※この作品はR-18です。

美女と狼の奇妙な恋愛事情   作:氷野心雫

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 リアルで問題が発生中……

 なかなか書けない状況がしばらく続きそうです。けど、頑張って書きます!


協力者と決意と

 桂木プロダクションの事務所内~社長室~

 

 

 

 

 革製の高価な椅子に、不釣り合いなにこが、足をブラブラさせて絵里と希を見ている。絵里と希は、にこが座っている場所の反対側。デスクを挟んで立っていた。

「話って何?」

 にこの表情は、少し怒っているような、不安を隠しているような。『今の感情をどう表して良いのか分からない』っといった表情。そんなにこを真っ直ぐ見据え、絵里が口を開く。

「にこ、慎の事なの」

「……それで?」

「慎の実家の住所、教えて欲しいの」

「どうして?」

「慎のお父様に会って、話がしたいから」

 絵里の言葉に、にこの表情が曇る。絵里は瞬時に気付いた。

「……にこ、貴女。何か知っているのね?」

 希もそう思った様だ。絵里と同じ様に、にこを見ている。二人の視線に、にこが溜め息で答えた。

「そう簡単に教えられないわよ。これでも、この桂木プロダクションの社長よ。」

「この間は教えてくれたやん?」

「あれは、絵里達が興味ありそうだったし。慎達の将来を考えての事だもん。今回は、慎の過去も関係するし。実家の住所までは教えられない……でも」

 含みを持たせるにこ。絵里達の表情が緩む。

「身内同士の話なら別だけどね」

 にこがウインクする。すると、扉がゆっくりと開く。そこには、紺色のスーツに身を纏った男性が立っていた。絵里と希は疑問の表情。男性は、部屋の中に入り、にこの横に立つ。

「二人は初めて会うわね?主人よ」

 にこやかな表情のにこ。その男性は、絵里達より少し年上だろう。絵里達を優しく微笑んで見ていた。二人は驚く。

「初めまして、にこがいつもお世話になっております。桂木宗次郎と申します。」

 そう言って、深々と頭を下げるにこの旦那。絵里達もつられて頭を下げた。

「絢瀬絵里です」

「東條希です」

「お二人のお話は、にこから良く聞いていましたよ。アイドルもされていたそうで」

 穏やかな表情で話す宗次郎。そんな宗次郎ににこは鋭く睨む。

「宗君、その話はまた今度にしてよ。今は」

「まぁまぁ、別に良いじゃないか。にこの高校時代のお友達と、一度話がしてみたかったんだよ。慎君の話もちゃんとするから、ね?」

 宗次郎がにこの頭を撫でる。にこは膨れっ面をしながらも、黙り込んだ。

 

(さすが、ご主人だわ。にこを手懐けているわね)

 

 感心する絵里。宗次郎は笑顔を崩さず、絵里達に視線を戻す。

「さてさて、折角来ていただいたので、お茶でも飲みながら、ゆっくりお話しませんか?勿論、慎君の事もお話ししますから」

「はい」

 絵里達は社長室から出ると、応接室に場所を移す。にこ夫婦と向かい合う形で座り、すでに頼んでいたのだろう。事務所のスタッフが、すぐにお茶を持ってくる。絵里達はそれを啜りながら、談笑した。

「……それで、桂木さんの一目惚れだったんですか?」

「そうなんですよ。にこのアイドルに対しての真っ直ぐな姿勢に、僕は惚れましてね。告白したんです。まぁ、親戚からはロリコンか?っと、疑われましたが」

「にこっち、愛されてるやん」

「五月蝿いわね!それより、慎の話をするんじゃなかったの?」

 顔を真っ赤に染めたにこが言う。その言葉に絵里の表情が変化する。希も同様だ。

「照れ隠しかい?まぁ、そうだな。そろそろ本題を話さないといけないね」

 姿勢を正す宗次郎。一つ咳払いをし、口を開いた。

「うむ、本来なら、他人には話せない事情が慎にはある。絢瀬さんは、慎から過去の話を聞いた事は?」

「……あります。全てではありませんが、女性アレルギーの事やその原因が継母だと言うこと。そして、アイドルをしている事」

「では、この事務所に連れて来られた理由は?」

 絵里は無言で首を横に振った。

「そうだろうね。慎自身も、どうしてにこがこの事務所に連れて来たのか。本当の理由を知らないからね。」

「それって、どういう意味ですか?」

 絵里の問いに、宗次郎は柔らかく微笑み、目を伏せる。

「僕の姉さんは、慎の産みの親。慎は、僕の甥になるんだ。」

 絵里と希は驚く。にこは知っていたのだ。いつもあまり見ない真剣な表情で二人を見ている。

「慎をここへ連れてくる様に頼んだのは、僕の義理の兄。つまり慎の父親」

「……それじゃあ、慎のお父さんは、知っているんやね?」

 希の言葉に、頷く宗次郎とにこ。絵里は深く溜め息をついた。

「なら、どうして?慎のお父様は」

「言えなかったんだ。いつも仕事ばかりで。家庭の事は姉さんに押し付けて、挙げ句、浮気してた。その相手が今の継母だ。その上、その継母が今度は慎を」

 宗次郎の表情が悲しみに変わる。

「せめてもの罪滅ぼしなのかも知れない。家出した慎を捜して、継母から遠ざけた」

 宗次郎の言葉に、絵里の目は潤んでいる。

「……協力してくれませんか?」

 絵里が頭を下げる。希も頭を下げた。

「宗君、私からもお願い。二人に協力して欲しい。それに」

「分かっているよ。僕だって、大事な姉さんの忘れ形見。慎の幸せを他の誰よりも願っているんだ」

 にこの頭を優しく撫でる宗次郎。

「絢瀬さん、慎の事。宜しくお願いします」

「はい」

 絵里は涙を溢しながら微笑んで答えた。




 今回は短めです。次回は、慎のお父さんも出てきます。さて、継母はどう動くのか?お楽しみに!
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