時系列 ???
登場人物
名も無き少女
恐らく最も早くアークスの実情に気付いた少女。虚偽と支配が大嫌い。目的達成の為なら殺人すら厭わない。Fo。クラリスクレイス(アルマ)に並ぶ程の法術師と一時期評されていたが、ある時期からその噂、その姿諸共消え失せた。
ルーサー
アークスを牛耳るフォトナー。アークスとは彼にとって手駒以外の何物でもなく、頃合いを見て処分する腹積もり。想い人の全てを知るべく暗躍する。愛が重いタイプ。
ゼロ
道中に出現した【紛れも無くダーカーの反応を持つ、フォトンを扱う事が出来るアークス】の殺害に対する事情聴取。嫌いなものは【敵】【敵に与する味方】【ヒト】。しかしこの時のゼロは体内のダーカー因子による精神影響を多少なりとも受けており、アークスへの敵対的発言には責任能力無しと判断され、最終的に罰則は受けていない。しかし、体内に蓄積しているダーカー因子は紛れも無く存在しており…?
その情報を閲覧した瞬間、私は走り出した。
思考の扉が開き、知りたくも知りたくなかった事実が脳を走る。
懸念は取り払われた。懸念は確信へと変質した。
私は走り出した。私は駆けだした。私は逃げ出した。
駆けだしたその先は。
適当な任務を受注して、キャンプシップに乗り込む。
【そこ】へコードを送信する。少しの後、【受領、お待ちしております】とだけ返って来る。
速く。早く。総てを投げ出して。私の全てがどうなろうと。
はやく、【そこ】へ。
推奨速度を優に超えた速度でキャンプシップを動かす。
速くそこへ。そこへ行かなければならない。
手汗でハンドルが滑る。冷や汗だか脂汗だかが頬を伝う。
息を切らす。戦ってもいないのに、動いてすらいないのに、鼓動は早まるばかり。
息を切らす。
息を切らす。
息を切らす。
息を切らす。
障害の一切合切を薙ぎ払って進む。
光の剣で薙ぎ払う。光の槍で刺し穿つ。
炎で焼き払う。氷結させて時を止める。
風で吹き飛ばして。雷で貫いて。
駆ける。
走る。
逃げる。
脚を動かす。
速く。
速く。
速く早くはやく。
視界に入り込んだその大きな扉に手を伸ばす。
割れるような頭痛。
胃はキリキリと痛みだす。
眼球が乾きだす。
はやく。
はやく。
私がこれを忘れてしまう前に。
「…おや、■■■■クン。いつの間に君は女性に、それも美女へと変わってしまったのかな」
男の声が私の鼓膜を震わす。
声がした方を向くと、そこに男が立っていた。
青い髪をした、少々痩せ気味の男。目が細く、見ているだけで思考を掻き乱されているような錯覚を覚える。
「…我々はどうして、惑星を調査しているのか。一体、何を調査しているのか。…誰も気にしていなかった。誰も気にもかけていなかった。気にかけようとしなかった。疑問を抱いていなかった。ただそこにある当然の義務として目を瞑っていた。…疑念を抱く事を、許可されていなかった」
「興味深いね。ぜひ、その話…僕に聞かせてくれないかな?」
耳、あるいは脳にこびりつくような声色で、さぞ興味深そうに私の話を促す男。
「私が、私だけが疑念を抱いた。…そしたら、急に周りの人たちが気持ち悪く見えた。…データを漁った。私たちがナベリウスだかリリーパだかアムドゥスキアだかで採取してくる資源。ボーリング調査のアレとか希少鉱石とか磁気石とか、あれらが何に、どんなふうに使われているのか、その資料を漁った」
「ふんふん、それで?」
「何も無かった。そんなデータ、何処にもなかった。そもそも、移住目的なら必須な測量だとか気象情報のデータすら!原生生物の遺伝子情報も!植生状況も!…ただあったのは、ダーカー関連の情報ばかり。ダーカーごとのコアの位置、ダーカー因子のアレコレ。原生生物に対するダーカー因子移植の実験情報。どこもかしこもダーカーダーカーダーカーダーカー!」
頭痛が酷くなるのを感じる。胃痛もまた同様に。
何より、ニマニマと悪趣味な笑みを浮かべて私の話に傾聴するあの男の態度。
殺意が湧く。
「惑星調査機関…だっけ?まぁいいわ。そんな名前の組織が、実情何の意味なく惑星見つけては乗り込んで?根拠なくダーカー因子に汚染されてるって決めつけて原生生物を殺して?…挙句、敵として認定しているダーカーを使った実験三昧?そんな団体が【正義の味方】だとか【救世主】だとか言われているですって?…馬鹿馬鹿しい。そもそも、一体何の不都合があるの!?素直に公表すればいいじゃないの!『アークスはボクたちフォトナーによって造られたダーカー殲滅部隊だ』って!そこにどんな不都合があるの!?」
殺意に比例して、私の声は大きくなる。
杖を握る力が強まる。
血が滴る。
「この真実に辿り着くまでに、犠牲を強いてしまった。呑気に街へくり出す虚数機関幹部と、その両親祖父母妻子その他一族郎党皆殺し。…幹部のクリアランスID入手と証拠隠滅の為だけに、約十二名の人命を奪ったんだ。…すべて公にさらしてもらうぞ虚数機関。私は罪を背負った。私は罪なき十一の魂と、罪に穢れた一つの魂に殉じる為にも…何としてでもお前を表へ引きずり出して」
「…で、それは君たちに何か不都合があるのかな?」
男は不思議そうに口を開いた。
「いやぁすまない。君がそこまで必死こいて動いているとは知らなかった。…で、君としてはどうなんだ?僕が公の場で『君たちは惑星を調査する必要なんてない。ただ僕達フォトナーの為にダーカーを殺し続ければいい』と宣言した後、君に首を刎ねられれば…君は満足なのかな?…で、その結果、一体誰が得をするというんだい?」
「…それは」
言葉を失う。
そんな事になってみろ。
確実にアークスは混乱に陥って、最悪の場合アークスそのものが崩壊してしまう。
…そんな事を、私は望んでいるのだろうか?
「誰も得しないだろう?せいぜい、独り善がりな犠牲を強いた君だけが、独り善がりで自慰的な達成感に酔いしれるだけだろう」
「独り善がりだと…」
「独り善がり以外の形容詞が見当たらないよ。今の君には。…だって、今までの君の行動に、【他人】の感情が入っていないんだからね」
男がにたりと笑った瞬間、私の腹部から血液が流出した。
激痛で我に戻り、周囲を見渡す。
…四人の男が、ソードを私の腹に突き立てていた。
四人が。
揃いも揃って。
私の腹に。
剣を?
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
味わった事の無い不快感に悲鳴を上げる。
激痛と、耐えがたい不快感。
「フォトンによる攻撃に慣れていないのかな?確かに、法術を使うエネミーは少ないか…」
フォトンによる攻撃。それはすなわち。
――私は今、味方に攻撃されている。
仲間に裏切られている。
「ふざけないで!真実を探求する事の何が悪いって言うの!?…私は悪くない。私は悪くない!私は悪くない!悪くないのよ!どいつもこいつも、さっさとブチ殺して…」
法術を放とうとした。
私にソードを突き立てている四人の男と、遠くから見下している男を巻き込む事が出来る頬の大爆発を起こしてやる。はずだった。
「あー、わすれていた。そのソード、僕の趣味で製作した剣でね。ソードに二本のカートリッジが仕込まれているんだよ。一本は通常のフォトンを巡らすためのフォトン核。そして、もう一つは、ダーカー因子を流し込むダーカー核」
杖を握り直して。
「ダーカーカートリッジで突き刺された対象の血管内に、ダーカー因子が侵入する。ついでに、そのダーカー因子はフォトン耐性を持つ僕特製のダーカー因子」
杖を男へと向けて。
「知っているかな?法撃クラスの者がテクニックを放つ際、術者の血管には超濃度のフォトンが流れ出す。…それでね。僕の特製ダーカー因子は、フォトン耐性を持つとは言っても、流石に血管を流れるフォトン濃度には耐え切れず、中和されてしてしまうんだ」
杖へフォトンを込め――
「その結果、超濃度フォトンとダーカー因子中和の際に発生した大きなエネルギーは…術者の血管内を走り抜けて、外へ出ようと試みる!」
――――――――――――――。
「…その結果、全身が焼け焦げるか、肉体が破裂するかの二択だったんだけれど。…今回は、何とかガワを残してくれたらしい。…その焼け焦げたクズ肉を回収しておいてくれ。後でアークスに対するダーカー因子適合実験に使うからね。くれぐれも欠損を起こさないように」
「成程。リヴィングデッドというのも面白いね。何にせよ、手駒が増えるのは喜ばしい事だ。処分する時に困るけれどね。…そう思うだろう?君の下へ集った僕らを、君はどう思っていたのだろう。…こうして思いを巡らす事でしか、僕は君を理解できないんだね?僕はとても、…いや、この先は言うべきではないか。僕は君に会えるのだから。僕は必ず君を理解してみせるのだから。僕は君を識るのだから」
「面白い。とても面白い。死体の割に自我を持ち、死体のくせに体温まで保っていて、死体のくせに死後硬直も見られない。ゾンビのくせに、まるでヒトだ。アークスだ。…じゃあ、アークスをダーカーにしてしまったら、どうなるんだ?」
「生体へのダーカー因子移植は、どうやっても被検体の体内フォトンによって因子が浄化されてしまう。…なら、死体であれば?…いかんせん僕が完成度高く生き返らせてしまったから、恐らく今までと同じようになるんだろうけれどね。…まぁいいさ。いい加減着せ替え人形遊びにも飽きたところだ。僕の眷属と装わせたけれど、邪魔だし、アークスだし、助手としようにも色々使えないし。…どうなってもいいさ」
「…驚いた。これは」
「さぁ、行くんだ、僕の傀儡」
「君と同じ理想を抱いた者たちだ」
「――きみにかれらのかおをみせてあげよう」
聴取記録
対象 ゼロ
何故殺したか?…君たちはダーカーに敵対の意思を確認してから攻撃するのかい?ちゃんちゃらおかしい。こんな事で拘束されるなんてどうかしている。ヒト型ダーカーだろうとダーカー型ヒトだろうと、それらは私たちの敵でしかない。おいおい考えてくれよ。ダーカーがフォトンを使ってきたら、考えるべきことは一つだろう。同形質のダーカーの増殖を防ぐ為の、瞬時の抹殺。
…ん?対象が何らかの要因でダークファルスに囚われている、あるいは軽度の侵食によって生じたアークスである可能性?…馬鹿らしい。
力を求めてダーカーに堕ちるも、精神の脆弱性に付け込まれてダーカーに堕ちるも。
結果が敵である事に変わりはない。
そもそも、力を求めてダーカーに堕ちたのなら、それは私たちの敵だ。
かどわかされてダーカーに堕ちたのなら、それもまた敵だ。
…だから、君達ヒトが嫌いなんだよ。
やる事成す事理屈が必要で。
【ルーサーの掌握からの脱却】なんてお題目、いらないだろう。
【生きる為】、それだけでいい。
…アフィンの姉?
そうだね。僕が言った【敵】の条件に合致するね。見つけ次第殺したいね。
アフィンごと。
イイ感じのエロ構図を思いつかないので幕間で繋ぎます
もうちょっと待ってね!