※この作品はR-18です。

美女と狼の奇妙な恋愛事情   作:氷野心雫

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 特に見せ場ないかも……


絵里の為の集まり~慎にお灸を据えよう!~

 μ,sの女子会から数日後。

 

 

 

 

 慎は桂木プロダクションの一室にいた。部屋の中心には長テーブルを二つくっ付け、大きなテーブルにしている。そこに、慎と聖が無言でパイプ椅子に腰掛けていた。

「なぁ、聖。今日何で呼ばれたか知ってるか?」

「さぁ~、俺にもさっぱり分からないけど」

 お互い、スマホを弄りながら会話をする二人。それから特に会話はなく、無言で時間だけが過ぎていく。一体、どのくらいの時間が過ぎたのだろうか。慎は壁に掛けてある時計を見る。長く感じていた時間。しかし、意外にも、まだ十五分位だった。慎は小さく溜め息をつく。それから数秒もしない内に部屋の扉をノックする音がした。

「はい、どうぞ」

 聖が答える。ゆっくりと開かれた扉から、にこを始め、希、凜、海未、穂乃果、ことり、真姫、花陽の順で入ってくるμ,sのメンバー。そこには絵里の姿はない。少し遅れて、亜里沙と雪穂も入ってきた。慎と聖は咄嗟に椅子を立ち上がり、部屋の隅に逃げる。二人は女性が苦手なのだ。特定の女性以外は近寄るのを極力避けている。

「二人共、そこに座りなさい」

 桂木プロダクションの社長であるにこが二人に言い放つ。慎と聖は怯えた表情で、さっきまで座っていた椅子にゆっくりと座る。女性陣は二人を囲むように立ったまま。聖は希を見た。視線を感じた希は、聖を見る。何かを言いたそうな表情で希を見ていた。いつもならすぐに希の側に行こうとする聖だったが、部屋に漂う暗い雰囲気に、じっとして他の女性達を観察している。

「さてと、話を始めましょうか」

 声のトーンは明るめでにこが言う。その場にいた女性陣が小さく頷いた。男性は慎と聖のみ。そして、女性陣が一斉に慎と聖を見る。視線の多さに引く二人。

「聖はとりあえず後にして、慎。貴方に今日は話をするわ」

 にこの表情が変化する。その表情は怒り。にこだけではない。そこにいる女性陣は皆、怒りの表情だ。

「……慎、どうして呼ばれたのか分かりますか?」

 海未が言う。慎は無言で首を横に振った。

「貴方が呼ばれた理由は、絵里です。」

 絵里の名に反応する慎。

「慎君、最近の絵里ちは疲労困憊や。その理由は分かるやろ?」

「……俺が無理させてるって言いたいのか?」

「そうや」

 希の言葉に慎は睨んだ。今にも掴みかかりそうなオーラを纏う慎。すると、海未、真姫、にこが慎の前に立つ。慎は一瞬で壁に逃げた。すると、にこの不敵な笑み。海未と真姫はそれに少し呆れつつも、にこと同じ様に慎に近付く。慎は逃げ場を失い、ガタガタと身体を震わせている。

「……ゃめろ…、近付くな」

「それは却下」

 そう言って、にこが慎の腕に触れた。次の瞬間。慎の全身に蕁麻疹が出る。呼吸も荒くなり、弱々しい。

「……俺が女性アレルギーなのを知ってんのに、どうしてこんな事するんだ」

「慎君、さっきも言ったんやけど。絵里ちの為なんよ。」

「……絵里の為?」

「そう。絵里ちの為」

 慎の問いに希が頷く。他の女性陣も同じ様に頷く。

「絵里ち、自分の事より相手の事考えたり、素直やないんよ。μ,sに入る時もそうやった。本当はスクールアイドルしたいんに、自分の気持ちを押し込めて。今だってそうや。慎君の事ばかり考えて、正直身体しんどいはずやのに」

「……希もね」

 真姫が希に視線を送る。言われて希は舌を出す。

「つまり『絵里の身体の事もう少し考えて』って言いたい訳よ」

「……分かった」

 にこの補足的な話に、慎は素直に頷いた。そして、そこでようやく気付く。海未、真姫、にこ、凜、希以外の女性達に。

「……居酒屋の店員さんがいる。あと亜里沙ちゃんとお友達の雪穂ちゃん。それと二人は誰だ?」

 慎の言葉に、みんなが目を丸くする。そして笑った。

「そう言えば言っていませんでしたね。私達は絵里の高校時代からの友人です。」

「……っええ!?」

「予想通りの反応やな」

 慎の反応が面白いのか、みんなが笑っている。聖も驚いて、口をポカンと開けていた。

「自己紹介がまだでしたね。」

 海未が視線を穂乃果に送る。それに気付いた穂乃果。満面の笑みで。

「高坂穂乃果だよ。雪穂は私の妹なんだ~」

「どうも、宜しくです」

 元気な姉と対照的に、雪穂は冷めている。

「小泉花陽です。『花陽の食卓』の店長しています」

 照れながら花陽が言った。

「南ことりです」

「……ことり、旧姓ですよ」

「っあ、そうだった。今は井元ことりなの。苗字が変わると言いにくいよぉ」

 海未の指摘にことりが弱々しく嘆く。

「亜里沙の事は言わなくても大丈夫だよね?」

「絵里の妹だろ」

 にこの問い掛けに慎は答えた。そこに絵里が宗次郎と入ってくる。

「……ちょっと、みんな」

 絵里は部屋に入って驚いた。慎の全身に蕁麻疹が出る事に。

「慎、大丈夫なの?」

 言いながら駆け寄ろうとする絵里。しかし、それは叶わない。それは希達によって、遮られたからだ。その行動に怪訝な表情の絵里。

「慎、約束して。今後、絵里に無理をさせないって。絵里は私達の大切な友達だから」

 にこの真剣な表情。その言葉に、絵里は理解したようだ。慎の回答を待つ面々。慎は力強く頷き。

「約束する」

 すると、希達はゆっくりと絵里と慎の間から離れる。絵里はすぐさま近寄り、慎の頬を撫でた。大人しく撫でられる慎。絵里が触れた所からゆっくりと蕁麻疹が薄れていく。それにはみんな驚いた。全身に出ていた蕁麻疹はゆっくりとだが、確実に薄れていく。しばらくして、慎の身体に出ていた蕁麻疹は治まり、慎は絵里に抱き付いた。

「……ところで、スクールアイドルって何だ?」

 頭に?マークを浮かべ慎が絵里に尋ねる。一瞬、絵里の身体がピクリと反応。そして。

「……ふふ、今はヒミツ」

 そう言った絵里の表情は妖艶だった。




 ちょっと今回は短めでした。まぁ、これに懲りて、慎の性欲も少しは抑えられるでしょ……。恐らく。
 でも、絵里の色気に当てられるでしょうけどね。
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