【R18】レズビアンの私が異世界転生したから学園百合をしようと思う 作:碧風樹
参謀がほしい。参謀がほしい。参謀がほしい。参謀がほしい。あー、参謀がほしい。優秀で、腹黒で、政治調整能力に長けてて、でも私を裏切らないような参謀がほしい。
軍事面では騎士団に有能な人材が揃っているけど、彼奴等は筋肉バカなので、貴族の男子としてのそれなりの教養はあっても、私の政治的な補佐をできるような人材はいない。それを思い切って姉さまに相談してみることにした。
「ラムサス伯爵夫人、イザベラ・マルガリータ」
すると、姉さまは一人の女性の名を挙げた。
「社交界の影の実力者。彼女に表立って逆らえる人間は皆無」
こういうときの姉さまの言葉はわかりやすい。
「教師の一人にするといい」
ということで私は姉さまのアドバイスを受け、イザベラ・マルガリータ=ラムサス伯爵夫人を教師の一人に招くことにした。ちなみに会ってみたときの第一印象は、どこかのアニメの怖そうな女子寮監督者様だった。
「で、貴女は私の意見をどう思うかしら? ラムサス伯爵夫人」
私は面会と称して、ラムサス伯爵夫人に持論を展開した。そして、その感想をこれから聞く。
「非常に開明的で、素晴らしい政策だと思います。仕事をする能力もなく、日々の暮らしにも事欠き、結果として犯罪を犯すしかないスラムの住民。彼らに技量と能力を与え、仕事の世話をすることができれば、それは国力の増強につながるでしょう。それだけでなく平民貴族問わず同様の教育を施すとなれば、我が国の国力は大きく底上げされるはずです。それはすなわち、各貴族にとっても税収の増加につながることになります。そして繰り返しますが、我が国の国力自体が大きく底上げされることになるでしょう。御年十歳になられたばかりのリリィ様にこのようなお考えがあられたこと、このラムサス伯爵夫人、感嘆の念に耐えません」
お、おう。私の狙いを理解している上に、失礼でも過剰でもない褒めっぷり。この女、なかなか使えるかもしれないわね。
「ありがとう、伯爵夫人。ところで、そのテストケースとして、いま貴族の子女だけの学園のようなものを開いているのだけれども、これについてはどうかしら?」
「はい、殿下。わたくしはそろそろ規模を拡大するべきときに来ていると判断します。社交界でも殿下の「学び舎」は話題になっております。とはいえ、まだ王家や殿下と関わりのある貴族家や、その貴族家からの紹介を受けた貴族家の子女のみにとどめて置かれたほうが、良いかと存じます」
おう、同意同意。拡大するにしても、一気には危険だものね。
「ところで伯爵夫人。私には大変耳に聞こえの良いことばかりなのだけれども、そうでない言葉は用意していないのかしら?」
そう訪ねたのが運の尽きだった。場所やら予算やら、いろいろな現実的な意見がポンポンと飛んでくる。改めて思った。「こいつ、採用」と。
「そうね、ちょっとまってね」
私はそう言って、カバンから羊皮紙の束を閉じたものを取り出す。こっちが予算について。こっちが場所などについて。それから、こっちが不貞貴族について……まあ、たくさん量があるから、七日程かけて読み込んできなさい。それから改めて意見を伺うわ」
「は、はい……。かしこまりました」
さすがの書類の物量には、おっかない寮監様的なラムサス伯爵夫人も、一歩引かざるを得なかったようだった。
「退室を許すわ。新しく増やす学友の人選については、夫人に一任します」
「かしこまりました、殿下」
ラムサス伯爵夫人を退室させると、メイドを呼び出してお茶を持ってこさせた。お茶を飲んで一息つき、軽めの柔軟体操を行う。そしたらいいことを思いついたので、メイドを呼んで、父様への使者とさせた。
それから身支度を整え、父様のいる執務室へ。二人のメイドを伴って、しずしずと歩く。執務室に到着すると、ノックをして父様の許可を待つ。
「リリィ、入りますわ」
「やあリリィ、元気かい?」
「ええ、相変わらず元気です。ところでお父様、お膝の上に座ってよろしいですか?」
私はレズだがミサンドリストではないし、父親のことは普通に好きだ。父様も相好を崩して、こっちへおいでなさい。と、私を招く。
私は父様の膝の上に座り、背中を父様の胸に預ける。
「父様、実は今日はお願いがあって参ったのです」
「お願い? なにかな? お前のお願いは突拍子もない物が多いからねえ、お父様もちょっとだけ身構えるよ」
「まあ、ひどい。そんなに大した事ではないですわ。国王直轄地の一部を、私に領地として分けていただきたいのです。様々な政策をその地で先行して実践し、効果があったものから国の運営に取り入れればいいと思いますの」
「そ、そうかい……。いくらお前の頼みでも、そう簡単には頷けないよ。わかるね?」
ここで、私は一泊間をとった。
「……そうそう。そういえばこの度、イザベラ・マルガリータ=ラムサス伯爵夫人を教師の一人に招くことにしましたの。それと同時に、夫人には私の宰相兼お目付け役のような仕事をしてもらうつもりですわ」
「ラムサス伯爵夫人かね……」
きっと今頃お父様は表情を青くしていることだろう。社交界における彼女の立場はご存知なのだから。
「そ、そうだね。彼女がいるなら大丈夫だろう。直轄地の中から、治安が良い地域を選んでリリィに任せられるように、手配をしておこう」
「ありがとうございます、お父様!」
私は振り返って父親の首元に抱きつき、ひげだらけの頬にキスをする。父様はまたもや相好を崩し、笑みを浮かべるのだった。
早速誤字を見つけたので編集