ベル・クラネルがモテ過ぎるのは間違っているだろうか 作:ぽちょむきん
あと章を分けました。こちらの方が区切り良いので。
********ダンジョン上層********
「ここが10階層……」
「はい、今回の目的地です」
「――わぁ……」
濃い霧が視界に広がる、広い空間が広がるダンジョン10階層。
そして所々に枯れ木のような樹木【ランドフォーム】が生えている。
この深さまでの探索を躊躇していたベル様を、過去のリリの経験やベル様の魔法を理由にここまでどうにか誘導できた。
実際、ベル様の実力ならこの深さでの探索をソロでも深刻な事態には陥りにくいと思っている。
「……危ないから離れないでね、リリ」
「はいっベル様」
ベル様はリリが渡した【シュワイザーデーゲン】を手に周囲を警戒している。
大型モンスターに備えて、という口実の為に用意した2万ヴァリス近いそれなりの業物だ。
かなりの出費だったが、あの短剣が手に入ればおつりが来る上に適当な武器では怪しまれる。
おかげでまんまと、あのナイフをポーチに収納させることに成功した。
「リリ、これって……」
「はい、ランドフォームです。しかし……処理している暇は無いようです」
「っ、」
この階層に自生する植物を観察しているベル様に、大型モンスターである【オーク】が接近している事を伝える。
大型の中ではそこまで驚異では無いが、それでもその大きい体躯はハッタリではない。
怪力と、そして鈍器を扱う程度の知能は併せ持っている。
その驚異に後ずさるベル様。警戒は間違いじゃないが、
「逃げてはいけませんよ、ベル様」
「そうだよね、オークを倒せないようじゃ……この先のモンスターなんて一生攻略できない」
オークがランドフォームを根ごと引き抜くと、その形状は棍棒の様に変形する。
この階層に出現するオークと、あの樹木が厄介だと言われている所以だ。
「ランドフォーム……『天然の武器庫』!」
「ベル様、来ます!」
サポータから
あの様子なら、互角以上。――だが、多勢が相手では火力不足のせいで分が悪い。
……そうでなくては困ります。
「――、よし……!」
「ベル様、もう1匹来ます!!」
「!!」
――そろそろ頃合いですね。
リリは近くのオークへベル様の注意を向けて、その隙に気配を消して場所を移す。
「――ファイアボルト!!」
ベル様の無詠唱魔法がオークの表皮を焼いている。
あの魔法は速度で右に出るものはないが、その分一発の威力に乏しい。
時間をかけている間に、リリはベル様を見下ろせる高所……背後には上の階層へ戻る道に繋がっているポイントについた。
「ファイアボルト!―― 、勝った……やったよリリ!……あれ、リリ?どこ!?」
リリはベル様の周囲にモンスターをおびき寄せる匂いを放つアイテムを投げ込む。
オークは鼻が利くので、すぐに集まってきてベル様を包囲した。
「リリ、どこなの!?」
ベル様はオークの攻撃と、どこに居るかわからないリリを探して注意が散漫になっていた。
腕に装着した【リトル・バリスタ】へ矢を装填して、狙いを定める。
「リリ!どこ!?返事して!!」
大きな声でリリを呼ぶベル様の背中がこちらを向いたタイミングを見計らって、矢を放つ。
数本の矢はベル様の装備を繋ぐベルトを切り裂いていく。
そして、最後に放ったワイヤー付きのボルトが腰から落ちたポーチへ刺さり、手繰り寄せてキャッチできた。
あのナイフの重みを感じて、見事作戦が成功した事に安心する。
「リリ!?何してるの!!」
「……ごめんなさい、ベル様。もう、ここまでです」
ポーチの行き先にリリは居るので、ようやくベル様に発見される。
いくら抜けているとはいえ、この状況ならリリが裏切ったという事がわかってしまうだろう。
「あいつに全部聞いたんでしょう?」
「っ、――っな、何を!?」
そう、リリの本性を知れば遅かれ早かれこの関係は終わってしまう。
リリのために、ここで裏切らせてもらいます。
「折を見て逃げ出してくださいね。さようなら……ベル様」
彼なら、逃げに徹すれば生き延びる事は可能だろう。
ベル様には彼を守ってくれるファミリアや、愛してくれる方々が居るのだから。
……いくらでもやり直せますよ。
「リリ――!?」
彼の呼び声が木霊する。
裏切ったのはリリだというのに、その呼びかけに応えるはずもない。
胸を締め付けるのは罪悪感。
あの少年はいつもリリに笑ってくれて、感謝してくれ……
それを踏みにじった者へ向けたあの瞳にあったのは、怒りではなく困惑と心配だった。
「……人が良すぎですよ」
ベル様は底抜けにお人好しだった。
リリのように素性も知れないサポーターを快く受け入れて……。
冒険者との暮らしがこんなに心地よいとは思わなかった。
もしかしたら、この日々が続くかもしれないなんて思っていた――
「響く十二時のお告げ――シンダー・エラ」
リリは変身の魔法を解呪し、そのままダンジョンの出口を目指す。
こういう時のために、弱いモンスターしか出没しない道は把握していた。
……ベル様が悪いんです。あいつにさえ、会わなければ……
――ううん、これで良いんです……ベル様も、冒険者なんですから。
リリの嫌いな、冒険者なんですから。
「――
黒い刀身に刻まれた神の銘。
ノームの質屋ではナマクラと言われたが、あれだけのモンスターを切り刻む武器だ。
あの時は急いでいたが、価値のわかる場所など探せば沢山ある。
短剣を、リリは肌着の中にしまい込む。
「これなら、どこに行っても売れます。――目標の金額にだって、届くかも」
『ソーマ・ファミリア』……。
人をどこまでも酔いしれさせる神酒を餌に、人を蹴落としてでも金を稼ぐ冒険者の集まり。
あのような、人の悪い部分を寄せ集めたようなファミリアにリリは所属しています。
「……リリの、自由の為なんです」
リリは、ファミリアから抜けるためにお金が必要なんです。だから……!
「――っきゃぁ!?……ぅ、ぐ」
――階段を降りて広い空間へ出る瞬間、足を何かに取られて思い切り転んでしまう。
「――嬉しいじゃねえか。
「うぁあ!?」
足を引っ掛けられた――
そう自体を飲み込んだ頃には、リリの腹部に男のつま先が突き刺さる。
【ゲド・ライッシュ】……。リリがベル様と出会うまで雇われていた冒険者。
他種族やサポーターを見下しては威勢を張る典型的な
「散々舐めやがって……この、糞
「ぁ、ぐう!」
顔を殴られ、痛みで視界がチラつく。
腹を蹴られた吐き気と、顔中を灼熱する擦り傷に上手く頭が働かない。
「良いザマだな、こそ泥」
「ぁ、ああぅ、あああぁあ!!?」
髪の毛を掴み持ち上げられる。
あまりの痛みに悲鳴を抑えられない。
男の顔には、嗜虐的な表情が浮かんでいた。
「そろそろあのガキを捨てる頃だと思ったぜ。ここで網を張ってりゃ必ず会えると思ってなぁ?」
「ぁ、網……?」
という事は、今の状況は仕組まれた状況……?
ベル様に近づいたのも、リリが行動を起こす為の誘導だったというのか。
「この階層でお前が使える道はそう多くねぇ。4人で手分けしてたんだが……ひひ!!見事に俺の所に来るとはなぁ!!」
顔を喜悦に歪めて、その残虐性を隠そうともしない男。
ローブを乱暴に破かれてしまい、肌着のみとなった状態で投げ捨てられる。
体を打つ痛みに、再び視界が暗くなる。
「ぅあああ!?」
「へへっ……はは!良いモン持ってんなぁ、おい!あぁ!?」
「ぅ、ぐぅ!」
ローブに仕込んでいたアイテムを物色される。
今まで集めてきた貴重な装備やアイテムを、根こそぎ奪われていく。
積み重ねてきた物が崩れ去っていく感覚。苦しいほどの喪失感。
「魔剣まで持ってんじゃねえか!こりゃあとんだ収穫だぜ……にしても」
リリの持ち物をあらかた懐にしまっていた男は、突然リリを品定めするような目を向けてきた。
そこに含まれた感情に、最初は意味が理解できなかった。
「小人族のメスの分際で、生意気な身体してたんだなぁお前」
「ひ、なっ何を……?」
もしかして、リリを女として見ているのか。
今まで役立たずの穀潰し扱いで、そんな男が居なかっただけに困惑が大きい。
本能的な恐怖に身体が硬直して回避が遅れてしまい、男に脚を掴まれる。
股を開かれるような姿勢になった私を舐め回すように男の視線が這い回る。
「い、いやぁあ!?」
「てめぇは冒険者としちゃあ役立たずだけどよぉ、俺がオンナとして使ってやっても良いぜ?」
「な、ぁ!?」
予想してなかった男の要求に、言葉が出てこない。
気づけば肌着として来ていたシャツは引き裂かれ、靴も奪われたリリは下着だけの状態になる。
非力なリリに、伸し掛ってくる男を跳ね除ける力はなかった。
「嫌、やめてっ、やめて……くださ、い」
「拒否権があると思ってんのか、馬鹿が!さっさとこの布っきれも脱げや、おら!」
「きゃああぁあああ!?」
とうとう下着もむしり取られていく。
下衆な男に肌を晒す屈辱と羞恥に、甲高い悲鳴を上げてしまう。
その時、リリが稼ぎを貯める為に使っていたノームの貸し金庫の鍵が転がる。
「あぁ?鍵……?なんだこりゃ。ファミリアの倉庫番でもしてたのかこいつ。……下もだっつうの、ノロマがぁ!」」
「嫌ぁあ!?ぅ、うう……」
ここで、何もかも失うのか。
財産も、これまでの努力も、女として……人として踏みにじられるのか。
「はははは!なぁに一丁前に恥じらってんだよ小人族が。……まぁ、安心しろや。ガキを身籠るかしたらさっさと娼館にでも売り飛ばしてやるよ」
「みごも……!?そ、そんなのっゆ、許して……」
「許すわけねぇだろうが、散々コケにしやがって。満足するまで返してもらうぞ、お前のチンケな身体でなぁ!?」
おぞましい事を口にする男に、プライドも捨てて許しを請う。
胸を隠していた腕を強引に上へ持ち上げられて、リリの何もかもを眼前に晒してしまう。
「ああっ、ぃ嫌ぁ!見ないでぇ!!」
「ったく、小人族のメスってのはホントにガキみてぇなナリしてんなぁ。……俺のブツはでけぇからよ、こいつで拡げといてやるさ。二度と同族とじゃ満足できねえぞ、おい?」
「ひぃいい!!?」
いつの間に男まで脱いでいたのか。
ズボンを膝まで下げて、見たくもない男の陰茎が目の間にぶら下がっていた。
黒ずんだその肉棒がリリの太股にべたりと乗ってきて、気色悪さに鳥肌が立つ。
――逃げなきゃ……!
「――あ?なんだこのナイフ……チッ、ナマクラじゃねぇか……」
「――、!!」
男はリリが脱げた拍子に落ちたあの黒いナイフを拾い上げるが、その本来の価値に気づかず落胆する。
注意がそれた隙に、リリは小石を拾い上げ男の眉間に叩きつけた。
不意を突かれた男は、リリの拘束を解き痛みに目を瞑る。
「っ痛ぅ!?」
「、――!!」
どうしてか、あの黒いナイフだけは奪われたくなくて男の手から掠め取る。
そしてなんとか立ち上がって、立たない腰を奮い立たせてその場から走り去った。
スボンを下げていたこともあって男の反応は遅れる。
「おい、待てやっ糞小人族っ!!」
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
あれからどのくらい走ったのだろうか。
男から受けたダメージが思ったより大きく、足元がおぼつかない。
普段は使わない道を、裸のままで一心不乱に駆け抜けた。
「は、は、はぁっ……」
「――どこまで逃げてんだ?素っ裸でよぉ」
「!!」
曲がり道を抜けた先は行き止まりになっていた。
引き返そうとした時、後ろには追いかけてくる気配が既にあった。
どうしようかと逡巡している間に、男の姿が現れ再び追い詰められる。
「ぅ、……」
「鬼ごっこかよ、おい……こそ泥」
「あぐっ!!」
逃げる事も出来ず、脚を払われて転んでしまう。
再びリリは男に伸し掛かられて、身動きが取れなくなった。
「いちいち手こずらせやがっ、て!」
「あぁう!!」
脚を広げた間に体を入れて、両腕を掴んで拘束される。
この体勢になってしまえばリリが抵抗しても、もうどうにもできない。
――犯される。
本能的に、理解してしまった。
「大人しく犯されてろや。具合が良けりゃあ、ちったあ優しくしてやっても良いんだぜ?」
「ぅう……、」
男の汚いモノが反り勃っていた。
リリのような小さい身体の種族でも欲情している事に戦慄する。
ダンジョンという魔の領域が、男の本能を刺激しているのか。
「てめぇみたいな貧相な身体でもおっ勃つもんだな……っへへ」
「は、ぁ……」
硬くなった肉棒が、誰も受け入れたことの無いリリの女穴を擦るように添えられる。
ここで犯されて……そのままリリはこの男の物になってしまうのか。
男の慰みモノにされた後、身籠った後は大きいお腹を抱えて、今度は自ら知らない男達に腰を振る日々が始まる……。
自由を求めた先が、こんな結末になるなんて……。
「……、」
――でも、そうですよね。
これはあのお人好しなベル様を騙した報い。
だとしたら納得も……
……悔しいなぁ。
神様、どうして……?
どうして、リリをこんなリリにしたんですか。
弱くて、ちっぽけで、自分が大嫌いで……
でも何も変われない、リリに――。
男が体重をかけてくる。
とうとうリリを蹂躙する行為が始まる。そして、リリの自由は……
――終わってしまうのですか……?
「さて、汚ぇダンジョンってのがアレだがまずはお前の使い心地を……んだよ濡れてねえじゃねえか。ったく、これじゃ入らねぇぞ……」
「――ファイアボルトぉ!!」
「ぅ、ぐぁああ!!?」
炎雷が迸り、男の背中を焼く。
激しい閃光に目が眩むが、瞼を開いたリリの目の前に居たのはあの男ではなく、白髪の少年だった。
バゼラードを構え、魔法をいつでも撃てるように男へ空いた左手を向けている。
「リリ、遅れてごめん!!」
「べ、ベル様……?」
何故ここに居るのか。
リリは、この少年を騙した筈だ。
その証拠に、左手にはベル様から盗んだナイフが握られている。
まさか、助けに来たとでもいうのか。
「て、てめぇ……」
「今すぐここから消えて下さい。……僕は貴方を、許さない!!」
ベル様の声から、感じたことの無い『怒り』が伝わる。
何故憤っているのか。
リリが、襲われていたから……?
ベル様を騙していた、リリを……。
「糞が!偽善者のガキが吹いてんじゃねえぞ!」
「偽善だろうが構わない。もしリリに手を出すって言うなら、僕が相手だ!」
「……、チィッ!」
男はそんな捨て台詞と共に去っていく。
リリが困惑している間に事態は収束した。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
僕がリリの事を神様に相談した時から、想いは決まっていた。
――神様……僕はそれでも、あの娘が困っているなら……助けてあげたいです。
寂しそうなんです、その娘。
神様と出会う前の、僕みたいに――
「、はぁ……リリ、無事だよね?何ともない?」
「ベル様……どうやって、ここまで?」
「いや、霧で良く見えなかったんだけど……あの後、別の冒険者が来たみたいで」
10階層でオークの囲まれていた時、どこからか颯爽と現れた人が次々とモンスターを倒してくれた。
霧が深く、リリの元へと急がなくちゃいけなくて誰だかわからなかった。
グリーン・サポータもあの階層のどこかに落としてしまったけど回収する時間はなかった。
「周りからオークが居なくなっちゃって……それで、すぐに追ってこれたんだ。間に合ってよかったよ」
「どう、して……?」
「え?」
リリは唖然としていた。
まるで、今の状況が呑み込めていないというふうに。
と、いうよりも……リリってば裸じゃないか!?
あの冒険者に破かれてしまったのか……。
「――どうしてですか!どうしてリリを助けたんですか!?どうしてベル様はリリを見捨てないんですかぁ!!」
「ぇ、えぇ?」
ひとまず何かでリリの身体を隠してあげないと、と焦っていたらそんな事を聞かれてしまった。
見捨てるなんて、考えもしなかった。
そして何より戸惑ってしまうのは、リリは何かに怒っているらしい。
「ご自分が騙されたことに気付いてないんですか?リリが驚かせようと思ってナイフを持っていったとでも思ってるんですかぁ!?」
「っと、リリ?」
リリは怒りに任せて、何かを地面に叩きつけた。
……神様のナイフだ。最後まで持っていたらしい。
「ベル様って何なんですか!?馬鹿なんですか!間抜けなんですか!救いようのない阿呆なんですか!」
「リリ、落ち着いて?」
「無理です!!」
突然感情を爆発をさせているリリを、落ち着かせようと宥めるけど駄目だった。
僕としてはリリを怒ってなんて居ないし、ともかく服を着てほしい。
「ベル様は何にも気付いてない……」
それからリリは、これまで僕に隠していたことを吐露していった。
報酬を多めにくすめていたこと。
買い出しのお釣りをくすねていたこと。
影で悪口を言っていたこと。
僕に言えなかったことを、強い感情と一緒に全てさらけ出していく。
「――わかりましたか!?リリは悪い奴です!盗人です!ベル様に嘘ばっかりつく、最低の小人族です!」
でもそれは、僕がリリを助けない
確かにいけない事ではあるけど、リリが実は優しい子なんだって事を信じてる。
その程度の事は、僕が許せば済む話なんだから。
「それでも……それでもベル様はリリを助けるんですか?」
「うん」
「どうして!?」
「お、女の子……だから?――あっ」
「馬鹿ぁ!」
リリを助ける理由……。
とっさに考えて思いついたことを言ってみたけど、失言をしてしまった気がする。
リリも裸なままだから、面と向かって言うのは流石に恥ずかしかった。
「またそんな事言って!ベル様は女性なら誰でも助けるんですか!信じられません!最低です!ベル様のスケコマシ!女ったらし!スケベ!女の敵ぃ!!」
……リリは信じることが出来ていなんだ。
僕が信じている
だから僕の想いを、正直に伝える事にした。
「じゃあ……リリだから、だよ?」
「――、」
あの時、僕に声をかけてくれて。
ひとりぼっちだった僕を受け入れてくれた神様。
寂しそうなリリを見ていると、
同じ孤独を味わった僕には見捨てるなんて出来ない。
「僕、リリだから助けたかったんだ」
可愛い女の子だから。
サポーターとしてとても頼りになるから。
そんなものは些細な事で、
出会ったのがリリで、相手が僕だったから、助けてあげたいと思った。
「リリだから、居なくなって欲しくなかったんだ」
「――、」
「理由なんて、見つけらないよ」
くしゃっと歪んだ顔に、もう怒りは無かった。
僕を睨んでいた瞳はどんどん滲んでいく。
ポロポロと大粒の涙が溢れている。
「リリを助けるのに、理由なんて」
「っ、ひぅ、あぅ……」
誰かに必要とされたくて、
誰かと一緒に居たくて、
そんな『誰か』になってあげたかった。
「リリ……困ったことがあったら、相談してよ。……僕馬鹿だから、言ってくれないとわからないんだ」
腫れた頬を、ゆっくりと撫でる。
身体の傷がいつか治るなら、
僕らの関係だって、やり直せますよね?神様――
「――ちゃんと、助けるから」
「あああぁ、わああああ……!!」
涙が滝のように流れ、字の通り泣き崩れるリリ。
そっと抱きとめて、土で汚れてしまった彼女の髪を撫でてあげる。
あとは、彼女の気持ちを聞くだけ。
「ごめ、ごめんっごめんなさいいぃ……!!」
「……うん」
「ぅうあああ、わぁああぁああ……!!」
涙に溺れた謝罪の言葉は、しっかりと僕に届いている。
後悔は今だけして、また一から始めればいい。
今の彼女には、僕が居るんだから。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
散々泣き腫らしたリリは、
ベル様の暖かさが、じんわりとリリの身体を包んで……
――そういえば、今リリは裸でした。
「す、すみません……ベル様。もう大丈夫です」
「うん?そっか……え、えっとじゃあ何か隠すものを……」
「……、あっ……」
ベル様は、リリを見ないように視線を宙へ泳がせて、周りをキョロキョロしている。
その時、リリのお腹に当たる硬いモノの感触に気づいた。
気づいて、しまった。
「ベル様……これ……」
「うわぁ!?ご、ごごごめんよリリ!!これはその、生理現象というかその……」
「――嬉しいです」
「……へ?って、リリ!?」
リリはその硬いモノの正体が何か、先程まで別の男に知らされていた。
何故硬いのか、その原因も。
先程までは嫌悪と恐怖の象徴だったのに、ベル様と触れ合ってる今となってはとても愛おしい。
ズボンを下着ごとずらして、その熱い肉棒と対面する。
「お、大きい……素敵です、ベル様」
「リリ、ちょっいきなりこんな……」
「リリでこんなに大きくしてくれてるんですか?だとしたら、凄く嬉しいです」
この大きなベル様を、受け入れたい。
逞しい、男性の象徴。
リリのお腹がトクンと鼓動している。
まるでこの男性に全てを捧げるために、身体が準備を始めているようだ。
じわ、と蜜のようにリリのアソコが濡れていく。
「ベル様……リリは、ここで奪って欲しいです」
「り、リリ……」
「あの男に汚されそうになって……怖かったです。誰かの物になってしまうのが、あんなに恐ろしいなんて」
「……」
「叶うなら、リリの
溢れる蜜を塗りつけるように、ベル様のおチンチンに股を擦りつける。
まるではしたない娼婦の様で恥ずかしい……。
でも、少しでもベル様にリリを求めて欲しくて、リリのおつゆでおっきいおチンチンを濡らします。
クチュッと割れ目が亀頭を包み、後は腰を下ろすだけ。
「ベル様……」
「リリ、僕は……」
「貰って下さい……リリの、初めてを」
「ぅ、あ……リリ!」
正面から抱き合うように、彼と繋がる。
ゆっくりと、ベル様がリリの中に入っていく。
――とても太くて、大きい……
プツ、プツと肉が切れる感触。ああ、捧げられた……と、結合部から蜜に混ざる赤色に心が震える。
トンッとリリの一番深い所まで到達した。
肉を裂く痛みや、腹を押し上げる苦しみはあるが、それを押しつぶすほどの快楽と幸福感。
今リリは、ベル様に全てを奪ってもらえている。
「ご、ごめん……リリ、僕もう……」
「っ、……はい、お願いします。……ベル様の全て、リリに吐き出して下さい」
「うぅ、リリぃ!!」
最後が近いとベル様の表情で悟ったリリは、両手両足でベル様を抱きしめる。
その瞬間、お腹の奥に熱い濁流の様な衝撃が来た。
子宮の中を暴れまわり、そこから伝わる温度の高さに目が眩む。
「ベル様の、子種……あったかいです……」
どのくらい、その時間は続いただろうか。
ベル様と抱き合い、つながった部分からは彼の精液が流れ込んでくる。
気づけばお腹がぽっこり膨らむくらいまで注がれた。
「――幸せです、」
「り、リリ?……リリ!?」
先程までの緊張感から解き放たれた所で、リリは意識を手放した。
身体を満たす、ベル様の暖かさに包まれながら――。
********ダンジョン上層********
「―――チッ、あの糞小人族に、糞ガキが……」
冒険者の男は、背中から煤を出しながら、ダンジョンを弱々しく進んでいた。
ベルが追い払った後、リリルカを襲ったあの広間に戻ろうとしているところである。
「へっ、だがあの魔剣がありゃあ……今度こそ鬱憤を晴らさせて……」
「魔剣ってなぁ、コイツの事ですかい?旦那ぁ」
「……あぁ?」
そこに現れたのは、男と裏で取引をしていた【カヌゥ】というソーマ・ファミリアの男だった。
片手には、あの魔剣が握られている。
「おお、回収しといてくれてたのか……なら話は早ぇ、この後」
「――旦那ぁ、俺らはもう十分稼げたんで……もう用済みなんでさぁ」
「……は?」
唖然とする男。
すると奥から、カヌゥの仲間の二人が何かを抱えてやってきて、その
足元に転がっていたのは
「――キラーアント!?しょ、正気かてめぇらぁ!!」
布にくるまれた、頭だけのキラーアント。かろうじて息があるようだ。
キラーアントは、瀕死になると仲間を呼ぶ信号を出す。
すると、キチキチ、と音が反響してきた。
もう既に、周囲はキラーアントで囲まれている事だろう。
「にしても旦那ぁ、見事にアーデの隠し財産まで見つけてくれるたぁ俺は嬉しいですよ」
「な、なんの話だ!?」
「まぁ……こういう事です、ぜ!」
カヌゥが魔剣を振るった瞬間、赤光が男の脚へ放たれる。
灼熱を伴った炎は、いとも簡単にその片足を炭化させた。
「――っぎゃあああああああ!!」
その痛みに悶絶し、地面を転がる。
集まってきたキラーアントは、瀕死になった男のところへゆっくりと群がっていく。
「じゃあ、あっしらはこれで……逃げ延びれれば、また儲け話でもしましょうや」
「ふ、ふざけ、ふざけるな……なんで、なんで俺がここでぇええ!!」
「……冒険者ってなぁ、簡単に信じちゃ駄目ですぜ。旦那?」
「う、うぁああああああ!!!!」
ダンジョンの上層にて、男の絶叫が響いた。
だがその悲鳴も、聞いていたのはたった3人の冒険者。
その後ゲド・ライッシュの行方を知るものはおらず、交友関係も狭かったため捜索願いも出されはしたが誰も請け負うことは無かった。
こうしてまた一人、冒険者がダンジョンの贄となるのだった。
********オラリオ・冒険者ギルド~エントランス~********
「すみません、エイナさん。色々心配かけたみたいで……」
あの後、僕はリリを背負ってダンジョンから脱出した。
予想より遥かに遅い時間になってしまったが、エイナさんへ帰還の報告をしにそのままやってきた。
エイナさんは本当に心配してくれていたのか、怒るのではなくまず安堵して僕の帰還を喜んでいる。
そして、リリの事を調査して、他の冒険者や神様へ働きかけてくれていたらしい。
「あと、プロテクター……失くしちゃいました」
「いいよ。ベル君が無事なら」
オークとの戦闘で、僕はグリーン・サポータを失ってしまった。
リリを助けるためには仕方なかったとはいえ、あれをくれたエイナさんには申し訳無かった。
エイナさんは笑って許してくれているけど、可能なら10階層で探してみたい。
「……それで、どうするの?」
「え、えっと……」
エイナさんは、僕の背中で眠る、布一枚だけ羽織ったリリを困ったように見ていた。
ひとまず、リリは近くの宿で休んでもらおう。
そして……それからは――
********迷宮都市オラリオ~中央広場~********
ダンジョンへの玄関とも言えるこの中央広場。
朝早くから、ダンジョンへ向かう冒険者の数々を、リリは一人噴水の前で眺めていた。
「――、……」
今日もバックパックを背負い、いつもの待ち合わせ場所に居た。
あの日リリはベル様に救われて、途中で気を失ってしまった。
目が冷めた時には見覚えのない宿でリリは寝ていて、宿泊代も誰かが既に払っていた。
――また、一人になってしまった。
あの少年との関係は、もう終わってしまった。
言われてみれば当然だ。
武器を盗まれて、半ば強引に交わった薄汚い小人族を、誰が迎え入れるのでしょうか。
裏切り者のリリは、償いとしてベル様に謝罪と、一度きりの情交……。
代償としてリリはここ最近の財産と、ベル様との繋がりを失った。
こうして失うための行いを、また始めないといけないのだろうか。
「――サポーターさん、サポーターさん」
「!」
どこか期待していた、ここに来る筈のない人の声。
振り返ると、そこにはリリを救ってくれた白髪の少年。
「冒険者を探していませんか?」
「、――ぁ」
淀みのない
そこから感じた意思に、心が震えた。
「混乱しているんですか?でも、今の状況は簡単ですよ」
ベル様は、始めようとしている。
リリとベル様の出会いを。
これまでの事を全て受け入れ、リリという存在を赦し、二人の未来を望んでくれている。
「サポーターさんの手を借りたい半人前の冒険者が、自分を売りこみに来ているんです」
「ベル様……」
だからこうして、あえてリリがベル様に使った文句を繰り返している。
あの時と状況は一緒だ。
でも、明らかにあの時と違うことがあった。
以前のリリは、自分のため。
ベル様の事なんて、見てなくて。
ベル様はリリの事なんて知らなかった。
今はベル様が、リリを見ている。
リリという存在を知った上で、求めてくれている。
「また僕と一緒に、ダンジョンに潜ってくれないかな……リリ?」
差し伸ばされた手を、躊躇いながらも掴む。
そこから感じる、彼の体温と、それ以上に暖かな感情。
リリの芯から、湧き上がる想い。
―― 嗚呼、
「はい、ベル様!」
私の生きる、新しい
なんだかんだ原作通りな収束をしました。
どうにかして途中にR-18シーンを挟みましたが、ちょっと不自然ですね。
スキルのせい、ということでご勘弁を……。
女神と違いリリはガッツりとベルとの絡みを増やす予定です。
(別にヘスティアを嫌っているわけはありませんので……)
次からは、あのヒロインとの絡みも綿密になっていきます。
それでは、次回もまた是非宜しくお願い致します。