※この作品はR-18です。

美女と狼の奇妙な恋愛事情   作:氷野心雫

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 いや~、今年のインフルエンザ及び風邪、喘息。酷かった~!

 作者、何気に病気のデパートであります!


花陽の心~目覚める恋心~

 晃太郎と交際が始まった数時間後

 

 

 

 

 お昼時、いつもの様に絵里と希が『花陽の食卓』で昼食を取っている。花陽が二人の側に歩み寄った。

「花陽、どうしたの?顔が赤いわよ?」

 絵里の指摘の通り、花陽の顔は赤く、挙動不審だった。どことなく落ち着きがない。希には理由が分かっているようで、微笑んでいる。

「……希、その顔。何か知っているの?」

「それは、うちの口からより、花陽ちゃん本人に聞いた方がええんやない?」

 そう言うと、希は花陽を見る。同じ様に、絵里も花陽を見た。二人の視線に、花陽の顔はさらに真っ赤に染まり俯く。そして、消え入りそうな声で、数時間前の事を話したのだった。

 

 

 

 

 数分後

 

 

 

 

「へぇ~、花陽と土井君がね」

「うちは土井君が、花陽ちゃんの事好きなこと分かっとったよ」

 無言の花陽を見ながら、二人が言う。当の花陽は、耳を真っ赤に染めたまま。そんな花陽に絵里が見つめる。

「まぁ、希なら何でもお見通しなんだろうけど。それより花陽。何か相談事でもあるんじゃないの?」

 澄んだ青い瞳で絵里が言う。希も微笑んだまま花陽を見つめている。

「…………絵里ちゃん、希ちゃん。私」

 頬を染めて、潤んだ瞳で花陽はゆっくりと口を開いた。

「……私、晃太郎君の事。……好きなんだと思います」

「……何だと思うって、好きなんじゃないの?」

 花陽の言葉に怪訝の表情の絵里。希の表情に変化はない。

「分からないんです。晃太郎君と一緒にいるとドキドキするけど、それが好きって気持ちなのか。私分からなくて」

 俯きながら花陽はぽつりと溢した。絵里はそれを聞いて、希を見た。

「……だって、私。晃太郎君の事、まだよく知らない」

 その言葉に、絵里と希は互いに顔を見合わせ、クスリと笑う。そんな二人を見て、花陽は狼狽えた。

「その人の全て知らないと好きになっちゃいけないのかしら?」

「もし、そうだったら、うち達はなんやろうね。」

 二人の会話に、首を傾げる花陽。

「花陽、私と慎の出逢い、話した事あったかしら?」

「うちと聖の出逢いもな」

 絵里達の言葉に、首を横に振る花陽。絵里と希は小さく笑う。

「少し話が長くなるけど」

 そう言いながら、二人は笑っていた。

 

 

 

 

 次の日

 

 

 

 

 花陽は晃太郎を初めて、自分の自宅に招き入れた。『部屋の豆電球を交換して欲しい』なんて、ただの口実だ。本当の目的は、もっと晃太郎の事を知りたいと思ったから。花陽は、早鐘を打つ胸を抑えながら、晃太郎と会話する。基本的に、晃太郎の表情は無表情。絵里達やラブウルフのメンバーと会話する時も、表情を変える事がない晃太郎。しかし、花陽の前だとその表情は時折変化する。困惑な表情、何か考え事している表情、そして、小さく微笑む表情。そのどれもが、花陽の胸を締め付ける。

 

(どうして、みんな晃太郎の事分からないんだろう?)

 

 花陽は、絵里達に晃太郎の表情について話した事がある。ところが、絵里達には全くと言ってもいい程、誰も晃太郎の表情は無表情にしか見えていないようだ。

「それは、花陽が特別だからよ」

 絵里が言う。希も頷き、お腹を擦っていた。実は、希は妊娠中。

「花陽の話も重要だけど、今は希の事ね」

 花陽の横に座っていた真姫が希を見て、溜め息をつく。今、μ,sのメンバーがいるのは、『花陽の食卓』である。今日、お店は定休日。毎月恒例の女子会だ。

「希、なんでもっと早く言わなかったの?妊娠」

 横目で真姫が言う。希以外のメンバーは、その言葉に希を見た。花陽も心配そうに見る。

「別にええやん。何ともなかったんやから」

「……そうやって、希はいつも」

 真姫の表情は苛立っていた。

「真姫、落ち着いて。それから希。何ともなかったからと言って、秘密にすれば良い問題でもありませんよ?下手すれば、流産してたかもしれないのに」

 海未が、今にも掴み掛かりそうな真姫を止めながら言う。メンバーに流れる不穏な雰囲気。その原因は、同窓会で催したμ,sのライヴ。

「……うちも悪かったって思ってるよ?でも、一度しかない節目の事なのに、うちのせいでライヴしないのはイヤやったんよ」

「だから言わないって言うのは、ちょっとおかしいでしょ?」

「そうだにゃ。言ってくれたら、違うダンス構成も出来たにゃ」

「……そうだよ。希ちゃん」

 μ,sのライヴをした同窓会。希は妊娠三ヶ月だった。その事をメンバーは言っている。希の妊娠を知ったのは、ついさっきだ。本来なら今回、花陽と晃太郎の事を話す予定だった筈で、花陽は正直何を話せばよいのか悩んでいたのだが。希は申し訳なさそうな表情でみんなを見る。今、希は妊娠四ヶ月目に突入していた。

「心配かけてごめんな」

 希はそう言う。メンバーは思い思いに溜め息をつくと、ほぼ同時に花陽を見る。複数の視線を一気に向けられ、花陽は狼狽えた。

「それで?花陽の方はどうなのよ」

 真姫が頬杖をついたまま花陽に言った。真っ赤に顔を染めた花陽。唇がワナワナと動き、言葉が出ない。

 

(……フリーズしちゃったわね)

 

 花陽を見ながら、絵里はそう思ったのだった。

 

 

 

 

 それから二週間

 

 

 

 

 にこの依頼された昼食用のお弁当を持って、花陽は桂木プロダクションの事務所に向かう。長い廊下を歩いていると、ある部屋の中から絵里の声が聞こえた。花陽は表情を明るくさせ、その部屋の扉を静かに開ける。しかし、花陽の手が途中で止まった。花陽の目に飛び込んできたのは、絵里と慎がキスしているところ。花陽は視線を反らす事が出来ず、二人のキスを見ている。何度も触れては離れる二人の唇。やがて、互いに舌を絡め合い、絵里の身体を引き寄せる慎。絵里が慎の肩を優しく掴む。花陽の心臓ははち切れそうに脈打っている。少しずつ後退する花陽。花陽の背は何かにぶつかった。それは、冷たい廊下の感触ではなく、温かな感触。花陽は振り向いた。そこにいたのは晃太郎。花陽の顔が一気に真っ赤に染まり、足は棒の様に動けずにいる。そんな花陽に晃太郎は無言で肩を軽く叩くと、部屋の扉をノックする。ノックに気付き、二人は離れた。

「……今、良いところだったのに、邪魔するなよ」

 不機嫌な表情の慎。絵里は晃太郎の後ろに花陽がいる事に気付く。

「慎、次仕事入っているでしょ?行ってらっしゃい。土井君、慎をお願いね」

 そう言って、慎の背中を優しく押した絵里。慎の背中を押しながら、耳元で何かを囁いている。花陽は絵里のそんな仕草にドキリとした。何故なら、囁いている絵里の表情が、あまりにも色っぽかったからだ。一方、囁かれた慎は、興奮した表情で機嫌良く部屋を出ていき、晃太郎は、絵里に小さく頷くと、一瞬花陽を見て、無言でその場を後にした。しばらくの静寂。

「花陽、入って」

 絵里の声が優しく廊下に響く。花陽は早鐘を打つ胸を抑え、ゆっくりと部屋の中に入った。パイプ椅子に座っている絵里。絵里の横に、同じ様にパイプ椅子が置いてある。絵里は手招き。

「花陽、ここに座って。私とお話ししましょ?」

 微笑んでいる絵里。花陽は恐る恐る座り俯く。

「さっきの見てたでしょ?」

「…………」

 無言は肯定だ。絵里が小さく笑う。

「どうして何も言わないの?」

「……私、その……見るつもりなかったの。絵里ちゃんの声が聞こえたから」

 声が上擦る花陽。

「別に見られたからって、私は怒っていないわよ?」

 絵里の言葉に、花陽は顔を上げ、絵里を見る。絵里の表情は穏やかだ。

「怒っていないの?見られて恥ずかしいとか思わないの?」

「どうして?」

「……だって、私だったら恥ずかしくて」

「そうね。周囲から見て恥ずかしいかも知れないけど。あの時の私は慎しか見えていないから」

「っえ?」

「キスしてる時もだけど、慎と二人きりの時は慎しか見えていないの」

 絵里が微笑む。その表情は妖艶で、花陽は目が離せなかった。

「花陽もすぐに分かるわ。だって、土井君を見つめる時の花陽。私と同じだもの」

 そう言われて、花陽の顔が真っ赤に染まり、頭から蒸気が吹き出したのだった。




 花陽もそうだけど、絵里の半端ないエロさ!鼻血が吹き出る!
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