※この作品はR-18です。

ひびみくドスケベ短編集   作:数多 命

4 / 6
エロくはないですが、設定は同じなのでこちらに。
タイトル通りです。
正直やっちまった感が半端ない内容となっております。


『子』ネタ

『そんな一家』

 

――――意識が浮上する。

目蓋を僅かに開けると、朝の光が痛かった。

正直、眠い。

まだ眠っていたい。

幸い今日は休日、お昼まで惰眠を貪っても問題ない。

そう結論付けて、布団をかぶりなおした。

と、

 

「――――あーあ、案の定」

 

聞こえた声。

燻っていた昔の癖で、一瞬警戒しそうになるが。

すぐに知っている声だと頭が理解したため、ただちにリラックス。

何せ激務が当たり前の中の、久しぶりの休日。

もうちょっとくらい許して欲しいものだ。

 

「おとーさんおきないね」

「てか起きんの?これ」

「ぐっすりだねぇ」

 

他の声も知っているものなので、スルー。

とにかく眠ることに集中する。

 

(――――あれ?)

 

ここまで考えたところで、ふと何かを思い出しかけた。

確か、そう。

ベッドのすぐ傍にいる彼らと、何か会話した記憶が・・・・。

寝ぼけた頭をどうにか動かして、記憶をまさぐって。

 

(いつだっけ、次帰ってきたときに・・・・ええっと、そう、みんなで・・・・)

 

頭に蘇った光景。

幼い小指とした、指きりげんまんを想起して、

 

(っそーだ、今日!!)

 

しかし、気付いたときにはもう遅く。

 

「一番(いっちばん)奏幸(ショウコ)!いっきまーす!!」

「げうぅっ!?」

 

起き上がろうと仰向けになった胴体に、衝撃。

目から星が飛んで、頭がくらくらする。

 

「二番道則(ミチノリ)ー」

「さんばんこーすけ(鼓助)ー!」

「ごふっ!ぐえっ!」

 

続いて、二つ、三つとのしかかってくる重み。

 

「とどめの四番おかーさーん♪」

「んにゃああああああ!起きる!起きるからっ!四人いっぺんは重いってええええええ!」

 

最後に『伴侶』にまでのしかかられたとあっては、起床せざるを得なかった。

どうにかどいてもらい、タックルをかまされた腹をさすりつつ起きれば。

にこにこ顔で見てくる三人の子ども達と、長年連れ添った『伴侶』。

 

「父さんおはよー」

「さすがに起きたね」

「おとーさん、おでかけ!すいぞくかん!」

「あー、はいはい・・・・そうだったねぇ」

 

やや興奮気味な末っ子の頭を撫でてから、『着替えるから』と早々に追い出す。

 

「響」

「んー?」

 

やや静かになった部屋で、名前を呼ぶ声。

まだ何か用があるのか、『伴侶』が居残っていた。

『どうしたの?』と聞く前に、頬へ唇を寄せられる。

 

「おはよう」

「・・・・おはよ、未来」

 

お返しに、額へキスを送った。

 

 

 

 

 

 

 

『立花奏幸(ショウコ)(14)』

 

立花家の第一子にして長女。

容姿は母に似たが、中身は天真爛漫。

立花家のみならず、装者達の次世代の中でも『お姉さん』的立ち位置にいるしっかりものだ。

そんな彼女は、夕食後の団欒タイムにて。

ふと思い立ったように口を開いたのだった。

 

「そういえば、あたしの名前ってどっちがつけたの?」

「どうしたの?急に」

 

紅茶を飲みながら雑誌を読んでいた母が、首を傾げて問いかければ。

奏幸はちょっと行儀悪く、座っていたソファに寝転がる形で振り向いた。

 

「いやぁ、友達に言われたんだけど、字が変わってるねって」

 

それでふと気になったのだろう。

動機に納得した母は、一度雑誌を読む手を止めた。

 

「で、どっちのセンス?」

「ううん、わたしでもお父さんでもなくて、翼さんだよ」

「え、翼さん!?」

 

その名前を聞いた瞬間、奏幸はがばっと身を起こした。

無理も無い。

将来歌手を志している身としては、真っ先に目標として上がる名前なのだから。

 

「ほら、ルナアタックのすぐ後にあなたが生まれた話はしたじゃない?」

「うん、てんてこまいだったって聞いた」

 

寝物語に何度か聞かされた話だったので、知ってはいる。

ルナアタック直後の謹慎期間中、母の陣痛が始まって大騒ぎして。

無事産まれたときは、その場の全員が感極まって万歳三唱したとか、なんとか。

元々機密保持の為重要な部分はぼかされていたが、概要はそうだったはずだ。

 

「それで、わたしもお父さんも忙しくて、それまで名前考えるのをすっかり忘れちゃっててね」

「おーい!こらこらこらー!」

「ごめんって」

 

当時の両親のあんまりな失態へ、ツッコミを入れながらも続きを促す。

 

「そしたら、翼さんが『つけてもいいだろうか?』って、決めてくれたの」

「へぇ、でも何でそんなタイミング良く?」

「妊娠してたわたしに触発されて、『子どもが産まれたら何てつけようかな』って考えてたみたい」

 

感嘆の声をあげた奏幸は、またふと気付いた。

 

「それじゃあ、『奏』って入っているのは・・・・?」

「多分、考えているとおりでいいんじゃないかな」

 

名付け親たる翼にとって、『奏』という文字に思い入れがあるのは容易に想像がつく。

そして、その字が入っている自らの名前にも。

 

「なんだか大層な名前もらっちゃったなぁ」

「もっと頑張らなきゃいけなくなったね」

「あはは、うん」

 

将来へ向け気合を入れ直す娘を、母はただ優しく見守っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

『立花道則(ミチノリ)(8)』

 

立花家第二子で長男、愛称は『ミツ』。

どちらかというと母似の大人しい性格だが、時折父を髣髴させるやんちゃを発揮することがある。

 

「とーさんの仕事って、結局何?」

 

ある日の午後。

宿題らしきプリントを手に、至極素朴な疑問を父にぶつけたのだった。

珍しく起きていた父は、読んでいた本から目を離してきょとんとする。

 

「急にどうしたのさ?宿題?」

「うん、親の仕事を調べろって」

「んー、そっかぁ」

 

てけてけ歩いて隣に座り、鉛筆を構えて父を見上げる。

 

「で、何なの?国連の、『ソング』の人って以外何も知らないから」

 

じっと見上げてくる息子の視線に、少し難しい顔をして考える父。

母から『秘密にしなきゃいけないことが多い』とは聞いていたものの、やはり人に聞かれてはっきり答えられないもやもやはあった。

それが解消されるかもしれない期待を込めて、見つめ続ける。

やがて、父はゆっくり口を開いた。

 

「端的に言うなら、『インディ・ジョーンズ』かなぁ」

「いんでぃ・・・・?」

「うわ古っ、何十年前の映画?」

 

父の答えに首をかしげていると、聞き耳を立てていたらしい奏幸が身を乗り出してきた。

道則にはとんと心当たりが無い名前は、どうやら映画のタイトルらしい。

 

「えーっと、まずね。S.O.N.G.は公表されているとおり、聖遺物なんかを始めとした、異端技術を扱ってるんだけど」

「うん」

「その中に、なんていうか、人に持たせたらやばいやつとかあるわけよ」

「やばいって、例えば?」

 

『例えば・・・・』と、父はまた考えて、

 

「例えば、そうだね・・・・無限にお金が出るお財布があったとするでしょ?それ聞いて、ミツはどう思う?」

「んー、やっぱり欲しいとか思う」

「でしょ?ミツが思ったことを、たくさんの人が思うわけ。で、その人達がそれを手に入れようと、一斉にあれこれ争い始めたら?」

「・・・・戦争、とか」

 

単純かと思って口にした言葉は、あっていたようだ。

言葉のこともあってか、父は少し困った笑顔で頷く。

 

「まあ、例えに出したお財布に限らず、異端技術って危ないものが多いからね。普通の人ならともかく、悪い奴なんかに渡ったら大変なんだよ」

「それをムービースターよろしく掻っ攫うのが、父さんの仕事と」

「大雑把にいうとねー」

 

奏幸も初めて聞く話だったのか、興味津々だったらしい。

聞いた話では、『インディ・ジョーンズ』とは映画のタイトルであり。

考古学者の主人公がオーパーツなどを求めて、原住民と追いかけっこしたり、悪人と対決したりする冒険活劇らしい。

父の仕事に関する説明を聞いた今では、納得の行く例えだった。

 

「おれも、次から『いんでぃ・じょーんず』って答えていい?」

「いいよー」

 

見上げてくる息子の頭を、父はやや乱暴に撫で回した。

 

 

 

 

 

 

 

『立花鼓助(コウスケ)(5)』

 

立花家の末っ子で次男。

引っ込み思案で人見知り気味、出かけるときは大抵家族や友人の後ろに隠れている。

両親共通の友人をして、『あのバカからこいつが生まれたとは思えない、いい意味で』と言わしめる。

そんな彼の、最近のマイブームは。

 

「・・・・」

 

こそこそっと、二階へ上がって。

目的地である奥から一つ手前の部屋へ。

音に気をつけながらドアを開けると、薄暗い部屋が出迎える。

時計の音が筋かに響く中、カーテンから差し込む光がぼんやり中を照らしていて。

その中ほどに目をやれば、案の定膨らんだベッド。

足音を忍ばせながら覗き込んでみると、つい先日外国から帰ってきた父が。

枕に顔を半分埋めて、ぐっすり眠っていた。

 

「ょ、っと・・・・」

 

さて、ここからが本番。

寝ている父を起こさないように、極力気をつけながらベッドへよじ登る。

登りきったところで、一旦起こしていないか確かめてから。

ゆっくり毛布を捲って、潜り込んだ。

 

「んー・・・・」

「ゎわ・・・・!」

 

ここで唸り声を上げた父がもぞもぞ動き、一瞬起こしてしまったかと身を強張らせた。

幸い起きたわけではなかったが、代わりに腕が回ってきて、しっかり抱きとめられてしまう。

これでは動けなくなってしまうものの、鼓助本人からすればむしろ役得だった。

最近のマイブームとは、父のベッドに潜り込むこと。

基本海外を飛び回っている父は、帰ってきても寝ていることが多い。

それだけ仕事が大変なんだと、母や姉、兄は言っていたが、それでも物足りない部分があって。

だからその寂しさを紛らわせるために、たまにこうやって寝ている父の懐へ入るのだった。

もっとも、何だか恥ずかしいので公然と言えない楽しみではあるのだが。

 

「えへへ・・・・」

 

母とはまた違った、頼れる温もり。

起きているときは一緒に本を読んでくれる優しい父が、大好きだった。

父の呼吸を頭上に感じながら、やってきた眠気に身を任せる。

 

 

 

 

 

 

 

「――――鼓助?」

 

それから少しして、姿の見えない末っ子を探す母が部屋を訪れた。

そっとベッドを覗き込むと、起きていた父と目が合う。

母を見上げた父は、口元に指を当てた。

 

「あら」

 

控えめにまくられた毛布を覗き込んでみれば、すやすや眠る末っ子が。

父のパジャマを握る手は、簡単に離れそうにない。

 

「もーちょっとだけ」

「ふふ、そうね」

 

両親ともに、深く寝入る我が子を見守って。

起こさないよう、小さく笑いあった。




というわけで、所詮後日談のようなものでした。
もろもろのツッコミは勘弁してつかぁさい・・・・!(
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