※この作品はR-18です。

美女と狼の奇妙な恋愛事情   作:氷野心雫

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 今回は、絵里編です。絵里と慎の関係性が少しずつ変わります。


美女と狼の駆け引き?~絵里編~

「あ~、旨かった!ご馳走さん」

 絵里が急遽作った料理を、全部完食した慎。その勢いは物凄く速かった。そのまま床に寝転ぶ慎。絵里は、テーブルに頬杖をつき、その様子を見ながら溜め息をつく。

「食べ終わったんだから、帰ってくれるかしら?私、明日も仕事があるから、寝たいの」

 迷惑そうな表情で絵里が言う。

「今度は煮込みハンバーグ作ってくれよ」

「嫌よ。今回だけの約束でしょ?」

「良いじゃん。ケチ」

 不貞腐れた表情で慎は胡座をかく。絵里は大きな溜め息一つ。

「ケチで結構よ。良いから、早く帰って」

 明らかに怒っている絵里。慎は無言で絵里を見つめた。

「……泊まっても良いか?」

「はぁ?」

 慎の言葉に不快感が増す絵里。絵里がどんなに怒った表情を見せても、慎はいっこうに帰る気配がない。急に視線を反らす慎。

「居心地が良いんだよ。安心するって言うか、落ち着くんだ」

 そう呟く。絵里の表情が少し緩む。何度目かの溜め息。

「そんな事言っても、泊められないわ。」

「やっぱ、ダメ?」

「ダメよ。そもそも私達恋人でもないし、お互いの事、よく知らないでしょ?」

 真剣な表情の絵里。慎はシュンとなる。

 

(子供みたい)

 

 絵里はそう思った。慎は視線を落とし、小さく溜め息をつく。

「……分かった。帰るよ。」

 言って立ち上がる。慎はそのまま玄関に向かう。絵里はその後ろ姿を見つめた。玄関の前で立ち止まる慎。絵里は首を傾げた。

「……なぁ、また食べに来ても良いか?」

 背中越しで慎はそう告げる。

「…………気が向いたら、作ってあげても良いわ」

「そっかぁ」

 その背中が嬉しそうに震える。そして、そのまま帰っていった。

 

 

 

 

 次の日

 

 

 

 

 いつもの様に、居酒屋から帰ってくると、昨日と同じ格好で慎がいた。絵里は嫌な顔をする。

「…………」

「…………」

 無言で見つめ合う二人。しばらくその状態で時間だけが過ぎた。根負けする絵里。小さく溜め息をついた。

「ハンバーグの食材ないから、煮込みハンバーグは作れないわよ。それでも構わないなら、作ってあげるわ」

 絵里の言葉に、慎の表情が明るくなる。

「ああ、それでも良い。絵里の作るものなら」

 満面の笑顔で慎は言う。絵里は一瞬、ドキリとした。二人肩を並べてマンションの中に入っていく。その間も、絵里の鼓動はドキドキしている。

 

(何?この感覚)

 

 自分の変化に絵里は狼狽えた。その間も慎は上機嫌。鼻歌まで歌っている。絵里は、玄関の扉を開けると、慎を部屋に招き入れ、キッチンに立った。いつも、数日分の食材を買う絵里。冷蔵庫の中には、複数の食材や作り置きした料理がある。それらを使い、手早く料理していく。テーブルの上にはすき焼きをリメイクした料理が出された。慎はそれを勢い良く食べ進める。ものの数分で完食した慎。

「超うめぇ、絵里の料理は最高だな。店出せるんじゃないか?」

 ご満悦で慎は言う。絵里は少し頬を染め。

「大袈裟よ。これくらい普通じゃないかしら?」

 言って視線を反らす。慎は絵里を見つめた。

「明日も作ってくれないか?」

「…………考えておくわ」

 

 

 

 

 また次の日

 

 

 

 

 絵里はマンション近くのスーパーにいた。買い物カゴには、沢山の食材。よく見ると、合い挽き肉や玉葱がある。カートを押し店内を回った。

「絵里ちゃん」

 後ろから肩を叩かれる絵里。振り返ると、ことりが小さな女の子と立っている。

「あら、ことり」

「久しぶりだね。元気にしてた?」

「ええ、見ての通り元気よ。ことりも元気?」

「ふふ、私も元気だよ。」

 ふんわりと微笑むことり。ことりは、高校時代の友人の一人で、元μ,sのメンバーだ。

「ひよちゃん、大きくなったわね」

 ことりの手を繋ぎ、後ろに隠れる様に覗き込む、ことりを小さくした可愛らしい女の子。その女の子は、絵里を見つめると、小さく微笑む。絵里はひよと同じ目線になるようにしゃがむ。

「ひよちゃん、何歳になりましたか?」

「……四歳」

「もう四歳かぁ。お姉ちゃんになったね。」

 絵里がそう言うと、ひよは少し照れた。

「子育ては大変?」

「ううん、大変じゃないよ。今は自分の事、何でも一人で出来るようになってきたから」

「そっかぁ」

「絵里ちゃんは?結婚の予定ないの?」

「……っえ?」

 唐突な話に絵里はびっくりする。

「何でそんな話になるのかしら?」

「っえ?付き合っている人いるんじゃないの?だって」

 そう言って、買い物カゴを指差すことり。絵里もつられて見た。どう考えても、一人が食べる食材の量ではない。買い置きするにしても、多過ぎる。絵里は今更気付いた。

「……聞かなかった事にするね」

「…………」

 気まずい雰囲気が二人を包む。ひよがことりの服を引っ張った。

「絵里ちゃん、そろそろ行くね」

「ええ、ことり。また今度ゆっくり話しましょ」

 そう言って二人は別れた。

 

 

 

 

 キッチンで手早く料理していく絵里。メニューは勿論、煮込みハンバーグだ。絵里のすぐ横では、慎がその様子をじっと見ている。

「後ろに立たないでくれるかしら?」

 ハンバーグを焼く手を止めず、絵里が言う。無言の慎。絵里は振り向いた。一瞬、ドキリとする。慎の顔が近くにあったからだ。慎の目はアツく、絵里を見つめている。絵里はすぐさま視線を戻した。

 煮込みハンバーグが出来上がり、絵里は深めのお皿に移し、テーブルに置いていく。

「いただきます」

 慎が一口食べる。絵里は生唾を飲み込んだ。

「……どうかしら?」

「…………めぇ」

「っえ?」

「メチャメチャうめぇ!」

 それだけ言うと、がっつくように食べ進める慎。ご飯、ハンバーグをお代わりし、かなりの量があったのに、全て完食してしまった。

 

(残ったらお弁当に入れようと思ったんだけど)

 

 絵里は小さく溜め息をつく。しかし、嬉しそうに食べる慎を見て、絵里も満足だった。食器を片付ける絵里。その後ろに慎が回り込む。そして、絵里を後ろから抱き締めた。狼狽える絵里。慎が絵里のうなじに舌を這わせた。

「ちょ……ちょっと」

「食後のデザート食べたいな」

 口角を上げ慎が言う。そして、抵抗する隙を与えず、絵里の服を剥ぎ取る。絵里はあっという間に、慎に食べられるのだった。




 次回は、お分かりの通り、希編です。
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