※この作品はR-18です。

魔法科高校の問題児   作:もっち~!

12 / 16
10/24 誤字を修正


和也、鍛錬する

---桜井水波---

 

大人の事情が解決したそうなので、小淵沢のお屋敷から戻ってきた。達也様の私を見る視線は暖かい。そういう関係になった為だろうか。和也君のガーディアンなのに、達也様と…まぁ、それは私だけではなく、七草真由美さん、千葉エリカさん、深雪様もそうであり、真夜様も黙認しているので、問題は無いようである。

 

その代わりに、和也君は、変わってしまった。馴れ馴れしく話してくれなくなってしまった。親しげに接してくれなくなってしまった。それはそれで寂しくもあり、悲しくもあり、無かったことにして欲しい。

 

「水波さん、兄ちゃん、深雪様、おはようございます」

 

朝起きての挨拶…戸惑う私と深雪様…

 

「兄さん、そんな他人行儀は止めてください」

 

「僕は司波家に居候している身ですから、お気遣いなく」

 

悲しそうな表情の深雪様。達也様は何か言いたげであるように見えるが、何も声を掛けなかった。

 

食事…和也君は自分の分だけ作り、自分の部屋で食べるようだ。

 

「和也君…なんで?」

 

「水波さんは、兄ちゃんの彼女です。僕に気を遣わないでください」

 

達也様との事を知られていた…だから、距離を…

 

「和也、そんなことは無い」

 

「兄ちゃん、水波さん、エリカさんに、責任を果たしてください。お願いします」

 

達也様に頭を下げた和也君。言葉に詰まる達也様。

 

 

 

---千葉エリカ---

 

四葉家本邸から帰ってきて、久しぶりの通学。途中で、和也達と合流したのだが、いつもと様子が違う。和也がいない…

 

「達也君、和也は?」

 

「転移した。俺達と通うのを避けている」

 

「なんで?」

 

「和也にバレているぞ、エリカ…」

 

バレている?なんだっけ…えぇぇぇぇぇ~!まさか、達也君と関係を持ったことをか…

 

「教室でも俺達を無視するだろうな…」

 

「なんで?なんでだ…」

 

「お兄様と一緒になって欲しいからですよ」

 

達也君の代わりに、深雪さんが答えてくれた。

 

「兄さんは孤独の道を選ばれました」

 

深雪さんの表情は寂しげである。達也君もだ…どうにかして、あげたいけど…

 

--------

 

教室に入ると、和也がいた。私達と視線が、合わないようにしているようだ。

 

「和也!」

 

声を掛けた。

 

「エリカさん、おはようございます」

 

心がこもっていない言葉を返された。

 

「どうしたんだよ、お前は?」

 

「自分の立場、立ち位置を理解しただけです。お気遣いは無用です」

 

立場?立ち位置?何のことだ?

 

「立場は…兄ちゃんの弟です。立ち位置は、部外者でございます」

 

バレている…達也君と関係を持ったことが…耳が熱くなっていく。

 

 

授業…いつもと和也は違った。真剣に考えているようだ。いつも、寝ているか、深雪さんに訊いていたけど、自分一人でどうにかしようとしていた。

 

お昼休み…何時の間にか和也の姿は消えてた。午後の授業が始まる寸前に、どこからか転移してきた。完全に避けられている…

 

そして、放課後…どこかに転移して消えていた。

 

 

 

---司波和也---

 

目の前の敵から爆裂魔法が幾重にも叩き込まれていく。吹き飛ぶ手足…意識を切らさずに、再生をさせていく。そして、敵との距離を詰めて行く。

 

「そこまで!」

 

組手の終了を告げられた。

 

「しかし、凄いな。再生能力か…」

 

組手の相手、一条将輝が目を輝かしている。

 

「まだまだです。再生速度が間に合わないし」

 

「でも、距離は縮んでいたぞ。長引けば、危なかったなぁ」

 

魔王ルシファーの計らいで、一条家で修行できるようになった。

 

「避けきれないんです。どうすれば良いですか?」

 

一条家の当主に質問をする。

 

「将輝の魔法に対して、あそこまで距離を詰めただけ、立派だよ。避けられない場合か…難しいなぁ。将輝、アドバイスをして差し上げなさい」

 

「いや、それは…ライバルに手の内はバレせませんよ。困ったな…」

 

将輝は困った顔をしていた。

 

「まぁ、僕が魔法を放てる余裕が無くなれば、避けやすいかな?」

 

あぁ、なるほど…

 

「将輝さん、もう1番お願いします!」

 

「え?まだ、やるの?タフだな、和也は…」

 

「鍛錬が楽しいんです♪」

 

-------

 

鍛錬が終わり、将輝と汗を流している。

 

「まさか、僕のアドバイス通りにするとは…なんだよ、あの魔法は…」

 

将輝のアドバイス通りに、魔法を放つ余裕が無くなるほど、僕の方から魔術を打ち込んだ。

 

「あれは魔法では無いです。魔術です」

 

「魔術…和也は古式の魔術師なのか?」

 

「現代魔法師的に言うとそうです。僕の魔法師としての能力は、身体の再生だけですから、魔法師として攻撃は出来無いのが難点です」

 

能力の一部だけを知らせた。

 

「攻撃能力の無い魔法師か…苦労しているんだな」

 

「問題児かも…」

 

汗を流した後、食事まで頂いた。

 

「温泉に浸かり、食事まで。本当にありがとうございました」

 

「また、来いよ!楽しみに待っているから」

 

一条親子に頭を下げて、家に転移した。

 

--------

 

「こんなに遅くまで、どこに行かれていたのですか?」

 

水波にドヤされている。一応、遅くなると連絡はしてあったのだが…

 

「僕は高校生だよ、水波さん。プライベートな事は言えない」

 

「和也君…その言い回しは止めて!ねぇ…」

 

「将来、僕のお姉様になるかもしれませんから、今から言葉遣いを練習しています」

 

「お姉様…えっ…それは…無いよ…和也君」

 

「水波さん…兄ちゃんと楽しい夜を過ごしたでしょ?」

 

僕の言葉で耳まで真っ赤になる水波。

 

「あれがどういう意味の行為か、僕だって知っている。兄ちゃんには行為の責任を取るように伝えて有る。だから…つらくなるから…昔のように接しないで…水波さん…」

 

僕は逃げるように自分の部屋に戻った。

 

------

 

「兄さん…」

 

僕の部屋には深雪がいた。全裸で、首には首輪を嵌めて、僕のベッドの上で待っていた。

 

「ペットでも良いですから…お傍に置いてください」

 

何かが壊れそうな気がしたので、深雪を兄ちゃんの部屋に強制転移させた。部屋のドアに鍵を掛けて、床に座り瞑想をして、あの魔法陣を脳裏に浮かべ、発動する。

 

 

意識は、どこか遠くの世界へと飛ばされていく。

 

「君か?鍛錬大好き人間は?」

 

知らない世界に出た。目の前には、僕と同じ位の青年が立っていた。

 

「はい…司波和也と申します」

 

「僕は姫島朱宇だ。で、どうされたいんだ?」

 

「能力を全解放して戦いたい…」

 

「ふ~む、全解放か…いいよ。おいで♪ここのフィールドの強度なら、君程度の能力では壊れないから」

 

開幕砲撃をする。幾重にも魔法陣を展開して、朱宇さんに叩き込む…あれ?発動できない…

 

「蒼いなぁ…そんな数の魔法陣なんか、簡単に書き換えられちゃうよ♪」

 

えっ?目の前に数え切れない数の魔法陣が展開していた。

 

「これくらい、一変に展開しないと、僕達には効果は無い。これでも少ないか…いいか、一変に万単位で展開できないと、書き換えられて、リバースされるからな、注意しろよ」

 

魔王ルシファーの紹介先第2弾は、目の前の賢者様だった。歴戦の戦士だそうで、並大抵の戦闘力では倒せないらしい。

 

じゃ、詠唱系の魔術を…あっ!

 

「なぁなぁ、知っていたか?詠唱系の欠点をさぁ。空気振動を止めて終えば、言霊は発生できない。故に、詠唱系は発動出来無いんだよ」

 

そうなると無詠唱か…いや、格闘術でどうだ♪賢者様との距離を一気に詰め、拳を打ち込む。

 

「中々、いい拳だな。だが、それは命取りだよ」

 

えっ?全身に電気が走り抜けて行った。

 

「相手の力量を測る前の攻撃は、オススメ出来無い」

 

身体が痺れて動けない。頭を掴まれ、引き釣り起こされ、賢者様のパンチを腹部に受けた。即座に無かったことに…え?無かった事に出来無い…僕の全身は挽肉になっていった。

 

---------

 

「『無』と『不死身』か。大抵の相手には無敵だろうな。でも、君は相手が悪かった」

 

意識が戻ると、全身が痛い…

 

「僕は『無価値』持ちだ。君の能力を無価値にしてから、攻撃したんだよ」

 

『無価値』…そんな能力があるのか…

 

「挽肉状態になった君を、僕の能力で蘇生した。『不死身』を無価値にされれば、君は再生出来無いんだよ」

 

賢者様は、少し手合わせしただけで、僕の能力を打破してきた。

 

「まぁ、いい物は持っている。もう少し強くなってからだ。うちで鍛錬するレベルには達していない。どうする?」

 

どうするって…選択の余地はあるのだろうか?

 

「選択肢はいるのか…そうだな。1ラスボス希望、2破壊者希望、3嫌われ者希望のうちから選べ!あぁ、君自身の希望する道は選択肢には入れられない。理由はわかるかな?」

 

ガーディアンになれないの?なんで?

 

「わからないのか…その辺りだよ、君の欠点はさぁ。君の戦いは、相手を倒すことしか考えていない。それは戦士なら正解だけど、ガーディアンだとすると不正解だ。その辺りを考え直してみな」

 

倒せば護れるんじゃ無いの?

 

「違うよ。護る為に戦うんだ。なので、戦士とは戦術が違うんだ。う~ん…そうか、君には愛しいと思える者がいないのか…そこだな、問題は。愛しい者を見つけたら、また来な!いつでも、歓迎するから」

 

どこかに強制転移された。目を開くと自分の部屋に戻されていた。窓の外からは、朝日が差し込んでいる。立ち上がろうとするが、全身が麻痺して動けずに、その場で倒れた。まだ、賢者様の術が効いているようだ。這っても行けないようだ。腕が動かない。

 

ダメージを無かったことに…しかし、出来無かった。思っていた以上に、賢者様は強すぎたのだ。誰からも指摘されなかった、僕の欠点も見抜いていた。愛しい者…それは当主様に出された課題に繋がる。僕に足り無い事を、見抜いていた。もっと、鍛錬しないと…

 

 

意識がいつの間にか、落ちていたようだ。誰かに抱かれている。いや、何者か達にサンドイッチにされていた。胸板と背中に、柔らかな物が触れている。

 

「兄さん、大丈夫?」

 

「和也君…どうしたの…傷だらけだよ」

 

目の前に、涙目の深雪がいて、後ろに水波がいるようだ。

 

「なんで?兄ちゃんの傍にいたいんでしょ?僕なんか、放っておけば良いじゃん」

 

「私にとって、兄さんは大切な人…」

 

「私にとっても、和也君は大切な人だよ」

 

「なんで?二人共、兄ちゃんと関係を持ったのに…」

 

女性の考え方がわからない。

 

「お兄様とは、最初で最後の儀式です」

 

「達也様とは…ごめんなさい。浮かれていました。今後、桜井水波は、全力で四葉和也を愛します!」

 

愛ってなんだろうか…わからない。僕には無い物…たぶん、賢者様の言いたかった事は、戦うだけ、護るだけではダメで、愛を知ることでガーディアンになれるって感じなのだろう。賢者様の提示された選択肢には、愛は必要が無い気がするし…今の僕にはそういう選択肢しか提示出来無いんだろうな…

 

「ねぇ、和也君…まだ、怒っているの?」

 

「怒っていないよ」

 

「兄さん…無視しないでください」

 

「無視していないよ…僕にも夢が出来たんだよ。で、どうすれば、夢が叶うか考えていたんだよ」

 

「「夢って?」」

 

二人から訊かれた。

 

「賢者様に認めて貰って、賢者様の元で鍛錬することだよ」

 

「「賢者様って?」」

 

「僕にとって、初めての理解者かな。僕の欠点を見抜き、僕に足り無い物を提示してくれたんだよ」

 

「その人が、兄さんをボロボロにしたの?」

 

「まぁ…僕の能力が総て効かないなんて、初めての経験だ」

 

「総て?和也君の再生能力も?」

 

「そうそう♪賢者様に蘇生して貰ったんだ。僕、挽肉にされちゃったよ♪」

 

「「えっ!挽肉に…」」

 

 

 

---司波達也---

 

学校から帰ると、学校を休んだ和也を見守っていた深雪と水波から、和也から伝えられた情報を聞いた。

 

賢者と名乗る者に、和也は挽肉状態にされたらしい。その影響で、身体中が痛いそうだ。どんな能力だ?さらに『無価値』なる能力を持ち、魔法陣を万単位で展開してきたそうだ。まるで、夢物語だな。いや待てよ!どこかで見た気がする。どこだったかな…そうだ、小淵沢の家の蔵にある書物庫だ。

 

週末に行って来るかな?

 

 

 

---司波和也----

 

全身筋肉痛状態である。賢者様の攻撃は侮れない。深雪の肩を借りて登校している。転移して登校を試みたのだが、転移術に身体持たないというか…転移陣を展開しただけで、激痛が走った為に断念した。

 

「あれ?和也、今日は深雪と熱々だな♪」

 

エリカが合流した。

 

「全身筋肉痛だよ…一人で歩けないんだよ~」

 

「また、死んだのか?」

 

「うん…鍛錬中に…」

 

「鍛錬中に?」

 

心配そうに僕を見るエリカ。

 

「誰と?」

 

「賢者様…」

 

「はぁ?どこの?」

 

「わからない…たぶん、違う世界だと思う。僕の能力がまるで効かなかったから…」

 

「違う世界?達也君、どういうこと?」

 

「俺も現状では半信半疑だ。ただ、和也の言う話を、古い書物で見た記憶があるんだ。ソレを確かめに、週末にあの屋敷の行く。エリカはどうする?」

 

「そうだな…一緒に行くか。和也が心配だし」

 

え?僕でなくて、兄ちゃんといたいんだろ?

 

 

 

こうして、週末は小淵沢の家に帰ることになった僕達。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。