※この作品はR-18です。

美女と狼の奇妙な恋愛事情   作:氷野心雫

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 さて、今回はどう動くかなぁ……。書いてる本人が予測出来てない(汗)


急展開な二人

 

 

 晃太郎が花陽のお店の手伝いを始めてから二週間。二人の距離は少しずつ縮まり、周囲から見ても仲が良いと感じられ始めた頃。お昼時にいつもの様に絵里と希がお店に来る。

「……っあ、絵里ちゃん、希ちゃんいらっしゃい」

 笑顔の花陽が二人に駆け寄る。『花陽の食卓』は、夜は居酒屋。昼は定食屋と変貌するお店だ。飲食店では珍しくはないのだが、花陽の作る料理は美味しいと評判になり、時間帯関係なく賑わっている。

「今日も繁盛してんなぁ」

「本当ね」

 店内の様子を見ながら、絵里達がいつもの席に向かう。夜と同様、あの角場は絵里達以外は誰も座らない。昼も夜も他の客の中では『角場は特別席』と認識されているようだった。その証拠に、絵里達が座ると他の客達の表情は明るく、安心感を感じているようだ。

「今日も彼、手伝いに来ているの?」

「晃太郎君?うん、いつも手伝いに来てくれてるよ」

 ほんのり頬を染め、花陽はそう言った。

「花陽ちゃん嬉しそうなや。もしかして、好きになったん?」

 いたずらっぽい表情で希が言う。その言葉に花陽は顔を真っ赤に染める。

「っえぇ!?希ちゃん、いきなり何言い出すの!?好きだなんて、そんなぁ」

 慌てふためく花陽。絵里はそんな花陽を見て、クスリと笑う。

「別に良いんじゃないかしら?お似合いな二人だと思うけど」

 笑顔の絵里。希も何度も頷いている。赤く染まった頬を両手で押さえながら、花陽は口をワナワナと動かし、返答に困っていた。

 

(絵里ちゃんも希ちゃんも何言ってるの~!?お似合いだなんて、晃太郎君は優しいから手伝ってくれてるだけなのに~!)

 

 心の中で反論する花陽。しかし、絵里達はそれを分かっているようだ。二人してニヤニヤしながら花陽を見ている。

「絵里ちゃんも希ちゃんも、私の反応で面白がってない?」

「そんな事ないわよ。ねぇ?希」

「そうそう、花陽ちゃんにようやく春が来たなぁって思ってるだけや。なぁ、絵里ち」

 花陽はそれ以上言うのを止めたのだった。

 

 

 

 

 次の日の朝

 

 

 

 

 今日もいつもの様に開店準備をする二人。しかし、花陽は昨日絵里達との会話を思い出し、挙動不審な動きをとっていた。晃太郎が話し掛けても、何処と無く素っ気ない。さすがの晃太郎もそれには気付いた。

「なぁ、俺何かしたか?」

「……べ、別に」

「だって、明らかにおかしいだろ。何か悪いところがあったらちゃんと言ってくれ」

 花陽を真っ直ぐ見つめる晃太郎。真剣な表情で訴える晃太郎に、花陽は我に帰る。首を思い切り横に振り。

「本当に何もないよ。ごめんね、晃太郎君」

「本当か?」

「うん、本当」

 そう言って微笑む花陽。少し申し訳なさそうな表情。晃太郎は小さく溜め息をついた。

「……花陽がそう言うなら、良いけど」

 肩の力を抜き、開店の準備を再開させる晃太郎。その後ろ姿を、花陽は黙って見つめた。

 

(絵里ちゃん達があんな事言うから、晃太郎君に嫌な思いさせちゃったよ)

 

 小さく溜め息をつく花陽。晃太郎は肩越しにその様子を見つめる。開店準備を黙々と済ませる二人。その間、特に会話はない。花陽は厨房で料理の最後の仕上げをしていた。晃太郎が花陽の後ろに立つ。振り向く花陽。

「なぁ、もしかして、迷惑なのか?俺が手伝うの」

「っえ?どうしてそんな事言うの?」

「だって、今日。ずっと態度がおかしい」

 晃太郎の言葉に、花陽は俯く。晃太郎は溜め息をついた。すると、花陽は顔を上げ、晃太郎を見る。何故か、顔がみるみると真っ赤に染まっていく。

「……昨日ね、絵里ちゃん達に言われたの………その…私が」

 一度視線を床に落とし、何度も深呼吸する花陽。晃太郎は黙って続きを待つ。花陽は俯いたまま口を開いた。

「……私が…晃太郎君の事、好きなんじゃないかって…」

「…………」

 花陽の言葉に、無言の晃太郎。何も反応しない晃太郎に、花陽はゆっくりと顔を上げ、晃太郎を見る。晃太郎の表情は、無表情。花陽と視線が合うと、無表情のまま、真っ赤に染まっていく。突然、花陽に背を向ける晃太郎。花陽はいきなりの行動に驚く。

 

(……やっぱり言わない方が良かったのかな?)

 

 花陽は言葉にした事を後悔する。一方、晃太郎は混乱していた。

 

(……っえぇ!?今、花陽。何て言った?俺の事、好きって言ったか?マジで!?嘘だろ?……ちょっと待て、落ち着け!俺!)

 

 花陽は晃太郎の後ろ姿を黙って見つめる。晃太郎の身体が小刻みに揺れているのに気付いた。花陽は?マークを頭に浮かべる。そして、さっきと同様、突然花陽に向き直った晃太郎に、花陽は再度驚いた。晃太郎の顔は真っ赤だ。表情は少し強張っている。花陽もつられて、同じ様に表情を強張らせた。

「……迷惑だったらごめん。でも、俺の話、聞いてくれないか?」

 緊張の面持ちで口を開く晃太郎。花陽は頷いた。それを確認し、晃太郎はゆっくりと口を開く。

「俺、いつも無表情だし、身体もこんなんだから、みんなに怖がられて、口数も少ないし。好意を持ってくれる女性とか今までいなかったから……その、何て言ったら良いか」

 晃太郎は一度深呼吸する。そして。

「μ,sのライヴ見た時から、ずっと花陽の事見てた。一目惚れってあんな感じなんだな。花陽から目が離せなくて。その……、花陽が良ければ、俺と付き合って下さい」

 右手を差し出し、花陽に頭を下げる晃太郎。花陽の思考は停止寸前だった。

 

(……っえぇ!?晃太郎君が私の事、好きって。一目惚れって、何かの間違い?聞き間違いじゃないの!?……)

 

 頭を下げ、右手を差し出したままの晃太郎を花陽は見つめ。

 

(どうしょう!?この手を取るべきなの?でも、取ったらお付き合いOKって事になるよね?……恋人同士になるの!?)

 

 花陽は心の中で悶絶していた。花陽の反応がない事に、晃太郎は小さく溜め息をつき、諦めた表情で頭を上げる。そこに花陽の潤んだ瞳が目に飛び込んだ。一瞬、晃太郎は狼狽える。

 

(…もしかして、俺。勘違いしてたか?ヤベェ、どうしよう、この手)

 

 晃太郎がゆっくりと手を引こうと動いた。次の瞬間。今までに見た事のない速度で、花陽の手が晃太郎の手を掴む。晃太郎の動きが止まり、花陽も我に帰った。晃太郎が小さく笑う。

「俺はこの手をどう捉えるべき?」

「………うぅ……」

 泣きそうになる花陽。晃太郎は初めて花陽の頭に手を乗せ、軽く撫でた。真っ赤に染まる花陽の顔。

「これからは彼氏、彼女って事で、宜しく」

「…………はい」

 カップルが成立した瞬間だった。




 展開が早くない?って思われるあなた!実は、作者も同じ意見です。花陽と晃太郎、流れが早くて自分もびっくりしてます。さてさて、次はどうなる事やら。
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