---黒羽亜夜子---
病院で薬漬けにされかかった時、和也君が助けに来てくれた。
「大丈夫♪無かったことにするからね」
言っている意味が、わからないけど、和也君と一緒に、転移魔法という物で、達也さん達の家へ連れて行ってくれた。
そこには、自ら頸動脈をナイフで切った文弥の死体があった。
「なんで?どうして、文弥が…」
「黒羽の叔父に、利用されたようだ。和也を殺したのは、文弥だった」
和也君を殺した?おかしい…目の前には元気そうな和也君がいるのに…混乱気味の私に、達也さんが、秘匿されていた和也君の能力を教えてくれた。なん…ですか~?そのチートな能力は…開いた口が塞がらない。
寿命を全うするまで、死なない身体…体験した事象を無かったことにする能力…
「で、相談なんだけど、文弥を生き返らせる。その際に、和也を殺した経験を消し去ってもいいな?」
達也さんから、私からお願いしたい事を提案された。
「お願いします。文弥を助けてください」
「だそうだ…和也、頼む」
「うん♪はい、無かったことに♪」
へ?念じるだけで無かった事になるの…凄い…目の前の文弥の首には、ナイフで切り裂いた痕すら残っていない。脈も触れているし。医者いらずな能力だ。
「秘匿する理由はわかったかな?」
「これは…あぁ、そうですね。秘匿した方が良いですね」
チート過ぎる能力…悪いことに利用されると面倒だよな。
「う~ん…亜夜子ちゃんも胸が大きくなったんだね♪」
私の胸を揉んでいる和也君。苦笑いしている司波家の皆さん。う~ん、どういうつもりだ?この場面で、これは?悩み始めた私に、和也君の取り扱いを達也さんが説明してくれた。
「見た目は高校生で、中身は幼稚園児?あぁ、そういうことですか…納得しました」
胸を揉んだのは、そこに成長した胸があったかららしい。異性って物を意識出来るレベルに達していないらしい。認識レベルは、あの当時の和也君…まさに、幼稚園児レベルだ。
「で、私達の父はどうしますか?」
実行犯グループの一員の父。
「泳がせておく。今回の件は、真夜叔母様には報告はするよ」
実行犯グループの全容を知る為らしい。
「私達はどうすれば?」
「知った以上、家には帰れないだろ?ここで、暮らしていいよ。一緒に、和也の面倒をみてくれるかな?」
達也さんがうっすらと笑顔を見せてくれた。無表情が売りの達也さんだったけど、和也君のおかげで、何らかの誓約が無かったことになったらしい。
「文弥も、ここの方がストレスが無いだろう。一部、記憶を無かったことにしてあるし、ここならアフターフォローはしやすい」
和也君と達也さんと深雪さんがいれば、心強い。彼らと同居をすることにした。
---司波和也---
『身体再生』を使ったことで、身体がだるい。あれは体力を使いすぎるからな…左胸は酷い打ち身である。
「兄さん、おはようございます♪」
そうだった。深雪のベッドで寝たんだった。そして、起きようとして、気づいた。深雪の股間に流血の痕が…
「どこか、怪我をしたのか?」
「怪我ではありませんよ♪深雪も大人になる為に脱皮をしたんです」
脱皮?あぁ、おちんちんの皮が剥けた、あれか…あれ?
「でも、深雪におちんちんは無いよね?」
「はい、ございません♪ですので、女性は違う物が破れるんですよ。あぁ、何って訊かないでくださいね。デリケートな事ですから」
顔と耳を真っ赤に染めた深雪。そうなのか…後で、兄ちゃんに訊いてみようっと。あれ?
「ねぇ、なんで、僕のおちんちんは返り血を浴びているの?」
「兄さんが、私を大人の入り口に、連れて行ってくれらからです♪二人でお風呂に入りましょうね」
深雪にお風呂場へと連れて行かれる僕。
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高校生活2日目、今日から授業という物があるそうだ。兄ちゃんに必要な物を、カバンに詰めて貰った。
「和也君!今日こそは、問題を起こさないでくださいね!」
って、水波が僕を心配してくれる。
「うん♪」
いってきますの代わりに、水波に抱きつき、水波のストレスを無かったことにして、兄ちゃんと深雪と三人で学校へと向かった。
「おっはっよ~、和也君♪」
途中でエリカが合流した。
「おはよう♪」
亜夜子ちゃんと文弥君は、来年、水波と高校生になるそうだ。来年になれば、6人で通えるんだな♪
「なんか、怠そうだな?」
エリカに訊かれた。
「昨晩、色々遭ったから…身体中が筋肉痛って感じたよ」
死んでから生き返る時、筋肉に負荷がかかるらしい。その為、2,3日は筋肉痛が起きるそうだ。で、これは必要なことなので、無かったことには出来無いらしい。
「無茶をしたのか?」
「まぁ、必要なことだよ」
エリカとの会話を、深雪と兄ちゃんが、暖かい目で見守ってくれている。エリカは仲間ってことかな?
で、授業…教わったことをノートに書き込んでいく。が…
「これは何語だ?」
休み時間になると、ノートを目にしたエリカに訊かれた。
「う~ん、鍛錬先の文字です…」
聖域のことは、聖域を知らない人間には、話してはいけないので、言葉を濁す僕。今のところ、聖域を知っているのは、真夜さんと兄ちゃんだけだ。あぁ、真夜さんと深夜さんに、さん付けで呼ぶように言われた。間違っても、叔母さんとか母さんとは言ってはダメらしい。なんだかなぁ…
「鍛錬先?どこの国だったんだ?」
「界外です」
「海外なのはわかっているよ」
『かいがい違いだ。きにするな』
と、兄ちゃんから念話が届いた。では、スルーしておこうか。
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放課後…真由美さんがまた、呼びに来た。問題が起きたらしい。兄ちゃんと深雪と僕の3人は、真由美の後に続いて、生徒会室に向かった。
「で、問題とは、どういうことですか?」
兄ちゃんが真由美さんに訊いた。
「昨日の件だけど、あなた達が一科生狩りをしたと思われているのよ」
「それは心外ですね。俺達は正当防衛ですよ」
「生徒会としても、そう判断しているんだけど…一科生達がねぇ…」
「兄ちゃん、面倒だから、違う学校に移れないかな?」
問題を起こすと、水波が怒るし…
「そうだな。転校も考えた方がいいな」
「ちょっと、待って!転校なんかしないで欲しい」
真由美さんが待ったを掛けて来た。
「生徒会で打開策があるのですか?無ければ、転校も視野に入れますよ」
兄ちゃんが交渉をしてくれている。僕は怠いので、深雪の肩を枕でうたた寝である。
---北山雫---
一科生代表として、親友の光井ほのかと共に、生徒会室に向かうと、そこには二科生の制服を着た3人の生徒がいた。彼らがそうなのか?
「話し合いで解決をしてもらおうと思って、一科生代表で北山さんと光井さんに来てもらいました。この三人が、司波兄妹ですよ」
女の私から見ても、惚れ惚れとしてしまう女性、無表情な男性、どこか無邪気な男性のアンバランスな3人組である。
「で、何を話し合うのですか?」
無表情な男性が訊いてきた。
「一科生、数名に危害を加えたことに、謝罪を要求します」
一科生で緊急会議をした結果を伝えた。
「拒否します。妹を含む二科生の女性に、自分の女になれと命令する輩に、謝罪?有り得ないです。寧ろ、謝罪はそちらがすべきだと思います」
えっ?聞いていた内容と違う…目障りだと、いきなり術を掛けられた上、殴られたと…
「聞いた話と違いますか?まぁ、二科生の女性を下僕にしようとして、見下していた二科生にやられたとは言え無いですよね」
事実なら、そうだろうな。事実なら…
「それが事実と証明できるのですか?」
「出来無いですよ。無理でしょ?そちらだって、証明出来無いでしょうし。生徒会長さん、申し訳ありませんが、話は並行線です。俺達は転校します。これで、問題は無くなるでしょ?」
「だから、待ってって!妥協点を探しましょ」
生徒会長は彼らを引き留めたいようだ。彼らが転校すれば、問題が解決するのに…
「妥協でできません。彼らを退学処分にしてください。転校すると言っているんですから、退学の上、転校で良いのではありませんか?」
「あなたは黙っていて!」
えっ?なんで、生徒会長さんは、怒っているの?
「達也君、生徒会で妥協点を見つけるから、転校はしないでください。あなた達のような優秀な生徒達を他の学校に取られたく無いのよ」
優秀な生徒達…
「彼らは、私達一科生よりも優秀だと言われるのですか?!」
生徒会長さんに訊いた。
「えぇ、そうよ。あなた達よりも、遥に優秀なのよ」
え?言い切られた…
「兄ちゃん…眠くなってきたよ…」
「和也、もう少し、我慢してくれ。深雪、和也がぐずらないように頼む」
「はい、お兄様♪」
ぐずる?ぐずるとどうなるんだろか?生徒会長さん達の顔色が、優れなくなってきた。彼が元凶なのか?
「では、決闘を申し込みます。彼に!」
女性に抱き寄せられて、うたた寝をしはじめた彼を指差した。
「ふっ…和也の敵になるのか…和也、帰るぞ」
「うん?あぁ、わかった。兄ちゃん♪では、良き人生を♪」
彼の言葉を受けて、身体の中に異変を感じた。何かが取り除かれた気がする。言葉だけで何をしたのだ?
「では、俺達は帰ります。和也、頼む」
空気が揺らめくと、彼らは消えていた。
---司波和也---
家に帰ると、亜夜子ちゃん達と、亜夜子ちゃんパパが揉めていた。
「おい、こんな、化け物の巣窟に住まずに、帰れって言っているだ!」
僕達の家を、化け物の巣窟とは、酷いことを言う。
「黒羽様、不法侵入ですね?」
兄ちゃんが声を掛けた。
「達也…いつの間に…何?和也だと…をい!コイツらを始末しろ!」
黒服を着たおじさん達が、ドアを蹴破り沢山、家の中に入ってきた。でも、次の瞬間、亜夜子ちゃんパパ以外のおじさん達は消えた。
「何…何をしたんだ?魔法の発動を感じなかったが…」
「僕達の家を踏み荒らすやつらは、この世にいなかったことにしました」
「何だと…いなかったことに…って、お前の能力は、禁断の能力の『無』か?」
「それの亜流の『無 夢幻』の方です♪」
顔面が蒼白になっていく亜夜子ちゃんパパ。
「達也以上に化け物じゃないか…司波家は呪われた子供しかしないのか?」
「真夜さんの意志を継いでいますからね♪」
「お前だけは、同士討ちになっても…この化け物め!」
亜夜子ちゃんパパが、何かの術を発動したけど、無かったことにした。
「術が無かったことに、だと…この化け物が…」
パン!パン!
乾いた音がした。今日も死ぬのか…筋肉痛が治っていないのに…心臓と肝臓が撃ち抜かれている…良い腕前だ…
「兄さん!」
深雪の身体が僕を支えてくれた…心臓が完全停止すると、僕の身体はリブートされて行く。撃ち込まれた弾丸を体外へ排出して、欠損箇所を修復し、心臓の鼓動を再起動させた。
「深雪…また、筋肉痛だよ…明日、学校休んでいい?」
「兄さん♪明日は学校お休みよ」
それは良かった♪
「何?生き返ったのか…」
僕と深雪の会話に割り込んできた、亜夜子ちゃんパパ。その声は震えている。
「僕の能力『不死身』だよ。人生を全うして、寿命が尽きるまで、魂に死が認識されないんだそうです♪」
「だから…秘匿していたのか…お前の能力を…」
ぐさっ!
「え?亜夜子さん…」
亜夜子ちゃんの手には包丁が握られていて、亜夜子ちゃんパパの腹部に深々と刺さっていた。
「父さん…もう、和也君を虐めないで…お願い…」
パン!
拾った拳銃で、自分の頭を撃ち抜いた亜夜子ちゃん…無かったことにする!
---黒羽亜夜子---
気が付くと、和也君のベッドにいた。文弥が心配そうに私の顔を見つめていた。
「和也さんの能力凄いよね♪頭が破裂した姉さんが生き返ったし…」
泣きながら、私に抱きついて来た文弥。そう…和也君に、私も助けられたのね。
「父さんは?」
「いなかったことにすると、僕達も消えちゃうから、真夜様の元に送ったって。処分は真夜様に決めて貰うそうだよ」
親が居なかったことになれば、子供の私達も消えちゃうんだね。そう言われれば、そうだ。和也君は優しさを忘れていなかった。私達のことを考えてくれていた。昔と変わらずに。
「和也君は?」
「筋肉痛で起き上がれないって…」
「ねぇ、文弥…私達も、和也君が生きるのを手伝おうよ」
「うん♪そうだね。いっぱい貰っちゃったよね。恩を…。二人で少しずつ返そう」
逆コナン君状態の和也…大きな幼稚園児は、エロパートに持ち込み難いorz