよ」

 聖の言葉に、不機嫌な表情で慎が反応する。

「そろそろ癒しが欲しいよな」

「……お前の言いたい事は分かる。俺だって、早く絵里の手料理食べたい」

 ようやく、事務所に帰れた二人。動く気力はなく、ソファーに身体をだらりと預けている。

「お疲れのところ悪いけど、これから新しい曲の振り付けがあるんだから、休まないでよね」

「そうだにゃ、凛だって早く帰って、かよちんに会いたいけど、我慢してるのにゃ」

 にこと凛が仁王立ちで二人の側に立っている。慎と聖は、ほぼ同時に大きな溜め息をついた。

「あとどのくらいで休めるんだ?」

「……二人次第だけど、頑張ればあと二日くらいかな?新しい曲の振り付けを覚えたら、すぐにレコーディングとTVの収録。それが終わったら、少しは休めるわよ」

 にこの言葉に、再び溜め息をつく二人。

「……仕方ない」

「ああ、そうだな」

 二人は腹をくくり、立ち上がる。

「「もう一頑張りしますか」」

 言って、事務所を出た。

 

 

 

 

 二人の鬼気迫る頑張りのお陰か、その後の仕事は思いの外早く終わり、二人はヘロヘロの身体を引き摺っていた。事務所のあるビルの出入り口に、一人の女性が立っている。黒いセミロングの女性。慎はその女性を見た途端に、全身から脂汗を吹き出していた。ガタガタと身体を震わせ、今来た道を後退りする慎。その様子を、聖はすぐに気付く。

「……おい、慎。どうした」

「………あの…女が来てる……」

 慎の顔面は蒼白。唇は青紫へ変色。聖が慎の腕を掴んだ。そこに、その女性がこちらに気付く。慎の姿を捉えると、駆け寄る。

「……慎、捜してたのよ。ほら、私よ?貴方のお母さん(継母)よ」

 慎の背筋が凍る。目の前の女性の顔が歪む。気持ち悪い程の笑顔。慎の身体に異変が起きた。蕁麻疹だ。頭のてっぺんから、足の先まで赤く小さなボツボツが浮き出る。聖も吐き気に襲われた。聖も希以外の女性に、拒絶反応を起こす。掴んでいた慎の腕を放し、その場に崩れ口元に手を当てる。

「ほら、慎。私と一緒に帰りましょ?また仲良くしましょうよ」

 継母が慎の腕を掴んだ。心臓が止まるほどの拒絶。手に力が入らず、その手を払えない。

 

(絵里、助けて)

 

 慎は心の中で叫んだ。意識が遠退いていく。バタバタと走る音が近付いてきた。そして。

「彼に触らないで!」

 今すぐ逢いたかった人物の声。慎はぼやける視界を声の方へ向ける。絵里だった。絵里の後ろには希の姿もある。希もすぐに聖の側へ駆け寄った。絵里は、継母の腕を掴み、慎から引き剥がす。

「聖君、大丈夫?うちが来たからもう安心して」

 聖の背中を擦りながら、希が言う。絵里を睨み付ける継母。絵里も同じ様に睨む。

「勘違いしてません?私は、慎の母親よ」

 継母の言葉を聞いて、絵里は一瞬怯む。しかし。

「例え、貴女が彼の母親であっても、彼に触れる事は許せないわ」

「……貴女、何の権限があってそんな事が言えるの?」

「…それは……私が彼を愛してるからよ!」

 絵里の言葉に、継母の表情が歪んだ。奥歯を噛み、目は怒りに満ちている。それでも、絵里の目は真っ直ぐ継母を見つめ、強い意思を感じさせた。その気迫は圧させるように継母が後退する。

「……今日のところは帰ります。また、会いに来ますから」

 それだけ言うと、踵を返し継母は去っていった。絵里は安堵の溜め息をつく。振り向く絵里。慎と視線が交わる。その横では、聖と希が抱き締め合っていた。

「慎、帰りましょ」

 絵里が手を差し出す。慎はそれを見つめ。

 

(初めて名前呼んでくれた)

 

 その手を取る。希達も立ち上がり、お互い手を繋ぎながら家路に着いた。

 

 

 

 

 絵里のマンション

 

 

 

 

 部屋に入ると、絵里は慎を一旦ソファーに座らせる。沸かしていたお湯を急須に入れ、お茶を慎に渡す。慎はそれをゆっくり飲んだ。絵里はその様子を優しい眼差しで見つめる。

「……絵里、話があるんだ。」

「うん」

「俺、本当は女性アレルギーで、その原因を作ったのがさっきの女なんだ。」

 慎の話に黙って耳を傾ける絵里。そして、慎は自分の過去と何故アイドルをしているのかを話す。一通り話終えると、絵里は小さく溜め息をついた。

「そうだったの。」

「……何か、言う事はないか?」

「……私が何を言うの?」

 慎は問いを、問いで返され一瞬固まる。

「ぃや、ほら。気になる事とかないのか?」

「そうね。無い訳じゃないけど、今の話とは関係ないから」

「何でもいい。話してくれ」

 絵里はしばらく慎の顔を見つめる。慎は緊張しているのか、生唾を飲み込んだ。

「この前の事、覚えている?」

「……この前?」

「私に、俺の子供産んでって話」

「……ああ、確かに言ったな」

 絵里は慎の目を真っ直ぐ見つめ。

「あれって、プロポーズなのかしら?」

 真剣な表情の絵里。慎は間抜けな表情。そして、吹き出す。

「聞きたい事が色々ある中で、気になるのはそこか!俺の過去とか、あの女の事とかあるだろ?」

「別に気にならないわ。最初はびっくりしたわよ?でも、それよりその話の方が、私には気になるのよ」

「意外と、絵里は大物だな」

 絵里の言葉に、慎の表情がようやく、和らいだ。

「絵里は、俺になんて言って欲しい?」

「……慎って意地悪よね」

「プロポーズだよ。出逢って、まだ一ヶ月過ぎた位だけど。一目惚れなんだ。」

「やっぱり、プロポーズだったのね。」

 溜め息をつきながら、絵里はソファーにもたれ掛かる。

「俺は、絵里以外の女性とは付き合えないよ。だって、ただ一人だけだったんだ。アレルギーが出なかったの」

 慎が絵里の手に触れる。手の甲を撫で回す慎。それだけで、絵里の身体に変化が現れる。頬を染め、身体をモジモジさせる絵里。

「それに、プロポーズの返事、聞かなくてももう分かったし」

「…………」

「俺の事、愛してるんだろ?」

「……そんな事、私言ったかしら?」

 染めた頬を横に向け、絵里は視線を泳がせる。慎が絵里を抱き締めた。固まる絵里。

「ごめん、しばらく触れてなかったから、我慢出来ない。返事は、後でゆっくり聞くから、今は俺を感じて」

 そう言って、慎は絵里の唇を塞ぐ。舌を絡め合い、性急に絵里の服を脱がしていく慎。絵里も慎の服を脱がしていく。素肌を重ね、互いの体温が上昇していき、慎が絵里の乳房を揉みし抱く。絵里の口から甘い溜め息が零れる。固くそそり立つ分身。絵里の身体はソレを求め、まだ触れてもいない秘所から愛液が溢れ出る。慎がソコを指で責めた。

「……ぃや、それじゃない……の」

 絵里が珍しく自分から慎のソレを掴む。そして、秘所へと導く。

「いつも、避妊してって言うよな。良いのか?」

「……うん、良いの。お願い」

 潤んだ瞳で慎を見つめる絵里。慎はゆっくりと腰を進め、絵里を深く貫いた。身体を仰け反らせる絵里。そして、そのまま二人は疲れて眠るまで、愛し合った。




 やっと、想いが通じ合えました。希の方は、まだ告白の返事が返せていませんが。次回で書きます。
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