最上省吾はデスゲームで余り目立つ事もなかったMOBだった。
そんな彼も今は一皮剥けたせいか、これまでと雰囲気が違う事にクラスメイトの友人が目ざとく気が付いた。
「ん~、最上よ。なんかお前雰囲気が変わった?」
「そうか? 何が変わったのかサッパリ分からないんだけど」
その友人は省吾をまじまじと観察するように見た。そして一つ頷く。
「まさかとは思うが、童貞じゃなくなったのか?」
この男、意外と鋭い。だが彼は彼女持ちだったからか、その目に嫉妬のようなものは浮かんでいなかった。友人はリア充の仲間だった。
「いやいや、俺には彼女も居ないから無理だろ。自慢できないけどさ」
「別に彼女とは限らないだろ。で、相手は誰だよ?」
決めつけてかかる友人に、どう誤魔化すものかと考える省吾。童貞じゃなくなったのはバレてもいいが、それが明日奈相手だとバレるのは非常にまずい。このまますっとぼける事を決める。
「お前なぁ、俺に童貞じゃなくなって欲しいのなら女を紹介しろよ」
「なんだ、俺の勘違いだったか。いやぁ悪い悪い。なんか最上が良い意味で男らしくなってるように見えてな」
どうやら女を紹介してくれる気はないらしい。省吾は心の中で彼に毒づいた。
省吾はつい先日まで童貞だった男だ。彼が男として自信を持った理由は大きい。極上の美少女、あの結城明日奈と中出しセックスしたのだから。
そんじょそこらの女とセックスしたのでもなければ、お金で買った相手とも違う。
閃光のアスナ相手なのだ。口に出せるものならば、彼は大きな声でそれを公言したに違いない。
死にそうな気がするから決して省吾は口にも態度にも出さないが。
そんなわけで、友人が気が付いたように省吾の雰囲気は、多少なりとも男らしく変わっていた。もっとも、こういう物は本人には自覚出来ないのではあるが。
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学校には委員会と言うものがある。その種類は結構多い。
学級委員、広報委員、図書委員、美化委員、風紀委員、保健委員、文化委員、選挙管理委員などなど。
そのうちクラスから人員を出す委員もある。学級委員や美化、図書などはまず誰かがやる羽目になる。
さて、このクラスに率先してそんな面倒な委員をやりたがる者は居るだろうか?
「誰かやりたい者は居るか? 自薦他薦、なんでもいいぞ」
先生の言葉に省吾は考えざるを得ない。委員なんて面倒な仕事は、当然ながらやりたくもない。
だが、彼には懸念が有った。
(俺に絶対、何かが押し付けられる)
省吾は別にクラスメイトに嫌われているわけではないが、妬みや嫉妬を買う二つの理由があった。
一つは最後尾の窓際と言う教室内でもっともヒエラルキーが高い席に座っている事。くじ引きの結果ではあるのだが。
もう一つはあの――閃光のアスナの隣の席だという事。これがクラスの男子生徒の妬みを買っている。買いすぎていると言っても良いぐらいだ。
(ここは先手必勝で行くべきだ)
どうせ何か押し付けられるのなら、最も面倒が無い物にしたい。そう思った省吾は自ら手を上げた。
「先生、俺、図書委員になりたいです」
「おっ? そうかそうか」
この時点でクラスの大半、特に男子生徒は面倒な枠が一つ減ったから良いかとそれを認めた。つまり、省吾が図書委員になる事が確定した。
(よしっ)
省吾は心の中でほくそ笑んだ。
(この学校で図書室を利用する生徒なんてまず居ないはずだからな。どれかをやる必要があるならこれ以外の選択肢は無い)
省吾の考えは当たっている。デジタル化の波でわざわざ図書室を利用する者は少ないだろう。
そして一般の学校以上に、この学校はその傾向が有った。なにしろこの学校の生徒たちはデスゲームを生き残った者達だ。紙媒体よりPCやタブレットの方を使う。
気が緩んだ省吾は、次々と他の委員が決められていくのをのんびりと眺めていた。
明日奈が図書委員に立候補した時には吹き出しそうになってしまったが。
このクラスには黒の剣士と呼ばれるキリト、桐ヶ谷和人が居る。誰もが知っている閃光のアスナ、結城明日奈の恋人である。
「桐ヶ谷、バイトのやりすぎで彼女に退屈させてないか? 絶対に暇つぶしで立候補してるぞ」
「そんなわけ無いだろ。あれだ、学級委員長をやるより良いと思ったんじゃないか?」
誰一人、明日奈が図書委員に立候補するとは思っていなかったらしい。彼氏であるキリトもだ。
確かに彼女は学級委員長に他薦される可能性が有った。その答えに最もだとキリトに話しかけた男子も納得する。
だが、一人だけ心境落ち着かない者がいた。
(なんでまた結城さんが図書委員に?)
混乱する省吾を他所に、ホームルームの時間は過ぎていくのだった。
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数日後。
省吾は明日奈とセックスした事を、あれは思い出だとしっかり理性を働かせて、彼女にちょっかいを出すような事はしなかった。省吾は引き際というものをわきまえている。でなければデスゲームを生き残れない。
明日奈のほうも至って普通にしていた。ただし、彼女の場合は――言わずとも分かるだろう。
そしてやって来た図書委員の当番の日、二人はカウンターで並んで座っていた。
お互いに意識しつつも、誰も来ない暇な空間で二人は本を読んで時間を過ごしていた。
そんな静かな空間で隣に座る省吾をこっそりと盗み見る明日奈。
彼が真剣に本を読んでる姿にちょっとだけドキッとしつつもそれが恨めしい。
(少しぐらい意識してくれてもいいのに……)
彼女がそう思うのも仕方がない。省吾が必死にポーカーフェイスを作って頑張っているのを知らないからだ。
この真剣に本を読んでいるように見える省吾は、実のところ明日奈を滅茶苦茶意識してしまっていた。
なにせ彼女に中出しして余裕が有った時とは違い、今は精液が満タンまで溜まっているからだ。性欲に満ち溢れていると言っても過言ではない。
明日奈は「意識してくれても」と思ってしまう事をいけないとも思っている。しかし今日の彼女がそう思ってしまう理由が有った。
彼女は前日にキリトとエッチをしている。それはカップルなら当たり前の事だ。だが……明日奈はイかせてもらえずに悶々とさせられてしまっていた。
キリトが頑張った上でなら彼女も我慢するだろう。だがキリトは、付き合い始めの頃とは違って愛撫が疎かになっていた。その事実が彼女の心に拍車をかける。
そして思い出す――あの日の事を。
顔のすぐ前にあった大きなおチンチン。あのエッチな形のおチンチン。
いやらしい格好で彼の愛撫にイかされてしまった事。そして擦り付けられた時に感じた硬さと熱さ――気持ち良さ。
そして――中をおチンチンでいっぱいにされて――イキながら彼の精液を受け止めてしまった事。
明日奈はあれ以来、省吾のおチンチンが脳裏に浮かんで離れなくなってしまっていた。
もう一度彼をチラッと盗み見、そして頭に浮かんできた事に赤面した。彼女は思ってしまったのだ。
教室でこっそりやったように……もう一度してみたら……と。
明日奈は決心した。
読んでいた本をさり気なく置いて太ももの上にそっと手を乗せると、その手が羞恥に小さく震え始めた。
実際に行動を起こそうとして緊張し始めたようだ。
(ほ、本当にするの? あの時みたいに?)
後はやるだけの状態になると、彼女はこれから自分がしようとしている事が恥ずかしくてたまらなくなってきた。
真剣に本を読んでいる彼の傍でのエッチな露出行為。クラスメイトの男の子の傍で、自分がそんなエッチな行為をしようとしている事が信じられない。
それでも明日奈は――手を震わせながらゆっくりとスカートを――。
(やぁ……やっぱり恥ずかしいよ……)
線の美しい脚を隠すスカートが彼女自身の手によって捲られていく。クラスメイトの男の子の横で、彼氏でもない省吾の隣で。
いつ、省吾にそれを見られるかと思うだけで恥ずかしくなってくる。だけど――明日奈は何故か――自分が興奮してしまっているのに気が付いた。
(恥ずかしいのに……私――興奮しちゃってる)
身体の奥に熱が生まれ、その熱さが身体を燃え上がらせ始めた。
恥ずかしさに涙が浮かんでくる。それでも明日奈は手を止められなかった。豊かな胸を上下させて、熱い吐息を漏らす。
躊躇いながらも、震える手でスカートを捲り上げていく。露わになっていく手入れされたスベスベ生の太もも、そしてその奥の――。
一方、薬を渡して綺麗に終わったはずの明日奈との近さに、省吾は必死にポーカーフェイスを作って頑張り、エッチな事を思い出すとすぐに勃起してしまいそうなチンポを必死に鎮めていた。
エッチな事はしたいが彼女は彼氏持ちだ。バレた時には碌な事にならないと自制する。
だが……、隣の彼女から視線を感じて、気になって仕方がない。
省吾がチラッと彼女を盗み見ると、彼女もチラッとこちらへ視線を送っていた。目が合って省吾はパッと目を逸らした。
これが付き合い始めのカップルならとっても初々しく見えて微笑ましいだろう。
省吾の心は一瞬で嵐に巻き込まれていたが。
(どうしてまた結城さんがスカートを捲っているのっ! 俺はいったいどうすればいいんだ! 目なんかすっげえ潤んでるしっ。くぅっ、また襲っても良いのか!?)
もう一度チラッと見てしまう省吾。スカートを捲ったまま、恥ずかしそうにチラッと省吾を見る明日奈。
彼の目には上品なブルーの下着がバッチリと映り込んでいた。
(本日の結城さんの下着はブルーか。うんうん、切れ込みがエッチな感じでとっても良いよ! って、ちげぇぇぇぇ!)
彼女にテンプテーションを掛けられて、省吾は大混乱に陥っていた。
明日奈はいけないと思いつつも自分からエッチな事をしている事に胸をドキドキさせていた。
彼がチラッと見てきた時には身体が震え、今まで知らなかった感覚に包まれて気持ちよさを感じた。
明日奈が感じた感覚。それは――露出行為による快感。
(私……最上君に見られて……感じちゃってる――)
明日奈は羞恥に身を焦がしながら、彼に見て欲しいと思った。自分のエッチな所を。
恥ずかしさに頬を染めながらも太ももを指先で撫で、下着を指差して省吾への挑発を始める明日奈。
(ぶはっ! 俺っ、やっちゃってもいいよね? 襲ってもいいよね? どこでぇぇっ!)
ここは図書室。例え利用者がまず居ないとは言っても皆無ではない。
カウンターの向こうからは、座っている二人の下半身が完全に見えないほど死角になっているとは言え、セックスできるような状況ではないのだ。
彼女もそれが分かってスカートを捲っているのだろうと省吾は思った。
ならば、せめて手を伸ばして触るべきか? 省吾は明日奈の下半身に必死に眼球を向けながら考えた。
(くっ、結城さんの方からアピールしてきているんだ。もういいっ、行けっ、行ってしまえっ、触ってしまえっ。バレた時はバレた時だっ!)
性欲というものは理性を吹き飛ばす。
トラブった場合の恐ろしさは、明日奈の挑発によって完全に忘れ去られてしまったのだ。
そして省吾は彼女の下半身へ手を伸ばし――。
(なんでだよぉぉっ!)
明日奈は手が伸びてきたのに気付くと、さっとスカートを元に戻してしまった。しかも省吾の手を取った上でだ。
男を挑発しておいてヒドイものである。
省吾は涙が出そうだった。あれだけ見せられて、いざ触ろうとしたら梯子を外されるなんて思ってもみなかったのだから。
明日奈はちょっとだけ省吾に意趣返しを出来た事にクスクスと笑った。どうやらエッチしてから彼が自分の事を意識してくれなかった事にご不満だったようだ。
だが、明日奈が省吾の手を止めたのにも、ちゃんと理由があった。
それは触られたら声を我慢出来ないと思っていたからだ。見られて興奮してしまっていた自分を知られるのも恥ずかしかった。
そして――触らせてあげなかった彼の悲しそうな表情にちょっとだけキュンとしてもいた。
だから顔を真っ赤に染めながら、彼の耳に唇を寄せて囁いた。
「ごめんね。触られると……きっと声が出ちゃうから……」
意気消沈した顔でその言葉に納得して頷く彼に、少し悪い事をしちゃったかもと明日奈は感じた。
(このままじゃ最上君が可哀想だよね……。それに……)
明日奈は彼の股間が早くも膨らんでいる事に気が付いていた。自分に興奮して大きくしてくれたんだと思った。
(わ……私が挑発したんだから……責任を取ってあげないと……)
図書室では最後まで出来ないからセックス以外で満足させてあげたいと彼女は思った。明日奈は思ってしまったのだ。その方法を考えて周囲を取り巻く環境を確認する。
(そうすると、やっぱりあれかな? あう……私、最上君にならしてあげてもいいって思ってる……)
心の変化――彼女の心の中に、省吾にエッチな事をしてあげたいという気持ちが生まれ始めていた。
そんな自分の心の変化に気が付いて少しだけ驚いた。そしてその気持ちを――明日奈は受け入れていく。
明日奈はもう止まれなかった。
彼女はもう一度省吾の耳元に唇を寄せて囁いた。それを伝える恥ずかしさに胸を震わせながら。
「触らせてはあげられないけど……、お……お口でなら……してあげても……いいよ?」
耳にかかる彼女の吐息、そして囁かれた彼女のエロボイス。
省吾は雷に脳を直撃されて声が出せなかった。代わりに何度もコクコクと夢中で頷いた。
そんな省吾を可愛く感じ、エッチな提案をした事に顔を真っ赤に染めて、明日奈はもう一度――クスクスと笑うのだった。