絵里を取り囲んでいた男達が、絵里の手足を掴む。絵里が着ていた服が、男達の手によって引き裂かれ、絵里の身体が露になった。一斉に息を飲む男達。絵里は口を手で塞がれ、声が出せない。
「……うわぁ、超エロい」
「ヤベェ、俺もう勃起しちゃったわ」
「本当にこの女、ヤっちゃって良いんすか?」
数日前に慎につけられた小さな赤い華が、まだうっすら残る色白の肌。そんな絵里の裸に男達の身体が反応していた。
「さぁ絵里さん、選んで。慎と別れるか、ここで犯されるか」
気持ち悪い程の笑みで継母が言う。塞いでいた手が絵里の口から離れる。
「……私、慎と」
「絵里、別れよう」
「…………」
絵里は無言で首を横に振る。慎の顔が歪んだ。それは悲痛な表情。
「ダメだ、絵里。俺は絵里を他の男達に汚されたくないんだ。だから」
「慎、私は貴方と一緒にいたいの。身体を汚されたとしても、貴方と一緒に」
「………絵里…」
絵里が微笑む。こんな状況なのに慎は見惚れていた。
(こんな俺の為に……。俺は絵里に何もしてやれないのか。大切な人を守る事も出来ないのか)
慎の奥歯がギリッと軋む。両腕の拳は力強く握られていた。
「返事は聞かなくても良いわね?絵里さん、貴女はもっと賢明な人だと思っていたけど、見込み違いだったようね。さぁ、慎の目の前で身も心もボロボロになるまで犯されなさい。」
継母が指を鳴らす。男達が一斉に絵里の身体に触れてくる。背筋が凍る感覚に、絵里は抵抗した。両手、両足を掴まれ、思うように動けない絵里。両足を掴んでいた男二人が、足を持ち上げる。露になる秘所。そこに男の指がなぞる。絵里は必死に抵抗した。
「……じっとしろ!」
男が絵里の頬を平手打ちする。あまりの衝撃に絵里の動きが止まった。男が絵里の秘所に舌を這わせ、秘所を濡らす。男のソレが絵里の秘所に宛がわれる。絵里は歯を食い縛り、目蓋を閉じた。
「止めろ!絵里に触れるな!」
拘束された慎が暴れる。絵里は慎を見た。目には涙が滲み、口元が動く。
『愛してる』
声にならない叫びを上げ、慎が暴れた。それでも拘束の手は緩まず、慎の目にも涙が滲む。絵里の秘所に当てられたソレが数ミリ入る瞬間。勢いよく扉が開いた。
「はぁい、そこまでやで」
緊迫した雰囲気に似合わない緩い声が部屋に響く。その声の主を一斉に見る。そこにいたのは希だった。張り付いた笑顔の希。絵里は希を見た。その視線に気付く希。絵里の姿を見つめ、希の表情が変わった。今までに見た事もない怒りの表情。
「……ウチ、あんたの事許さへんよ」
希の言葉に継母が後退りする。
「警察だ。そこを動くな」
希の後ろから、私服警官がぞろぞろと入り、絵里達をグルリと取り囲む。絵里を掴んでいた両手、両足が解放される。絵里は自分の身体を手で隠す。すると、絵里の側に女性警官が毛布で包み、絵里をその場から連れ出した。部屋から出た絵里を待っていたのは、μ,sのメンバー。絵里は涙を流す。そして、部屋からは希の声が聞こえた。
「ちょっとやりすぎやで。継母さん」
「……私は何もしていないわ。彼らが勝手にした事よ」
「そうは見えへんな。慎君、君ももう少しは抵抗した方がええで」
「…………」
「絵里ちの事、真剣に想っているなら尚更や」
「……あぁ、そうだな。俺がもっとしっかりしないと」
その言葉に希は微笑む。
「さて、継母さん。絵里ちと慎君の仲、もう邪魔せんでな」
「貴女、何が言いたいの?私は慎の母親よ。干渉して当たり前でしょう?」
「……お前は慎の母親ではない」
別の声が三人の会話に入る。絵里は後ろ姿を見た。それは慎の父親。
「あなた」
「……親父」
両者別々の反応。継母は驚きの表情。一方、慎は安堵の表情。
「お前はもう私の妻でもない。赤の他人だ」
その言葉に継母の表情が変わる。
「あなた、どういう事?私は」
「……お前との離婚は成立した。裁判所からの書面もな」
そう言って、継母の前に離婚届と裁判所からの書面を見せる父親。継母の顔の色が青くなる。一人の警官がさらに継母の前に紙を見せた。
「罪状だ。誘拐、監禁、婦女暴行未遂。ストーカー行為、脅迫。それと、時田代議士の事務費の横領罪。証拠はすでに揃っている。」
「……私」
「裁判所で会おう」
警官達が一斉に男達と継母を連れて行く。絵里の前を通り過ぎる瞬間、継母が絵里に飛び掛かったが、μ,sのメンバーが立ち塞がる。
「私達、大事な友達を傷付けた貴女の事、絶対許しませんから」
その言葉でようやく継母は観念した。そして、無言のまま連れて行かれる。絵里はその後ろ姿を複雑な表情で見送った。
その後は慌ただしかった。絵里と慎は、病院で検査を受けたり、警官に事情聴取されたり、希達に説教されたりと慌ただしく一日が過ぎる。
「絵里、大丈夫か?」
慎が絵里の身体を抱き寄せる。今、絵里達はマンションにいた。疲れた身体を気遣う慎。絵里は小さく笑った。それでも小刻みに震える身体は正直だ。
「……絵里、俺は誓う。何があっても絵里の側を離れない」
「うん、私も」
震えていた身体が落ち着く。絵里はゆっくりと目蓋を閉じ、そのまま眠りについた。慎は絵里の寝顔を見つめる。
(これからは、何があっても俺が絵里を守る。絵里、愛してる)
眠る絵里の頬にキスを落とした。
数か月後
最近の絵里の顔色は冴えない。いつも蒼白く、フラフラしている。仕事もままならないようで、欠勤や早退が増えていた。いつも通っている居酒屋も最近は行っていない。絵里曰く、匂いで気分が悪くなるそうだ。絵里は気付いていないが、希はすでに知っている。
「……っえ?何を聞くのよ。希」
「せやから、生理来てないんちゃう?」
「…………来てないけど」
真っ赤な表情で絵里が言う。希はニヤリと笑い。
「赤ちゃん、出来たんやない?」
数秒の沈黙。
「…………っええ!」
当事者なのに絵里は驚いた。そして狼狽える。
「……そ、そんな!まさか……」
徐にお腹を擦る絵里。
「一度産婦人科に行ったらええやん。慎君について来てもらえば?」
「う~ん、慎に来てもらっても」
「そやな、男の人はいざって時に慌てるもんな」
「でしょう?」
絵里と希は笑い合う。
「それなら、希。一緒に来て?希もいずれ行く事になるんだし?予行練習と思って……ね?」
絵里の提案に、希は小さく笑う。
「しゃあないやぁ」
そう言って、小さく溜め息をついた。
とりあえず、絵里編は終わりです。次回は慎編です。