【R18】レズビアンの私が異世界転生したから学園百合をしようと思う 作:碧風樹
さて、ここでこの世界の説明をしよう。
典型的な中世風異世界だが、古代ローマ帝国に対応する覇権国家が滅びていないので、文明としては現実の中世ヨーロッパよりも遥かに進んでいる。いや、遅れていないと言うべきか?
ちなみに魔法とか魔物とかのようなファンタジーは存在せず、覇権国家ロマーナの存在もあり、戦争も少なく治安も割りとよい方なのだろう。私は城から出たことがないのでよくわからないが。
我がマンダリン王国はロマーナの東方に存在し、東方の異民族から、いわゆるヨーロッパ的な地域を守る最前線に近い位置にある。ポーランド、スロバキア、ハンガリー的な立ち位置だと思ってもらえれば良い。
言語は覇権国家ロマーナの主要言語であるラテン語に近い言語が使われているが、文法や接続詞、助詞などは簡略化されていて、「私はそこに行く」は「私、そこ、行く」のようになる。このあたりは前世の大学時代に第二言語でラテン語を取っていたので理解は早かった。
マンダリン王国の周囲には、南には婚姻関係の繰り返しでとても近しい国エスティニアがある。東は異民族の国ボロレキアで、我がマンダリン王国はボロレキアとの戦争と和平を数年ごとに繰り返している。北には我が国と同じように東方と国境を接するラナーニア王国があり、長いこと同盟関係を続けて、互いに軍事的な脅威から身を守りあっている。西は完全にロマーナの影響下で、明らかに守りは薄いが、西から攻められるようなことがないように我がマンダリン王国は長年外交努力をしてきた。
と、そんな感じになる。
食事はどうか? といえば、私が王族だけあって、日本食に飢えるほどには不自由していない。とは言え、時折刺し身を無性に食べたくなるときもある。が、マンダリンは地理的に海に面していないので非情に難しい要求だった。
文化は非常にローマ的。芸術を愛し、美少年を愛で、風呂を愛する。我がマンダリンもその影響を受けて、町中には公衆浴場があるし、王城にも何個かの浴場が存在している。おかげで清潔な生活ができるので覇権国家さまさまである。
宗教は一神教と旧来からの多神教が程よく融合し、前世の日本のように混沌とした模様になっているが、特に宗教対立があったと聞いた覚えはない。民衆は自由に自分の好きな神を祭り、王族貴族は子女への教育に都合が良い点と、教会組織のネットワークを通して領地の運営をやりやすくなるという理由で、一神教を名目上信仰している。
特に農村部には必ず教会を作り、そこで戸籍の管理や作物の収穫の管理、病人や怪我人への医療行為、食事の炊き出しなどを行う。まさにパンのあるところに祖国あり、ということで、農村部では一神教の影響力が高い。それでも地元の伝承にある精霊や神々の祭りは行うのだから、節操が無いというものだ。もっともこれは、ロマーナ皇帝が信仰の自由を保証し、他の宗教を批判・弾圧することを禁止したのが大きいと思われる。
私、橘百合ことリリィ・マンダリンは義務としては一神教の信徒であるが、元は日本人なのでそのへんは割りとどうでも良かった。
暦はグレゴリオ暦的なものがすでに使用されていた。地球のものと同じで、かつこちらにはうるう年が無い為非常にわかりやすい。天文学はかなり発達していて、世界が球体であること、太陽の周りを回っていることなどは周知の事実。そして、この世界では月が五つあるのが特徴的だ。潮の満ち引きはどうなってるのだろうと思うのだが、実際のところ自分の生活に影響はないので、疑問に思う程度だった。
こうして振り返ってみると、元の地球においてローマ帝国の崩壊が、いかにひどい意味で歴史を進めたかがわかってしまう。中世暗黒のヨーロッパに転生しなくて済んで、私は安心していた。水道や下水道、お手洗いもみんな覇権国家ロマーナの産物だ。そんな世界での王族の暮らしは、実によいものであった。
さて、次は人物紹介でもしようかと思う。