登場人物
ノイン
Brの少年。他人と自分が信用できない可哀想な男。コンプレックスは低身長なのと女のような名前。逆境に強いものの、精神的に余裕があるわけではない。むしろ精神的に危うい。人間不信のクセに、恋人に依存するタイプ。
ファレグ
人類最強。地球における人類最強の称号の持ち主。その正体は悠久の時を生きる原初の人類。神に呪われたと思しき女。人類を愛し、人類の行く末を見守る母。しかに、如何に超常的な存在であろうと、彼女が女である事に変わりはない。超スタイル良い。
「得られるものは何もない、とは言いましたが…。申し訳ございません。私から約束を破るようで恐縮なのですが…この後、お時間はございますか?」
魔人からの提案に、ノインは息を切らしながら身構える。
しかし手にした弓が信じられない程に重く感じ、カタナに至っては折れ砕けた。
「…これ以上、何をしろと」
「いえいえ…見事私を打ち負かした貴方に、勝者への褒美を」
「褒美…?」
信じられないとでも言いたげな表情を作るノイン。勝手に喧嘩を吹っ掛けてきて、自身もその喧嘩を買ってしまったもののボコボコにされ、ようやく勝ったと思ったら相手は結構余裕気。挙句の果てに「勝者への褒美」ときた。どう対処してよいのか分からない。
気軽に受けて第二戦なんて事になれば、僕の身が危ない。
身に迫る危機を察知し、蚤の心臓が震えだす。
「…具体的には」
「具体的には…そうですね。お食事なんて、どうでしょう」
「おしょくじ」
「ええ、お食事」
ノインは酷く拍子抜け、あるいは脱力してしまい、握っていた弓を床に落とした。そしてその脱力ついでに膝をつく。骨にまで達した疲労が脱力と共に頭角を現し、発現したのである。
そして、一つの言葉が脳裏を過る。
【休みたい】
得られるものは何もない。称号も、名誉も、栄誉も。得られるのはただ、人類最強を討ち果たしたという事実だけ。
そしてその人類最強からの【お誘い】。
休息を欲する男は、言葉無く承諾の首肯をする。
「で、どうして超高級ホテルの部屋にぶち込まれているんですかね」
「おや、貴方はそんな傷だらけの服と傷とホコリ塗れの体でレストランに入ろうというのですか?…それはあまりにも品位にかける行為。身嗜みを整える事こそ、紳士淑女の第一歩ですよ」
「別に僕は紳士でも淑女でもないんですけどね…」
ノインがファレグに連れてこられた場所は、レストランではなくホテルであった。それも、外装だけで分かるほどの超高級ホテルの個室に連れ込まれた。
内装はとても穏やかなものであった。
ビジネスホテルと比べる事がおこがましい程の広さ。照度を抑えた照明は部屋を優しく照らしており、おそらく夜景を見る為に造られたであろう大きな窓には、予想通りの美しい都市の灯りが映し出されている。大型液晶テレビ、高級そうな革張りのソファー、さらにキッチンや冷蔵庫、ワインセラーまで備え付けときた。ノインはときめきつつも、一抹の不安がぬぐい切れなかった。
何故か。
ベッドがキングサイズである点。それに関してはおかしくとも何ともない。こういった部屋の利用客は概ね金持ちであるため、高級志向というものなのだろう。誰しも広いベッドでのびのびと寝たいものだ。また、枕が二つ存在するのも違和感はない。こうした部屋に数人で来るという客もいるだろう。その場合、流石に近しい間柄同士でやって来るだろうからベッドを二つ並べるよりも大きなベッドで…という事だろう。コストも安く済むだろうし。
だが、一番の問題は。
ノインの心を最もざわつかせているものは。
シャワールームである。
何の変哲もないシャワールーム…ではない。
シャワールームと思しき場所がガラス張りになっており、部屋からシャワールーム内が丸見えになっているのである。
(ほとんどラブホテルじゃねぇかァー!)
傷心で傷身なノインは更に打ちのめされた。
「では、敗者の分際で申し訳ございませんが…先に湯浴みをしてまいりますね?」
「そうでございますか。では僕は、惨めに大型の液晶テレビで異文化学習でもしていましょうかしら?いやァー!地球のテレビ楽しみだなァー!」
ファレグの申し出を二つ返事で了承し、ノインは大声でシャワールームに気付かないふりをする。本人的には気付いていないフリをしているが、当のファレグにはバレバレである。
が、それに関してファレグは何も言及せず、ただニコリと笑みを浮かべて、透明なシャワールームへと入っていった。
ソファーに座り、テレビを点けて番組を見ているものの、ノインとしてはシャワールームがとても気になってしまう。何とかして目を向けないようにしているが、その我慢も段々と辛いものとなっていった。
そもそも、ファレグはどうしてこのようなラブホテル同然の高級ホテルに連れてきたのだろう?
(何だ…モシカシテ『敗者としてこの身を捧げます』的な頭の悪い展開になっているのか?…いやいやありえない…ぶっちゃけあり得ない!あの人にとって僕はただの戦闘相手だろう?それに、負けたからと言って素直にその身を差し出すような精神性の持ち主とも思えないし…じゃあどうしてこんなところに連れてきたんだ?…期待されていたらどうするんだ。他人が怖くて今まで友達もできず恋人なんて夢のまた夢な人生送って来たんだぞ!?こんなクソ素人童貞にあの人が何を期待するんだよ!…よし。これでこの後に続くであろう十八歳以上閲覧禁止な展開への希望は打ち砕かれたな!…打ち砕かれてくれよなァ)
などと、ノインはテレビを見ながら考えていた。
しかして、その思考は全て無駄となる。
「お辛そうですね?」
突如聞こえたファレグの声に飛び上がった。
耳元での囁きと同時に、ノインは背中に柔らかな肉の感触を感じた。
服越しからでも分かるその柔らかさの正体と、囁きの吐息で心臓の拍動が激しくなる。
「はてー僕の何処が辛そうなんですかねー確かに貴方と戦ってお疲れモードですけれアフェフィイウ!どこ触ってるんですかファレグサン!?」
反射的にすっとぼけたノインであったが、ファレグの手が彼の股座へと伸びる。その手はやけに滑らかに優し気に、その男の膨張したソレを服の上から撫でまわす。
「どこって…それを、私の口から言わせるのですか?」
「あ、それもそうですね。……イヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤ!どういう事なんですかこれは」
と、ようやくファレグがいるであろう背後を見ようと振り返ろうとした。…が、振り返ったその先に、ファレグはいなかった。股の感触も一瞬だけ消え安堵したノインであったが、すぐに感触が復活し変な声が漏れる。
ふと、前を見れば。
全裸のファレグがノインの足元(というか、だらしなく開かれた股の間)に跪座をしていた。当然ノインは依然ソファーに座ったままであり、一方ファレグは床に両膝をついて座っている。
(上からの視線でファレグを見下ろす事があろうとは)
等と感慨に浸るも、イヤイヤとノインは思い直す。
「当然のように瞬間移動しないでくださいよ」
「あら、申し訳ございません」
「ところで、さっさと服を着てくださいよ!あと、僕の股間を弄繰るのをやめてください!」
「…淑女に此処までさせておいてなお、やめろとおっしゃるのですか?」
ググ、とノインは歯噛みしつつも、いやそういう事ではないとまたも思い直す。
状況を整理しよう。
ソファーには陰茎を勃起させたノインが座っている。
そして、ノインがだらしなく開いた足の間には、硬く膨張したノインの棒をズボンの上から撫でまわしている全裸のファレグ。
ノインが普段コッソリ読んでいる成人向け漫画でよく見る光景である。
(大抵、ここから手コキとかフェラに繋がるんだよな。んで、限界になった主人公がうっかり顔とか口の中に出しちゃうヤツな。…誰か助けてくれねぇかなァ)
ファレグにラブホテル同然の部屋に連れ込まれた時点でノインの股間は危機状態であったのに、背中越しとはいえ大きな乳房を押し付けられた挙句、耳元で囁かれながら陰茎を撫でまわされては、それはもう持て余すというものである。ノインの本音としては、硬くなってしまった自信のソレをドウニカしようとしているファレグに多少感謝しつつあった。
(こんなところに来てまで、なおかつ勘の鋭そうなファレグさんの目を掻い潜ってオナニーとか、無理だろうし)
ついでに、こんなところに来てまでやる事がオナニーであるという事実にも耐えられなかっただろう点も含めた【感謝】である。
が、それとこれとは話が違う。
「ノインさん」
「ハイ」
全裸の女性に名を呼ばれてしまっては、無視できない。
「このような熟れ過ぎた女に言われても嬉しくないかもしれませんが…私、ノインさんに恋をしてしまいました」
「…恋をしたというのならもうちょっと甘酸っぱい雰囲気を演出したいので、どうか僕の股間を弄くる手を止めてくれませんかね…」
ファレグの言葉に驚きつつも、付け入る隙と捉えたノインはファレグに(遠回しに)落ち着くように促す。するとファレグはハッとしたような顔になり、男の股座を弄るのを止め、立ち上がり、ノインの隣に全裸のままで座った。
(違う、そうじゃない)
そう思わずにはいられなかった。
「私は貴方と拳を交えたあの日…貴方がたと別れた後、妙な心臓の拍動を感じました。息切れでもなく、生命の危機を感じたわけでもないのに、何故この胸はこうも疼くのか。…何故、私の【女】が、こうも涙を流すのか。…それに気付いてしまった時、私は数千年も前に置いてきてしまった【ソレ】を取り戻してしまったかのように感じてしまったのです。…私の【女】を、私の【情動】を、私の【情欲】を、私の【愛欲】を、私の【悦楽】を。…思い出してしまって、感じてしまって、感じてしまって、…とても恥ずかしいのですが、貴方との戦いの夜はどうにも自分自身を犯すのを止められませんでした」
「―――…それは」
思っていたよりもありのままをぶち撒けるファレグに若干恐怖を抱きつつも、まさかオナニー報告までするとは思わず若干引きつつも、ノインは自分がどれだけ好かれていたのかを思い知った。右肩に、その女の重みを感じながら。
「私は貴方に恋をした。…それ以来、貴方に出会えやしないかと、年甲斐も無く――」
(本当に年甲斐もない…)
「――ラスベガスを中心に貴方を探して回っていて、…ある日、ヒューイさんと貴方を発見した。…正直、ちょっとがっかりしたんですよ?貴方と一対一で戦えると思っていたのに。ヒューイさんも強かったのですが、貴方の強さとはまた違い、…物足りなかった」
「それは、光栄…と言っていいのかどうか」
人類最強の恋。
人類最強が抱いた恋は、なんとも甘酸っぱいように思えて、なんとも重苦しかった。
「アーデムのイザコザも終了して、地球が平和になって…私は、急に虚しくなってしまった」
「虚しく…」
「虚しく。空々しく。寒々しく。凍えてしまって。…それでも、貴方への想いは変わらずに熱く、厚ぼったく、私の心を犯し続けて」
(可笑しいな…いつの間にか僕が、罪な男みたいになってしまっている)
今明かされる衝撃の真実に驚愕しっぱなしなノインであったが、彼自身はその心を決めあぐねていた。
「貴方がたからすれば…そうですね。ダーカーが完全に消滅してしまった時、みたいなものでしょうか?自身の存在意義を否定されてしまったかのような…でも、想い人へは何も伝えていないような。…そんな寒々しさを埋めてしまう為に、貴方に決闘を挑んだのです」
「結果、僕はこんなにボロボロになったわけですね」
ハァ、とノインは溜息を吐く。それを見て、ファレグはフフフと笑う。
傍らで暖かな感触を味わいながら、二人で笑い合う行為はノインの心をゆっくりと満たしていった。
他人を信じられず。
他人を信用できず。
自分を信頼も信用もできなかった男が。
この人類最強との、ある種の歪な時間は。
男の顔を緩ませた。
「ノインさん」
「なんですか」
「私を愛して、私と共に永い時を共にしませんか」
顔も合わせず、二人は話をする。
言葉を交わす。
「…僕が断ってしまったら、どうするつもりですか」
「どうにもしませんよ。…一人には、慣れていますもの」
「では」
とノインは傍らのファレグの肩を掴んで、強引に押し倒す。
押し倒すというよりも、ソファーに押し付けるようにして覆いかぶさった。
「今から僕が、貴方を愛し尽くすと言ったら」
ファレグの豊満な乳房は揺れ、濡れた前髪は少しかき上げられるようにするりとズレ動く。
人類最強というには、何とも弱々しい。
想い人に強引に肩を掴まれ、押し倒されたその女の顔は紅に染まり、困ったように眉を顰める。ハッハッと呼吸の周期が短くなり、細い目尻には少量ながら涙がためられる。
「私を、愛して…」
覆いかぶさっている男の後頭部へと手を伸ばすファレグ。弱弱しく男の頭を寄せ、口付けを促す。
(何と、愛らしい)そう思いつつ、口元を緩ませ笑みをつくった男は、彼女へ口づけを。
唇をつけ合わせ、ファレグの口内へと自らの舌を這い入れさせる。驚くようにファレグが少し震えるも、ノインの意図を察したかのように彼の舌と自らの舌を絡ませる。
同程度の温度の肉塊同士が、粘液を伴って絡み合っている。
口内の肉塊が粘液と共に溶け合うような錯覚を覚え、男と女の体は熱を帯び始める。
「この口付けで、愛の証明になりますか」
「……はい。…貴方を愛しています、ノインさん」
「僕も。…貴方に、恋をしました」
言葉を交わすと、再び舌を絡ませ合う。口腔内へと体液を大量に滴らせながら、ぐちゅぐちゅと粘液音を立てる。否、わざと下品な音を立てる。
しばし口付けを楽しみ、ひとしきり互いを貪り合った後。
「…我慢、出来ないのではありませんか?」
「……………はて、何のことやら」
柔らかな笑みで、しかし顔は紅潮させたまま、ノインに問いかける。
ノインはすっとぼけるが、「ばれていますよ」とファレグに言われてしまう。そしてファレグは両腕を首と背に回し、抱き寄せる。
「貴方の怒涛が…辛そうですよ?今すぐにでも、飛び出してしまいそうなのではありませんか?」
抱き締められ、耳元で優し気に吐息交じりで囁かれてしまい、ノインは観念する。
「…恥ずかしながら、こういったコトが初めてですので………失望しないでくださいよ?」
変に意地を張る方が無様だと考え、ノインは自らの未経験を告白した。
「失望なんて。…誰にでも、初体験はありますよ。恥ずかしがる事ではありません。…で、どうしたいですか?」
やんわりとした慈しむかのような笑みで、ノインは問われる。
「ど、どうって…」
「……出したいのならどうか私のナカで、ね?」
甘えるような声色で、ノインの耳元で囁く。
ノインは少し喜んだものの、
「準備は出来ていますか」
相手を蔑ろにする訳にもいかない。仕返しとでも言う風にファレグの耳元で囁くと、ファレグは笑みを浮かべて男の左手を自らの陰部へとあてがう。
「…このように」
悪戯な笑みを浮かべて、ノインの顔を見る。…ノインは彼女の女裂の熱さと愛液の滑りに驚愕しており、驚愕したままの間抜けな表情を浮かべていた。
「…じゃ、じゃあ」
「その前に」
ズボンのチャックを下ろそうとするノインを制止する。そして、抱き締め(拘束)から解放し、彼が着たままの上着を指でつまむ。…その行為は、暗に『お前も服を脱げ』と言われているようなものだった。
「…女性にばかり恥ずかしい思いをさせてしまい、申し訳ございません」
「よろしい。以後気を付けてくださいね」
上着を脱ぎながら、申し訳なさそうにノインは謝罪した。
同時に、今後のコトを約束してしまったファレグはなんとも恥ずかしくなり。
今後の関係を示唆された童貞男は、心と陰茎の昂ぶりを激しくさせた。
ファレグの裂部に、自らの硬化した陰茎をあてがう。そして、裂け目に沿って棒を擦り付けるように上下に動かす。男根が彼女の陰核を刺激しているのか、動かすたびにファレグは小さく甘い声を漏らす。
「…本来の順番ではないですが……行きますよ」
「……どうぞ」
擦り付け行為を止め、硬根を押し付ける。
すると、ゆっくりと鈍く嚥下するようにノインの陰茎が呑まれていく。彼女の女淫は蛇のようにそれをゆっくりと呑んでいき、ノインは内部の肉壁を抉る感触を享受していた。
ゆっくりと、焦らすように。かといって、どちらが焦らしているのか、どちらも焦らされているようなもどかしい動きは、二人の心を大いに高ぶらせた。
内部へと侵入してくる異物感。そして、最後にいつ享受したかも分からい懐かしく強烈な快楽。加えて、初心な少年が必死そうな表情でゆっくりと気遣うように自身の膣内へと肉棒を潜らせているという事実。少年のそれはさほど大きい物ではないものの、気を抜くとうっかり大声を漏らしてしまいそうなほどに押し寄せる快楽を、ファレグは味わっていた。
そうしてゆったりとした挿入行為の末。
「…っ。はい…り、ました」
「よくできましたね。……では、あとは貴方が思うがままに」
ファレグが促すと、ノインはたどたどしく腰を動かし始める。
腰を引くと、ファレグの肉壁が別れを惜しむかのように肉棒に吸い付く。
腰を打ち付けると、ゆったりとした締め付けと共に、肉を抉り広げる感触が伝わる。
最初は慣れない動き故たどたどしいカクカクとした動きだったが、徐々にコツをつかんだのか、ノインは腰を柔軟にファレグに打ち付ける。時折、焦らすように腰をゆっくりと引いたかと思えば、すぐに強く打ち付ける。
「んっ!んんっ!」
愛らしい少年の必死な表情と、フェイントを受けたかのような激しい突きに声が漏れそうになる。
「ファレグさんの膣内……温かくて、優しく僕のチンコを抱き締めていますよ………っ!」
「…貴方の杭も……んっ!あァ!…硬くて、私ににぃっ!…打ち付ける度に、太く脈打って…ぇッ!お強いおちんちんですね…ぇ…ァっ!」
若さに似合わないゆっくりとした優しいピストンであるハズなのに、ファレグは一人慰める夜のソレよりも激しく快感を得ていた。その事実に驚愕し信じられないと否定していたが、蜜壺を中心に押し寄せる甘露は紛れも無く本物であり、心を熱く満たすそれを味わっていた。…この時のファレグが勘違いしているのは、そも女性とは精神的な生物であり、こと性行為に関しては激しさに任せた動きよりもゆったりと撫でまわすような穏やかな動きである方が、性感を得やすいという事である。一人の寂しさと恋の愛欲は自慰行為を激しく過激なものにしがちであるが、空虚を満たそうと大きな欲動を抱きソレを行使する度に、押し広げられた心には寒風が吹き荒ぶ。
二人でいる事。
二人で認め合う事。
二人で愛し合う事。
二人を味わい尽くす事。
恋と愛と愛欲を、何より心を満たすには、それらが最も必要なのである。
現に、多少段階をスキップしてしまったが上述の全てを兼ね備えたセックスを貪っているファレグは、最早声を抑えようとしない。
「あっ、あっ、あっ、あっ、はあ!あ!はっ、はっ!あっ、あ、あ、あああ!ええ!そうです!もっと!もっと!ノインさんの元気おちんちんもっと!」
「言われなく…ても…っ。動い……て、ま、す………よ!…嬉しいで、すよファレグさん。そん、なに感じて…くれて!」
「私、も嬉しい…!アナタぁ……とっても、気持ちよさそ、う…で!……もう、出そ、うなんですか?…いっぱい出して、気持ちよくなってくださいね?」
「………………………愛しています、ファレグさん」
「大好きです、ノインさん」
言葉を交わした二人は、口付けをし舌を這わせながら、腰の動きを徐々に速める。
自分の快楽に夢中になっておりすっかり忘れていた両手で、ファレグの乳房を揉みしだきながら、硬く自己主張する乳首を指の腹でコリコリと弄ぶ。速い動きで膣内を擦り上げられ、乳房を揉まれながら乳首で遊ばれ、ファレグは全身でセックスの喜びに浸る。そして揺さぶられながら押し寄せる快楽に、抑えがたい嬌声を漏らす。蜜のように粘性を持ちつつも、澄んだようなその女の嬌声は、男の理性を奪うのに最適であった。
「……っ!」
「ああァッ!!あっ!あ…あッ!あー………私の膣内で、熱い熱い白濁が出てます、ね…」
ノインとファレグは同時に達した。
ファレグの膣内へと射精したノインは脱力し、彼女の身体へと倒れ込む。
倒れ込んだ男をファレグは抱き締め、胸元に顔を埋めさせてやる。
「…抜きますよ」
「……もうちょっと、よいのでは?」
「では、そのように」
豊かな双丘が作る谷間に顔を埋めながら、男はその乳房を撫でまわし始める。
「んっ……くすぐったいですよ?」
「…僕なりの、イチャつき方だったんですが。…では、キスを」
止めるような事を言いつつ男は手を止めることなく、頬を上気させ紅潮させているファレグと再度口づけを交わす。
長々と。
溶かし合うように。
数十分と口づけを続け。
「…今日はこのまま、寝ましょうか」
二人抱き合い、眠りに就いた。
ノインは腹の鳴る音で目覚めた。
時計を見れば、未だ二十一時。…夕食がぎりぎり許容される時間帯でもある。
さてどうしようかと、ファレグに抱かれながら考えていた。
きぅ、ぐるぐるぐぐ…。
愉快な音がしたと思えば、ファレグの腹部から発せられた音だった。
「…そういえば、食事…まだでしたね」
ファレグの声。いつものそれよりも穏やかで、優しい声。
「今からシャワーで洗いっこして、食事に行きますか?」
「いいですね。…お腹が減って、私も眠りが浅かったのです」
言葉を交わし、二人、起き上がる。
ソファーから降り立ち上がると、ふとノインは驚いてしまう。
(僕はこんなに身長が低かったか…?)
彼女、あるいは妻となる女性よりも身長が低いという事実を再確認し、フゥと嘆息した。
「では、シャワーへ」
「はい」
ファレグに促され、例のシャワー室へと一歩踏み出す。
すると、彼女に手を掴まれた。
(いや、これは)
ノインとファレグは手を繋いだ。
左手の温もりを感じる。
(まぁ、どうでもいいか)
小さな、さして意味を成さない、けれど何よりも大きなその信頼の証。
ノインはファレグの少し大きな手を握り返した。