でもヒロインとはまだ、ほとんど会話をしていないのに。
展開、おおっという感じで。
骨だけどできるという仮定で進んでいきます。
一緒に暮らすんだよと言われたが、あれはなんだったんだろう。どういう意味だろう、女はその言葉の意味を理解していなかった。
多分、体がだるくて眠たくてたまらなかったからだと思っていた。
ベッドの寝心地は悪くはなく、もう少し寝たら家に帰ろうと考え、再び目を閉じた。
寝心地は悪くない、だが、魔法使いのそばには居ると皆が心配するだろう、自分は殺されそうになったのよと、あのときエアリアルはひどく、怒っていた。
妖精や精霊は皆よくしてくれる、時に意地悪をする者もいるけれど、それは正直に生きているからだ。
そろそろ寝ようと思い、窓の外を見ると女はわずかに目を細めた。
妖精かもしれない、ベッドから起きあがると窓に向かった女は外を見た、魔法使いに気づかれたら面倒だと思い、窓を開けると、静かにと低い声がした。
迎えに来たよと頭の中に声が響いた。
女は、ほっとした顔になり相手に向かって手を伸ばした、暗い夜の闇が広がるように体を包み込むと、そう、女のすべてを。
もうそろそろ眠る時間だ、魔法使いは元来、不規則な生活をしていた。
昼間は起きて、夜に鳴れば眠る、一人暮らしなので自由気ままに過ごしてきたのだから、こうしなけれならないという決まりはない。
骨の頭、空洞のように見える二つの穴、目の中に見える赤い光は時折、ドアを凝視する。
もしかして眠っていた彼女が起きて、突然、部屋から出てくるかもしれない、そんな事を考えたからだ。
ほんの数時間前、彼女の体についていた妖精の手跡を消すのに魔力を使った。
スレイベガは自分の体から無意識に魔力を放出する、それは彼らにとって甘美な御馳走、糧となる。
本人が意識して自身が与える奈良ともかく、そうでないと中にはどん欲にむさぼり食らう者もいるのできをつけなければならないのだが。
多分、好きなだけ彼女は与えていたのだろう。
もしかして、あの赤い跡は体中衣服に隠れた部分にも。
裸にして確かめればよかった、だが。
羞恥心、か、魔法使いは独り言のように呟いた。
そういった人の感情は自分にはない、というか希薄だ、正直、理解しづらいところがある。
自分がそばに居れば妖精たちに魔力を貪られることもない、一緒に暮らせばいいと言ったが、返事はなかった、どうしてだろう、人と話したり、仲良くすることは今までになかった、初めての経験なので正直、勝手がわからないが、多分、うまくやれるだろう。
そう思ったとき、ドアの向こうから音がした。
起きたのだろうか、静かにドアを開けて部屋の中、ベッドと開いた窓を見た瞬間、魔法使いはしまったと思った。
誰かが彼女を連れ出した、妖精なのか、それとも別の生き物、誰かなのか、窓から飛び出すように外に出て、痕跡を見つけようと周りを見回しながら魔力を放出する、そして見つけた。
ほんの少しだが、匂いが残っている、妖精ではないかもしれない。
もしかして自分と同じ魔法使い、そんな事を考え、体が震えた、ここで見失ったら駄目だ、魔除けも目印もつけていなかった事を今更のように悔やみながら、魔法使いは、初めて気づいた、女の名前を知らなことに。
女が寒いと思った服を脱がされたせいだが、冷たい風と空気を感じたのはほんの、わずかな、瞬間とも思えるようなものだった。
自分の体の周りの空気が、まるで水のように流れて動くような感覚は今まで味わった事のないものだった。
妖精ではない、もしかして危ない生き物に自分は捕まったのではないかと思った時、耳元で声がした、男、女、分からない。
聞こえてくる声に女は目を閉じた。
あそこだ、あの木の下だ、誰も入ってこれないように、結界が張ってある、中にいるのはわかるのだが、見ることができない。
「邪魔だ、茨の、使い、あっちへ行け」
拒絶の声に、それはできないと魔法使いは首を振った、すると可笑しいといわんばかりに笑い声が響く。
「わたしのもの」
その言葉に、まるではじけるように結界が解けた、そして見てといわんばかりに現れた。
「邪魔スルナ、愛シ合ってイる、わかるか、魔法使イ、愛し合ッテイル、この意味が」
嘲笑するような声に魔法使いは指先をわずかに動かした、現れた杖をしっかりと握りしめて、呪文を唱える。
「彼女も、私を愛シテ」
魔法使いは大きく杖を振り上げた。
ベッドの中で寝ている女を見下ろしながら魔法使いは手を伸ばして頬に、髪に触れた。
妖精よりもやっかいな者がいる、スレイベガの存在だけでなく、知っていたんだ、味を。
結界ごと吹き飛ばして消してしまっても、他の忌み者が気づくだろう、また、他の者に捕まったら死ぬまで魔力を吸い取られるかもしれない。
いや、自分から離れないように虜にするかもしれない。
だったら、そうなる前に印を付けておこう、茨の魔法使い、エリアス・エインズワースの、はっきりとした証を。
マントを脱ぎ、手袋をはずして、寝ている女のシーツに手をかけて魔法使いは深く息を吸い込んだ。
気持ちを落ち着ける為に、だ。