※この作品はR-18です。

魔法科高校の問題児   作:もっち~!

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初めての友人宅

---千葉エリカ---

 

朝食…いつもより1名多い…。アニキが前もって説明をしておいてくれたお陰で、混乱も無く朝食は終わった。

 

「明日を0時過ぎって…まぁ、理屈はそうだけど…」

 

苦笑いしている兄上様。アニキは長男で、兄上様は次男である。和也は申し訳無さそうに、チョコンと部屋の隅に座っている。

 

「時間を指定しなかったエリカも悪いぞ」

 

っと、アニキ…えぇ、色々な意味で反省をしております。

 

「で、君は四葉の者か?」

 

アニキが直球の質問を投げ込んだ。

 

「うん?四葉って何?僕は司波和也だよ」

 

和也は迷うこと無く、素直に打ち返している。

 

「君は、いつ永い眠りに着いて、いつ目覚めたんだ?」

 

兄上様が変化球を投げ込んだ。

 

「眠りに着いたのは、ランドセル背負って学校へ行く前で、目覚めたのは…兄ちゃんが中学生だったかな…」

 

これも素直に打ち返しているようだ。

 

「そうなると7年以上は寝ていたようだな。原因は分かるかな?」

 

「首を絞められたことで、脳が酸欠だったかな?」

 

この質問は難しかったのか、首を掲げて、考えながら答えた。

 

「どうする、アニキ?」

 

兄上様がアニキに訊いた。

 

「どうにもならない。時効前かもしれないが、現場がわからない。いや。分かっても踏み込めないと思う」

 

「うん?木刀の音…ここって、道場があるんですか?」

 

木刀の音?私には聞こえないが…

 

「ここは千刃流の道場があるんだよ。良く分かったねぇ」

 

兄上様も怪訝な顔付きである。和也の耳って良く聞こえるのか?

 

「そうか…お兄さん、手合わせをお願いします」

 

和也が指名したのは、千刃流の次期師範の兄上様だった。

 

「かまわないけど…君は剣術を習っていたのか?」

 

「一通りの戦う術と護る術は習得しております」

 

と、言い切る和也。いつ、そんな時間があったんだ?お前に…私の感じた疑問は、アニキ、兄上様も持たれたようで、何かを警戒する素振りをしている。

 

和也は背負ってきたランドセルから、道着と木で出来た模造刀を二降り取りだし…二降り?二刀流か?それも短刀のようだ。道着に着替えだした。

 

その道着を目にした親父が、驚いたように口を開いた。

 

「聖域に行ったのか?」

 

聖域?聞いたことの無い言葉に、親父の顔を見る、私達兄妹3人。

 

「うん♪聖域での鍛錬は完了しています」

 

顔から血の気が失せる親父。今の会話は、どういう意味なんだ?

 

------

 

道場へ場所を変えた。

 

「修次、本気で行け!」

 

親父から兄上様へ指示が飛んだ。これは珍しいことである。兄上様の力量を知っている親父は、兄上様に指示などしたことが無かったから。

 

「何かあるんですね。わかりました」

 

兄上様は剣を手にして構えた。和也も短刀を両手に1振りずつ手にして構えている。

 

「あの構え…アサシンだな」

 

アニキが呟いた。アサシン…殺し屋という認識である。親父の「始め!」の号令と共に、兄上様が素早く斬り掛かっていくが、兄上様の振り下ろした、剣の刃を短刀の峰で受けとめ、刃をレールのようにして、兄上様の懐に入り込んだ和也。

 

「そこまで!」

 

親父の号令で、バックステップをして、兄上様から離れ、構えを解き、兄上様に頭を下げた和也。兄上様は、大きな幼稚園児に負けた。腰砕けた状態で尻餅を着き、恐怖を思いっ切り味わったのだろうか、失禁をしている。

 

「やはり、勝負にはならんか…次、エリカよ、前に!」

 

親父が私を指名してきた。兄上様が負けた相手だよ。私が勝てる訳が無い。

 

「和也君、短刀でなくて、手ぬぐいで行けるかな?」

 

アイツに優しい口調で話し掛ける親父。アイツは頷き、手に手ぬぐいを持ち、構えた。えっ、何?手ぬぐい…って…

 

「エリカ…聖域の剣術を知る機会は滅多に無い。良い経験をさせてもらえ!」

 

親父は何を言っているんだ?目の前には私に礼をしている和也がいる。手には手ぬぐいを1本持っているだけだ。

 

「始め!」

 

考えても始まらない。速効で叩き切りに行く。私の繰り出す剣技を手ぬぐいで、防ぐ和也。剣と手ぬぐいが出逢う度、手ぬぐいとは思えない衝撃が私の手を襲ってくる。

 

「何で?何で固いの…」

 

切れないどころか、曲がりもしない手ぬぐい。そんな邪念を抱いた私に隙が生じ、和也が、鍔付近で手ぬぐいを巻き付け、私から剣を奪い去り、彼の拳が私の腹部へ…

 

「そこまでだ!」

 

親父の号令で、インパクト直前に拳を引き、先程と同じようにバックステップで、距離を取り、私に礼をした和也。強い…何、この強さは…

 

「良い物を見せてもらった。ありがとう、和也君」

 

親父は和也の傍に行き、頭を優しく撫でている。照れ笑いを浮かべている和也。

 

-------

 

お風呂で汗を流し、昼食を食べると、お昼寝タイムで、寝てしまった和也。アニキが、和也を私のベッドへと運び、寝かし付けてきたようだ。兄上様も、自分の部屋で休まれたようだ。

 

「親父…聖域って何だ?」

 

戻って来たアニキが、親父に聞いた。

 

「人が人のままでは行けない界外、この世界の外のことだ」

 

界外…そう言えば、和也が以前言っていたような…

 

「そうか…アイツは植物状態だったから…」

 

「たぶん、その時だろうな。幽体離脱をして、踏み入れたのだろう」

 

「どんな世界なんだ?」

 

「私も行ったことは無い。だが、千刃流の創設者に近い者が、訪れたらしい」

 

1冊の古い書物を、私達の前に置いた。『界外日記』と表紙には書かれている。

 

「この書物によると、神々、天使、悪魔など人外達の住まいし世界らしい。彼の道着の左胸に描かれていたマークはこれじゃ」

 

あるページを開くと、そこには界外の道着のイラストが描かれていた。和也の道着のマークと類似している。

 

「コレはデザインか?」

 

アニキが訊いた。

 

「文字らしい」

 

「あっ!」

 

和也の書いていたノートに似た文字があった。鍛錬先で覚えた文字と言っていた、あの文字だ。

 

「どうした、エリカ?」

 

「和也の書いている文字に似ているから…」

 

「そうか、彼は読み書きできるのだな。素晴らし…」

 

「なぁ、親父、和也は何者になるんだ?」

 

私が訊いた。素晴らしいとかでは無く、アイツの正体が知りたいから。

 

「彼は鍛錬を完了したと言った。終了では無くてな。これは、もう習う事が無いと言うことだ。彼は総ての力を得た体現者になる」

 

総ての力…

 

「ラスボスか?」

 

アニキが呟いた。

 

「違う…悪意有る者は完了出来無い。悪意のある者達は、鍛錬を打ち切られ、終了されてしまうそうだ。決して完了は出来無い仕組みらしい」

 

「救い人か?」

 

「それも違う。救う為の力では無い。彼が言っていただろ?戦う術と護る術とな。彼はガーディアンであり、メシアでは無い」

 

何かを護る為に戦う戦士なのか…

 

「ガーディアンに課せられる使命は、それぞれ違うらしい。彼は何を課せられたのだろうな」

 

親父の顔は、どこか楽しそうでもあり、嬉しそうでもあった。何かに気づいたのだろうか?

 

「親父は何かに気づいたのか?」

 

アニキも親父の表情から何を感じたようだ。

 

「あぁ。幼稚園児のまま戻されたんだぞ。幼稚園児の世界は狭い。その狭い世界に有る者は家族なんだと思う」

 

家族…スーパーブラコンの妹と、無表情に近い兄、母子家庭って言っていたから、後、母親か…

 

「エリカの元に、日付を越えて直ぐに逢いに来たってことは、そういうことだろ?そうは思わないか、寿和よ」

 

私に早く会いたくて、アイツは来たのか?私も護る対象なのか?

 

「なるほど…妹と同じ物をプレゼントしてくれたんだよな。家族同様の扱いになるのか、大きな幼稚園児君的には…」

 

「寿和、修次と共に、彼を手助けしてやれ。エリカの為にもなる」

 

「わかった♪」

 

えっ…ちょっと…私の好みは関係無いのか?

 

 

 

---司波和也---

 

目が覚めて、おやつを食べた後、大きいお兄さん、寿和さんが、遊びを教えてくれた。ベーゴマとかメンコとか竹馬とかビー玉とか。どれも経験した事の無い新鮮な遊びであった。

 

「また、来いよ!和也♪」

 

寿和さん、エリカの父さんに、また来て良いって言われた。とっても嬉しかった。初めての友達の家に遊びに行き、また来ても良いなんて、初めての経験であったから。

 

楽しい思いを一杯貰い、家に帰宅♪

 

「この書き置きは何ですか?兄さん!」

 

帰宅するなり、深雪に詰め寄られた。

 

『日付が変わったので、エリカの家に遊びに行きます』

 

と…あっ…神格文字で書き込んでいた。

 

「伝言メモは、私達の読める文字で書いて下さい。これでは、読めません!」

 

確かに…凹む僕。やらかしてしまった。

 

「まぁ、和也には良い経験になったし、深雪、許してやれよ」

 

兄ちゃんが庇ってくれた。

 

「でも、お兄様!ねぇ、兄さん!エリカさんに、アレコレ誘惑されていないですよね?」

 

「誘惑って?」

 

「え?それはですね…あの…」

 

しどろもどろになる深雪。抱き締めて、ストレスと不安を無かったことにした。

 

「兄さん、ズルいですよ!」

 

う~ん、怒りは消えないようだった。

 

-------

 

翌日、高校生活3日目…登校途中で、エリカと合流♪

 

「寿和さんにお礼を伝えてください。家に帰ったら、ランドセルからベーゴマとかメンコが一杯出て来ました♪」

 

こっそり、お土産を詰め込んでくれていた。なので、昨晩、文弥君から手ほどきを受けたり、家でも楽しめたのだ。

 

「わかった。で、クラブ活動はしないのか?」

 

「クラブって?」

 

聞き慣れない言葉を訊き返した。

 

「課外授業って感じになるのか?」

 

「授業だと受けないとダメなの?ねぇ、兄ちゃん」

 

指令塔の兄ちゃんに訊いた。

 

「帰宅部だよ、和也。普通のクラブでは迷惑をかけてしまうから」

 

「エリカ、帰宅部だって♪」

 

「そうなのか…入部するかな?」

 

苦笑いしているエリカ。

 

------

 

放課後、真由美さんが迎えに来て、生徒会室に連れて行かれる。何かやらかしたっけ?

 

「ねぇ、返してください!」

 

知らない女性に詰め寄られる。

 

「何を返すんだ?」

 

兄ちゃんが訊いた。

 

「私の魔法力です。私から奪ったでしょ?」

 

「奪っていないよ」

 

「嘘!嘘は止めて!あなたしかいないのよ!」

 

「魔法力は奪えない筈だ。無理に保有サイオン量の上限を上げると、身体が耐えきれず、爆発するはずだよ。そうですよね、七草先輩」

 

兄ちゃんの問い掛けに頷く真由美さん。

 

「その通りです。まして、一科生では最大量を保持していた北山さんの、サイオン量を奪い取るって、奪った者の生命に危険が及びます」

 

「いいえ、なんらかの方法で奪ったはず」

 

「奪っていないよ。だって、元々持っていないでしょ?」

 

僕の言葉に固まる北山さん…だっけ?

 

「なんで知っているの?やっぱり、あなたでしょ?私の魔法師としての能力を奪い去ったのは」

 

「和也は奪っていない。無かったことにしただけだ」

 

兄ちゃんが説明をしくれた。

 

「無かったこと?」

 

「和也は魔法師キラーだ。魔法師を単なる一般人にする能力がある」

 

まぁ、能力の一部では有るが、兄ちゃんの言葉には嘘は無い。

 

「何…その能力は…」

 

真由美の顔から血の気が引いている。どうしたのかな?

 

「私、一般人にされたの?ねぇ、元に戻しなさいよ!」

 

また、詰め寄られた。が、深雪が術を行使したようで、彼女の生の時間は終わった。

 

「何をしたの?」

 

異変を感じとった真由美さんが訊いてきた。

 

「兄さんに迷惑を掛ける者の命の灯火を消しました」

 

笑顔で答えた深雪が、僕に抱きつき甘えてきた。

 

「ねぇ、達也君、深雪さんの言ったことって何?」

 

戸惑っているような感じの真由美さん。

 

「深雪は、精神干渉術で、精神を凍結しただけです」

 

真由美さんの問い掛けに、淡々と答える兄ちゃん。

 

「何…」

 

服部先輩の顔からも血の気が失せていく。

 

「元に戻らないの?」

 

「深雪か和也の能力で戻りますが、戻した瞬間、また深雪の逆鱗に触れますよ。いいのですか?次は一段ギアが上がる可能性があり、危険だと思います。まぁ、和也の能力でどうにか復元は出来るとは思いますけどね」

 

相変わらず、淡々と答える兄ちゃん。

 

「戻してください」

 

「彼女への対処も無く、戻すのは無駄だと言っているのです。和也の負担を考えてください」

 

「そうよね…対処…そうね、和也君に謝罪をしない場合は退学処分、謝罪した場合でも二科生へのクラス替えでどうかしら?」

 

「やってみる価値は有るのかな?和也、戻してあげて」

 

兄ちゃんに言われたので、術は無かったことにした。北山さんが、僕に再度詰め寄ろうとした瞬間、真由美さんが割った入った。

 

「状況はわかりました。北山さんには生徒会として2択を提示します。和也君に謝罪をして、元に戻してもらった後、二科生にクラス替えするか、退学をするかです。どちらを選択しますか」

 

「そ、そ、そんな、理不尽な選択は出来ません。彼が謝罪して元に戻した上で、退学が妥当だと思います」

 

「七草先輩、責任はそちらでお願いします。堂々巡りには付き合えませんので、これで失礼します」

 

兄ちゃんの言葉の後、僕達が生徒会室を後にしようとすると、

 

「待ちなさいよ!」

 

北山さんの手にはスマホ…どこかに連絡をした。どこに?

 

ドアから大柄な強面の男性がたくさん入って来た。

 

「お前らか?お嬢様に危害を加えた二科生って言うのは!」

 

何かの術を発動しようとしたので、産まれていないことにした。男性達は僕達の目の前から消え去った。兄ちゃんと深雪が居るんだもの、消すのが一番効果的である。僕一人なら、戦うけどね♪

 

「え?何をしたの?」

 

真由美さんに訊かれた。

 

「和也を怒らせたようですね。責任は彼女にあります。いつ、俺達が彼女に危害を加えましたか?七草先輩は証人です。どちらに着くかは、先輩におまかせします」

 

今度こそ帰宅をする為に、ドアを出た僕達。

 

 

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