※この作品はR-18です。

魔法科高校の問題児   作:もっち~!

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和也に足り無い物

---司波和也---

 

放課後…真由美さんがやって来た。また、生徒会室に連行らしい。深雪の肩を借りて、生徒会室へと向かった。

 

「それで、今日はどういう用件ですか?」

 

兄ちゃんが、司波家代表として質問をした。

 

「七草から事情は聞いた」

 

十文字先輩がいた。いつの間に退院したんだ?最近、欠席の多い僕が知らなかっただけかな?

 

「事情とは?」

 

「四葉和也の抱える事情だ」

 

「和也は、司波和也です。十文字先輩、そこを間違わないようにしてください」

 

「あぁ、すまん。正体は秘匿だったな」

 

「で、事情を聞いて、どうされるのですか?」

 

「生徒会として、学内での安全は確保してあげたい」

 

「それは、学内で何かあると、ガーディアンである、七草先輩の責任問題になるからですか?」

 

「それも有る」

 

十文字先輩は正直者のようだ。

 

「そうですか。わかりました。では、用件が終わったようなので、帰ります」

 

「ちょっと待って!」

 

真由美先輩から声が掛かった。

 

「それでね、あなた達3名には、生徒会の役員になって欲しいの」

 

「何故ですか?」

 

「あなた達の能力は抑止力になる。だから…」

 

兄ちゃんを見る真由美さんの目は、違う理由も孕んでいるようだ。

 

「俺だけでいいのでは?深雪と和也の能力は、抑止力にならない。死者の出るレベルですから」

 

「深雪さんには事務をお願いしたいです。和也君は…生徒会室でお留守番…」

 

僕は役立たずのようだ。兄ちゃんは頷いている。真由美さんと一緒に居られるのが嬉しいのか?

 

「和也、勘ぐり過ぎだ」

 

あぁ、心が読まれていた。全身が痛くて、心にバリアが張れていなかったようだ。

 

「じゃ、達也君は風紀委員をお願いします。あーちゃん、深雪さんに書類関係を教えてあげてね」

 

あーちゃんと呼ばれた中条あずさ先輩が、書類の束を深雪に手渡して、説明をし始めた。

 

「さてと…和也君」

 

真由美さんは兄ちゃんでは無く、僕の傍に来た。身構える僕。

 

「そんなに身構えなくても…私って恐い?」

 

首を横に振る。

 

「じゃ、どうして…」

 

「何かを疑われているんじゃないのか?」

 

十文字先輩が割り込んできた。

 

「疑われる?なんだろう…」

 

僕が視線で兄ちゃんを指した。その途端、耳まで真っ赤に染まっていく。

 

「どうしたんだ?七草…」

 

怪訝な表情の十文字先輩。

 

「何でも無い…誤解を解かないと…どうするかな…」

 

誤解?アレは誤解しようが無い行為である。男と女の行為…双方合意の上での行為、誤解のしようが無いと思う。

 

「帰っていいですか?いえ、帰ります。さようなら」

 

僕は一人で生徒会室を出た。格好良く出たつもりであったが、直ぐに後悔した。身体中が痛かったんだ…生徒会室では気が張っていたので、そうでも無かったけど、気が緩んだ途端、痛みがぶり返して来ているし…

 

「和也、大丈夫か?」

 

エリカの声…エリカの肩で支えられた僕。

 

「どうして?」

 

「全身が痛いんだろ?心配で待っていたんだ。深雪だと負担が多いだろうし。帰ろうよ。迎えは呼んである♪」

 

校門まで行くと、寿和さんが車で迎えに来てくれていた。

 

「よっ、和也!久しぶりだな。まぁ、乗れよ。覆面パトに乗る機会って、滅多に無いからな」

 

-------

 

で、何故か、千葉家へお持ち帰りされた僕。はて?

 

「心配するな。俺が責任を持って、送り届けるからさぁ」

 

広めの部屋に通された。そこには修次さんが書物と格闘していた。

 

「エリカに言われて調べてはいるんだけど、まだ見付からない」

 

「何を調べているんですか?」

 

「賢者様のことだ。和也を叩きのめしたって聞いて、興味が湧いたというかな」

 

いや、たぶん…人間では勝て無いって…うん?背中にエリカの胸の感触が…僕の後ろから抱きついているエリカ。

 

「背もたれにしてもいいよ。身体が痛いんだろ?楽な姿勢になっていいから」

 

なんで?エリカは兄ちゃんのことを…

 

「達也君のことを気にしているのか?気の迷いだよ…気にするなよ、男のくせに!」

 

いや、気にするでしょ?僕よりも男らしいエリカ…

 

「これかな?永遠の17歳…聖域の者が全員で挑んでも勝て無い…って、なんだ、コイツ…」

 

修次さんは『聖域日記』を見ていたようだ。たぶん、聖域の者でも勝てないだろうな…

 

「ラスボスだな。コイツは…並行世界に置いて、天界、冥府を殲滅だそうだ」

 

ミカエルさんの処と、ハーデスさんの処を殲滅…属性が真逆なのに…賢者様は何属性なんだ?

 

「結界無効、封印無効、無価値持ち、透過、吸収、反射など攻撃する手立て無しだって…」

 

あぁ、その方だと思う…僕の拳攻撃は透過されたもの…

 

「弱点は?」

 

エリカが訊いた。

 

「かわいい女性の笑顔…それを見ると戦意が霧散するそうだ。大魔神様か?」

 

「兄上様、大魔神様は、乙女の涙で無力化ですよ」

 

「大魔神様って?」

 

エリカに訊いた。

 

「古い映画に出てくる神様だよ。今度見せて上げるよ♪」

 

ふ~ん、賢者様は、映画に出てくる神様レベルなのか…

 

「和也、エリカの部屋で休んで行けよ」

 

「アニキ!なんで、私の部屋なんだよ?」

 

「あれ?見られて困る物でもあるのかなぁ♪」

 

寿和さんの指摘は図星だったのか、エリカの耳が赤く染まっていく。

 

「ビンゴかよ…おいおい…」

 

「アニキ…後で、手合わせしよう。拒否は無効だぞ」

 

エリカの身体はワナワナ震えている。

 

「あぁ、俺は今日、夜勤だ。また、今度な♪」

 

エリカの怒りが頂点に…

 

「ダメ!エリカ!」

 

僕は咄嗟にエリカに抱きつき、怒りを鎮めていく。

 

「えっ…和也…」

 

徐々に怒りが収まるエリカ。

 

「あれが『癒やし』の能力か…」

 

修次さん達が僕達を見ているのか、視線を感じた。

 

「和也…大丈夫か?」

 

エリカの声が遠くから聞こえる。しまった…エネ切れによるマインドロストだ。

 

-------

 

「和也…大丈夫か?」

 

隣に涙目のエリカがいた。何故か僕もエリカも全裸で交わっているんですが…エリカの部屋のベッドの上のようだ。

 

「うん?あぁ、これか?全裸で交われば、ここに帰って来てくれるかなって♪」

 

「どこから?」

 

「聖域って場所から…和也の帰る場所にしてもいいから。だから、心配を掛けすぎるな。少し位は心配したいから、残しておいても良いけど」

 

「だって、兄ちゃんと…」

 

「達也君か…一生の想い出にするよ。次は無いから…」

 

次は無い?

 

「なんで?兄ちゃんは行為の責任を放棄したのか?!」

 

「おい、お前が怒りを纏うなよ」

 

エリカは乳房を僕の胸に押し付けてきた。

 

「達也君とあぁいう行為が出来たことは、嬉しかったよ。それは本当にね。でも…和也との行為には愛しさを感じるんだ」

 

愛しさ?深雪と水波も口にしていたような…

 

「それは本当に、愛しさかって問われると曖昧だけど…でも、今こうして居るのは、全然嫌じゃない。なんか自然な振る舞いって感じなんだよ」

 

良くわからない。僕が持っていない物だから、良く分からないのかな?

 

「和也、いなくなるなよ。寂しいから…」

 

いないと寂しいのかな?愛しい者って…僕にとっては…う~ん…

 

 

回復してきたので、着衣をしていく。

 

「和也、下着をありがとうな♪」

 

僕のプレゼントした下着を着衣していくエリカ。何か、嬉しそうだ。服を着終わると、夕食をご馳走になり、出勤する寿和さんの車で、家まで送って貰った。

 

-------

 

今夜は水波に責められなかった。

 

「で、エリカさんとは、どのようなことを、されたのですか?」

 

その代わりなのだろうか、深雪が僕を尋問してきた。

 

「いや、マインドロストして、一眠りする間、添い寝をしてくれただけだよ」

 

「本当に、それだけですか?」

 

頷く僕。埒が明かない気がしたのだろうか、深雪は尋問を諦めたようだ。で、僕は兄ちゃんの部屋へ向かった。

 

「どうしたんだ、和也?」

 

僕が兄ちゃんの部屋へ行くのは珍しいので、話掛ける前に訊かれた。エリカの家で手に入れた情報を兄ちゃんに話した。

 

「そうか…たぶん、俺の見たのも、同じような書物だな…」

 

それは四葉家の者の誰かが、過去に聖域を訪れたことがあったってことかな?

 

「冥府と天界を殲滅か…聖と闇の遣い手だろうな」

 

死神は聖属性攻撃に弱い。天使は闇属性攻撃に弱い。兄ちゃんは、それを知っているようだ。

 

「まぁ、その人物なら、問題は無いだろう」

 

「なんで?」

 

「ガーディアンだからだ。何かを護る為に戦うだけで、破壊目的とかでは無いからだ」

 

何かを護る為に戦う…そうか、戦うだけではダメってそういうことか…賢者様への疑問の1つが解決した気がした。だから、当主様は僕に、戦う術と護る術を叩き込んでくれたんだ。両方を使えるように…次のステップは、護る対象だな。愛しい者で無いとダメって…

 

「兄ちゃんにとって、愛しい者って?」

 

「母さん、深雪、穂波さんかな…」

 

だから、あの局面だったのか…兄ちゃんは護る術を持っていなかったから…穂波さんは戦う術が無かったから…だから、僕はあの場に転移されたのだろう。

 

「和也の愛しい者は誰だ?」

 

「分からない…それが僕に欠けている物らしい…僕には愛という物、愛しいという物がわからないんだよ」

 

「そうか…だから…お前は、みんなを俺に…」

 

「うん?どういうこと?」

 

「お前に無い物は俺が補填をする。俺に無い物はお前が補填するんだ。1つの細胞が分裂して双子になったんだから、二人で一人を分け合ったってことだ」

 

なるほど…僕は兄ちゃんに融合すれば良いのかな?

 

「和也、禄でも無い考えはするな!一人で総ては持てない。だから、二人になったと考えろ」

 

一人の人間としてのキャパシティでは、持ちきれなかったってことかな?それだけ、真夜さんの闇は巨大だったのだろう。

 

--------

 

翌朝…柔らかい物に挟まれている感覚で目覚める。僕の右半分に水波が、左半分に深雪が乗かっていた。気持ち良いのだが重い。脱出を試みていると、二人が目覚めた。

 

「兄さん、おはようございます♪」

 

「和也君、おっは~♪」

 

「うん、おはよう…重い…」

 

「ねぇ、水波ちゃんと私、どっちが気持ち良いですか?」

 

深雪が訊いてきた。この状況下で、どちらかを選択しても地獄な気がする。朝から何かをされる予感がするのだ。

 

「胸は深雪…下腹部は水波…」

 

複雑な表情になる二人。

 

「う~ん…嬉しいやら悲しいやら」

 

「嬉しいやら、恥ずかしいやら」

 

「あの、降りて貰えないでしょうか…」

 

暫く長考して二人は降りてくれた。水波は朝ご飯の支度へ、深雪はお洗濯へと向かった。これからは、こんな朝になるのか…兄ちゃんが入れ知恵したかな?

 

--------

 

週末、何故か学校にいる…生徒会主催の行事があるとかで、僕達も手伝わないと行けないらしい。と、いっても、僕は生徒会室でお留守番である。真由美さんは、僕の為に、香澄ちゃんと泉美ちゃんを連れて来てくれた。二人から、アヤトリと折り紙を習うことにした僕。

 

外から爆音が聞こえて来た。敵襲か?僕達は急いで外へ出ると、武装した集団が、学校に攻め込んできていた。

 

「和也さん、逃げてください。ここは私達で」

 

そうもいかない。ここで、逃げてはダメだと思う。二人を護らないと…装甲車から放たれて来た銃弾、総て無かったことにした。いや、装甲車自体が無かったことに…

 

「凄い…無かったことに…」

 

香澄ちゃんが驚いている。しかし、次から次に正門から入って来る武装車両。

 

『ダークミスト』

 

正門に向けて、闇属性の霧を発生させていく。闇属性は光を吸収する。火薬が点火出来ずに不発になっていく武装車両。

 

「魔術…」

 

泉美ちゃんの驚いたような声が聞こえた。

 

「二人共、背後を頼む」

 

「「了解です」」

 

不発になった武装車両達が、僕を狙って突っ込んできた。しかし、途中で蛇行運転になっていく。文弥君の『ダイレクトペイン』かな?相手の感覚にダイレクトに痛みを与える戦闘魔法である。

 

『メテオフォール』

 

星霊系の魔術で、隕石群を武装車両に向けて落としていく。

 

「ちょっと、威力でかすぎますよ」

 

って、亜夜子ちゃん。確かに、地面まで抉れているというか、クレーター状に抉れている。隕石自体は小さいので、半径5メートルくらいの穴がボコボコと…

 

「いやっ!」

 

香澄ちゃんの声へ振り向くと、狙撃されていた。どこから?

 

「亜夜子ちゃん、狙撃手の位置を探して!」

 

「分かった」

 

香澄ちゃんに駆け寄り、無かった事にした。

 

「え?撃たれた痕が無い…」

 

「30メートルくらい先のビルの屋上よ!」

 

『エアーブロック』

 

空気をブロック状に固めて、周囲の空気抵抗を上げて行く。撃ち込まれた弾丸は、失速して、僕達に届かずに落ちていく。

 

「香澄ちゃん、泉美ちゃん、倒せるかな?」

 

「「やってみます!」」

 

二人の放った魔法は、狙撃手を撃ち抜いた。これで終わりか?いや、ヘリの音が近づいてきている。

 

「校舎に逃げ込め!ヘリだ!」

 

5人で近くの校舎へと逃げ込んだ。そんな僕達を狙うかの如く、対地ミサイルが撃ち込まれてきた。

 

『エアスタンプ』

 

圧縮空気で、ミサイルを到達前に叩き落としていく。付近に迷惑を掛けるのはアレなので、学校の敷地内に落としている。先程のクレーター部分が更に掘り起こされていく。ヘリも叩き落としたいが、市街地に落とそうだし…兄ちゃんの能力なら、安全かな?

 

ヘリは僕達を諦めて、講堂の方に狙いを買えた。アレってイベント会場だよな。4基の対地ミサイルが放たれた。どうする?う~ん…おや?斬り落すとどうなるんだ?

 

考えていても始まらないので、僕は窓から飛び出し、僕に宿る天使の力を借りて、翼を展開し空に舞い上がっていく。手に異次元空間に仕舞っておいた剣を握りしめ、ミサイルを切り刻んでいく。無数の爆発…欠損していく僕の身体。そこは、再生能力を上げて、総てを切り刻む…

 

『ミスト・ディスパージョン』

 

兄ちゃんの声が聞こえた。それと共に、ヘリが消えていく…僕の意識も消えていく…

 

--------

 

目を開くと心配そうにエリカが僕を見つめていた。

 

「和也…大丈夫か?」

 

僕の頬を手の平で撫でてくれた。抱きつかないって、そういうことだよな。僕の身体は、再生途中のようだった。身体中に赤く染まった包帯が巻かれている。

 

「みんなは?」

 

「無事だよ♪今、達也達が黒幕にヤキを入れに行っているよ」

 

「僕…役立てたのかな?」

 

「当たり前だろ?お前が、ミサイルを破壊してくれたおかげで、みんな助かったんだ」

 

「香澄ちゃん達は?」

 

「無事だよ。重傷者はお前だけだ…和也」

 

エリカの柔らかい唇が僕の額に…

 

「ご褒美だよ♪いつも口だから、たまには額にもな♪」

 

え?普通、逆で無いのか?

 

肉体の再生は順調では有るが、血液の増産が追い付かない。そうか、出血多量でマインドロストしたのか…僕の能力は身体の再生なので、失った血液は再生できない。厄介なのは、僕の身体は輸血を拒否するらしい。まぁ、2日くらいで、血液量はいつも確保出来ているらしいけど。

 

 

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